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熊野 (重巡洋艦) - Wikipedia

熊野 (重巡洋艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

艦歴
発注 昭和6年度計画(マル1計画
起工 1934年4月5日
進水 1936年10月15日
就役 1937年10月31日
その後 1944年11月25日戦没
除籍 1945年1月20日
性能諸元
排水量 基準:12,000トン
全長 200.6 m
全幅 20.2 m
吃水 5.9 m
機関 ロ号艦本式缶8基
艦本式タービン4基4軸
153,698馬力(新造時公試成績)
最大速 35.36kt (新造時公試成績)
航続距離 14ktで8,000
燃料 重油:2,280t
兵員 930名
兵装
(竣工時)
60口径15.5cm3連装砲5基
40口径12.7cm連装高角砲4基
25mm連装機銃4基
13mm連装機銃2基
61cm3連装魚雷発射管4基
兵装
(最終時)
50口径20.3cm連装砲5基
40口径12.7cm連装高角砲4基
25mm3連装機銃8基
25mm連装機銃4基
25mm単装機銃18基(機銃の装備数は推定)
九〇式61cm3連装魚雷発射管4基(魚雷24本)
電探 二号一型(対空用) 1基
二号二型(対水上用) 2基
一号三型(対空用) 1基
装甲 舷側:140mm 甲板:60mm
搭載機 水上機3機(呉式二号五型射出機2基)

熊野 (くまの)は、日本海軍重巡洋艦最上型の4番艦。川崎重工業神戸造船所にて建造。艦名は奈良県和歌山県三重県を流れる熊野川に因んで命名された。

目次

[編集] 概要

第四艦隊事件により最上型の船体強度に問題があることが判明したため、船体線図が改正され最上三隈とは船体形状に違いがあり、鈴谷型(鈴谷・熊野)と分類されることもある。また、ボイラーが最上三隈は重油専焼罐大型8基小型2基の計10基から、重油専焼罐大型8基に変更されている。そのため、第3砲塔と艦橋構造物との間の大型吸気トランクがなく、一番煙突の太さもボイラー減少の分だけ径が細くなっている。

[編集] 艦歴

改装前の熊野
改装前の熊野

[編集] 熊野の最後

熊野は最後の1ヶ月間に魚雷6本(もしくは8本)、爆弾10発という多大な被害を受けた。また乗員は本土帰還を目指して対空戦闘に、応急修理にと奮闘したが帰還は果たせなかった。そこで最後の1ヶ月の被害とその応急修理を中心に詳細を記す。

  • 1944年10月25日 サマール沖海戦で米フレッチャー級駆逐艦「ジョンストン」より艦首に魚雷1本を受ける。艦首の抵抗のため速力12ノットに低下。
    • 同日 サンベルナルジノ海峡で艦載機の攻撃を受ける。至近弾により左舷缶室に浸水。
  • 10月26日 急降下爆撃を受ける。艦橋左舷、煙突付近に3発命中し右舷缶室にも被害。一時航行不能。
    • 10ノットでコロンに向かう。途中3回空襲を受けたが被害無し。
    • 同日コロン到着。燃料補給後「沖波」の護衛でマニラへ向かう。
  • 10月28日 マニラ到着。特務艦「隠戸」に横付しマニラ第103工作部による艦首の応急修理、缶4基を整備し速力15ノットまで回復。
  • 11月5日 マタ31船団を護衛してマニラを出港しサンタクルーズへ移動。
  • 11月6日 サンタクルーズを出港。
    • 同日、船団は米軍潜水艦(ブリーム・グイタロ・レイトン・レイの4隻)の攻撃を受ける。船団に対する1回目と2回目の雷撃は、全て回避される。3回目の雷撃は「レイトン」が「熊野」を目標に6本発射するも回避。しかし、「レイ」による4回目の雷撃で1本が艦首に命中し1番主砲の前で船体切断、もう1本が1番機械室に命中し機械室全室浸水により航行不能。
    • 油槽船「道了丸」に曳航され1.5ノットでサンタクルーズへ戻る。
  • 11月7日 サンタクルーズ到着。
  • 11月9日、台風による暴風雨で走錨、座礁の危機があったが代用錨で急場をしのぐ。
    • 復水器の破損や蒸気漏れのため台湾(高雄)到着までに必要な真水500tが不足、ドラム缶を使い川から真水を毎日30tづつ運ぶ。
  • 11月21日までに缶1基と主機1基を整備。速力6ノット可能になる。
  • 11月25日 米空母タイコンデロガ艦載機の空襲により魚雷3本(もしくは5本)、爆弾4発が命中。14時40分左舷へ転覆、15時15分沈没。人見艦長を始め約400名の乗員が戦死。

[編集] 歴代艦長

[編集] 艤装員長

  1. 須賀彦次郎 大佐(昭和11年12月1日就任)

[編集] 艦長

  1. 西村祥治 大佐(昭和12年10月31日就任)
  2. 八代祐吉 大佐(昭和14年5月18日就任)
  3. 有馬馨 大佐(昭和14年11月15日就任)
  4. 小畑長左衛門 大佐(昭和15年10月15日就任)
  5. 田中菊松 大佐(昭和16年5月24日就任)
  6. 藤田俊造 大佐(昭和18年2月17日就任)
  7. 人見錚一郎 大佐(昭和19年3月29日就任)昭和19年11月25日戦死

[編集] 参考文献

  • 雑誌「丸」編集部『丸スペシャルNo122 重巡最上型/利根型』(潮書房、1987年)
  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第7巻 重巡III』(光人社、1990年) ISBN 4-7698-0457-1
  • 「歴史群像」編集部『歴史群像太平洋戦史シリーズVol.38 最上型重巡』(学習研究社、2002年) ISBN 4-05-602880-X

[編集] 同型艦

[編集] 関連項目


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