神奈川東部方面線
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神奈川東部方面線(かながわとうぶほうめんせん)は、相模鉄道本線西谷駅からJR東海道貨物線の横浜羽沢貨物駅および新横浜駅を経由して東京急行電鉄東横線日吉駅を結ぶ計画の鉄道路線(未成線)である。
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[編集] 計画概要
2008年5月現在まで公式に発表されているものによると、以下の通りである。
相鉄本線およびいずみ野線方面から本路線を経由してJR東海道貨物線、横須賀線、湘南新宿ライン、東急東横線、東京地下鉄副都心線、東急目黒線、東京地下鉄南北線、埼玉高速鉄道線、都営地下鉄三田線との相互直通運転を行う列車が運転される予定である。
相鉄本線の西谷駅からJR東海道貨物線の横浜羽沢駅に至る約2.7kmの連絡線を建設し、さらに同駅から新横浜駅を経由して東急東横線の日吉駅に至る約10kmの連絡線を新設するとしている。前者を「相鉄・JR直通線」、後者を「相鉄・東急直通線」とし、この2つの路線をもって「神奈川東部方面線」(いずれも仮称)を構成するとした。
なお、東京地下鉄副都心線の開業(2008年6月14日)と同時に相互直通運転を実施し、さらに2012年度からの東急東横線と副都心線との直通運転開始と同時に乗り入れてくる路線(東武東上線・西武有楽町線経由池袋線)のうち、東武鉄道は本路線に乗り入れるか否かは明らかにされていないが、西武鉄道は東部方面線との乗り入れについて「現時点で本路線が完成した場合でも副都心線、東横線を介した相鉄線方面には乗り入れを実施しない」と示している。
[編集] 詳細
現時点では、概要のみが発表されている段階であり、以下はすべて予定である。それによると、次の通りである。
- 整備主体は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構。いわゆる上下分離方式によって建設・運営される。
- 相鉄・JR直通線(西谷駅~横浜羽沢駅間)の総事業費は、用地取得費が約91億円、路盤費約291億円、設備費約215億円、その他86億円となり、合計で約700億円に上る見込みである。
- 相鉄・東急直通線(横浜羽沢駅~日吉駅間)の総事業費は約1,957億円に上る見込みであり、国土交通省が2005年度から都市交通基盤の整備を目指して始めた補助制度を活用する。また、鉄道・運輸機構と共に都市鉄道等利便増進法の適用を国に申請し、同機構・国・管轄自治体である神奈川県および横浜市の3者が事業費を3分の1ずつ負担、同機構が路線を所有し、相鉄・東急両社が線路使用料を払う形で運営される予定である。
- 全線を1067mm軌間の複線で建設する(同軌間は相鉄・JR東日本・東急の3社共通)。
- 西谷駅~横浜羽沢駅~綱島駅間は、横浜羽沢駅付近の一部を除き全線をトンネル(地下線)で建設する。
- 綱島駅~日吉駅間は、明かり区間(地平線方式または高架線)として建設する。
- 2009年度より本路線の第1期工事として、まず相鉄・JR直通線の約2.7kmを着工する。後に第2期工事として、相鉄・東急直通線の約10kmの建設に着手する予定である。
- 2015年より相鉄線から相鉄・JR直通線および東海道貨物線を介し、新宿駅までの直通運転を行う。また、東北縦貫線が完成すれば同線との直通運転も検討されている。
- 2019年より相鉄線から相鉄・東急直通線を介し、日吉駅で東急東横線および目黒線との相互直通運転を開始する予定である。
[編集] 完成時の見通し
- 相鉄とJRとの直通列車は、朝のラッシュ時に1時間あたり4本、その他の時間帯では1時間に約2~3本を運行する。
- 相鉄と東急方面との直通列車は、朝ラッシュ時は10本程度の乗り入れを検討している。
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- 相鉄は、これらの計画によって1日あたり27万人の利用者増を見込む。
- 相鉄は、直通運転開始と同時に本線の二俣川~海老名間において通過運転を行う列車の設定を予定しているため、瀬谷駅に待避設備を設置する。また、いずみ野線内(二俣川~湘南台間)においても通過運転を行う予定であり、緑園都市といずみ野の両駅は将来の通過運転に備えて2面4線構造として建設された。
- 本路線の完成後、相鉄が免許を保持し未着工区間として残っていたいずみ野線湘南台~平塚間の延伸工事を本格的に検討する予定である。
[編集] 歴史
[編集] 当初の計画
1966年当時、運輸政策審議会答申第18号において、検討すべき路線として、
- 東京~勝田(港北ニュータウン)~二俣川~湘南台~平塚
が位置付けられていた。
- 勝田で高速鉄道(地下鉄)3号線(本牧~山下町~伊勢佐木町~横浜~新横浜~勝田~元石川間)と4号線(鶴見~末吉橋~綱島~勝田~元石川間)に、湘南台で1号線(伊勢佐木町~上大岡~戸塚~湘南台間)と連絡する予定であった。
さらに、バブル期には大倉山~新横浜~鶴ヶ峰~二俣川間に加えて新横浜~尻手~川崎~羽田空港方面の路線も計画され、神奈川新聞などで報道されたが、こちらは資金が膨大となるため、計画段階で頓挫している。
[編集] 路線の建設
[編集] 二俣川~平塚間
二俣川~平塚間については、事業主体が決定していなかったところ相模鉄道が免許を取得し、1976年から1999年にかけていずみ野線として二俣川~湘南台間を開通している。湘南台~平塚間については現在も相鉄が延伸免許を保持しているが、実現する見通しはまだ立っていない。そのため、本格的な着工に向けた協議は同線内における通過運転実施もしくは本路線完成前後になる予定である。
詳しくは、相鉄いずみ野線を参照されたい。
[編集] 東京都心方面~二俣川間
かつて、運輸政策審議会の答申による「神奈川東部方面線」として、相鉄がいずみ野線を二俣川駅から延伸して新横浜駅までを建設し、東京急行電鉄が大倉山駅方面から新横浜駅まで建設する新線と接続して相互乗り入れを行う計画が持ち上がったが、計画は長らく進まなかった上、バブル崩壊のあおりも受け、計画は事実上停止した状態であったが、21世紀に入り、それが実現に向けて再び動き出した。
相鉄は当初、神奈川東部方面線という計画について、ターミナルである横浜駅の乗客が減少するという致命的な理由を始めとするいくつかの問題点からこの計画に乗り気ではなかった。しかし、少子高齢化による乗客数の減少という将来を見据えて考えを一転させ、東京都心への乗り入れに対して意欲的な姿勢をとるようになった。そして、2004年9月、路線の利便性を高めるために横浜駅を経由しないJRとの直通運転計画に踏み切ることになった。
相鉄とJRの計画は、神奈川県や横浜市が計画していた「神奈川東部方面線」に近いものであったが、新横浜駅を経由しないため、新たな計画が実現した場合に期待される効果は、県央部から都心への時間短縮効果のみであった。そのため、県や市は「そのままの計画では効果が薄い」として計画に介入を行った。さらに、この計画が実現すれば横浜駅で相鉄から東横線に乗り換えて東京都心へと向かう乗客をJRに奪われることを危惧した東急が2005年度末頃から計画に参加することになる。その結果、相鉄とJRの直通運転の計画を据え置きつつ、さらにこれを延伸するという形で費用は増えるものの新横浜駅を経由した東急との直通運転も行うということで得られる効果がより多い「神奈川東部方面線」として整備して行くこととなった。当初の計画からは若干変わっているが、「神奈川県央部と新横浜駅から東京方面を乗り換えなしでつなぐ」という目的は変わっていない。
この計画に従って、2006年5月25日に西谷~横浜羽沢間については相鉄が単独で、日吉~横浜羽沢間については相鉄・東急が共同で、それぞれ国土交通省に都市鉄道等利便増進法に基づく「営業構想」の認定を申請した。また、鉄道・運輸機構も同日に西谷~横浜羽沢間および日吉~横浜羽沢間の「整備構想」の認定を申請し、翌6月9日に西谷~横浜羽沢間が、23日に日吉~横浜羽沢間がそれぞれ営業構想および整備構想の認定を受けている。
そして11月21日に西谷~横浜羽沢間の速達性向上計画が国土交通大臣に認定され、同日提出された日吉~横浜羽沢間の速達性向上計画も2007年4月11日に国土交通大臣に認可された。10月にはまず西側の相鉄・JR連絡線建設についての沿線住民向け事業説明会も開催され、本路線の着工に向けた具体的な計画が進行しつつある。相鉄・JR直通線については2009年度中の着工を目指すとしている。
西谷駅から横浜羽沢駅付近までの連絡線は、当初2005年に着工して2010年頃に開業する予定とされていたが、上記の通り東急との相互直通運転計画が浮上したこともあり、JRとの相互直通運転は2015年前後を目処に開始することとなっている。
ちなみに、JR東日本は過去に川崎市の貨物線(武蔵野南線)の旅客化構想に多額の追加費用がかかることから難色を示した経緯があった(並走路線として川崎縦貫高速鉄道線が計画されている)が、この計画により貨物線を経由した相鉄との直通を実現させる運びとなった。なお、相鉄・東急直通線の計画は両社ともに公式発表しているが、相鉄・JR直通線の計画については、JR東日本は連絡線の運営主体ではないため、今のところ相鉄側のみが公式発表を行っている。
[編集] 建設の利点
- 神奈川県央部・相鉄沿線から東京都心への所要時間短縮・乗り換え回数削減によるアクセスの改善。
- 相鉄・東急直通線が新横浜駅を経由することにより、神奈川県央部、とりわけ相鉄・東急両沿線利用者が横浜駅での乗り換えをせずに直接新横浜駅に行くことが可能となり、東海道新幹線を利用する際にも利便性がさらに増すこととなる。
- 相鉄線横浜駅の混雑緩和。
- 横浜羽沢駅付近などの鉄道空白地帯の解消に伴い、新横浜付近の一地区である羽沢地区の活性化。
[編集] 問題点
[編集] 神奈川東部方面線として
- 現段階の計画だと、直通運転先が実に6者(東京急行電鉄・東京地下鉄・埼玉高速鉄道・東京都交通局・東日本旅客鉄道・相模鉄道)9路線(東横線・目黒線・副都心線・南北線・埼玉高速鉄道線・三田線・JR線・相鉄本線・いずみ野線)と多くの路線に一気に乗り入れることになり、利用者にとって非常に分かりづらくなる。
- 相鉄の西谷~二俣川間には踏切が多いため、本路線が開業して列車本数が増発されれば、遮断時間が長くなる。
- 相鉄は横浜駅西口の駅ビル(相鉄ジョイナス)や地下街などの不動産を管理する立場でもあるが、同駅を経由しない本路線が完成した場合、同駅の乗降客数が最も多い相鉄線は混雑が緩和される一方、ターミナル駅としての同駅の空洞化が予想される。
[編集] 相鉄・JR直通線として
- JR東海道線・横須賀線・湘南新宿ラインは15両編成(一部列車は11両編成か10両編成)なのに対し、相鉄は最大でも10両編成である。また、JRの車両のうち東海道線・横須賀線・湘南新宿ラインにはグリーン車が連結されている。
- 横須賀線の大船~東戸塚~横浜~新川崎~西大井間においては、同線に加えて湘南新宿ライン、通勤ライナー(湘南ライナーの一部と「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」)、成田エクスプレスなど多数の列車が走っているため、飽和状態である。
- 横須賀線西大井~大崎・品川間にある東京方面と湘南新宿ライン新宿方面の分岐点(旧・蛇窪信号場)は、2004年10月16日からの湘南新宿ライン大増発(32往復→64往復)に伴い平面交差が運転上のネックとなっている。
[編集] 相鉄・東急直通線として
- 東急東横線は最混雑区間である自由が丘~中目黒間の混雑が激しい。そのため、設備を改良しない限り相鉄側からの利用客をカバーする余地がない上、目黒線もラッシュ時に増発する余裕がない状況である。ここに本路線が完成し、相鉄との直通運転が開始されると折り返しや待避設備などの都合上綱島以南の列車に減便が生じ、ダイヤの平準化を保てなくなることが予想されるほか、同駅以南を利用する乗客にとっては単なる混雑の増大となる。
- 相鉄は10両編成(一部列車は8両編成)であるのに対し、東急は東横線が8両編成、目黒線が6両編成なので、相鉄側に制約がかかる。さらに、東急は相鉄よりも車両限界が小さく、東急側からの片乗り入れでない限り、相鉄側は東急線に直通する専用の車両を用意しなければならない。
[編集] 設置予定駅一覧
設置される駅や運営主体については正式に発表されておらず、この他にも駅を増やすかどうかや優等列車の停車駅などは全く決まっていないため、現在プレスリリースに記載されている駅のみ記述する。
路線 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 所在地 | |
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相模鉄道本線海老名駅まで直通運転予定 相模鉄道本線経由相模鉄道いずみ野線湘南台駅まで直通運転予定 |
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相鉄 ・ JR直通線 |
西谷駅 | - | 0.0 | 相模鉄道: 本線 | 神奈川県 | 横浜市保土ケ谷区 |
羽沢駅(仮称) | 2.7 | 2.7 | 東日本旅客鉄道:東海道本線支線(新宿方面へ直通運転予定) 日本貨物鉄道:東海道貨物線 |
横浜市神奈川区 | ||
相鉄 ・ 東急直通線 |
0.0 | |||||
新横浜駅 (仮称) | 東海旅客鉄道:東海道新幹線 東日本旅客鉄道:横浜線 横浜市営地下鉄:■ブルーライン (B25) |
横浜市港北区 | ||||
綱島駅 | 8.8 | 東京急行電鉄: 東横線 | ||||
日吉駅 | 2.2 | 10.0 | 東京急行電鉄:東横線、目黒線 (目黒線専用ホーム建設中) 横浜市営地下鉄:■グリーンライン (G10) |
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東京急行電鉄東横線方面へ直通運転予定 東京急行電鉄目黒線方面へ直通運転予定 |