男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
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『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(おとこはつらいよ はいけいくるまとらじろうさま)は、1994年12月23日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの47作目。同時上映は『釣りバカ日誌7』。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 作品概要
- 題名は渥美清が出演した映画「拝啓天皇陛下様」から取っている。
- 満男の新たなマドンナである川井菜穂と寅次郎のマドンナである典子の恋が同時進行で描かれる。後述の通り渥美清はこの時病で体を蝕まれていたのでとても悲哀な恋愛ストーリーになった。
- 渥美清はこの時、肝臓の癌が肺にまで転移しており、主治医からは出演は「もう不可能」と言われていたが無理を承知で出演。そのため主題歌の声にも張りがなかった。
- この作品の撮影現場や完成披露試写会はシリーズ25年目を記念して制作された「BSスペシャル 渥美清の寅さん勤続25年」で紹介された。
[編集] あらすじ
久々にとらやに帰ってきた寅次郎はその晩、満男の話題で盛り上がる。満男は大学を卒業後仕方なく入社した靴会社の営業の仕事に嫌気が差し家族に愚痴をもらしていた。それを聞いた寅次郎は「物を売るってことは、こういうことなんだ」と持論を述べ始め、家族皆、その持論に感服させられる。
ある日、満男の大学の先輩で今は家業を継いでいるという川井信夫(山田雅人)から実家の長浜市のお祭りを観に来ないか?、と誘われる。川井の実家に赴いた満男は川井の妹の菜穂(牧瀬里穂)と出会う。町を親切に案内してくれる菜穂に満男は好意を寄せ始める。一方、寅次郎は琵琶湖のほとりで佇む一人の女性、宮典子(かたせ梨乃)を見つける。 その女性はカメラを車に積み、撮影旅行をしていたのだ。寅次郎が立ち去ろうとしたとき、典子は岩の上でつまずき倒れてしまう。寅次郎は接骨院に連れて行く。接骨院で症状もよくなり寅次郎とすっかり打ち解けた典子は長浜のお祭りを寅次郎と見に行くとこになったが、突然典子の夫(平泉成)が典子を連れ帰ってしまう。しかし、寅次郎は何も言わずに送り出した。
祭りを菜穂と一緒に見学している満男は菜穂に「今付き合っている人いるの?」と突然聞いてしまうが菜穂にうまくはぐらかされてしまう。その晩信夫から菜穂との結婚話を持ちかけられる。満男は困惑する。満男が柴又に帰った後、無断で結婚話を進められていた菜穂は激怒してしまう。 数日後、上京してきた信夫はそのことを満男に告げる。そして、悪い思いをさせて悪かったと言葉少なに去って行く。 一方、とらやには典子が訪ねて来る。しかし、寅次郎は旅から帰ってきていない。そのため、さくらとも挨拶程度で別れるしかないのであった。 そして、寅次郎が柴又に帰ってきた。さくらから典子が寅次郎を訪ねてきた事を知ると、それを聞くや、満男と共に彼女の家を訪れる。娘と幸せそうに微笑んでいる典子を遠目に見て、「これで俺の気は済んだ」と呟き、気持ちの整理がついたと、この恋に終止符を打つのであった。
[編集] キャッチコピー
- 失恋は男の勲章よ。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 車寅次郎:渥美清
- 諏訪さくら:倍賞千恵子
- 宮典子:かたせ梨乃
- 諏訪満男:吉岡秀隆
- 車竜造(おいちゃん):下條正巳
- 車つね(おばちゃん):三崎千恵子
- 諏訪博:前田吟
- 桂梅太郎(タコ社長):太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 印刷工場職員:マキノ佐代子
- 川井菜穂:牧瀬里穂
- 川井信夫:山田雅人
- 宮幸之助:平泉成
- 歌手:小林幸子
[編集] ロケ地
[編集] 記録
- 観客動員:217万6千人
- 興行収入:15億3千万円
- 上映時間:101分
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1〜12作 | 男はつらいよ - 続・男はつらいよ - フーテンの寅 - 新・男はつらいよ - 望郷篇 - 純情篇 - 奮闘篇 - 寅次郎恋歌 - 柴又慕情 - 寅次郎夢枕 - 寅次郎忘れな草 - 私の寅さん |
13〜24作 | 寅次郎恋やつれ - 寅次郎子守唄 - 寅次郎相合い傘 - 葛飾立志篇 - 寅次郎夕焼け小焼け - 寅次郎純情詩集 - 寅次郎と殿様 - 寅次郎頑張れ! - 寅次郎わが道をゆく - 噂の寅次郎 - 翔んでる寅次郎 - 寅次郎春の夢 |
25〜36作 | 寅次郎ハイビスカスの花 - 寅次郎かもめ歌 - 浪花の恋の寅次郎 - 寅次郎紙風船 - 寅次郎あじさいの恋 - 花も嵐も寅次郎 - 旅と女と寅次郎 - 口笛を吹く寅次郎 - 夜霧にむせぶ寅次郎 - 寅次郎真実一路 - 寅次郎恋愛塾 - 柴又より愛をこめて |
37〜48作・特別編 | 幸福の青い鳥 - 知床慕情 - 寅次郎物語 - 寅次郎サラダ記念日 - 寅次郎心の旅路 - ぼくの伯父さん - 寅次郎の休日 - 寅次郎の告白 - 寅次郎の青春 - 寅次郎の縁談 - 拝啓車寅次郎様 - 寅次郎紅の花 - ハイビスカスの花 特別篇 |
関連項目 | 松竹 - 渥美清 - 山田洋次 - 柴又 - 柴又帝釈天 |