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浅草公園六区 - Wikipedia

浅草公園六区

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

映画館が立ち並ぶ浅草六区の歓楽街(昭和12年1月頃)
映画館が立ち並ぶ浅草六区の歓楽街(昭和12年1月頃)

浅草公園六区(あさくさこうえん ろっく)は東京都台東区浅草にある歓楽街。通称浅草六区

目次

[編集] 歴史

1873年(明治6年)の太政官布告により、浅草寺境内が「浅草公園」と命名され、1884年(明治17年)一区から七区までに区画された。この時浅草寺裏の通称・浅草田圃の一部を掘って池を造り、池の西側と東側を築地して街区を造成。これが第六区となり、浅草寺裏手の通称奥山地区から見せ物小屋等が移転し、歓楽街を形成した。

その後、1887年(明治20年)の根岸興行部の常盤座に始まり演劇場、活動写真常設館オペラ常設館などが出来て隆盛を誇り、江川の玉乗り、浅草オペラ、安来節等が注目を浴びた。突き当たりに位置した凌雲閣は通称「十二階」と呼ばれた高層ビルで、その展望台は浅草はおろか東京でも有数の観光名所となったが、関東大震災で崩壊した。

昭和期に入っても「アチャラカ」と呼ばれた荒唐無稽の喜劇が好評を博し、戦後も軽演劇、女剣劇、ストリップおよびその幕間に演じられたコントが注目を浴び、芸能の殿堂・一大拠点として、ここからスターとなった芸能人も数多かった。

1959年浅草寺五重塔再建のためにランドマークであった通称「瓢箪池」が埋め立てられ、跡地に楽天地の遊園地と東急グループの複合娯楽施設「新世界」が立つ。また、奥山から新世界までの間が西参道商店街として整備される。

しかし1960年代に入り、テレビ時代を迎え東京オリンピック以降、新宿渋谷六本木など城南方面に若者の文化が芽生え、浅草公園六区は急激な地盤沈下を迎える。映画館・劇場は悉く閉鎖され、新世界の跡には場外馬券売場 (WINS) が移転して、以降平日は通行人がまばらで週末は競馬目当ての労務者が集中する光景が多くなった。夜間は7時になると人通りも疎らになり、不夜城と詠われた嘗ての殷賑振りとは隔世の感がある。

こうした六区地区の斜陽に歯止めを掛けるべく、地元の「おかみさん会」等の下支え等により次第に復調の兆しを見せ、今日に至っている。

[編集] 主な劇場

戦後の最盛期、昭和30年代の劇場は以下の通り:

  • 浅草東映劇場
東映直営の封切館。十二階の跡地に建設。現在は閉鎖・売却され、跡地にパチンコ店が立地。
  • 浅草東映パラス
東映直営の洋画封切館。東映洋画系。浅草東映劇場内。現在は閉鎖。
  • 浅草東映ホール
東映直営。浅草東映劇場内。名画座、成人映画封切を経てにっかつ封切の「浅草日活」。のち松竹に賃貸して「浅草松竹映画劇場」(三代目)になるが、閉鎖。
  • 浅草新劇場
邦画名画座。中映株式会社経営。東宝・松竹・大映・日活の名作を組み合わせて上映。ただし、その組み合わせ方は一種異様で独特。(チャンバラ映画とヤクザ映画と純愛物、封切終了直後の話題作とB級喜劇とアイドル映画など)。元々は実演劇場で「江川劇場」。戦時中松竹の経営となり「浅草松竹新劇場」と改称。清水金一の実演が売り物だった。その後松竹傍系の中映に移管され、名画座になる。
  • 浅草世界館
中映経営。成人映画上映。元々は大勝館にあったが、浅草新劇場内に移転。
  • 浅草シネマ
中映経営。成人映画上映。浅草新劇場内。もともとはストリップ劇場「浅草座」
  • 浅草中映劇場
中映経営。邦画名画座。浅草中劇会館内。旧大都劇場。
  • 浅草名画座
中映経営。洋画名画座。浅草中劇会館内。
  • 浅草美人座
中映経営。ストリップ劇場。浅草中劇会館裏手。現在は閉鎖。
  • 浅草花月劇場
吉本興業直営。戦前期、「吉本ショウ」を興行。「あきれたぼういず」を売り出す。戦後「浅草グランド劇場」と改称して洋画封切館に転身。その後浅草花月劇場に名前を戻し、軽演劇や女剣劇を上演。1960年代以降は東映作品を中心とした邦画名画座に転換。漫才ブームの最中に閉鎖。当時吉本唯一の東京の事業所であったが、吉本側ではすでに浅草は終わった場所として見限っていたため、漫才ブーム後躍進した吉本の東京の拠点には成り得なかった。現在はJRAWINS別館。
  • 浅草アンコール劇場
もともとは浅草公園劇場の名前で実演を上演。軽演劇やストリップ、女剣劇と興行形態を転々とし、この名前で名画座となった後廃座。パチンコ店に転換した。松竹経営。
東宝の泰豊吉社長にストリップショウの有望性を説かれた東洋興業の松倉宇七が開業。戦後の浅草の中心的存在となり、特にストリップは東洋興業と中映が鎬を削って発展させた。ロック座には踊り子(ストリッパー)の他有能なコメディアンが数多く在籍して隆盛を誇っていたが、ストリップを取り巻く環境が変化し、関西発祥の猥雑な興行形態が主体となるにつれ、東洋興業はストリップ興行からの撤退を決意。人気ストリッパーの東八千代(斎藤智恵子)と歩興行の契約を結び運営一切を委譲。まもなく正式に売却し、斎藤の手により改築され内装・興行形態も一新。関西系の猥雑な内容を一切行わず、レビュー形式の舞踊を主体とした興行形態がロック座のスタイルとして確立し、ロック座チェーンの旗艦劇場として現在に至る。
  • 浅草東宝劇場
東京楽天地経営。東宝封切館であったが、深夜興行には独特のプログラム(クレージーキャッツ特集・ゴジラ特集など)を組み、映画ファンに好評を得ていた。元々は浅草楽天地の遊戯施設があった箇所。2006年閉鎖。これで浅草公園六区から封切館が消滅。
  • 浅草宝塚劇場
東京楽天地経営。東宝系の映画館であるが、実演の興行も行われた。現在は楽天地ボウル。
  • 浅草大勝館
大衆演劇を上演する劇場。浅草ロック座の斉藤会長が経営。もともとは洋画封切館で、ロードショー劇場。松竹が長年経営していたが斜陽により1971年に閉鎖。中映の手により、「浅草中映ボウル」に改築され、中にキャピタル、ロマン、アポロの各映画館が設けられたが、いずれも成人映画を上映していた。1980年代半ばに閉鎖され、長年空家状態のまま放置されていた。大衆演劇に転向してからは、新しい浅草六区の核的存在となりつつある。2007年9月に老朽化に伴う再改築のため一時休業となるが、再開後は名実共に大衆演劇の殿堂に相応しい劇場が誕生する予定。
  • 浅草カジノ座
中映経営。ストリップ劇場。浅草大勝館の地下にあった。
東洋興業経営。ストリップ劇場。渥美清萩本欽一ビートたけしを輩出し、劇作家としても井上ひさしを世に送り出した伝説の劇場。東洋興業撤退後はビートたけしの師匠・深見千三郎(久保七十二)が歩興行の契約を結び、一切を執り仕切っていた。深見の死後も興行を続けていたがストリップの退潮に抗しきれず、遂にストリップ興行を打ち切り舞台を改装。「浅草フランス座演芸場・浅草東洋館」と改称して、漫才協会、東京演芸協会、ボーイズ・バラエティ協会といった各色物団体や落語協会(正月上席)と提携した演芸興行を行い現在に至る。なお、月末には独自に若手芸人主体のお笑いライブを開催している。
  • 浅草東洋劇場
東洋興業経営。軽演劇を上演。1964年寄席に転身。現在の浅草演芸ホール
  • 浅草千代田館
映画館。かつては生駒雷遊が専属弁士となった時期があった。のち、大蔵貢が買収、新東宝の封切館となった時期もあった。最晩年は成人映画を上映していた。壁面の楽譜を象ったネオンが独特。現在は閉鎖。
  • 浅草電氣館
1903年、日本初の映画封切館として誕生。のち、松竹の経営となり戦前は新興キネマ、戦後は大映の封切館となった。大映倒産後は名画座となるが、1976年閉鎖。跡地は「蚤の市」として長らく更地となっていたが、現在は飲食・住宅の複合施設の電気館ビル。
  • 浅草日活劇場
浅草富士館。日活直営。1800人収容の大勝館・帝国館と並ぶ大規模劇場。閉鎖され、新世界が一時期移転してキャバレーとなっていた。その後取り壊され、現在は食堂ビル。
  • 浅草松竹映画劇場(初代)
浅草帝国館。松竹直営。浅草を代表する映画館の一つであったが、1983年に閉鎖された。現在は浅草ROX。
松竹直営。軽演劇と色物専門の演芸場。現在は浅草ROX。
  • 浅草松竹座
松竹少女歌劇の本拠地。1960年代初頭には早くも閉鎖されボウリング場に転向。その後丸石家具センターに賃貸されたが閉鎖。現在は浅草ROX。
  • 浅草東京クラブ
松竹直営の名画座。かつては隣接する金竜館・常盤座と三館共通制を採っていた。後ろから見ると芋虫の様な独特の形態をした建物であった。現在は閉鎖され、ROX3等。
  • 浅草ロキシー映画劇場
浅草金竜館。松竹直営。洋画を上映。戦前及び終戦直後は松竹洋画系の基幹劇場であり、松竹の洋画関連部署である「ロキシー興行社」が同劇場内に所在していた。のち洋画の成人映画封切となるが、1983年「浅草松竹映画劇場」(二代目)と改称し、松竹封切館になる。現在は閉鎖され、ROX3等。
  • 浅草常盤座
根岸興行部が建てた公園六区最初の劇場。根岸歌劇団(浅草オペラ)の本拠だった時代も。松竹系の常盤興行を経て松竹直営となり、戦後森川信一座の軽演劇等で好評を博す。1965年中映に移管され、「浅草トキワ座」と改称。邦画名画座になるが不採算のため閉鎖。空家状態が続いたのを、おかみさん会が松竹から賃借して演劇の定期興行を再開した。しかし、再開発に伴い松竹が権利をTOCに譲渡し、閉鎖された。現在は浅草ROX3。
  • 浅草日本館
松竹直営。邦画の下番線館であったが、末期は松竹(東活)系成人映画の封切館であった。閉鎖され、現在は浅草ROX2G(TSUTAYAが入居)。
  • 浅草木馬館
根岸興行部経営。安来節の定席だったが、現在は大衆演劇の劇場に転換[1]
  • 浅草木馬亭
根岸興行部経営。浪曲定席。色物などの演芸も行う。現在は橋達也主宰の軽演劇「浅草21世紀」の定期公演も行う。NHK教育テレビ「日本の話芸」や日本テレビダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の収録が行われたこともある[1]

[編集] その他

[編集] 交通

[編集] 関連項目


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