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北斗星 (列車) - Wikipedia

北斗星 (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

北斗星2号(2006年3月18日、東北本線東大宮 - 蓮田間で撮影)
北斗星2号(2006年3月18日、東北本線東大宮 - 蓮田間で撮影)

北斗星(ほくとせい)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)と東日本旅客鉄道(JR東日本)が上野駅 - 札幌駅間を東北本線いわて銀河鉄道線青い森鉄道線・東北本線・津軽海峡線津軽線海峡線江差線)・函館本線室蘭本線千歳線を経由して運転する寝台特急列車の名称である。

本項ではJR東日本が同じ区間を運転する臨時寝台特急列車「エルム」についても記載する。

目次

[編集] 運行概況

[編集] 運転形態

函館駅を発車する北斗星3号(2006年11月2日撮影)
函館駅を発車する北斗星3号(2006年11月2日撮影)
臨時列車「エルム」(2000年5月5日、上野駅で撮影)
臨時列車「エルム」(2000年5月5日、上野駅で撮影)

上野 - 札幌間を上記の経路で1日1往復運行され、所要時間は約16時間である。1988年の運行開始時点では3往復の設定があったが、運転本数は漸次減少し、2008年3月15日より現行の1往復運転となった。他に同一経路で運行される列車として「カシオペア」がある。

この他、臨時列車として現在までに以下の列車が運行されている。

  • 「エルム」
    • 開放式B寝台のみで編成され、年末年始や旧盆などの多客期に運転される。
  • 「北斗星81・82号」
    • 個室寝台を連結して編成される。
  • 「北斗星91・92号」
    • 個室寝台を連結して編成される。「エルム」のダイヤを利用する。
  • 「北斗星小樽号」
    • 「北斗星1号」(当時)を小樽駅まで延長運転する。

[編集] 停車駅

上野駅 - 大宮駅 - 宇都宮駅 - 郡山駅 - 福島駅 - 仙台駅 - 函館駅 - 森駅 - 八雲駅 - 長万部駅 - 洞爺駅 - 伊達紋別駅 - 東室蘭駅 - 登別駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 札幌駅

※雪などで大幅にダイヤが乱れ運転が途中で打ち切られた場合、翌日の列車が途中駅始発(例:仙台駅、函館駅など)となる場合がある。

[編集] 担当車掌区

  • 上野 - 蟹田間:青森運輸区
    • 上野車掌区・青森運輸区が月交替で担当した「カシオペア」を上野車掌区の通年担当とし、「北斗星」は青森運輸区の通年担当とした。

[編集] 牽引機関車

  • EF81形電気機関車:上野 - 青森信号場間で使用する。JR東日本田端運転所所属の車両のうち、黒磯駅構内を走行中に交直車上切替を行えるように改造されたものが限定的に使用される。改造の施されたものは「北斗星」カラーと称される流星マークを付けた車両のほか、レインボーカラーの95号機、「カシオペア」塗装機の3両も該当する。
  • ED79形電気機関車:青森信号場 - 函館間で使用する。函館運輸所青函派出所(旧・青函運転所)所属。
  • DD51形ディーゼル機関車:函館 - 札幌間で使用する。函館本線の七飯 - 森間で大沼公園経由の勾配の大きい路線を走行するため、定期列車としては唯一の常時重連運転を行う。函館運輸所に所属する、青を基調とし流星マークを付けた「JR北海道色」または、「北斗星色」と称される塗装の車両が使用される。
:ED79形電気機関車(函館駅)
:DD51形ディーゼル機関車(札幌駅)
(いずれも2006年11月撮影)

[編集] 編成

24系25形客車の12両編成を使用する。1 - 6号車にJR北海道所属車を、7 - 11号車にJR東日本所属車を組成する。1号車が函館方、12号車が上野・札幌方の編成端である。函館 - 札幌間は進行方向が変わり、逆編成となる。1号車のB寝台は「Bコンパート」と称する簡易個室化が可能な設備を有し、4人(一区画)使用時はガラス戸で仕切り個室として利用できる。

ミニバーセット
ミニバーセット
記号凡例
SA1 = A寝台1人用個室「ロイヤル」
A2 = A寝台2人用個室「ツインデラックス」
B = 開放式B寝台(東日本車) Bコンパート(北海道車)
B2 = 2人用個室B寝台「デュエット」
B1 = 1人用個室B寝台「ソロ」
×=禁煙  ○=喫煙


函館← →上野・札幌
号車 1× 2○ 3○ 4○ 5○ 6○ 7○ 8○ 9○ 10○ 11○  
設備 B B2 B2 B2 B1 B1+ロビー 食堂 A2 SA1+B1 SA1+B2 B

JR北海道所属の個室寝台車(2 - 6号車)は車体側面にエンブレムがつく。これは1988年10月に来日し、欧州で人気のあるオリエント急行に使用されているワゴン・リ客車の「向かい獅子」のマークを参考にデザイン化したものと考えられている。


[編集] 食堂車グランシャリオ

北斗星の食堂車「グランシャリオ」JR北海道所属車の室内
北斗星の食堂車「グランシャリオ」JR北海道所属車の室内

本列車群は食堂車を連結する国内唯一の定期列車であり、食堂車の夕食サービスを初めて時間指定制とした列車でもある。「グランシャリオ」と命名された食堂車が7号車に組成され、フランス料理や和食、軽食類などが用意される。

臨時列車の「エルム」には、食堂車は連結されない。

  • ディナータイム
    • フランス料理コースか懐石御膳のいずれかを選択できる。事前の予約制で、乗車日3日前までにみどりの窓口で食事券を購入する。
    • A寝台の利用者は、懐石御膳のルームサービスができる。
  • パブタイム
    • ディナータイム終了後の軽食類を主とする営業時間帯で、ビーフシチューハンバーグなどのアラカルト、おつまみデザートアルコール類などを用意する。予約は不要で、すべての乗客が利用できる。
      • パブタイムはディナータイム終了後の案内放送から開始され、ラストオーダーは22時30分、営業終了は23時00分である。
  • モーニングタイム
    • 6時30分より朝食メニューが用意される。和食と洋食のいずれから選べる。食事内容はJR北海道車とJR東日本車で異なる。
  • その他
    • ロビーカー等に設置されているシャワー室の利用カードや、シャワーセット・関連商品などを販売する。

[編集] 沿革

  • 1988年(昭和63年)3月13日 青函トンネル開通。寝台特急「北斗星」運転開始。従来より上野 - 青森駅間(東北本線・常磐線経由)運転であった寝台特急「ゆうづる」2往復を東北本線経由に変更し、札幌駅まで延長する形態で運転を開始した。
    • 当時の各列車の受け持ちは以下の通り。「3 - 6号」は青森駅構内に入らず、青森信号場経由で運行した。
    • 1・2号:定期列車(列車番号 1・2列車):北海道旅客鉄道
    • 3・4号:臨時列車(列車番号 6003・6004列車):東日本旅客鉄道
    • 5・6号:定期列車(列車番号 5・6列車):東日本旅客鉄道
      • 従来の青函航路接続のダイヤの代替として以下の運用もなされた。
      • 青森駅・八戸駅に停車するダイヤを設定した。盛岡駅 - 青森駅間は八戸運転所(現八戸運輸区)が運転を担当しており、運転士交替のための運転停車を兼ねたもので、青森駅に上り「2号」「4号」、八戸駅に下り「1号」上り「2号」が停車した。
      • 函館駅 - 札幌駅間は特急「北斗」のダイヤを踏襲したため、当該区間のみB寝台で「ヒルネ」と称される座席利用を行った。
  • 1989年3月11日 「3・4号」を臨時列車から定期列車へ変更。需要の増大に対応し、個室寝台車を連結のうえJR北海道・東日本共同運行の定期列車とした。また、全列車が青森信号場経由から青森駅構内経由に変更された。
    • 「3・4号」定期化に伴い、個室寝台車を連結しないB寝台のみで編成された臨時列車には「エルム[1]の名称が与えられた。
  • 1990年 「3号」以外の「ヒルネ」利用を廃止した。
  • 1991年1月10日 夢空間編成を連結した「北斗星トマムスキー号」を横浜駅 - トマム駅間で運転。同編成を最初に営業運転した列車となる。
  • 1991年3月16日 編成全体の方向を転換し、電源車を青森方に組成する。号車番号は逆順に変更され、食堂車は7号車、個室寝台車は8 - 10号車とされた。「1・2」号編成の個室増強が開始され、1人用個室B寝台「ソロ」車両を7月から、2人用個室B寝台「デュエット」車両を10月から使用開始した。
  • 1990年代前半 上り「4号」の青森駅停車、および「1・2号」の八戸駅停車を廃止し、運転停車のみの扱いに変更。
  • 1995年 「3・4号」を毎日運転の季節列車(6003・6004列車)に振り替える。
  • 1997年3月22日 「1・2号」の1・11号車(B寝台)を簡易個室「Bコンパート」へ改装し、同列車は完全個室化編成となる。
  • 1999年7月16日カシオペア」号運転開始。「北斗星」は「3・4号」(6003・6004列車)を臨時「81・82号」(8005・8006列車)へ振り替え。従来の「5・6号」が「3・4号」へ変更となり、函館 - 札幌間の「ヒルネ」扱いは3号から1号に変更された。
  • 2000年3月31日 有珠山噴火災害による室蘭本線不通に伴い、経路ならびに運転区間変更。
  • 2002年12月1日 東北本線の盛岡 - 八戸間がIGRいわて銀河鉄道青い森鉄道に移管され、同区間を経由する運賃・料金を一部変更。
    • 同区間を通過する特急列車の特急料金を引き下げ、乗車券は連絡運輸扱いでJR管内については通算をする形とした。[2]
  • 2004年 個室寝台の需要に鑑み、「3・4号」編成の3両を、閑散期に限り開放式B寝台車から個室寝台車へ差替え。
  • 2006年3月18日 「北斗星」全列車を青森駅経由から青森信号場(奥羽貨物線)経由に変更。青森駅での客扱いがなくなる。運転士・車掌の交替は蟹田駅に変更となる。青森駅構内の線路工事を夜間に集中的に行うための措置で、上野 - 青森間の編成方向が逆転し、青森方が1号車となる。
  • 2007年 夏季の「エルム」設定がなくなる。代わりに同ダイヤで「北斗星91・92号」を運転。但し「91・92号」運転日は「81・82号」を運休する。
  • 2008年3月15日 定期運転1往復(1・4号)を廃止して1往復体制となる。盛岡・一ノ関での客扱い停車がなくなる。列車編成はJR東日本・JR北海道の車両の混成となった。青函トンネルを含む津軽海峡線区間での北海道新幹線工事時間帯確保のためで、同時に「ヒルネ」取扱をすべて終了した。

[編集] 列車愛称の由来

「エルム」ヘッドマーク
「エルム」ヘッドマーク
「夢空間北斗星」テールマーク
「夢空間北斗星」テールマーク
  • 北斗星
    • 北斗七星北極星による。
    • 一般公募で募られた候補は「北海」が1位だったが、結局該当なしとされた。公募では108位に「北斗星」が挙げられている。
  • エルム
    • 北海道に生える樹木の一つであるニレ科の樹の総称である「エルム」より。


[編集] 脚注

  1. ^ 「エルム」の名称は1951年から1960年まで、室蘭駅 - 札幌駅間を運行された準急列車として、また、1970年から1971年まで、現在の「北斗」・「スーパー北斗」の補完列車として函館駅 - 札幌駅間を運行した特急列車の名称として使用されたものである。
  2. ^ これはIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道両鉄道管内では特急料金・乗車券を各々単純加算することから、運賃・料金の急激な変化を回避したためであるが、これにより「北斗星」・「カシオペア」の主な利用者とされる首都・東北圏 - 北海道間を通しで利用する乗客に影響が出ることとなった。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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