セルフカバー
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セルフカバー(self-cover)とは、ポピュラー音楽の分野で使われる言葉で、主にシンガーソングライターが過去に他人へ提供した曲を自身の演奏、歌唱によって発表するもの、また広い意味では過去に自分で製作した曲をリアレンジして自らの演奏と歌唱によって発表することである。
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[編集] 解説
日本のシンガー・ソングライターによるセルフカバーで特に有名なものでは、SMAPがヒットさせた「世界に一つだけの花」を後に同曲のプロデュースを手掛けた槇原敬之が自身の歌唱で発表したもの、イギリスの人気グループ・ブルーが歌った「THE GIFT」を作詞・作曲者した槇原敬之自身が「僕が一番欲しかったもの」として発表したものや、また松本英子の「Squall」を、作詞・作曲者の福山雅治がリアレンジして自身で発表したものなどが挙げられる。
近年では、作詞家のみ、作曲家のみといった者が楽曲提供を行うことが減ってきたために、このセルフカバーも増える傾向にある。有名シンガーソングライターが曲を書いたということでのヒットと、製作者自身の歌唱によるヒットという二重の利益が見込める点でも需要がさらに高くなっているといえる。
また、近年ではあまり見かけないもののサザンオールスターズや大滝詠一のようにライブのみで自身の提供曲を歌う場合もある。ただし、この場合はソフトウェア化の希望が殺到するのでアーティストの意向とは別に大半が後に音源化されてしまうという状況も生んでいる。このことについてサザンの桑田佳祐は自身の作った「恋人も濡れる街角」のセルフカバーのソフト化の希望が多いということで、「(中村)雅俊のライブ行けよ〜!」とラジオでコメントしている。
テレビ番組でセルフカバーの定義を説明する際、過去の自分のヒット曲を再び歌い直すことと紹介されることがあるが、それは正確には「リメイク」であり、本来のセルフカバーの意味は提供曲を自分で歌うことであるが、Mr.Childrenの桜井和寿が自身の楽曲をBank Bandとして再演する等の例が増えてきたために定義が次第に曖昧になりつつある。
[編集] 日本の代表的なセルフカバー
- 伊東真由美
- 大江千里
- ソナチネ 松本伊代
- 10 years 渡辺美里
- Pearl-White Eve 松田聖子
- クリスマス クリスマス やまだかつてないWink
- Cool 郷ひろみ
- ちいさなBreakin' my heart 渡辺満里奈
- 太陽がいっぱい 光GENJI
- 大沢誉志幸
- おまえにチェックイン/晴れのちBLUE BOY 沢田研二
- ガラス越しに消えた夏 鈴木雅之
- 大野愛果
- 明日もし君が壊れても WANDS(作曲を担当・大野愛果版のタイトルは「fall apart again」)
- 織田哲郎
- 世界中の誰よりきっと 中山美穂&WANDS
- このまま君だけを奪い去りたい/翼を広げて DEEN
- 愛を語るより口づけをかわそう WANDS
- チョット 大黒摩季
- 咲き誇れ愛しさよ Wink
- 揺れる想い ZARD
- 辛島美登里
- 瞳・元気/Keep On "Keeping On" 永井真理子(『瞳・元気』の辛島美登里版タイトルは「瞳・元気〜都会のひまわり〜」)
- 頑張って、頑張って… 林原めぐみ
- 桑田佳祐(サザンオールスターズ)
- 夏をあきらめて 研ナオコ
- あみだババアの歌 明石家さんま(メドレーのみ)
- 恋人も濡れる街角 中村雅俊(上記のライブのみの例)
- 小松未歩
- 君がいない夏/手ごたえのない愛/君さえいれば DEEN
- 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう WANDS
- この街で君と暮らしたい/大空へ/渇いた叫び FIELD OF VIEW
- 青い空に出逢えた 辻尾有紗
- 不機嫌になる私 岩田さゆり
- ZARD
- 瞳そらさないで/Teenage dream/翼を広げて DEEN
- あなたと共に生きてゆく テレサ・テン
- 君がいたから/突然/Last Good-bye/DAN DAN 心魅かれてく FIELD OF VIEW
- 明日もし君が壊れても WANDS(作詞を担当)
- 中島みゆき
- 黄砂に吹かれて/慟哭/群衆/雪・月・花/裸爪のライオン/Clāvis -鍵- 工藤静香
- 春なのに/最愛/カム・フラージュ/ロンリー・カナリア 柏原芳恵
- しあわせ芝居 桜田淳子
- この空を飛べたら 加藤登紀子
- あばよ/かもめはかもめ/ひとりぽっちで踊らせて/みにくいあひるの子 研ナオコ
- くらやみ乙女 佐田玲子
- 永遠の嘘をついてくれ 吉田拓郎
- You don't know 石嶺聡子
- 宙船(そらふね)/本日、未熟者 TOKIO
- 思い出だけではつらすぎる 柴咲コウ
- あのさよならにさよならを 華原朋美
- すずめ 増田けい子
- 風の姿 中江有里
- 儀式(セレモニー) 松本典子
- 未完成/おとぎばなし 薬師丸ひろ子
- 肩幅の未来 長山洋子
- 愛される花 愛されぬ花 三田寛子
- ただ・愛のためにだけ 岩崎宏美
- 中西圭三
- Choo Choo TRAIN ZOO
- Timing(タイミング) ブラックビスケッツ
- 冷たいキス ICE BOX(吉岡忍・中西圭三・伊秩弘将・池田聡)
- hide
- MISCAST (後期はX JAPANでもTOSHIではなくhideが歌唱)/Celebration X
- 南佳孝
- MIDNIGHT LOVE CALL 石川セリ
- 山下達郎
- HAPPY HAPPY GREETING/KISSからはじまるミステリー KinKi Kids
- 恋のブギ・ウギ・トレイン/シャンプー アン・ルイス
- Misty Mauve/おやすみロージー -ANGEL BABYへのオマージュ- 鈴木雅之
- 横山輝一
- YA-YA-YA ZOO
- WANDS
- このまま君だけを奪い去りたい DEEN
- 君が欲しくてたまらない ZYYG
- 素敵にシンデレラ・コンプレックス 郷ひろみ→鈴木康博
- ギャランドゥ 西城秀樹→もんた&ブラザーズ (作詞・作曲もんたよしのり。もんた&ブラザーズ版はベスト・アルバムに収録)
- BEAT STREET 西城秀樹→角松敏生
- You're My Only Shinin' Star 中山美穂→角松敏生(英語バージョン)
- ROSÉCOLOR 中山美穂→Cindy
- 君色思い SMAP→林田健司
- たいせつ SMAP→コモリタミノル
- 夜空ノムコウ SMAP→スガシカオ、川村結花
- リンゴジュース SMAP→スガシカオ
- まひるの星 森高千里→スガシカオ(「まひるの星」のスガシカオ版は「ユビキリ」のタイトルで歌詞違い)
- コイシイヒト 松たか子→川村結花
- 白いパラソル 松田聖子→財津和夫
- My Gift to You CHEMISTRY→Skoop On Somebody
- なごり雪 イルカ→伊勢正三
- 春 沢田聖子→イルカ
- 夢ひとり 美空ひばり→イルカ
- 桜色舞うころ 中島美嘉→川江美奈子
- STARS 中島美嘉→川口大輔
- ラブラブ♥マンハッタン TOKIO→グループ魂(作詞・作曲をメンバーが担当)
- Yellow Yellow Happy ポケットビスケッツ→爆風スランプ(作曲・編曲をメンバーのパッパラー河合が担当)
- 少女ロボット ともさかりえ→椎名林檎(ライブのみ。後に東京事変として音源も配信)
- カラスの女房 中澤裕子→堀内孝雄
- 津軽平野 千昌夫→吉幾三
- 私らしく 桑島法子→松浦有希
- One Drop 野川さくら→伊藤真澄
- ボヘミアン 葛城ユキ→CHAGE and ASKA
- 空蝉(うつぜみ) 中村雅俊→一青窈
- ハナミズキ 一青窈→マシコタツロウ
- 木枯しに抱かれて 小泉今日子→THE ALFEE(THE ALFEE版のタイトルは「木枯らしに抱かれて…」)
- 優しい雨 小泉今日子→鈴木祥子(作詞:小泉今日子 作曲:鈴木祥子)
- タイニー・メモリー 柏原芳恵→松山千春
- ZOO 川村かおり→ECHOES
- 空に近い週末 今井美樹→柿原朱美
- あなたの海になりたい 真璃子→山口岩男
- DESTINATION バブルガム・ブラザーズ→伊藤銀次
- 飛び方を忘れた小さな鳥 MISIA→鈴木雄大
- 故郷 コロッケ→所ジョージ
- 越冬つばめ 森昌子→円広志(本名の篠原義彦名義で作曲のみ担当)
- 名前のない空を見上げて MISIA→玉置浩二(作曲のみ担当)
- 花 中孝介→森山直太朗(作曲のみだが、作詞担当の御徒町凧は森山の作詞も手がけている。)
[編集] 世界の有名なセルフカバー
- Say What You Will SMAP→エリック・クラプトン
- Stay with me ピーター・セテラ→ボビー・コールドウェル
- Heart of Mine ボズ・スキャッグス→ボビー・コールドウェル
- I Call Your Name ビリー・J・クレイマー&ダコタス→ビートルズ
- the Cross -愛の十字架- (洋題 Crying In The Shadows) 本田美奈子→ゲイリー・ムーア
- (You Make Me Feel Like)A Natural Woman アレサ・フランクリン→キャロル・キング