ふじかわ (列車)
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ふじかわは、東海旅客鉄道(JR東海)が静岡駅~甲府駅間を東海道本線・身延線経由で運行している特急列車の愛称である。ワイドビュー車両を使うという意味で市販の時刻表には「(ワイドビュー)ふじかわ」と記載されている。
なお、本項では静岡駅~身延駅間で運行される臨時特急「しだれ桜」についても扱うこととする。
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[編集] 運行概況
「ふじかわ」は定期列車7往復が運行される。
静岡駅では東海道新幹線に接続するため名阪方面からの新幹線接続列車の役割を兼ねている。一方甲府駅でも中央本線の特急列車に接続しているため南関東方面から身延線沿線のアクセス列車の一つとしての役割もある。また上り一番列車の「ふじかわ2号」および下り最終列車の「ふじかわ13号」は静岡駅・清水駅と富士駅・富士宮駅間の、上り最終列車の「ふじかわ14号」は甲府駅から鰍沢口駅以南への中・遠距離通勤通学者の帰宅列車としてもよく利用されている。さらに昼間も身延線内では普通列車の間隔が開くことと30km以内の自由席特急料金が310円と往年の急行料金より安くなっていることからこの時間帯は短区間利用者が多い。
車内販売は実施されていない(長時間停車もないため、食べ物や飲み物などは乗車前に購入する必要がある)。
- 列車番号は400M+号数である。
「しだれ桜」は春の観桜シーズン、ここでは身延駅最寄の身延山久遠寺の枝垂桜開花の時期に静岡駅~身延駅間で1日1往復運行される臨時特急である。臨時列車として列車名が区別されているが、停車駅を含め、「ふじかわ」と変わりはない。
2004年には、「さわやかウォーキング」開催に併せて鰍沢口駅まで延長運転が行われた。
[編集] 使用車両
- JR東海373系電車3両編成で運転。
←静岡・甲府 | 富士→ | |
1 指定 |
2 自由 |
3 自由 |
普通車のみで、グリーン車は連結されていない。かつては2号車のみ喫煙車であったが現在は全車禁煙車である。1号車は全席指定席。2号車・3号車は自由席であるが、車端部の大型テーブル付セミコンパートメント席は指定席となっている。また2号車は繁忙期や修学旅行などの団体予約が入ると全席指定席となる。なお、富士駅でスイッチバックをする都合上、身延線内での進行方向と座席の向きを合せるため、東海道本線内(特に下り甲府行の場合)では座席は進行方向と逆に設定している。
[編集] 停車駅
静岡駅 - 清水駅 - 富士駅 - 富士宮駅 - 内船駅 - 身延駅 - 下部温泉駅 - 甲斐岩間駅 - 鰍沢口駅 - 市川大門駅 - 東花輪駅 - 南甲府駅 - 甲府駅
沿線でJR主催の「さわやかウォーキング」や花火大会などが開催される際には、金手駅や善光寺駅に臨時停車することもある。また甲斐上野駅や芝川駅に停車実績がある。
[編集] 身延線優等列車沿革
(かつて新宿~身延間を走行していた急行「みのぶ」についてはあずさを参照)
[編集] 準急「富士川」時代
- 1964年(昭和39年)3月20日 - 1956年(昭和31年)3月20日より運転されていた快速列車を格上げする形で準急列車「富士川」(漢字表記)が静岡運転所の80系300番台4両編成で運行開始。富士駅~甲府駅間を2往復した。
- 1964年(昭和39年)10月1日 - 東海道新幹線開業に伴い、1往復が静岡駅に延長される。静岡発着列車は列車番号を東海道本線基準で設定したので、身延線内では同一方向の列車で列車番号が奇数と偶数の2種類となった。
- 1965年(昭和40年)10月1日 - 列車番号を2往復とも甲府行偶数、静岡方面行奇数に統一。
[編集] 急行化と165系導入
- 1966年(昭和41年)3月5日 - 国鉄旅客運賃制度改定により、100キロ以上の区間を走る準急列車は無条件に急行列車化されることとなり、静岡駅~甲府駅間運転の1往復が急行に格上げ。
- もう1往復の富士駅~甲府駅間運転の列車は準急のまま存続し、「白糸」へと改称。この際、身延線内において、「急行」より「準急」の方が停車駅が少なく、所要時間も短いという逆転現象が発生した。
- 1968年(昭和43年)10月1日 - 準急列車が全廃されることとなり、「白糸」は静岡駅まで運転区間延長のうえで急行「富士川」に統合され、その結果、甲府駅~静岡駅間を2往復する体制になった。また、上り2号は島田駅まで普通列車として延長運転される。
- 1969年(昭和44年)5月 - 電動車1両を増結して5両編成となる。
- 1969年(昭和44年)9月28日 - 身延線富士駅~入山瀬駅間のルートが変更され、富士駅でスイッチバックすることになった。
- 1972年(昭和47年)3月15日 - 山陽新幹線の新大阪駅~岡山駅開業により、山陽本線の急行列車廃止で余剰となった165系が転用されて80系を置き換え、1号車を指定席車とする。同時に車両の受持ちを大垣電車区へと変更。また、臨時列車「富士川51号」1往復が設定される。
- 1972年(昭和47年)10月2日 - 臨時列車の定期化および増発により5往復に増強、うち1往復は三島駅発着となる。また、上り5号は車両の大垣電車区への入庫を兼ねて浜松駅まで普通列車として延長運転する。
- 1982年(昭和57年)11月15日 - 2号車に連結のサハ153形200番台がクハ165形に差替えられる。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 乗客の減少に伴い、2号車のクハ165形を外して4両編成に変更される。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 車両の受持ちが再び静岡運転所に変更される。
- 1994年(平成6年)12月3日 - 三島駅発着便が静岡駅発着に変更され、5往復すべてが静岡駅発着となる。
- 1995年(平成7年)1月9日 - JR東海から、同年10月より急行「富士川」を特急に格上げし、車両を置き換えることが公表される。
[編集] 特急「ふじかわ」として
- 1995年(平成7年)10月1日 - 特急に格上げされ平仮名表記の「ふじかわ」となり、新型の373系に置き換えられる。定期6往復、不定期1往復の体制でスタートした。
- 1996年(平成8年)4月20日 - 休日に1往復の新居町駅への臨時延長運転を開始。
- 1998年(平成10年)4月4日・5日 - 身延線全通70周年のイベントの一環で、急行「富士川」をリバイバル運転。車両は神領電車区165系3両編成を使用し、80系時代を模したヘッドマークも装着された。
- 1998年(平成10年)7月10日 - 不定期の1往復が定期化され、定期列車7往復体制が確立。
- 2002年(平成14年)4月 - 臨時特急「しだれ桜」運転開始。
- 2003年(平成15年)10月1日 - 東海道新幹線品川駅開業によるダイヤ改正に伴い、運転間隔のパターン化を実施。静岡駅発の一部列車を除き、完全2時間間隔での運転となる。
- 2004年(平成16年)3月 - 「さわやかウォーキング」実施に併せ、臨時特急「しだれ桜」を静岡駅~鰍沢口駅で運転。
- 2006年(平成18年)3月18日 - ダイヤ改正から、一部列車が通過していた清水駅、内船駅、甲斐岩間駅、鰍沢口駅、市川大門駅にすべての列車が停車するようになる。
- 2007年(平成19年)3月18日 - 健康増進法第25条により、全車両禁煙となる。
- 2008年(平成20年)3月30日 - 身延線全通80周年のイベントの一環で、臨時特急「80周年みのぶ号」を373系で運転。