Sports Graphic Number
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Sports Graphic Number(スポーツ グラフィック ナンバー)は、文藝春秋が発行している総合スポーツ雑誌。隔週木曜日発行。 部数は197,000部
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[編集] 概要
1980年4月に創刊。アメリカのスポーツ週刊誌「スポーツ・イラストレイテッド」のようなスポーツ全般を扱う雑誌として発刊され、記事や写真の提供を受ける提携誌でもあった。創刊号に掲載された『江夏の21球』(山際淳司)が話題を呼んだことでも知られる。
しかし、特定のファン層を購買層とするスポーツ専門誌や、ゴシップ記事やグラビアページも掲載する男性誌のように発行部数が確保出来ず、創刊以来10年は赤字続きで文藝春秋でなければ廃刊していたといわれている。
現在は、硬派なスポーツ誌としての地位を確立し、「ナンバープラス」などの兄弟誌の発刊やインターネットによる記事配信、Numberブランドの商品を販売するなど幅広い事業展開を模索し、文藝春秋の出版物の中でもトップクラスの稼ぎ頭に成長した。文藝春秋社の新入社員の配属希望が、大黒柱の「文藝春秋」誌を抜いて最も多いといわれている。 一頃は47万部にまで達したこともあったが、現在は10万部台と落ち着いている。
[編集] 特徴
かつては月2回発行であったが、現在は隔週誌になっている。 隔週誌であるため、記事の速報性の面ではスポーツ新聞や週刊誌より確実に劣る。そのため、誌面構成はスポーツライターによる特集記事、インタビュー記事、対談記事などが中心となっている。
沢木耕太郎や乙武洋匡などの著名なライターの特集記事が掲載されることもあり、文藝春秋発行のスポーツ誌の品位を保つという面で、他誌とは一線を画している。
[編集] 特集記事
毎号、特集記事を組んでおり、巻末にコラム記事等が書かれている。 特集記事はその時期で世間の話題が高いスポーツを特集しており、様々なジャンルのスポーツが特集される。 発刊当初の1980年代は、日本のプロ野球・競馬・ラグビー・格闘技が特集されることが多く、1980年代後半にはF1ブームの影響もあり、F1が多く特集されるようになった。1990年代に入ると、NBAやMLB等も特集されるようになり、Jリーグ発足によりサッカー特集記事が多くなる。日本のプロ野球においては、阪神タイガース、ヤクルトスワローズ、西武ライオンズ等、特定の球団の特集が組まれたこともある。かつては長嶋茂雄・中畑清・石原裕次郎・広岡達郎等、特定の個人を特集することもあり、現在の硬派のスポーツ雑誌としてのイメージとは程遠い軟派な特集記事もあった。
[編集] ナンバーMVP賞
毎年スポーツ界で最も印象を与えた選手等に対して、ナンバーMVP賞を選んでいる。
回 | 年 | 受賞者 | ジャンル | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 1982年 | 広岡達朗 | 野球 | 西武ライオンズ初の日本一 |
2 | 1983年 | 青木功 | ゴルフ | 日本人初の米国PGAツアー優勝 |
3 | 1984年 | 山下泰裕 | 柔道 | ロサンゼルスオリンピックで金メダル |
4 | 1985年 | 吉田義男 | 野球 | 阪神タイガース初の日本一 |
5 | 1986年 | 清原和博 | 野球 | 西武へ入団し、新人から大活躍 |
6 | 1987年 | 岡本綾子 | ゴルフ | |
7 | 1988年 | 千代の富士貢 | 相撲 | |
8 | 1989年 | ラグビー日本代表 | ラグビー | スコットランド代表を破る |
9 | 1990年 | 野茂英雄 | 野球 | 近鉄へ入団し、ドクターKの異名で大活躍 |
10 | 1991年 | 中嶋悟 | F1 | 日本人初のフルタイムF1レーサーとして活躍 |
11 | 1992年 | 亀山努 | 野球 | 社会現象となった阪神快進撃の立役者 |
12 | 1993年 | 三浦知良 | サッカー | Jリーグ発足 |
13 | 1994年 | 長嶋茂雄 | 野球 | 読売巨人軍を日本一に導く |
14 | 1995年 | イチロー | 野球 | オリックスブルーウェーブをパリーグ制覇に導く |
15 | 1996年 | 伊達公子 | テニス | ウィンブルドンで4強 |
16 | 1997年 | 中田英寿 | サッカー | ワールドカップ初出場に導く |
17 | 1998年 | 清水宏保 | スピードスケート | 長野オリンピックで金メダル |
18 | 1999年 | 松坂大輔 | 野球 | 西武へ入団し、投手タイトルを総なめ |
19 | 2000年 | 高橋尚子 | マラソン | シドニーオリンピックで金メダル |
20 | 2001年 | イチロー | 野球 | メジャーリーグへ移籍し活躍 |
21 | 2002年 | 稲本潤一 | サッカー | 日韓ワールドカップで活躍 |
22 | 2003年 | 松井秀喜 | 野球 | メジャーリーグへ移籍し活躍 |
23 | 2004年 | 北島康介 | 水泳 | アテネオリンピックで金メダル |
24 | 2005年 | 武豊 | 競馬 | 数々の記録を更新 |
25 | 2006年 | WBC日本代表 | 野球 | 世界一に輝く |
26 | 2007年 | 中村俊輔 | サッカー | ヨーロッパチャンピオンズリーグで活躍 |
[編集] その他
本誌の成功をきっかけとして、スポーツ全般を取り扱う類似の雑誌が数多く創刊された。代表的なものに『Sportiva』(集英社)、『ゼッケン』(サンケイスポーツ)、『Sports Yeah!』(角川書店・サンケイスポーツ)、『バーサス』(光文社)などが挙げられるが、いずれも販売面では苦戦を強いられており、『Sportiva』以外は廃刊となった。Numberも部数を減らしており、スポーツ総合誌自体が冬の時代と言われている。
また本誌の知名度の高さを背景に、スポーツ誌以外のジャンルでも本誌の誌名をもじった雑誌・書籍が多数発行されていることも特筆すべきである。代表的なものとしては『しろうとグラフィック Namper』(サン出版)、『Jumper PLUS』(白夜書房、CG作品『スキージャンプ・ペア』の公認誌)などがある。同じスポーツ誌でも、「KAKUTOUGI GRAFFIC APPER」という格闘技専門雑誌がある。