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落語研究会 (落語会) - Wikipedia

落語研究会 (落語会)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

落語研究会(らくごけんきゅうかい)は、落語の興行の名の一つである。1905年から現在まで継続している。純粋な商業目的でなく、理念を追求する運動体としての一面を持つ。

その理念の高邁さから、落語家たちにとって、出演することがステータスの一つになっている。

通常、寄席や余興(営業)では、落語のほかにいくつか色物が添えられることが多いが、第二次以降の落語研究会ではそのようなことはない。

また、落語家一人一人の出演時間もたっぷりととっている。

客にとっては、落語をじっくり聞くことができる恰好の場となっている。

目次

[編集] 第一次

1905年~1923年

小さん以外全員三遊派
参加者は厳格な選抜方式を採用。上記八人の全員賛成でない限り、落語家の新規入会は認められなかった。たとえそれが発起人の子孫であってもである。初代圓右は息子のバカ松を入れようとしたが反対された。
関東大震災による。
  • 著書
    • 『落語名作揃』
  • エピソード
    • 当時、初代三遊亭圓遊(鼻の圓遊、ステテコの圓遊)に代表される珍芸が一世を風靡していた。同じ三遊派の圓左は、この状況を憂い、落語のあるべき姿を示すために行動したものである。もともとは三遊派内部の路線対立である。そして落語が(単なる娯楽でなく)普遍的芸術となるきっかけを作った。
    • 第一回には、当の圓遊にも出演を依頼した。しかし圓遊は(無料出演が条件と勘違いして)会を抜いた。圓遊は新聞で批判された。謝罪して出演は実現したが、会の客にはまったく受け入れられなかった(圓遊を批判する会なのだから当然であろう)。圓遊の人気凋落のきっかけとなった。
    • もともと落語家に袴の着用はタブーだった。講談や浪曲と違って落語の材料は市井坊間の物が多いのだから、落語家は袴などをつけない方がいいという考えが当時まであったからだ。要は講談は一流芸で落語は(袴を付けられない)二流芸だったということだ。この会はもともと珍芸=行儀の悪い芸を批判する会である。この会の参加者が率先して、落語家の手本を見せようということで、全員、袴の着用が義務付けられた。落語家が袴を常用する直接のきっかけである。
    • 会の趣旨に「寄席の改良」を挙げている。珍芸を客が呼べるからといって寄席が重用することを批判していること、および既存の寄席とは競合関係になることから、寄席はこの会に敵対的だったが、この会の成功を見て、態度を変えた。のちには開催のための会場も貸し出した。
    • 初代柳家つばめは出演のオファーがあったが「ナニ、落語を研究する会? 俺の落語は研究ずみだよ! いまさら研究でもあるまい」とコメントし参加しなかった。代わりに3代目柳亭燕路3代目春風亭柳朝らと共に別の研究会「昔噺洗濯会」を創り1906年1月7日から下谷広小路鈴本亭で第一回を開き後進の指導に勤めた。

[編集] 第二次

1928年3月11日1944年3月

  • 第一次の継承。運営体制、理念、システムは同じ
  • 第41回(1931年11月22日神田須田町、立花亭)をNHKラジオが中継した。立花亭は寄席だったので、(スタジオ収録でない)寄席の中継放送が歴史上初めて行われた瞬間でもある。ちなみに当時はすべて生放送である。NHK文芸課長久保田万太郎の手による番組であった。
  • 1935年、会場を東宝小劇場に変更した。ところが、落語家たちが出演をボイコットした。1934年、東宝東宝名人会を開始し、トップの落語家たちを引き抜いたことで、東京の落語界が東宝をボイコットしたという事件が起こった。対立は続いており、落語研究会自体は東宝と関係ないのに、会場が東宝だから出演できないというのだ。僅かな中断を経て、東宝系の落語家のみ出演することになった。1936年、既存の寄席と東宝が和解し、ようやく正常化することになった。

[編集] 第三次

1946年2月3日~1946年8月

  • 「第三次落語研究会は、第一次や第二次の時のように、一部有志の集合でなく、全落語家の結束であります」(第一回プログラム)
  • 幹部落語家(=一部有志?)の合議による選抜を廃止した。

[編集] 第四次

1948年1958年

  • 全115回開催
  • 旗揚げ
    • 1948年10月9日 千代田生命ビル(京橋。その後長らく中外製薬本社が入居していたが、立て壊されて現在更地)七階講堂
  • 会場
    • 千代田生命ビル(現在更地)
    • 神田須田町 立花 (1949年廃業)
    • ヴィデオホール(1949年12月~)(有楽町 蚕糸会館6F。新日本放送で放送局による漫才師専属制を始めた小谷正一(エンタメの祖)が毎日グループを退社後、大阪テレビに入社するまでの間に開場させた)
  • 最終興行
  • 発起人
    • 林家彦六 実際に再開に向けて奔走した。第三次幹事
    • 6代目春風亭柳橋 第二次発起人
    • 8代目桂文楽 第三次発起人
    • 5代目古今亭志ん生
    • 3代目三遊亭金馬 第三次発起人
    • 2代目三遊亭円歌 第三次発起人
    • 6代目三遊亭圓生 第二次発起人
  • 賛助会員
  • 主事
    • 今村信雄
  • 解散の理由
    • 発起人の中に、ギャラが安すぎるという理由で出演拒否する者が現れ、金銭関係で内部で衝突がおこったため。

[編集] 第五次

1968年

別名 TBS落語研究会
  • 旗揚げ
    • 1968年3月14日
      • 同年4月に早稲田大学入学を控えた山本益博は、たまたまこの会に入場し、初めて8代目桂文楽の落語を体験した。感動に打ち震えた山本は、その後大学生活4年をかけて、黒門町の追っかけを始める。卒業論文のテーマも黒門町。その論文はあまりの出来の良さに、そのまま商業出版されることになった(『桂文楽の世界』)。若手演芸評論家・グルメ評論家としての華やかなデビューである。
現在も継続。2007年9月が第471回。
  • 会場
    • 国立劇場(小劇場)
    • 演芸場開設以降も、TBSは小劇場を借り切り、小劇場で開催
  • 主催
TBSの川戸貞吉の発案による。
第四次までと異なり、落語家は運営に一切タッチしない。純粋に出演者としての参加である。
  • 運営
    • 前の落語研究会と違い、番組を収録するためのイベントである。客は有料入場であるが、万が一不入りでもただちに存続にかかわるようなことはない。
      • 番組
        • BS-i 「落語研究会」(毎月一回、第4土曜日 午後放送) [1] BS6チャンネル(161ch)
        • TBSテレビ(地上波)「落語研究会」(毎月一回、第三土曜日 深夜=日曜早朝) [2] 6チャンネル
解説:榎本滋民山本文郎京須偕充
    • レギュラーメンバーを特に固定しないが、当然、TBSの専属落語家(8代目文楽、6代目圓生、彦六、4代目圓遊、5代目小さん)が出演の主力になる。この落語家たちはそのまま昭和の古典落語のベストメンバーといってよい。開局時に専属落語家を選定した出口一雄の功績である。
    • 通常寄席では、落語家はあらかじめネタを決めない。その日の客の雰囲気によってその場で決める。反面、放送の収録(やレコードの吹き込み)は放送局(レコード会社)がネタを決定し、出演交渉の際にそれを通告する。TBS落語研究会もそれを踏襲している。局側としては、高いハードルを設定することで落語家を育てることもできる。桂歌丸が、本来レパートリーになかった三遊亭圓朝噺の第一人者になったのは、このようにして鍛えられたからである。
    • 8代目桂文楽の、伝説となった最後の高座は、この会の第42回である。
    • 文楽亡きあとは、6代目圓生、5代目小さん(親のほう)がほぼ全回、それも主任を務め、古典落語の孤塁を守った。また若手(3代目古今亭志ん朝、7代目立川談志5代目三遊亭圓楽、8代目柳家小三治ら)がフル稼働し、落語界の流れを決定づけた。
  • 著書
  • DVD
  • チケット

三種類ある。

    • 御定連席券(年間指定席、年一回発売)
    • 前売り券
    • 当日券(当日17:30から発売)
    第470回と第471回の前売り券が、ヤフーオークションに流出した。TBSは事態を重く見て、絶対にこのような事態が起こらないように、2007年10月(第472回)より「しばらくは」(何時までかは不明)前売り券の発売を完全に停止する。

[編集] 関連項目


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