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紅世の徒 - Wikipedia

紅世の徒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

灼眼のシャナ > 灼眼のシャナの登場人物 > 紅世の徒


“紅世の徒”(ぐぜのともがら)は、高橋弥七郎ライトノベル作品「灼眼のシャナ」及びそれを原作とする同名の漫画アニメコンピュータゲームに登場する架空の生命体の種族名である。

原作の文中では「“紅世の徒”」とダブルクオートで囲って表記される他、単に「“徒”」(ともがら)と言えば“紅世の徒”を指す。作中では特に、生まれ故郷の“紅世”を離れ、人間そのものを軽視し人間の“存在の力”を浪費する者に限定した呼称として用いられることも多い。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] 概要

この世の“歩いて行けない隣”にある別世界“紅世”の住民達であり、端的に言い表せば異世界生命体である。“紅世”と“徒”という名称はどちらも“歩いて行けない隣”にある別世界の様子や、その住民の様子を聞いた人間の詩人によって名付けられている。

人間に似た精神構造を持ち、離れた場所の強い感情や意思と共感する能力や、この世の“存在の力”を自在に操る能力を持つ。また、自らの“存在の力”も持つ。人間と同様に(実際には若干異なるが)男女の別があり、存在の分化(この世の生き物で言う生殖)の際の機能や、根本的な性質が酷似している。この世で数千年生きている“徒”もおり、老若の概念があるが、作中“徒”の自然死には触れられておらず、寿命などは不明。生まれた時からある程度の力と意識を持ち、すぐさま生きるための戦いを始めるとされる。その他の詳細は、作中の描写が少なく不明瞭な部分が多い。

“徒”達の生まれた世界である“紅世”はこの世とは異なる物理法則によって成り立っており、この世で言う五感が意味をなさず、「力そのものが混じり合う世界」「あらゆるものが、現象による影響と意思による干渉の元、延々変化し続ける世界」とされ、互いの力のせめぎ合いが延々と続く、生きてゆくには過酷な世界とされている。“徒”たちからは“渦巻く伽藍”と表現されていた。

[編集] この世での“紅世の徒”

昔、人間の感情と共感し、歩いては行けない隣にあるこの世を知った“徒”の中の一人の、ある“紅世の王”が編み出した術によって、この世に渡ることが出来るようになった。“徒”にとって、この世の“存在の力”を喰らい自分の力に変える事は呼吸に等しいほど容易な事であり、また、その“存在の力”を使って、己の意思や存在を自由に現せたため、一部の“徒”は、生きる上での無駄を持つ事すら許されず、延々と力の鬩ぎ合い続けなければならない過酷な環境である生まれ故郷の“紅世”を嫌って、「より自由」で気侭な生活を望んでこの世へ渡り来て、欲望のままに放蕩の限りを尽くすようになる。なお、本来この世の存在でないためか、死亡すると“存在”の消失を感じ取れない人間には忘れ去られ、写真や書いた文字なども消えてしまう。ただし、暗号や秘文字を使った文章は稀に“徒”死亡後も残る事があり、人間から人間へ移動した“徒”の情報も何らかの形で残る事がある。

通称
“徒”には“紅世”での本名にあたる真名と、この世での愛称・あだ名にあたる通称がある。“徒”の通称は神話・伝説・伝承の神や悪魔、天使、妖精・精霊・怪物・妖怪などからきている。神話・伝説・伝承に残る神や悪魔などは“徒”がその正体である場合もある。人知を超えた力を持つ“徒”を見た人間が彼らを崇め畏れて異名を付け、“徒”の方もそれを自らの力の証・誇りとして名乗ったことが通称の始まりである。自ら名乗る者や、その文化圏での丁度いい神や悪魔などの名を当てはめられる者、元は別の“徒”のために考えられた通称を勝手に名乗る者、“徒”の死後に神話体系へと組み込まれ後世に残った通称を後に別の“徒”が名乗る場合(これは上記のように“徒”の死後にも情報が残る場合であり、“徒”たちは相当な分量でこの世の伝承に入り込んでいるが、それらは殆どが『この世の本当のこと』を知らない人間の残した不正確な誤伝ゆえに、関連性があまりにも離れているため、“徒”の死後にもこの世から消えずに残っている。ただし正確かつ大真面目に記されていたならば、“徒”が死んだ場合、その“徒”が記された神話体系の存在はこの世から消える)など、様々である。“徒”によっては別の文化圏ごとに複数の通称を持つ“徒”もいる。通称は気分で改名することもある。参考程度の傾向としては、古株の“徒”は神の名を名乗る者が多く、時を経ていくごとにそれ以外の名を名乗る者が多い。普通“徒”同士は真名で呼び合うが、親しい者同士は通称で呼び合う。
顕現
本来この世の存在でない“紅世の徒”は、“存在の力”を消費することで自分自身の“存在の力”(『本質』とも呼ぶ)を変換しこの世に“実体化”する。“徒”自身がこの世に実体として現れることや、己の意思や存在を自在法としてこの世に現す事を「顕現」と呼ぶ。特別な自在法を使わない限り、この世に“徒”自身が現れる時の姿は、その“徒”の本質を「形ある何か」で表したもので、この世に存在する人間や獣に似た姿の者もいれば、植物や道具、この世の生き物にはありえない怪物、それらの形状が混在した者など、千差万別である。この時の姿は、あくまで「この世」での姿であり、“紅世”での姿とは異なる(そもそも五感が意味を成さない世界なので、『姿』などの概念が通用するかは不明だが)。
“徒”にとってのこの世の“存在の力”
この世での“徒”の行動は全て“存在の力”の消費の上で行われる。一部の特殊な状況を除いて、“徒”はこの世に存在しているだけでも常に“存在の力”を消耗するため、この世で存在を維持するために、この世で最も“徒”に近い存在である人間の“存在の力”を喰らい、これを用いて「顕現」する。これは人間以外の動物や物質が持つ“存在の力”は“徒”には合わず、喰らえば逆に力が薄められてしまうからである。なお、これらとは別に純粋な“存在の力”も存在するが、『都喰らい』と呼ばれる秘法を使った後にしか作中では言われていない(詳細は不明だが、「純度」と言う表現が使われていることから、“徒”が喰らう“存在の力”は通常、何らかの「不純物」を含んでいるとも推測できる)。この世の“存在の力”を使わないで“徒”自身の“存在の力”、すなわち自身の『本質』を消費して「顕現」することも可能だが、それはまさに自分の身を削るのと同様の行為であり、放っておけばすぐに死滅してしまう。
また、“徒”には“存在の力”を自分の力に変換し統御できる限界があり、それを超えた量の“存在の力”を“徒”が取り込むと、自分の自身が逆に飲み込まれ薄められ消えてしまう。この“存在の力”の統御力が強く大きい事が“紅世の王”の基準の一つである。
この世での“徒”の歴史
この世に渡り来るようになった当初は“徒”達はこの世を自分の意のままに出来る楽園の様に、容赦なく人間を喰らいながら、この世の事象を弄り、欲望のままに行動していた。しかし、これらの放埓により、この世に「世界の歪み」が生じ、“紅世”との境界が歪み荒れ始め、そこを通る“徒”達が傷ついたり消滅や行方不明になる事態が発生し始める。
この「世界の歪み」の発生により、いつか両世界に致命的な大災厄の発生を危惧や予測し恐れ始めた“徒”達の中に、たとえ同胞を殺してでもこの世の“存在の力”の搾取を阻止しようとする“徒”達が現れ始め、「同胞殺しの道具」とも呼ばれるフレイムヘイズと呼ばれる元人間の討滅者達を作り出すようになる。無造作に人間を喰らうだけだとフレイムヘイズに察知されるようになったことから、“徒”は生じる「歪み」を一時的に緩和させるために「トーチ」と呼ばれる人間の“存在の力”の喰い滓を加工した欺きの道具を生み出す様になり、欲望のままに生きる“徒”と、“徒”への復讐心を糧にそういった“徒”を殺す討滅者フレイムヘイズは、果てることの無い戦いを現代に至るまで延々と続ける事となる。
現代の“徒”
この世に渡って来てから永い間、“徒”は己の本性のままに自分の姿を現し、人間社会とも、古くは天使や悪魔、妖精や妖怪、時には仙人や奇人変人として認識されながら、近い関わりを持ちながら生きていた。しかし現代では、高度な文明を持つようになった人間という種族に対する憧れや、絵描きやギャンブル、煙草や高級な食品など、人間社会の中に己の欲望の目当てを見つけ、人間社会に混じって多様な娯楽を愉しむために、「本性の姿」を「本性に見合った人間型」に変換する「人化の自在法」を併用することが非常に多くなり、この世にとって異形である本性の姿を陳腐とする風潮も生まれている。
特に決定的な変化をもたらしたのが、19世紀後半に二人の天才により生み出された自在法『封絶』であり、人間を停止させ、“徒”達の行動を隠蔽するこの自在法が多用される様になった現代では“徒”と人間の関わりは非常に薄くなっており、復讐心が生まれる機会が減少した為、フレイムヘイズの発生も減少傾向にある。

[編集] “紅世の王”

"ぐぜのおう"と読む。単に“王”とも称される。“紅世の徒”の中でも、強大な力を持っている者の総称。特に明確な基準があるわけではなく、“徒”たちの間の風聞や力の大きさ・強さによって“王”であるか否かが決まる。なおここでいう力の大きさとは、“存在の力”をどのくらいの規模で統制できるかというもので、“存在の力”を大規模に統御できることを「強大な力を持つ」と言い、そういった「強大な力を持つ」“徒”のことを“王”と呼ぶ。“徒”も人間と同じように成長するため、“徒”だった者が強くなり“王”になることもできる。しかし、その成長の度合いもやはり人間と同じくその者の才能や努力によって決まるので、生まれた時から“王”であった者もいれば、後天的な鍛錬や研鑽によって“王”に上り詰める者もおり、逆に一生努力しても“王”になれずに“徒”のままで終わる者もいる。

[編集]

“紅世”における世界の法則の一端を体現する超常的存在の総称。この世の神とは意味合いが異なり、宗教で崇められる象徴や概念的な存在ではなく、実際にどこまでも現実的に存在する。世界の法則の体現者ではあるが、神が“紅世”を留守にしても“紅世”の世界法則自体が無くなるわけではないため、特に問題は出ない。

紅世において“徒”はこの世での人間にあたる存在であり、“王”もまた強大な力を持っているというだけの同一種であるが、神はそれらとは違う類別である。しかし普段は他の“徒”となんら変わらず、扱いも他の“紅世の王”と同様の存在(特にフレイムヘイズと契約している場合)であるが、それぞれが特異な権能を持ち、祈りと代償、運と神自身の意思により、強大な力を発揮する。

神の降臨を要請する儀式を『召喚』と呼び、儀式は「神の意思をその力を欲する者に向けさせること」「了解を得るための代償として犠牲を払うこと」の二つに大別される。神としての権能の威力を最大限に発揮させるための神威の召喚は神威召喚と呼び、神は神威召喚の儀式が行われた場合、他の“徒”には無い、神としての力を振るう事ができる。

なお、フレイムヘイズ誕生の際の契約と呼ばれる行為は、ある“紅世の王”が神の召喚の儀式の手法を応用し、真似た物である。

作中では「審判」と「断罪」の権能を持つ『天罰神』と、「造化」と「確定」を権能とする(その権能は「踏み出し見い出す力」とも言われる)『創造神』の神格が確認されている。『天罰神』を神威召喚する儀式を『天破壌砕』と呼び、恐らく『創造神』を呼ぶ時は別の神威召喚の儀式があると思われる。ちなみに、この世で神威召喚が行われた例は一度のみであり、神が死ぬという事態は今までに起こっていない。

[編集] “燐子”

"りんね"と読む。“紅世の徒”が作り出した、“徒”の下僕。この世の物に“存在の力”を吹き込む事で作られ、その存在には作り主の“徒”の在り様が反映される。人間の“存在の力”を喰らう事は出来るが、その“存在の力”を自分の力に変えることはできず、作り主である“徒”から“存在の力”を供給されることでしか存在を維持できない。そのためほとんどの“燐子”は主から離れて数日で消えてしまい、低級なモノでは作り主が討滅された時点で活動を停止したり消滅するモノもいる。

物によってかなり性能が異なり、自立した意識を持たず、“徒”の自在法の補助のみに使われる道具同然の“燐子”もいれば、自在法や宝具を使う事すら可能な高度な知性と自立した意識を持った“燐子”もおり、その差は元となるこの世の物体の違いや、その“燐子”の使い道や、作り手である“徒”の技量によって異なる。

“燐子”の作成や、その維持には相応の“存在の力”や、それを繰る技量が必要なため、“徒”によって“燐子”を無数使役したり、一体も使わなかったり、“徒”によってまちまちである。“徒”やトーチ同様、燃え尽きると、存在の消失を感じ取れない人間には忘れ去られる。

[編集] “紅世の徒”の一覧

ダブルクオート(“”)で括られた分が『真名』と呼ばれる“紅世”での本名であり、それ以外はこの世で自分で名づけた通称であり、愛称の様なもの。通名とも呼ぶ。フレイムヘイズと契約した状態で登場した“紅世の徒”についての詳細は、フレイムヘイズの一覧を参照の事。

[編集] “紅世の徒”の一覧表

真名 通称 炎の色 区分 その他の情報
狩人
(かりうど)
フリアグネ 薄い白 “燐子”マリアンヌ、ニーナ他
屍拾い
(しかばねひろい)
ラミー 深緑 同一の“徒”
螺旋の風琴
(らせんのふうきん)
リャナンシー
愛染自
(あいぜんじ)
ソラト 山吹色 “愛染の兄妹”の兄
愛染他
(あいぜんた)
ティリエル 山吹色 “愛染の兄妹”の妹
“燐子”ピニオン
髄の楼閣
(ずいのろうかく)
ガヴィダ 乳白色
探耽求究
(たんたんきゅうきゅう)
ダンタリオン 馬鹿のように白けた緑 “燐子”カンターテ・ドミノ
彩飄
(さいひょう)
フィレス 琥珀色 『約束の二人』の片割れ
笑謔の聘
(しょうぎゃくのへい)
ロフォカレ 不明
壊刃
(かいじん)
サブラク 茜色
纏玩
(てんがん)
ウコバク 爛れた赤銅色
穿徹の洞
(せんてつのほら)
アナベルグ 鉛色
駆掠の礫
(くりゃくのれき)
カシャ アイボリー
羿鱗
(げいりん)
ニティカ 鼠色
戯睡郷
(ぎすいきょう)
メア 朱鷺色
祭礼の蛇
(さいれいのへび)
不明 [仮装舞踏会]盟主
“紅世”真正の創造神
坂井悠二
炎が映す影は銀色
“祭礼の蛇”の意思が“ミステス”坂井悠二と合一した存在
逆理の裁者
(ぎゃくりのさいしゃ)
ベルペオル 金色 [仮装舞踏会]『三柱臣』参謀
頂の座
(いただきのくら)
ヘカテー 明るすぎる水色 [仮装舞踏会]『三柱臣』巫女
千変
(せんぺん)
シュドナイ 濁った紫 [仮装舞踏会]『三柱臣』将軍
道司
(どうし)
ガープ 浅葱色 [仮装舞踏会]
“燐子”四方鬼
獰暴の鞍
(どうぼうのくら)
オロバス 橙色 [仮装舞踏会]
千征令
(せんせいれい)
オルゴン 錆びた青銅のように
不気味な緑青色
[仮装舞踏会]巡回士
琉眼
(りゅうがん)
ウィネ 藤色 [仮装舞踏会]捜索猟兵
嵐蹄
(らんてい)
フェコルー 臙脂 [仮装舞踏会]
『星黎殿』の守護者
翠翔
(すいしょう)
ストラス 縹色 [仮装舞踏会]布告官
蠱溺の盃
(こできのはい)
ピルソイン 不明 [仮装舞踏会]捜索猟兵
驀地祲
(ばくちしん)
リベザル 弁柄色 [仮装舞踏会]巡回士
聚散の丁
(しゅうさんのてい)
ザロービ 飴色 [仮装舞踏会]捜索猟兵
吼号呀
(こうごうが)
ビフロンス 樺色 [仮装舞踏会]巡回士
不明 レライエ 不明 [仮装舞踏会]
不明 デカラビア 不明 [仮装舞踏会]
棺の織手
(ひつぎのおりて)
アシズ [とむらいの鐘]首領
かつてフレイムヘイズとして人間と契約
冥奥の環
(めいおうのかん)
虹の翼
(にじのつばさ)
メリヒム 虹(七色) [とむらいの鐘]『九垓天秤』 『両翼』の右
“燐子”空軍
甲鉄竜
(こうてつりゅう)
イルヤンカ 鈍色 [とむらいの鐘]『九垓天秤』 『両翼』の左
大擁炉
(だいようろ)
モレク 黄色 [とむらいの鐘]『九垓天秤』宰相
闇の雫
(やみのしずく)
チェルノボーグ 枯草色 [とむらいの鐘]『九垓天秤』隠密頭
凶界卵
(きょうかいらん)
ジャリ 亜麻色 [とむらいの鐘]『九垓天秤』大斥候
巌凱
(がんがい)
ウルリクムミ 濃紺 [とむらいの鐘]『九垓天秤』先手大将
架綻の片
(かたんのひら)
アルラウネ 薄桃 [とむらいの鐘]
ウルリクムミの副官
焚塵の関
(ふんじんのせき)
ソカル 黄土色 [とむらいの鐘]『九垓天秤』先手大将
天凍の倶
(てんとうのぐ)
ニヌルタ [とむらいの鐘]『九垓天秤』中軍首将
戎君
(じゅうくん)
フワワ 焦茶 [とむらいの鐘]『九垓天秤』遊軍首将
征遼の睟
(せいりょうのすい)
サラカエル 碧玉 [革正団]
吠狗首
(はいこうしゅ)
ドゥーグ 灰色 [革正団]
“燐子”黒妖犬
深隠の柎
(しんいんのふ)
ギュウキ 不明 [百鬼夜行]頭目
與隷の御者
(よれいのぎょしゃ)
パラ 不明 [百鬼夜行]運転手
“燐子”『大人君子号』、『温柔敦厚号』
坤典の隧
(こんてんのすい)
ゼミナ 不明 [百鬼夜行]用心棒
盤曲の台
(ばんきょくのだい)
ゴグマゴーグ 不明 [巌楹院]首領
天壌の劫火
(てんじょうのごうか)
アラストール 紅蓮 フレイムヘイズとして人間と契約
“紅世”真正の天罰神
蹂躙の爪牙
(じゅうりんのそうが)
マルコシアス 群青色 フレイムヘイズとして人間と契約
夢幻の冠帯
(むげんのかんたい)
ティアマトー 桜色 フレイムヘイズとして人間と契約
不抜の尖嶺
(ふばつのせんれい)
ベヘモット 褐色 フレイムヘイズとして人間と契約
虚の色森
(きょのしきしん)
ハルファス 薄いオレンジ フレイムヘイズとして人間と契約
破暁の先駆
(はぎょうのせんく)
ウートレンニャヤ オーロラ フレイムヘイズとして人間と契約
一つの体に二つの人格を持つ
夕暮の後塵
(せきぼのこうじん)
ヴェチェールニャヤ
払の雷剣
(ふつのらいけん)
タケミカヅチ 眩い紫電 フレイムヘイズとして人間と契約
虺蜴の帥
(きえきのすい)
ウァラク 丹色 フレイムヘイズとして人間と契約
啓導の籟
(けいどうのふえ)
ケツアルコアトル 青磁色 フレイムヘイズとして人間と契約
絢の羂挂
(あやのけんけい)
ギゾー 菫色 フレイムヘイズとして人間と契約
觜距の鎧仗
(しきょのがいじょう)
カイム 空色 フレイムヘイズとして人間と契約
奉の錦旆
(ほうのきんぱい)
帝鴻 紅梅色 フレイムヘイズとして人間と契約
珠漣の清韻
(しゅれんのせいいん)
センティア 不明 フレイムヘイズとして人間と契約

[編集] 無所属

[編集] 無所属の“王”

“狩人”フリアグネ(かりうど)[Friagne]
:CD 松風雅也/アニメ 諏訪部順一
“紅世の王”。炎の色は薄い白。悠二をトーチにした元凶。御崎市で起こる一連の事件の契機となる。近代以降では五指に入るであろう強力な“王”(作者からも、本来なら第一巻に登場させるには強力過ぎる敵、と評されたほど)。愛する“燐子”のマリアンヌを独立した一個の存在とするため、御崎市で秘法『都喰らい』で膨大な“存在の力”を得ようとした。人形好き。人化の自在法を使わない本性の姿は鳥だと推測されている。
フレイムヘイズに対しては、炎を消し去る指輪型宝具『アズュール』とフレイムヘイズの内に眠る“王”を目覚めさせ器を破壊する銃型宝具『トリガーハッピー』をメインに戦い、さらに宝具の武器を持った“燐子”(アニメ 新井里美)の軍団やそれらを爆破させるハンドベル型宝具『ダンスパーティ』や武器殺しとも呼ばれるコイン型の宝具『バブルルート』など、様々な宝具を駆使する。作者曰く、フレイムヘイズに対しては、最古参で歴戦のフレイムヘイズであるカムシンでも苦戦する強さだったらしい。だが、彼の戦略は炎をほとんど使えない代わりに白兵戦に圧倒的に長ける『変わり者』のシャナにはほとんど意味を成さず、さらに最終段階まで進んでいた『都喰らい』の布石を崩さないために行動を大幅に制限され、また多くフレイムヘイズとの戦いの経験による油断と坂井悠二の存在を軽視、挙句の果てにシャナは内に眠る“王”が目覚めても死ななかったため、“紅世の王”として顕現したアラストールに討滅されてしまう。だが、これらのいくつもの素材が一つでも欠けず偶然にもそろっていた為に勝利することができた。原作(劇場版)と第一期アニメでは死に様が異なる。
フレイムヘイズ側からは、“狩人”の真名を『フレイムヘイズを狩る狩人』としての意味で用いられる事もあるが、フリアグネ曰く本来は“狩人”の真名は、『物事の本質を見抜く』能力を持つが故の、宝具の収集家(コレクター)である事を意味し(ただし、この世と“紅世”の狭間の産物である宝具はトーチ同様、“紅世”には存在しないため、これはフリアグネの勝手な解釈である思われる)その能力から入手した宝具の能力や使用法を即座に看破でき、状況に応じて様々な宝具を使用する。多くの宝具はシャナとアラストールにより破壊されたが、戦闘用以外の宝具は彼の死後もいくつか遺され、御崎市のデパート高層階に置かれていた宝具『玻璃壇(はりだん)』は、彼の死後はマージョリー・ドー達が町内の“存在の力”を見るために使用していた。
通称の由来はエノク書のデーモン、フリアグネ。
なお、彼は挿絵を担当するいとうのいぢのお気に入りのキャラであるらしく、その後番外編などの狂言回しとしてしばしば登場している。彼らの「なんでも質問箱」はDVDにも収録。
マリアンヌ
声:アニメ こやまきみこ
フリアグネに「可愛いマリアンヌ」と呼ばれる“燐子”。元は粗末なこの世の人形だったが、トリノで馬車から捨てられた所を偶然見かけたフリアグネが、あまりに可憐なその姿に心に雷霆億激の如き衝撃を受け一目惚れ、その後色々あって高度な“燐子”になって愛し合うようになったらしい。自立した高度な意思を持ち宝具を使える、珍しい“燐子”。なお、彼女を含めたフリアグネ一党の“燐子”は総じて他の“徒”の“燐子”に比べ、かなりハイスペックである(ヴィルヘルミナから一手駒としては破格の強さであると言わせるほど)。宝具まで使える“燐子”は作中では彼女達やドミノくらいである。原作(劇場版)と第一期アニメでは死に様が異なる。
記者会見時に使用するためにスタッフが作った彼女の人形は髪が伸びていっているらしい(『劇場版灼眼のシャナ』ディレクターズカット版コメンタリーより)。
ニーナ
声:CD 浅野真澄
“狩人”フリアグネ配下の“燐子”の一体で、猫の人形型の“燐子”。フリアグネの5918番目の“燐子”。主であるフリアグネを強く慕い、主亡き後に、執念から“ミステス”悠二を襲い、シャナに戦いを挑み討滅される。その際にニーナが悠二に吐いたセリフは、II巻前半での悠二の心の惰弱さの原因の一つとなった。このエピソードは外伝扱いであり、本編では未登場。CDドラマ版に登場し、それを小説としたM巻収録の「ノーマッド」と、漫画版に登場している。アニメには未登場。
“探耽求究”ダンタリオン(たんたんきゅうきゅう)[Dantalion]
声:アニメ 飛田展男
“紅世の王”。炎の色は馬鹿のように白けた緑。通称「教授」。やけにハイテンションな口調や仕草が特徴的。この世と“紅世”に関する研究と実験と発明に生き甲斐を感じ、そのためなら自分の命すらも捨てるマッドサイエンティスト。ガサガサの長髪の長い白衣を着たひょろ長い男で、太いベルトのようなものを体中を巻きつけ、首にカメラやメモ帳、双眼鏡や拳銃など様々なものを紐でぶら下げている。鋭すぎる目をしているらしいが、分厚い眼鏡をしているため隠れている。ちなみに何故か近眼。行動が荒唐無稽で凡人には理解不能(たまに自分でもわからない時があるらしい)の超が付く程の変人だが、才能に溢れ、自在法などに関しては天才であり、さらに力そのものは強大な“王”である為、最も始末に終えない“徒”。性格と信条上、敵が多いため、逃げ足は誰よりも速く、「意表をつく」という点では世界でも指折りの“王”。人間の姿をしているが、腕や腰などの関節がありえない方向にありえないほど曲がったり、伸びたり手をマジックハンド状に変化させる事もある。[仮装舞踏会]と深い繋がりを持ち、教授の興味と組織の目的が合致した時は客分待遇として組織の中核に関する事柄を請け負っているが、興味の移り変わりやトラブルによって逃げ出しては、必要な時にベルペオルに連れ戻されている。シイタケが嫌いだが、ベルペオルとサーレはそれ以上に嫌っている。
本来自身のみに行われる『顕現』を、『他の物体』として具現化し永続的に実体化させるという特異な能力を持ち、その能力と独自の理論体系によって創造された『我学』を用いて様々な実験を行う。彼の作った有形無形の実験物は『我学の結晶』と呼ばれ、教授が生み出した『素材』をこの世の道具に組み込むことで作り出される(この『素材』は大抵が使い道のないガラクタである)。『我学の結晶エクセレント(通し番号)』というシリーズ名が付けられ、その数は既に数万に及び、大部分は性能自体は無駄に良いものの、製作目的や効果が珍妙だったりと、周りに迷惑な物が多い。その他にも自在法の研究も度々行っており、教授が途中で飽きて放り投げた物が他の自在師によって効果的に作り直され、広く普及したこともある(封絶の自在法など)。
前述の通りダンタリオン自身天才であると同時に逃げ足の速さも一級品。大抵の実験に成功し、実験に失敗してもその逃げ足の速さに追いつける者はほとんどいない。
基本的に悪意は無いのだが、相手が誰だろうとどうなろうと気にせずに自らの興味のまま行動するため、いたる所でトラブルを頻発させている。剣をドリルに改造、自爆装置のスイッチが目の前にあるとつい押してしまう、手をやたら飛ばすのが趣味など、独特の嗜好も持つ。
自分の研究のためであればフレイムヘイズに協力することもあり、協力者を新たに思いついた実験で破滅に追いやる等の数々の問題行動も見られ、フレイムヘイズのみならず“紅世の徒”の中にも彼を恨んでいるものは多い。
その中でも『契約のメカニズムの研究』を目的として行われた『強制契約実験』では、強制的に契約をさせられた“紅世の徒”達の多くが両界の狭間で歪みに飲み込まれて消滅、運良く無事に人間と契約できても、無理やりフレイムヘイズにされた人間は、使命感を欠片も持たず実力さえ伴わない事もあった有象無象の“徒”を内に秘める事になり、世を乱してフレイムヘイズに殺される、何も理解できぬまま“徒”に殺害される、人間に迫害され発狂し自殺するなど、人間側の被害は元より、“徒”側も天敵であるフレイムヘイズを無駄に増やされ、同胞達を虐殺され、教授以外誰も喜ばない大惨事となった(このエピソードは鎌池和馬による二次創作“討滅の獄”の過去設定と若干似ているが、関連性は不明)。結果的に強力なフレイムヘイズ(鬼功の繰り手サーレ・ハビヒツブルグ)を生み出してしまった事も、教授への怨嗟の声を高める一因となっている。
御崎市で『調律』に対して『逆転印章アンチシール)』を起動させ、極限の歪みを作りどんな結果になるか、という実験を試みるがフレイムヘイズ達に阻止され失敗に終わった。その後はベルペオルに『零時迷子』を餌に『星黎殿』へ連れ戻され、ヘカテーが持ち帰った『大命詩篇』の一篇を解析・実働させたり、[仮装舞踏会]全構成員への「大命」布達での技術面での解説を任される等、[仮装舞踏会]に協力している。
アニメ第一期終盤では[仮装舞踏会]と共に、無限に“存在の力”を生み出し続ける『渾の聖廟』を製作し、第二期終盤では再び[仮装舞踏会]と共に本来“紅世”で生まれるため、この世では生まれ得ない“徒”を生み出そうとする実験『敷の立像(ごうのりつぞう)』を始めたが、二回ともシャナたちによって阻止されている。
無駄が多い様々な自在法を創っているが、「教授」は自在師とは呼ばれていない(XV巻での「封絶を編み出した二人の天才」から)。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では71番目に記載される悪魔ダンタリオン
ドミノ
声:アニメ 加藤奈々絵
ダンタリオンの助手を務める“燐子”。膨れた発条に大小の歯車で両目を付け、頂にネジ巻きを刺した頭部と、ガスタンクのような鉄の胴体に(いい加減にそれらしく作られた)細長い機械仕掛けの腕と短い足をつけたロボットの姿。正式名称は『我学の結晶エクセレント28-カンターテ・ドミノ』。語尾に「〜でありますです。」と妙な敬語を話す。一言多いタイプで、ダンタリオンに余計なツッコミを入れてはその都度(というか何もなくても)つねられる。温厚で“徒”には常に敬意を払う性格だが、主人であるダンタリオンの研究を否定する者には怒りを表す。宝具を使用できることから見ても、(実は)かなり高性能な“燐子”。首だけになっても活動可能。
ナンバーが28なのは恐らく鉄人28号のパロディ。通し番号の若さを考えれば、ダンタリオンはその天才ぶりにふさわしく、遥か大昔に自律思考型ロボットを製造できた事になる。
アニメ版では機械仕掛けの“燐子”と位置付けられ「フレイムヘイズはその気配を認識できない(御崎市駅潜伏時)」という特性があった。アニメ版には彼(?)の量産型のような「27 1/5」も大量に出現した(1つ1つに意思はなく、ダンタリオンの機械から発せられる“存在の力”で動いている)。
“髄の楼閣”ガヴィダ(ずいのろうかく)[Gavida]
“紅世の王”。炎の色は乳白色。人間に対し好意的な“徒”として有名であり、世話好きで人情に厚い。人間の作り出す「芸術」の魅力に取り憑かれて以降、人間と協力してさまざまな宝具を作り出した老成の“徒”。姿は六本腕の板金鎧で、柄の長い大金槌『キングブリトン』を武器とする。かつては多くの敵と戦っていたらしいが、元々戦いは得意でも好きでもなく、実戦から長く遠ざかっていた。
芸術に惚れこんで人間好きとなった後、人間を喰らわなければ顕現出来ないという邪魔な「“徒”」としての立場を取り払い人間と芸術について語らうために、“存在の力”を消耗せずにこの世に自らを留め置く宝具『カイナ』を作りあげた。[仮装舞踏会]と協力関係にあった事もあったが、とある変人(恐らくは“探耽求究”ダンタリオンである)が絡んだ騒ぎをきっかけとして袂を分かち、『天道宮』の『カイナ』の上に身を留めて隠居していた(その際、代償として『天道宮』と同時に造った『星黎殿』を譲り渡している)。
大戦』の折、人間の親友であるドナートからの言伝をリャナンシーに伝えるために『天道宮』を取り引きによってフレイムへイズたちに貸し、その後『天道宮』に侵入してきたチェルノボーグによって討滅される。
通称の由来はケルト神話の鍛冶神ゴヴニュの別名。
“彩飄”フィレス(さいひょう)[Pheles]
声:アニメ 井上麻里奈
“紅世の王”。炎の色は琥珀色。人間に対し中立の立場を取り、フレイムヘイズの友人も多く、時には協力もする。“ミステス”である『永遠の恋人』ヨーハンと二人で『約束の二人(エンゲージ・リンク)』と呼ばれる。ヨーハンとともに『零時迷子』を作った。外見は黄緑色の長髪の華奢な美女で、各所に布を巻き付けたツナギのような服を着ている。両肩の人または鳥の貌を象ったプロテクターと両手の無骨な手甲はいずれも強力な武器らしい。『約束の二人』は共に強大な実力の持ち主であり、さらに決して人間を喰らわないという誓いを立て、ヨーハンから供給される“存在の力”のみで顕現を維持し続けていた為、これまではフレイムヘイズ・“徒”のいずれとも真っ向から敵対することがなかった(多少のいざこざはあった模様)。
本編の二年ほど前に、彼女らと間違えられて“壊刃”サブラクの必殺の罠にかかってしまったヴィルヘルミナ・カルメルを助け、その後二年以上行動を共にし友情を育んだ。その後も執拗に付け狙うサブラクをヴィルヘルミナとの協力によって逃れ続けた。しかし本編開始の少し前に襲われ敗れ、その際に瀕死の重傷を負ったヨーハンを助けるため、彼を『零時迷子』に封じ込め『戒禁』を施し無作為転移を行い、自らは友を助けるためにサブラクとともに自在法『ミストラル』で転移して瀕死のヴィルヘルミナの逃走の時間を稼いだが、その為『零時迷子』に生じた異変を知る事ができなかった。その後は探査の自在法『風の転輪』によって世界中『零時迷子』を捜索していた。
清秋祭の一日目に『風の転輪』により『零時迷子』を発見、シャナたちを傀儡で欺き、友であるヴィルヘルミナのことも彼女を助けるために動いたことでヨーハンの異変を知ることが出来なかった後悔から切り捨て、悠二を分解してヨーハンを取り戻そうとするが、悠二の中から突然の『鏡像転移』の為に失敗に終わる。その後、一時的に悠二から変化したヨーハンに説得されて悠二の分解を断念し、ヨーハンに頼まれた何らかの仕事を果たすために御崎市を去る。去り際、一美に宝具『ヒラルダ』を授けるが、その真意は不明。
風を操る技を得意とし、人間同士の接触によって伝達を続け、その際の走査で目標物を探索し、目標物を探し当てると伝達経路上の“トーチ”から僅かずつ集めた“存在の力”で意識を憑依させた傀儡を形成し本体の到着まで状況を調査、調整する独自の自在法『風の転輪』や、周囲に発生させた風に自身の気配を宿らせ相手を包み込む事で、相手の気配察知や“存在の力”の流れの見極めを妨害した上で攻撃する自在法『インベルナ』を使用し、優れた自在師であるヨーハンと協力することでさらに戦闘力は増す。
ヴィルヘルミナ曰く、彼女は出鱈目で明るく楽しい女性らしいが、ヨーハンが傍にいないと覿面に機嫌が悪くなる。通称の由来はおそらくメフィストフェレス
第二期アニメに登場するが、アニメでは『零時迷子』が無作為転移した時にヴィルヘルミナが所用で離れていて行動を共にしていなかったので、サブラクが『零時迷子』に自在式を打ち込むのを目撃していた。またフィレスの本体が到着した時にシャナたちをこき下ろすなど、ヨーハンのために手段を選ばないだけでなく、他人を見下し貶す冷酷な性格になっている。
“壊刃”サブラク(かいじん)[Sabrac]
声:アニメ 黒田崇矢
“紅世の王”。炎の色は茜色。依頼を受け対象を抹殺する、文字通りの「殺し屋」。数多のフレイムヘイズを屠ってきた強大なる“王”。マントを纏い、全身をくまなく厚手の革つなぎとプロテクターで覆い、長髪を立て、顔を長いマフラー状の布で隠した長身の男。普段は思考も言動も全てが長口上。かなりの不平屋であるものの、怒るという場面はそうそう無いらしい。また刃物収集家であり、戦闘時に使用する武器は全て彼のコレクションで、宝具ではない普通の武器である。一時期、“探耽求究”ダンタリオンに雇われていたが、秘蔵の剣である宝具『ヒュストリクス』を「イカレたからくり」(正式名称は『浪漫の結晶ドォ――リル付き西洋風の両手剣』)に改造され激怒し、袂を分かった。教授の方も自身の発明を「イカレたからくり」と言われたことで激怒し、現在もお互い仲が悪い。
初撃に限定されるが、“徒”やフレイムヘイズにすら彼自身の存在と攻撃の予兆を全く感じさせず、複数個所に絶大な範囲と規模と威力の同時攻撃を行えるという特性を持つ。完全な不意打ちで放たれる洪水とも思えるような炎の濁流と、その炎に混ぜた無数の剣による攻撃、さらにそれらで傷付いた箇所を時と共に広げていく自在法『スティグマ』により、初撃で並の者ならば即死、強者であっても運任せで、生き残ったとしても無傷では済まず、『スティグマ』の効果で傷を深められ、そのまま放置すれば死に至り、初撃の後に現れるサブラクとも戦わなければいけないという恐ろしく厄介な“王”。さらにサブラク自身もヴィルヘルミナですら四半分間違えば死に直結する程の非常に優れた剣士であり、加えて初撃と同等以上の威力と規模の無数の剣を混ぜた津波のような炎を自在に操る力と、攻撃が当たっていないとさえ錯覚するほどの異常な耐久力を持ち、初撃の不意打ちを除いても非常に強大な戦闘力を持つ。正面から戦闘を挑めば、『スティグマ』の効果とサブラクの圧倒的戦闘力・持久力によって倒されてしまうが、反面、サブラクは広範囲に効果を及ぼす“王”には珍しく人一人分程度の知覚能力しかないため、姿を現した後は初撃のような広範囲の一斉攻撃は行わず目の前の敵に対処するのみで、また出現地点から遠くへ逃げると追ってこないため、(困難だが)初撃をかわせさえすれば逃げることは容易く出来るという極端な特徴を持つ。
その正体は街の大部分を蓋えるほどの桁外れに巨大な身体と力を持ちながら、感覚域は人間サイズという非常にアンバランスな身体の“徒”。自らの存在を薄く広範囲に浸透させる事で気配を察知させず、フレイムヘイズや“徒”に気付かれずに完全かつ強力無比な不意打ちを初撃のみ、自らを浸透させた地域に限り行える。また、初撃の後に現れる『実体を持った“紅世の徒”』として実際に姿を見せるサブラクは、意思総体ではあるものの、本体のほんの一部をそれらしい形にした人形でしかないため、不死身のような耐久力を発揮し、さらに広範囲に浸透させているがゆえにその範囲内の人間を戦いの最中に容易に喰らう事もできるため、持久力も高い。まともに倒そうとすればサブラクが浸透している範囲全てを凄まじい破壊力によって消し飛ばさなければならないため、やはり圧倒的な耐久力ではあるが、人形のサブラクにはサブラク全体を統御する意思総体が宿っているため、人形のサブラクを全体から切り離して消滅させれば、他の全体も無力化することができる。
[仮装舞踏会]に雇われ、ベルペオルから依頼を受けて、『約束の二人』とヴィルヘルミナを執拗に追い続け、『零時迷子』に『大命詩篇』の一篇を打ち込んだ。クリスマス・イヴにベルペオルからの二度目の依頼を受けて、御崎市滞在中のフレイムヘイズ三人に不意打ちで大打撃を与え、“ミステス”坂井悠二に『大命詩篇』を打ち込む。その後のヴィルヘルミナとの交戦中、悠二に不死身とも思える耐久力とその身体の正体を見破られ、『スティグマ』破りの自在法を編み出された事や、これまで一度も追い詰められたことがなかったために油断して敵を侮っていた事もあって、彼らの連携によって敗北。しかし討滅されたわけではなく、ビフロンスの『非常手段(ゴルディアン・ノット)』に込められていた転移を使ってその場を逃れた。以降は『星黎殿』に留まっているが、“祭礼の蛇”のことは儀礼上拝してはいるものの臣下として仕えるつもりはない模様。
“戯睡郷”メアとは知り合いで、“逆理の裁者”ベルペオルから行き逢った際に得た『零時迷子』の“ミステス”の情報を与え、その後会う約束をしていたらしい。弱小の“徒”であるメアが強者のシャナに挑むことを止めさせようとしていたが、結局止められなかった。ベルペオルからの二度目の依頼を受けたのは、情報を与えた結果メアを死なせてしまった事に対する自分なりのけじめと、それに伴うメアへの弔いのためであった。
第二期アニメにも登場するが、登場する時期が原作より早くなっており、サブラクがベルペオルからの二度目の依頼を受ける場面も省略されている。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では43番目に記載される悪魔サブナックから。

[編集] 無所属の“徒”

“屍拾い”ラミー/“螺旋の風琴”リャナンシー(しかばねひろい)[Lamies]/(らせんのふうきん)[Leannán-Sídhe]
声:アニメ 清川元夢
“紅世の徒”。炎の色は深緑。人間に対し中立の立場を取る。力の消耗を減らすためにトーチに寄生し、現在老紳士の姿をしている。消えかけのトーチからのみ“存在の力”を集めており、世界のバランスに極力気を使っているため無害とされ、普通のフレイムヘイズはわざわざ討滅に乗り出さない。ラミーを討滅すると逆に、集められた膨大な量の“存在の力”が制御を失い、世界のバランスを崩す可能性の方が高いとされる。
失われた大切な絵を復活させるために膨大な“存在の力”を集めており、統御できない分の“存在の力”を毛糸玉に編み上げて持ち歩いている。偶然から悠二と出会い、シャナとの関係に悩む彼に様々な助言を与えた。性格は非常に冷静沈着で、討滅するために現れたマージョリーに対しても大して動揺せず、シャナにマージョリーを討つ機会を与えるために自ら囮になったりした。
“屍拾い”というのは、この世にのみ存在する「トーチを拾い集める者」を意味するこちら側での通り名であり実は真名では無い。ラミーというのも偽名のようなもの。その正体は、『封絶』をはじめとする数多くの自在法を編み出した、“紅世”最高の天才自在師“螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー。少女の姿をした、存在そのものはとても小さい“徒”だが、異常に高効率な自在法を、望むままに即座に構成することが可能。その力を狙われ、ある“紅世の王”に捕らえられてその力を支配する鳥籠に入れられ、宝具『小夜啼鳥(ナハティガル)』にされていた時代もある。
年が明けてから[仮装舞踏会]に所属する“徒”デカラビアより動員令を受ける。
ちなみに老紳士の姿をした彼女は番外編で坂井悠二から師匠と呼ばれている。
通称の「ラミー」は死骸を掘り出して喰らう悪魔に由来。「リャナンシー」は、欧州の伝承に登場する、芸術家に才を与える代償に夭折させるという妖精に由来。
“愛染自”ソラト(あいぜんじ)[Sorath]
声:アニメ 白石涼子
“紅世の徒”。炎の色は山吹色。シャナに匹敵する一流の剣の腕に似合わぬ幼い言動が特徴の金髪碧眼の少年。片手持ちの大剣型宝具『吸血鬼(ブルートザオガー)』の使い手。妹よりも目先の欲を優先した、純粋ゆえに冷酷な性格。
戦闘時は鎧を一瞬にして装着する。自在法は不得手で、初歩的な自在法である封絶や達意の言もまともに使えない。特殊能力として、欲するものを、見なくとも在処を感じることができる自身の存在の本質『欲望の嗅覚』を持ち、『秘匿の聖室(クリュプタ)』に隠蔽された『星黎殿』さえ感じ取ることが出来る。『贄殿遮那』を狙って御崎市に来訪しシャナを襲撃し、戦いの末に妹に続いてシャナに討滅される。
ちなみに『吸血鬼』は、その後マージョリーが持ち帰り、マージョリーが現実を知らせる為佐藤と田中に与え、シャナに譲られた後、最終的に悠二の手に渡った。
通称の由来は太陽を司る悪魔ソラト。
“愛染他”ティリエル(あいぜんた)[Tiriel]
声:アニメ 田村ゆかり
“紅世の徒”。炎の色は兄のソラトと同じ山吹色。ソラトと瓜二つの顔をしたソラトの妹。最愛の兄・ソラトに見せる甘い顔と、それ以外の時に見せる残忍な顔を持つ巧緻な自在師。『揺りかごの園(クレイドル・ガーデン)』という自在法を使い、ソラトを守り欲望を叶えさせるためにサポートに回る。
『揺りかごの園』は封絶と似た力を持つが、内部の気配を外部に洩らさない。そのためいかなる“徒”でもフレイムヘイズに気配を気付かれないでいる事が可能である。戦闘時には宝具『オルゴール』の力で、自在式を人間に打ち込んで大量に作り出していた高度かつ複数の機能を秘めた“燐子”ピニオンを制御し、街一つを覆うほどの巨大な規模に『揺りかごの園』を拡大させる。その際は他者を逃がさない隔離空間としても機能し、さらにピニオンが周りの“存在の力”を奪い兄妹に“存在の力”を供給し続けるため、力をほぼ好き放題に振るえる。他者(彼女の場合は兄)に尽くし、そのためには自分の命さえも厭わない彼女の存在の本質は『溺愛の抱擁』とも呼ばれ、自在法『揺りかごの園』の根源的な精神になっている。最後まで兄のために自分の全てを捧げ、シャナの炎から兄を守って死亡する。
なお人間に自在式を打ち込んで多機能な“燐子”ピニオンを作り出すという行為は、『他者のために全てを捧げる』というティリエルの本質を他者に移殖するという行為であり、すなわちピニオンはティリエルの分離体である。
この2人の互いにすがるような愛情表現にシャナは反感を覚えるものの、同時に愛するもののためならば自らの命を賭すことも辞さないその姿に大きな感銘を受ける。
通称の由来は水星を司る天使ティリエル。
“笑謔の聘”ロフォカレ(しょうぎゃくのへい)[Rofocale]
炎の色は不明。大きな三角帽に襟を立てた燕尾服で顔を隠した男で、古風なリュートを抱える自称「楽師」。索敵能力(本人曰く感受性)に優れる。[仮装舞踏会]の協力者で、『星黎殿』に向かう途中、シュドナイ率いる軍の索敵を行っていた。現在は『星黎殿』に居付いており、何故か“祭礼の蛇”とヘカテー、ベルペオルらの散策に同席することを許されている(というより空気のように扱われている)特殊な存在。何かの一党に属している模様。
通称の由来はおそらく地獄の宰相、ルキフグ・ロフォカル。
“纏玩”ウコバク(てんがん)[Ukobach]
“紅世の徒”。炎の色は爛れた赤銅色。シャナが悠二に出会う前に討滅した(0巻収録の短編参照)。己の本来の醜い姿を極端に嫌い、理想的な美しい人間型の姿を作る為に人攫いや写真撮影を行っていた。泡を放ち相手を捕獲する宝具『アタランテ』を持つ。他の“徒”と比較しても格段に弱い力しか持たない。
通称の由来はコラン・ド・プランシー著の『地獄の辞典』に登場する下級の悪魔ウコバクから。
“穿徹の洞”アナベルグ(せんてつのほら)[Annaberg]
声:アニメ 真殿光昭
“紅世の徒”。炎の色は鉛色。トレンチコートとソフト帽を身に纏い、火掻き棒のような手と丸型メーターの顔を持つ。
人間が作り出す文明や優れた物に心酔しているが、曰く「文明の加速」のため、それらの破壊を目的に活動している。これは、「壊された優れた物を糧に、より優れた新たな物を作る」という人間の活動を、自ら優れた物を破壊する事で促進させるという事。袖口などから噴出する蒸気で気配や“存在の力”をぼやかす事が出来るが、敵味方問わずの気配の混淆の為にフレイムヘイズの奇襲に“徒”が気付きにくくもなる。また、切り札として、発射した炎弾の任意爆破もできる。それなりにフレイムヘイズとの交戦経験があり、幾人か倒してもいる模様。
[革正団]との戦いでフレイムヘイズ達がニューヨークから離れた隙を狙い、“千変”シュドナイを護衛として雇ってエンパイア・ステート・ビルを破壊しようと目論むが、マージョリーに阻止され、最後はユーリイに討滅される。
第二期アニメにも登場し、アニメでは顔(にあたる圧力計)の表面に『ANNA BERG』というロゴを確認できる。
通称の由来はドイツで鉱山を守るとされる悪魔、アナベルグから。
海魔(仮)[Kraken]
海魔(クラーケン)は海洋上で人を襲う“徒”の総称であり、ここでは、かつてユーリイ・フヴォイカを襲った個体について述べている。
通名、真名ともに不明。炎の色は腐った藻のような暗い緑色。巨大な蛸のような姿。アメリカに向かう移民船を襲撃したが、ウァラクと契約したユーリイによって一撃で討滅された。
第二期アニメではユーリイの回想の中で姿だけ登場した。
名称の由来は北欧の伝承に登場する海の怪物クラーケン
“駆掠の礫”カシャ(くりゃくのれき)[Kasha]
声:アニメ 松原大典
“紅世の徒”。炎の色はアイボリー。外伝『ゾートロープ』に登場。薄手のジャケットにスラックス、首には洒落たストリング・タイという姿の青年。
数十もの指輪からなる宝具『コルデー』を操って炎弾を撃ちだしたり爆破したりといった攻撃スタイルをとる。踝に炎の車輪を発生させ、移動に使う。ゾフィー・サバリッシュの下で師事していたシャナ(当時は炎髪灼眼の少女)と戦い、あっけなく討滅された。
第二期アニメでは『ゾートロープ』の話は無かったことになっており、「売り出し中」ということで名を売るために御崎市に住むシャナに戦いを挑み、やはりあっけなく討滅された。
通称の由来はおそらく火車
“羿鱗”ニティカ(げいりん)[Nitika]
“紅世の徒”。炎の色は鼠色。外伝『ゾートロープ』に登場。巨体は翼竜とも見え、体中に鱗のように金貨を貼り付けている。
外見から、金貨を集めることが趣味と推測される。古美術商店の金庫を漁っていたところをシャナ(当時は炎髪灼眼の少女)に襲撃され、逃亡。自身を中心とした移動式の封絶を構成し、低空飛行で破壊した街並みを未修復の状態で封絶外に放り出すことでシャナの動揺を誘ったが、最終的にゾフィー・サバリッシュに討滅された。
真名が連載時(鯨鱗)とDVD初回特典付属の冊子(羿鱗)で異なっている。
通称の由来はヌクテメロンにおける六時のゲニウスの一人、宝石を司るニティカ。
“戯睡郷”メア(ぎすいきょう)[Mare]
声:ゲーム・アニメ 小林沙苗
“紅世の徒”。炎の色は朱鷺色ゴスロリ風の衣装と日傘という上品ないでたちをしている“徒”で、『零時迷子』の“ミステス”である悠二に執着していた。
その実体は“ミステス”に寄生する存在そのものは非常に小さい“徒”。少女の姿も寄生している“ミステス”の姿であり、本来の姿はピエロの様な道化の姿。寄生された“ミステス”の頭部には、太い角が生えてくる。悠二に寄生する事で誰にも無視されない存在になろうとしていた。夢を操り“ミステス”の『戒禁』を破る自在法『ゲマインデ』と、寄生している“ミステス”が蔵する、無数の鈴を飛ばし攻撃する宝具『パパゲーナ』を操る。
『ゲマインデ』は“ミステス”に掛けられた『戒禁』を侵食し、対象者の記憶から抽出した情報を元に『敵』として組み換え、それを夢の世界に取り込んだ者に破壊させることで“ミステス”を守る『戒禁』を破壊させる、メア曰く「共に見る滅びの夢」である特殊な自在法。通常は戦闘用宝具を宿した“ミステス”に使われるが、相手が戦闘用宝具を宿していないのに『戒禁』に守られているような例外の場合は、フレイムヘイズも夢に取り込み、『敵』を倒させる。ちっぽけな存在であるメアが『戒禁』を破るための唯一の方法であり、メアの生命線でもある。対象者に夢であることに気づかれると夢の主導権を奪われてしまい術も解けてしまうため、夢の媒介には複数の人間を使う。これは夢の世界が記憶から作り出された世界であるため、一人の記憶では簡単に生まれてしまう「現実との齟齬」を出来る限り少なくする役目もある。
当初は作者監修によるゲーム版オリジナルとして登場した“徒”だが、ゲーム版もDSに移植されるにあたって作者の加筆修正が加わり公式外伝の位置づけとなったからか、小説でもメアらしき“徒”が“壊刃”サブラクから情報(前後の話から『零時迷子』のミステスに関する情報と思われる)を受け取り、その後待ち合わせていたなど、知り合いらしき描写がある。
第二期アニメでは登場する時期や『ゲマインデ』の能力の概要が異なり、また『零時迷子』に掛けられた『戒禁』の存在も知らなかった。
通称の由来は夢魔ナイトメア

[編集] 仮装舞踏会(バル・マスケ)

盟主』と三人の強大なる“紅世の王”『三柱臣(トリニティ)』を中心とした、他の大集団とは頭一つ二つ抜きん出た世界最大規模の“紅世の徒”の組織。数千年前より存在する組織で、『大命』と呼ばれる究極目標の成就を主眼とした活動をしている。もっとも、盟主が帰還するまでは、『大命』について詳しく知っていたのはベルペオルの側近や一部の布告官だけで、存在を知っている者ですら歴戦の捜索猟兵や巡回士に多少しかおらず、それ以外の構成員からは「組織にとって最も重要な何か」程度の認識でしかなく、『大命』という言葉自体を知らない者も多かった。

『大命』には三つの段階があり、その第一段階が、“久遠の陥穽”に放逐された盟主の意思を受信し思い通りに動く代用体を精製することである。残り二つの段階についてはいまだ詳細は語られていないが、『大命詩篇』と呼ばれる自在式が中核となる、長い年月をかけて準備してきた計画である模様。“紅世の徒”のポジションを根本的に変えるものであるらしい。『大命詩篇』とはおそらく“祭礼の蛇”が自ら『大命』の為に編み上げた式である模様。

盟主を失った数千年前の一戦以降「主なしの組織」となり、一度として自ら武力闘争と呼ばれる程の戦いを仕掛けることはなかったが、『零時迷子』を発見して以降は、世界各地の重要な外界宿(アウトロー)を襲撃し、壊滅させ続けている。普段は情報交換と支援を本分として、構成員ではない“徒”を保護し、この世に跋扈する“徒”にこの世で暮らすための訓令を与え、フレイムヘイズから逃れ、かち合わないための秘匿交通路を確保したり、他の組織と情勢分析のための会合を行ったり、この世に跋扈する“徒”に仇なすフレイムヘイズやその外界宿の殲滅を行うなど、この世の“徒”に対する互助共生を行っている。行動の上に人間を使わず、“徒”だけで全ての事柄を行う。通常束ねることが困難な“徒”をこれほどまでに束ねているのは、『三柱臣』が重ねてきた長年の実績と、彼らと対面した際に抱かされる感情によるものである。

役職として、上記の三柱臣に加えて、現在判明してる限りでは、戦闘を担当する巡回士ヴァンデラー)、フレイムヘイズの捜索・追討や組織のための情報収集を担当する捜索猟兵イエーガー)、組織の中枢と各地の捜索猟兵や巡回士らとの連絡を主任務とする布告官ヘロルト)などが存在する。尚、主に巡回士と捜索猟兵はペアを組んで任務を遂行する事が多い。

[編集] 仮装舞踏会の“王”

“祭礼の蛇”(さいれいのへび)
[仮装舞踏会]『盟主』。炎の色は。この炎は通常とは違い、闇と区別がつかないような「輝かない炎」であり、全てを染め上げ塗り潰すとも形容される。“紅世の王”にして“紅世”の世界法則を体現する超常的存在である『神』の一柱、“紅世”の『創造神』。その権能は「造化」と「確定」。踏み出し見出す力を司り、新たなものや流れを作り出す、始まりの神。その権能ゆえに新たな発見に溢れたこの世に興味を持ち、数千年前に三柱の眷属と共にこの世に現れ、良し悪しに関係なく求められるままにこの世の“徒”達に多くのものを齎したが、この世の在り様にまで手を出したことでフレイムヘイズ達に攻撃され、敗れる。
『天裂き地呑む』化け物とまで称される伝説の存在。マージョリーやマルコシアスの伝え聞いた『神殺し』の御伽話によると、かつて「支配」というものに興味を覚え、『大縛鎖』という都とそれを監視する宝具『玻璃壇』を作るが、作った途端にフレイムヘイズ達に袋叩きにされ「一発昇天」した、とのことだったが、討滅されたわけではなく、実際には不帰の秘法によって“久遠の陥穽”と呼ばれるあらゆる法則から外れた帰還不可能な世界の狭間に追いやられていたのであった。
かつての性格は不明だが、フリアグネ曰く「すごくすごく偉い……でも、とてもとても変で、とてもとても甘い……ああなっても仕様がなかった……」との事。
以前の通名は現時点では不明である。
“祭礼の蛇”坂井悠二(さいれいのへび・さかいゆうじ)
“久遠の陥穽”に放逐された“祭礼の蛇”が、この世での代行体として『零時迷子』の“ミステス”坂井悠二と精神を同調させた、“祭礼の蛇”であり、坂井悠二でもある存在。炎の色は“祭礼の蛇”と同じであり、その炎が映す影の色は
外見は、緋色の凱甲と衣を纏い、頭の後ろから長髪のように漆黒の竜尾が伸びている。声は悠二の物と盟主の物が混在した状態となっているが、これは予想外の現象であり、その原因は誰にもわかっていない。なお、彼の凱甲や竜尾などは彼の意思で自在に出したり消したりできるため、元の姿となんら変わりのない「坂井悠二」の姿を取ることもできる。
物語開始以前、サブラクにより『零時迷子』へと打ち込まれた自在式『大命詩篇』によって、『零時迷子』は代行体の動力源『暴君I』へと変化し、感情と、それに伴う行動を採集する『暴君II』の採集した人格鏡像を受信し続けていた。本来ならこれらを合一させた『暴君』に“祭礼の蛇”の意識を宿すはずだったが、人格鏡像の断片越しに悠二と意識を共有した“祭礼の蛇”は悠二に興味を抱き、その結果、悠二をモノとしてではなく自身と共に「大命の王道」を歩む唯一の人間として認め、悠二と精神を同調させる形態へと変更させ、悠二自身も“祭礼の蛇”と共に歩むことを選び、同調した。なお、現在“祭礼の蛇”は『仮の帰還』とされている。
“祭礼の蛇”が数千年前に人間に呼ばれていた通名を捨て、坂井悠二の名を自らの通名としている。悠二と“祭礼の蛇”の記憶、感情など全てが交りあっており、悠二の「人間の代替物」としての存在こそ消えているものの、彼の意識は今もなお存在し、洗脳などはされておらず、操られてもいない。悠二自身の意思によって“祭礼の蛇”と同調し、共通した目的に向かって行動している。
帰還した当初、初めて盟主を見た[仮装舞踏会]の構成員らからは、突然帰還して盟主となったことや、“ミステス”が素体であること、ヘカテーとベルペオルへの扱いなどから凄まじい反感を買っていたが、その後の謁見の式典で[仮装舞踏会]の盟主たる者としての姿と実力と在り様を見せつけ、全構成員からの絶大な畏怖と敬服を得て、盟主として認められる。
現在はあくまで『仮の帰還』であり、代行体であるとはいえ、“紅世の王”リベザルの全身全霊の一撃を片手のみで微動だにせず受け止める程の力を有する。頭の竜尾は伸縮自在で思いのままに操ることができ、凄まじい防御力を持つと共に、叩きつけるなどして攻撃や加速・軌道修正にも利用できる。それに加え、以前の悠二が所持していた三つの宝具、『零時迷子』、『吸血鬼(ブルートザオガー)』、『アズュール』も当然所持しており、自在法を使用せずとも強大な戦闘力を誇る。自身の銀の影から“銀”を無数に発生させることもできる。そして誰もが予期せぬ結果として、原因は不明ながら異常なまでに鋭敏な探知能力も備えていた。また、躊躇なくマージョリーを精神的に追い詰めるといった冷酷な面も持つ。
“千変”シュドナイ(せんぺん)[Sydonay]
声:アニメ 三宅健太
“紅世の王”。炎の色は濁った紫。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の将軍。圧倒的な戦闘力を誇り、古来より幾人もの有名なフレイムヘイズを葬ってきた強大な“王”。軍の指揮官としても非常に優れている。しかし職務に対しては怠慢で、道楽にかまけて『三柱臣』としての仕事を一つもこなしていなかった。が、そんな態度にも関わらず[仮装舞踏会]の“徒”たちからの尊崇の念は絶大で、その強さ・将軍としての能力にも全幅の信頼を寄せられている。他者の依頼を受けて依頼者の身を守ることを趣味とする変わり者でもあり、普段は依頼を受け他の“徒”を護衛している。
他の“徒”とは異なり、その真名が示す本質から生まれる『変化』の力を持っているため姿は不特定であり、必要に応じて姿形を自在に変えることができる。普段は人間型をしており、プラチナブロンドをオールバックにし、サングラスを掛け、ダークスーツを着た(中世には黒い鎧の騎士の姿をとっていた)長身の男性の姿をとる。しかし戦闘時や「食事」の時には、頭や腕や口を様々な場所に複数作ったり、全身や腕や口などの体の一部を巨大化させたり、切り離したり、蝙蝠、亀、大蛇、鳥など様々な動物(虎が比較的多い)に変えたり、高層ビルの内部を全て埋め尽くすほどに分裂したりなどと、自由自在に変化する(アニメでは、の様な一本角のライオンの体に鳥の脚、蝙蝠の翼、爬虫類の尾、という姿で一定している)。
戦闘時には「本質そのままの姿」へと姿をとる戦闘スタイルからか、人間の文化に憧れるあまり本質そのままの姿を陳腐とする最近の“徒”の風潮を、内心で寂しく思っている。一方で、人間の姿をとる際には当代の流行文化をいち早く取り入れる洒落者の面も持つことから、人間の文化そのものには好意的と言える。特に煙草が大好きで、いつも吸っている。
『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は槍型の『神鉄如意』。持ち主に合わせて大きさや形を変える長大な槍であり、『変化』と合わせることで城の尖塔ほどにも巨大化させることや、穂先を数十に分裂・変形させたり、シュドナイが分裂した数に合わせて『神鉄如意』そのものを数千という数に増やすことも出来る。素の力も非常に強力だが、この剛槍の使用によって更に圧倒的な戦闘力を発揮する。
上海外界宿総本部での会戦の際、旧知の間柄であったフレイムヘイズ・虞軒と、その契約した“王”である“奉の錦旆”帝鴻から古い通名「蚩尤」の名で呼ばれている。
ヘカテーに好意を持っており「俺のヘカテー」と公言して憚らないが、当人には、毎回きっちり「私はあなたのものではありません」と返され、職務態度の悪い同僚程度の応対しかされていない。普段は飄々として部下にも寛大な性格で、敵であるフレイムヘイズに対してすらも友人に接するかのような態度を取る事も多いが、ヘカテーの身に僅かでも危険が及ぶと怒り狂い、その原因を作った相手を攻撃し、幾人もの“徒”や“王”までもが彼の手にかかっている。ダンタリオンも悪意は無いのであろうが、危害が及ぶ原因となった過去があるようでシュドナイに襲われた事があるらしい。さらにその怒りはヘカテーを守れなかった味方の護衛にも向き、フェコルーやベルペオルでさえも真剣に自分の身命を危ぶむほどで、周りは敵の襲撃以上に、ヘカテーに危険が及ぶことと、それがシュドナイに知れることを恐れている。ちなみに本人曰く、ヘカテーを愛しているのであって、決してそういう趣味ではないとの事。
一方でベルペオルのことは公然と「ババア」呼ばわりしてこき下ろし、ベルペオルの方もいちいち皮肉たっぷりに接しているが、特にベルペオルを嫌っているわけではなく、単に両者の性格の反りが合わないだけであり、互いにその実力を認め、利用しあっている。ちなみに両者とも何者か(おそらくは盟主“祭礼の蛇”)となんらかの盟約を結んでいるが、シュドナイはあまりその盟約には忠実ではない。とはいえ、後述の様に職務に励み始めた事から盟主そのものにはそれなりに思い入れがあるようである。
“愛染”兄妹の護衛をしている際に悠二と遭遇。“ミステス”と気づいて中の宝具を奪い取ろうとしたが、『零時迷子』に掛けられた『戒禁』(防御用の自在法)によって、右腕と本質の一部を失った(その後、再構成した)。その事と、大した力も持たずに“封絶”の中で動ける事から、悠二の宿す宝具が『零時迷子』だと察知し、それを[仮装舞踏会]へと知らせる。以降は[仮装舞踏会]の「将軍」という本来の職務に急に本腰を入れるようになり、軍勢を率いて世界各地の重要な外界宿(アウトロー)を襲撃、陥落させ、同時に幾十人もの名高いフレイムヘイズも始末している。その強大な戦闘力で、劇中非常に多くの強力なフレイムヘイズを仕留めている。
通称の由来は悪魔アスモデウスの別名で、『悪魔の偽王国』に記載されている。「蚩尤」は、黄帝(別名・帝鴻氏)に討滅された中国神話の怪神。
なお、アニメの番外編『頂のヘカテーたん』では、パロディであるがヘカテーの傍にいることに快感を得ており、また悠二に対して怪しい口調で話すシーンがある。その際にヘカテーから「変態」呼ばわりされている(後に「親父臭い」とも言われて、ショックを受けていた)。
“頂の座”ヘカテー(いただきのくら)[Hecate]
声:アニメ 能登麻美子
“紅世の王”。炎の色は明るすぎる水色。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の巫女。[仮装舞踏会]構成員からは大御巫(おおみかんなぎ)という尊称で呼ばれている。表情に乏しい幼い美少女の容姿をしている。杓子定規な物言いが特徴。古代から“祭礼の蛇”に付き従っており、彼を慕い、絶大な信奉を寄せている。大命遂行に際し、主に盟主の意思と『大命詩篇』を受けとる役割があったと思われる。通常は『星黎殿』の内部にある祭壇の間『星辰楼』にその身を置き、この世に渡り着いたばかりの“徒”たちに、この世で生きるための訓令を与えている。『三柱臣』の中でも特異な存在として知られる。彼女が姿を見せることは極めて稀で、その真意や性向、能力などは殆ど知られていない。しかし、[仮装舞踏会]に属する“徒”たちからは最も尊崇されている存在であり、『大命詩篇』の扱いを一手に担っている。
『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は錫杖型の『トライゴン』。その具体的な能力や効果は不明である。他にも教授に十六回も改造された笛の宝具を所持しており、具体的な効果は不明だが、鳴らす事で竜の形をした強力な炎を無数に放つことが出来る他、『星黎殿』の停泊時間の終了などを伝える役目もある。自身の炎と同じ色の光弾を流星の如く飛ばす自在法『アステル)』を使う。一度に数十発飛ばす事も可能。華奢な外観とは裏腹に強靭な膂力を持ち、体術にも長けており、シャナと互角に渡り合える程である。その他、マージョリーが幾十重も張り巡らせた防御の自在法を一瞬で容易く破壊してもいる。
自らに言い寄るシュドナイを相手にしないなど、基本的に他人に対して無関心な性格であるが、盟主たる“祭礼の蛇”のことは「彼女の神」とまでされるほどに崇拝しており、「彼が望めば唇を求められても拒まない」とまで言っている。その他、何故か誰もが扱いに困る変人ダンタリオンのことは「おじさま」と呼んで慕っており、ダンタリオンの勝手な行動によってトラブルが起きても、彼を庇ったりしている(しかし限度はある)。また、高い山の山頂で過ごす事を趣味にしており(これは“祭礼の蛇”の不在を耐えるための行為でもあった)、山を汚す登山家を嫌っている(過去に何度か出くわした際は、例外無く皆殺しにしたらしい)。
通称の由来はギリシャ神話で呪術を司る女神ヘカテー
灼眼のシャナSの『狩人のフリアグネ』でのフリアグネの話によると帽子の中には夢と秘密が詰まっているらしい。
アニメ版での設定では、膨大な器の持ち主で自分の器が満たされる事が望みだった。他者の器に自分の器を合わせると言う能力をもっており、今まで様々な者に器を合わせてきたが満たされたことはなかった。また、性格も原作と多少異なる。第二期では自らの偽りの器である近衛史菜を作り出し、悠二の元へ送り込んでいる。
“逆理の裁者”ベルペオル(ぎゃくりのさいしゃ)[Bel-Peol]
声:アニメ 大原さやか
“紅世の王”。炎の色は金色。[仮装舞踏会]『三柱臣(トリニティ)』の参謀。かつての役職名は軍師で、[仮装舞踏会]改組の際に改名させた。右目に眼帯をした、妙齢の三つ目の美女。狡猾で智略に長けており、この世のあらゆる陰謀に手が届くとまで謳われ、彼女を知る者はおよそ彼女に関わろうとしないほどに恐れられる鬼謀の“王”。[仮装舞踏会]構成員らから絶大な尊崇の念を向けられているが、彼女自身は目的のためには他者を簡単に利用し、切り捨てることができる冷酷な性格でもある。だが、『盟主』である“祭礼の蛇”に対しては非常に忠実で、古代から“祭礼の蛇”に付き従っており、彼を慕い、絶大な信奉を寄せている。「思うままに生きる」ことを好む他の“徒”とは違い、「思うままにならない事にこそ挑む甲斐を感じる」という特質を持つ。常から不在がちだった盟主と、託宣に明け暮れる巫女“頂の座”ヘカテー、不真面目な将軍“千変”シュドナイに代わり、実質的に組織を運営していた。
『三柱臣』として大命遂行の際にのみその行使を許される宝具は鎖型の『タルタロス』。『大戦』で『大命詩篇』が砕け、その影響で苦しむヘカテーを救助するために外部との共振、特定現象から切り離すなどの場面が見られるものの、その力の詳細は不明。
星黎殿』の司令室である『祀竃閣』にいることが多いが、大命遂行のために外出する事も多い。「組織であるがゆえの強さ」を重んじ、数千年という単位で唱えている。
[仮装舞踏会]は強力な“王”達が在籍しており、いざ動いた時の影響力の大きさやベルペオルの智謀への評価から、対峙するフレイムヘイズは事あるごとに「彼女の陰謀の一環では無いか?」と疑心暗鬼に駆られて、その勢いを押し留める結果となっている。本人も自分の評判をせいぜい有効に活用しているようである。
教授ダンタリオンを比較的上手くコントロールできる数少ない人物であり、彼から自在式を込める事のできる金塊『デミゴールド』をせしめ、それを使って『非常手段(ゴルディアン・ノット)』などの宝具を製造している。『零時迷子』のありかに気づいた後、『実験』を一段落させたダンタリオンを再び呼び戻し、“壊刃”サブラクに声を掛け、シュドナイ始め戦闘部隊に外界宿(アウトロー)を攻撃させている。
通称の由来は、七つの大罪の一つ『怠惰』に関連付けられた悪魔ベルフェゴール(Belphegor)の前身とされ、旧約聖書に記述のある異教神バアル=ペオル(Baal-Peor)と思われる。ベル=ペオル(Bel-Peol)という表記はフレッド・ゲティングズ著『悪魔の事典』にみられる。
“嵐蹄”フェコルー(らんてい)[Fecor]
声:アニメ 間宮康弘
“紅世の王”。炎の色は臙脂。『星黎殿』の防衛を一手に任せられている。更にベルペオル不在の際の裁量まで任されている、ベルペオルの副官的存在。伸びた黒髪、蝙蝠のような大きな翼に細い尻尾、尖った耳と角、という悪魔のような特徴を持ち、鋲を打ったベルトに湾曲刀を提げた、平凡なスーツを着た押しの弱い小役人風な中年男の姿。が、そんな見た目に反して強大な力と恐るべき自在法を持つ“王”。
普段は『星黎殿』の出迎え・案内役をしている。これは密かな監視などが目的ではなく、組織の末端にまで眼を配り、構成員たちの生の声を聞いて、構成員の立場から組織の姿を捉えようという彼自身の意図によるものである。『星黎殿』の中では、『銀沙回廊』の誘導装置である松明『トリヴィア』を用いて『秘匿の聖室(グリュプタ)』の力を纏っているため彼の強大な気配は隠されており、見た目の貫禄の無さと、誰に対しても腰が低い事もあって、若い“徒”には彼の実力を知らない者も少なくはなく、ウィネなどは単なる「案内係のおっさん」としか認識していない(そもそも彼が“嵐蹄”である事に気づいていない)。しかし、ウィネの事は気に入っており、彼が求めてやまないベルペオルとの接見を取り計らったこともある(しかし結果的に後の悲劇の原因となった)。また、普段「一“徒”」としてしか振舞っていないが故に、人目に付く場所で『三柱臣』に“嵐蹄”として謁見する際は、正体を隠すために全身を棺のように『マグネシア』で包んで謁見する。
臙脂色の粒子の嵐を操る鉄壁の防御系自在法『マグネシア』を使う。粒子の嵐はフェコルーの意思に応じて自在に操作可能であり、球状に広大な範囲内全域を猛烈に吹き荒れ、大量に凝固させることで大質量の巨大な物体なども瞬時に作り出せる。粒子は見た目の数十〜数百倍という超重量を持っており、『マグネシア』の嵐の内部にいるものは、防御の力であるにも関わらず「攻撃」とも思える様な圧倒的な打撃を常に受け続けることとなる。また、この粒子はこびり付くために嵐の中に留まるほど重い枷となっていく。嵐の内部には外部からの炎による攻撃も通らない。この嵐と、巨大な粒子の立方体を猛烈な速度で大量に絶え間なく放ち続けるという、圧倒的質量でのごり押しによる攻防一体の鉄壁の防御陣である。また、凝固させた粒子を自身を中心に巨大な球状に膨れ上がらせるという「防御」によって、周囲を吹き飛ばし押し潰す、大規模かつ大威力の破壊を一瞬で行うこともできる。ただし、周囲に味方がいる場合に味方の位置を把握せずに使うと味方も巻き込んでしまう恐れがある(把握してさえいれば、嵐の中に無風地帯を作り出し味方を防御する事も可能)。
通称の由来は財宝を守るとされる悪魔フェコル。
第二期アニメにも登場し、ヘカテーの偽りの器である近衛史菜を悠二の元に送り込んだ直後にベルペオルに伺いを立てていた。
“千征令”オルゴン(せんせいれい)[Orgon]
声:アニメ 斧アツシ
“紅世の王”。炎の色は錆びた青銅のように不気味な緑青色巡回士ヴァンデラー)の一人。ベルペオルの古くからの直属の部下。『大戦』にも参加している。かなり傲慢で尊大な性格で、馬鹿にされるのを嫌う。
トランプのジャックの騎士の名(『ホグラー』『ラハイア』『ヘクトル』『ランスロット』)を冠す『四枚の手札』を中心とした『レギオン』という、自らの“存在の力”を込めた薄く鋭い紙の軍勢(アニメでは立体的になっている)を用いて戦う。また、この『レギオン』に自らの本質の顕現に使う力のほとんどを注ぎ込んでいる為、その姿は帽子、マント、手袋が浮いているだけのものとなっている。一見マティルダの『騎士団(ナイツ)』と似た能力だが、『レギオン』は自在法とはいえ、“千征令”というオルゴン固有の本質の顕現であるため『騎士団』とは原理も由来も関係なく、またオルゴン本体だけを討滅しても『レギオン』は消えない。一部を倒したり翻弄するのは容易でも、全てを滅ぼすには骨が折れ、敵を疲弊させてその数を持って敵を蹂躙する、恐ろしく厄介な“王”。フレイムヘイズ達の外界宿(アウトロー)を単独で全滅させるほどに強大な力を持ち、「戦争屋」として恐れられている。
外界宿を潰す任務の帰り、[仮装舞踏会]からの連絡を受けてウィネと合流。ウィネに『天道宮』突入の為の囮として利用され、(彼の視点では)“天目一個”に虚仮にされ、ヴィルヘルミナに『レギオン』を翻弄され、と散々な目に遭った挙句、メリヒムの『虹天剣』によって全ての『レギオン』ごと一撃の下に滅された。
通称の由来は西のデーモンを指揮するという悪魔オルゴン。
“道司”ガープ(どうし)[Gaap]
“紅世の王”。炎の色は浅葱色。ベルペオルの直属の部下。武装修道士の姿をしている。切れ者ではあるが、大仰で騒がしい、嫌味な性格。東洋の[仮装舞踏会]構成員の中では五指に入る使い手。駆ける速さで並ぶものはないと言われ、連絡役として動く事が多い。ただし精度や機動性には欠ける。『大戦』にも参加していた。
戦闘では『四方鬼』という“燐子”の人形で固定した敵を体当たりで突き破る『大突破』という技などを使用する。シャナが『炎髪灼眼の討ち手』として契約する数ヶ月前に史上最悪の“ミステス”、“天目一個”に討滅、吸収される。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では33番に記載される悪魔ガープ
“驀地祲”リベザル(ばくちしん)[Ribesal]
“紅世の王”。炎の色は弁柄色巡回士ヴァンデラー)の一人。ベルペオル直属の側近。直立する象ほどの大きさの三本角のカブトムシの姿をしている。
実力は折り紙付きだが言動も性格も荒っぽい。しかし愚鈍ではなく、見た目ほどの猪武者でもない。四本の腕を持ち、下の二本の腕を組んで、その上から水晶の数珠を巻きつけている。その数珠をばら撒き、そこから七体の炎の分身を作り出すことが出来る。ヘカテーとベルペオルへの忠誠心が高すぎたために当初は帰還した“祭礼の蛇”を盟主とは認めず貶しており、謁見の式典にて礼儀を叩き込もうとしていたが、逆に“祭礼の蛇”の途方もない力とその在り様を見て極限まで驚嘆・感動し、完全に平伏する。
通称の由来は悪霊リベザル

[編集] 仮装舞踏会の“徒”

“琉眼”ウィネ(りゅうがん)[Vine]
声:アニメ 鈴木達央
“紅世の徒”。炎の色は藤色捜索猟兵イエーガー)の一人。比較的若年の“徒”で、この世に渡り来て半世紀もたっていない。バイクをこよなく愛し、外見はライダースタイル。この世で手に入れ、手入れも欠かさない年季の入った中型バイクに跨り、フルフェイスのヘルメットのシールドには大きな両目が描かれている。この目は気分に応じて表情を作り、力を使うときなどは大きな一つ目となる。
鋭敏な知覚能力に加え、自身の知覚を他人に伝染させて広範囲を探索する『知覚の感染』という能力を持っているため、探知と索敵に優れている。また、他者の視界を任意の方向にねじ曲げるという、味方のサポートなどの使い方次第では強力な武器になる能力も持つ。戦闘には向いていないが、それらの力を駆使して過去に三十人余りのフレイムヘイズを発見し、その中の十人を自身の手で打ち倒した功績を持つ。その功績によってベルペオルから勲章代わりとして『非常手段(ゴルディアン・ノット)』を手渡された。捜索猟兵の中では優秀な部類でそこそこ名は知られており、ストラスやフェコルーに気に入られ、会った事の無いシュドナイにも「使える奴」として名前は覚えられていた。ベルペオルを女神と崇め心酔しており、組織の大方針の一つである、「『炎髪灼眼の討ち手』の再契約阻止」を果たそうとするため、自身の能力で『天道宮』の場所を突き止めて奇襲したが、“天目一個”などの妨害に遭って失敗。最後は彼が女神と崇めるベルペオルによって『非常手段』に込められていた自在式の使用に命の残り火を利用され、絶望の中で消滅し、その自在式によって『天道宮』は崩壊した。
なお、ソラトとティリエルの兄妹を[仮装舞踏会]に紹介したのは彼である。彼らと別れる際、「因果の交差路で、また会おう」という“徒”の交わす別れの挨拶を教えたが、彼らの因果の道は再び交差する事はなかった。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では45番に記載される悪魔ウィネ
“翠翔”ストラス(すいしょう)[Stolas]
“紅世の徒”。炎の色は(はなだ)。布告官ヘロルト)の一人で、その中でも古株的な存在。全身は獣毛に覆われ、頭部は無く、大きく張った胸に一対の眼、腹部に裂けた口を持ち、両腕は翼になっている、鳥とも獣とも人ともつかぬ異形の“徒”だが、見た目に相違して温厚であり、非常に律儀で礼儀正しい。その性格ゆえに人付き合いも上手く、多くの“徒”達から人望を得ている。文中では「鳥男」と記述される。
鳥肉が好物で、鵞鳥を丸のまま喰らう(“徒”に通常の食事は不要であり、これはシュドナイの煙草などと同様、彼の嗜好である)。『大戦』には参加していないが、かつてとある“紅世の王”の組織(おそらく後述の[巌楹院])へ伝令に向かい、その根城に滞在していた際、先代『炎髪灼眼の討ち手』の襲撃に巻き込まれ命からがら逃げ延びたことがあり、その経験から『炎髪灼眼の討ち手』の復活を極度に恐れ、“琉眼”ウィネを始めとする多くの捜索猟兵を焚き付けて『天道宮』の捜索と再契約の防止を図っていた(が、結果だけ見れば完全な逆効果となった)。シュドナイの大命遂行に付き従い、シュドナイとベルペオルとの間で作戦の連絡・報告を行っている。『ドレル・パーティー』襲撃の際には、包囲網の指揮を取った。現在は『星黎殿』に帰還している。第二期アニメでは姿だけ登場している。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では36番目に記載される悪魔ストラス
“獰暴の鞍”オロバス(どうぼうのくら)[Orobas]
“紅世の徒”。炎の色は。『大戦』時は黒馬の姿をしており、シュドナイが騎乗していた。現在は姿を黒服の男に変えており(おそらく人化の自在法によるもの)、[仮装舞踏会]のシュドナイの軍に同行している。実直で堅苦しい性格をしている。かなりシュドナイに心酔している模様。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では55番目に記載される悪魔オロバス
レライエ[Lerajie]
真名及び炎の色は不明。白服の女性の姿をしている。オロバスとは正反対に軽い性格をしており、あまり遠慮なく物を言う。シュドナイの大命遂行に同行する。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では14番目に記載される悪魔レライエ
デカラビア[Dacarabia]
真名及び炎の色は不明。オロバスやレライエの上位に当たるらしい。シュドナイ曰く「有能ではあるが、とにかく変物」で、周囲からの好悪の感情が極端に分かれているらしく、オロバスとは折り合いが悪い模様。盟主が帰還した後、“螺旋の風琴”の前に現れる。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では69番目に記載される悪魔デカラビア
“聚散の丁”ザロービ(しゅうさんのてい)[Zarovee]
声:アニメ 御園行洋
“紅世の徒”。炎の色は飴色捜索猟兵イエーガー)の一人。柔和な笑顔を浮かべ、神父のような法衣を着た痩身の老人。
それぞれが細い力の紐で繋がった赤、青、黄、緑、桃のスカーフをそれぞれ巻いた同じ姿(人数と色分け、及びオーバーアクションは「秘密戦隊ゴレンジャー」など「スーパー戦隊シリーズ」のパロディ)に分身したり、離れた自分と融合する事が出来るが、一体一体の力は非常に弱く、残り火の強いトーチ程度。ビフロンスと組んで任務に当たる事が多い。一人称は「ワタクシ」。
“壊刃”サブラクを発見した結果、ベルペオルより『大命』の要たる坂井悠二の奪取、及び妨害するフレイムヘイズらを討滅する任務を授かったが、彼らはサブラクの襲撃のための囮に過ぎなかった。悠二によって秒殺討滅される。第二期アニメにも登場するが、登場する時期が原作より早くなっている。
通称の由来はヌクテメロンにおける3時のゲニウスの一人、危地を支配するザロビ。
“吼号呀”ビフロンス(こうごうが)[Bifrons]
声:アニメ 安元洋貴
“紅世の徒”。炎の色は樺色巡回士ヴァンデラー)の一人。土管を二つ繋げたような身体に虫のような足が幾対も生え、拷問器具のような鉄棒で編まれた頭部という異形の姿。ガリガリという金属音のような笑い声と、読点の多い口調が特徴。
普段は宝具『タルンカッペ』で気配を隠しているが、この状態では移動速度が非常に遅い。大破壊を得意とし、その砲身のような体に瓦礫を吸い込み、強烈な一撃を放つ。ザロービと組んで任務に当たる事が多い。入手経路や具体的にどう使用しているかは不明だが、携帯電話を使ってザロービと連絡を取り合っている。
ザロービと共に囮として使われており、最期にはシャナの一撃によって瀕死のところをサブラクによって遠隔操作され、自身の“存在の力”を砲撃に使い果たして消滅した。
第二期アニメにも登場するが、原作と異なり登場する時期が早くなっており、シャナの一撃によって消滅している。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では46番目に記載される悪魔ビフロンス
“蠱溺の盃”ピルソイン(こできのはい)[Pirsoyn]
“紅世の徒”。炎の色は不明。捜索猟兵イエーガー)の一人。ブカブカなローブを着て、泥棒のような大きな袋を背負ったやぶにらみの子供の姿をしている。
捜索猟兵の中では名の知れた方であり、相棒の“驀地祲”リベザルと共に多くの大功を挙げている。
通称の由来はソロモン72柱の一人で、『ゴエティア』では11番目に記載される悪魔グシオンの別名。

[編集] とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)

古く強大な“紅世の王”、“棺の織手”アシズを中心に組織され、16世紀初頭(先代『炎髪灼眼の討ち手』の時代)に『大戦』の結果消失した当時最大級の“紅世の徒”の集団。理由は“徒”によって異なるが、フレイムヘイズとの戦闘を前提に置く戦闘軍団。ヨーロッパのブロッケン山に要塞を築き、拠点としていた。[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]の名は、世に新しい理を作る際に、古い理に対してとむらいの鐘を送るという意味を持つ。

16世紀初頭に、”棺の織手”アシズが『壮挙』と呼ぶ『両界の嗣子』の形成を実行するため、大戦の5日前には『壮挙』を為すために必要不可欠な宝具である『小夜啼鳥ナハティガル)』の争奪戦を、その18年前には都市オストローデで戦いを、フレイムヘイズや敵対する“紅世の徒”との間で起こしている。なお、争奪戦では『小夜啼鳥』を奪取し、都市オストローデでは秘法『都喰らい』を発動させ、勝利を収めている。

彼らの『都喰らい』及び『壮挙』は、これを阻止すべく多数のフレイムヘイズを生み出し、さらに本来一人一党の討ち手達が、フレイムヘイズ兵団と呼べるまでの集団となる原因となった。特に後者の時期に「乱造」されたフレイムヘイズは、「ゾフィーの子供たち」と俗称される。

ブロッケン山、オストローデともに同名の土地が現ドイツ中部に実在する。「ゾフィーの子供たち」にゲルマン系の姓名が多いのは、同地方の出身者が多いからと思われる(物語のオストローデ市は都市ごと“存在の力”を喰われたので、人間同様「最初から存在しなかった事」となる筈であり、現在のオストローデ市と同一ではない可能性がある)。

“棺の織手”アシズ(ひつぎのおりて)[Asiz]
“紅世の王”。炎の色は。仮面をつけた蒼い天使の姿をしている。『清なる棺』という、ある意味封絶に似た周囲の因果から閉鎖された強力な凝固空間を作り出す能力を使える。かつて『鍵の糸』という仕掛けを使い『都喰らい』を行い、都市丸ごとの“存在の力”を得て自身を強大な存在にした、当時の乱獲者の中では最強の“王”であった。また、その“存在の力”を『九垓天秤』にも分け与え、強化していた。
元々は最古のフレイムヘイズの一人として活動していた“王”で、世界のバランスを守るという使命に燃える優れた自在師であり、契約者の『棺の織手』ティスと共に“徒”の組織をいくつも壊滅させた英雄だったが、契約者であった少女ティスの死に際に彼女への愛情に気づき、彼女の喪失を恐れて自身の能力である『清なる棺』を発動させ亡骸の崩壊を防ぎ、周りの人間を無数喰らい“存在の力”を得たと同時に自身を強引にこの世に再召喚、この世を跋扈する“徒”の様に顕現する事に成功する。彼がティスの死後に真名として名乗っている“棺の織手”とは彼と契約していたフレイムヘイズの称号であり、彼自身の本当の真名は“冥奥の環(めいおうのかん)”である。
ティスを蘇らせるためのすべを探してフレイムヘイズと敵対しながら世界を旅するうち、『九垓天秤』と呼ばれる強大な力を持つ九人の“王”を従え、中世最大級の“紅世の徒”の集団、[とむらいの鐘(トーテングロッケ)]を組織するまでに至る。
ティスを蘇らせることは叶わなかったが、ティスの最後の願いを叶える為に、存在の『分解』と『定着』の自在式(『大命詩篇』の断篇)を刻んだ金属板と宝具『小夜啼鳥ナハティガル)』の力を用い、自身と愛するティスの存在を融合させた『両界の嗣子』を生み出そうとした。
[とむらいの鐘]が強大な組織となったのは彼が出会った“徒”を誰も見捨てなかったからであり、癖の強い『九垓天秤』全員から慕われているところからもその人格面での優しさを伺える。愛し合う者同士が共に生きる事を望んだが叶わなかった過去を持つためか、マティルダとアラストールが愛し合っていた事を知っていたため、瀕死でもはや勝利は無いのに道具の如く世界のバランスを守るために死のうとする二人に同情し、二人の間にも子である『両界の嗣子』を作らせ仲間にしようと説得するが、最終的にアラストールの神威召喚『天破壌砕』で彼らに討滅される。
通称の由来はユダヤ教キリスト教での堕天使アザゼルの別名、カナンで崇拝された砂漠の神アシズ。
“虹の翼”メリヒム(にじのつばさ)[Merihim]
声:アニメ 小西克幸
“紅世の王”。炎の色は虹色。『九垓天秤』の一人で、役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の右。銀髪の青年騎士の風貌をしており、『九垓天秤』中で唯一、その姿は人間のものと酷似している。自己中心的で傲慢な性格で癇癪持ちだが、聡明な所や冷静な所や一途な所もある。[とむらいの鐘]の宿敵であり、当代最強を誇ったフレイムヘイズ、マティルダ・サントメールを愛し、恋敵であるアラストールを嫌っていた。
一体一体が並のフレイムヘイズに匹敵する力を持つマティルダの『騎士団』を一瞬にして切り伏せる剣技に加え、距離による威力減退がないという恐るべき特性を持つ直線のの破壊光線を剣閃と共に放つ、中世欧州において当代最高の破壊力を持つと称されていた自在法『虹天剣』を使い、さらに虹天剣の反射・変質を行う宙に浮く透明な「攻撃のための盾」である、硝子の盾の“燐子”『空軍アエリア)』を多数所持しており、メリヒム個人の戦闘力の向上に加えて、[とむらいの鐘]の軍全体を支える空中での強大な抑止力となっていた。また、虹天剣は虹の七色の内の赤や黄色の光線だけを飛ばして威力を抑えたり、ある程度広範囲に放つ事や、切り札として七人に分身し相手を囲み、それぞれが放つ七色の光で虹の輪を作り破壊の力を集中させ撃砕する技も併せ持つ。
先の『大戦』の折、先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールに敗れたのち、マティルダとの「誓い」を彼女への愛の証明として守る為、自らの顕現の規模を最低限の動くのみに抑えた「白骨」として数多くの『炎髪灼眼の討ち手』候補や幼少期のシャナ(まだ名は無かった)を鍛えた。シャナからは「シロ」と呼ばれていた。シャナの契約の後、マティルダとの「誓い」を果たすため、イルヤンカと共にマティルダ、ヴィルヘルミナと死闘を繰り広げ敗れた時から数百年間全く回復していない身体に残された命を削った最後の力で“紅世の王”としてシャナと戦い、身をもって彼女にフレイムヘイズの戦い方を教え、倒され、彼女に『最強の自在法』の存在を教えた後に、自らの愛の完遂とシャナの成長に満足しながら『天道宮』の崩壊と共に消える(アニメでは倒された後のシャナとの最後の別れのシーンは省かれた)。ヴィルヘルミナは彼に好意を抱いていたが、彼は最後まで彼女の好意を無視して真っ直ぐにマティルダを愛し続けた。あだ名は「虹の剣士」。通称のメリヒムの由来は雷と稲妻を齎す『空の軍勢』の君主たる悪魔デーモン、または地獄の九階級の第六位、アエリアエ・ポテスタテス(“空の軍勢”の意)の君主『メリジム(Merizim)』。つまり、『空の軍勢』が共通点であった。
“甲鉄竜”イルヤンカ(こうてつりゅう)[Illyanka]
“紅世の王”。炎の色は鈍色。『九垓天秤』の一人で、役柄は[とむらいの鐘]が誇る力の象徴『両翼』の左。体中が鈍色の鱗で覆われた、四足・有翼の巨竜の姿をしている。自らを老人と称する、非常に古株の“王”。戦闘時は獰猛な面を見せるが普段は温厚かつ思慮深く、ともすれば激発しがちなメリヒムらの抑えにまわる、『九垓天秤』の長老格。チェルノボーグのモレクに対する想いや、ヴィルヘルミナのメリヒムへの好意にも気付いていた。人間に対する認識は、他の“徒”と同様「麦の穂」程度にしか見ていないため、『壮挙』に何の引け目も感じていなかった。
口や全身から噴出し留まらせる事で強大な防御力を発揮する、当代最硬を誇る鈍色の煙の自在法『幕瘴壁』を使う。また、『幕瘴壁』は先端のみを硬化させることで強大な打撃力をもつ推進弾としても応用できる。
先の『大戦』の折、メリヒムと共に宿敵マティルダとヴィルヘルミナと戦い、ヴィルヘルミナの手によって討滅される。あだ名は「鎧の竜」。
通称の由来はヒッタイト神話の邪龍イルルヤンカシュ(イルヤンカ)。
“大擁炉”モレク(だいようろ)[Molech]
“紅世の王”。炎の色は黄色。『九垓天秤』の一人で、役柄は組織の運営や裁量を行う宰相。役職上組織のNo.2であり、『九垓天秤』の実質的なリーダーだが、普段は控えめというより小心で、地位に伴う威厳は皆無である。豪奢な礼服を纏った、直立した牛骨の姿をしている。「強者」ではなく「賢者」として恐れられた数少ない“王”であり、戦闘には向いていないため戦闘面では主に作戦の立案などを担当しているが、その力の大きさは異常な程であり、自らを空間ごと山をも覆う巨大な牛型の迷宮へと変質させ敵を閉じ込め、同時に取り込んだ味方を有利な戦場で戦わせサポートする自在法『ラビリントス』を使う。
同志に対しては穏やかで優しいが、人間は「自分達と同じ様な精神を持つが決定的に弱い種族」として、他の“徒”同様、「麦の穂」程度にしか思っていない。また、他人の自分への思いを察知するのにも疎く、最後まで周りからの密かな尊敬やチェルノボーグの好意にも気付けなかった。最後は主や仲間のために、自身の確実な死を理解しながらも『ラビリントス』を維持し続け、マティルダの全力爆破により討滅された。あだ名は「牛骨の賢者」。チェルノボーグからは「痩せ牛」とも呼ばれる。
通称の由来は旧約聖書でも語られる古代中東の神モレク
“闇の雫”チェルノボーグ(やみのしずく)[Chernobog]
“紅世の王”。炎の色は枯草色。『九垓天秤』の一人で、役柄は隠密頭だが、『頭』とは言っても部下などはおらず、単独で行動する暗殺者である。巨大な右腕と獣の耳を持つ、黒衣を纏った黒髪で痩身の女性であり、顔と耳の白い毛以外は全てが黒く覆われている。右の巨腕を織り交ぜた体術や爆破攻撃や、影に身体の一部や全体を潜り込ませ近距離へと転移する『影浸』という自在法を駆使し闘う。モレクに好意を寄せ、彼から与えられた仕事をこなすこと、彼を守る事にこの上なく大きな充足感を覚えていたが、表面上は彼を「痩せ牛」と呼んで蔑むそぶりを見せ、いつもきつい態度で当たっていた。
モレクを失った喪失感からの自暴自棄の自殺にも近い特攻の果てに、先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールの胸を貫き致命傷を負わせるも、ヴィルヘルミナ・カルメルの手で討滅される。あだ名は「黒衣白面の女」。
通称の由来はスラヴ神話に登場する黒の神チェルノボグ
“凶界卵”ジャリ(きょうかいらん)[Jarri]
“紅世の王”。炎の色は亜麻色。『九垓天秤』の一人で、役柄は組織のための情報収集にあたる大斥候。魔物・老人・女の面が張り付いた人間大の卵の姿をしていて、その3つの面から、付き合いの長い仲間でさえもなんとなくしか意図が知れない意味不明な声を繋げて喚く。[とむらいの鐘]の中でも古参の“王”。チェルノボーグのモレクに対する想いにも気付いている様で全く関係ない様な、微妙な発言もした。
無数の蠅の大群にて広範囲の相手を索敵・情報収集・攻撃する自在法『五月蝿る風』を駆使する。攻撃用の自在法では無いため、ある一定以上の防御力を持つ相手には攻撃効果がないが、それでも十分に強力であり、防御手段を持たないフレイムヘイズは蠅に喰われてしまうため、『大戦』では戦場となった平原の空中に密集させることで、『空軍(アエリア)』を失ったメリヒムに代わり討ち手の大部分の飛行を封じていた。あだ名は「奇妙な卵」。最強の敵マティルダを前に最後まで主に付き従ったが、マティルダにより『天破壌砕』を行う際の生贄とされた。
通称の由来はヒッタイト・小アジアの疫病の神。
“巌凱”ウルリクムミ(がんがい)[Ullikummi]
“紅世の王”。炎の色は濃紺。『九垓天秤』の一人で、役柄は先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。分厚い鉄板もしくは鉄塊を巨大な人型に組んだような姿で頭部は無く、胴体部分に双頭の白い鳥の絵が描かれている。大戦では“徒”の軍勢を率い、フレイムへイズ兵団と戦った。周囲の鉄を集め、自身の濃紺の炎の竜巻に巻き込み、“存在の力”で強化された鉄による膨大な質量と速度の怒涛で敵を砕く自在法『ネサの鉄槌』を使う。あだ名は「鉄の巨人」。
卓抜した戦術眼と統率力の持ち主であり、公明正大な人格者で、仲間からの信頼も厚い。『大戦』では、先手大将として軍勢を率いて、ゾフィー率いるフレイムヘイズ軍団と戦い続け、終始フレイムヘイズ軍団と互角以上に戦った。アラストールの顕現により大勢が決した後はより多くの同胞を生かすため、生き残っていた全軍を[仮装舞踏会]へ任せ、自身はフレイムヘイズを足止めするために残り、ゾフィーに討滅される。
通称の由来はヒッタイト神話に登場する巨人ウルリクムミ
“架綻の片”アルラウネ(かたんのひら)[Alraune]
“紅世の徒”。炎の色は薄桃。その姿は、美女の顔を中心に抱いた妖花。援護や補助の法を得意とする自在師で、“巌凱”ウルリクムミの副官を務めていた。常に疑問形で話す癖がある。最後まで先手大将としての使命を果たそうとするウルリクムミに付き添い続け、彼と共に散る。
通称の由来は人の形をした植物、アルラウネ
“焚塵の関”ソカル(ふんじんのせき)[Sokar]
“紅世の王”。炎の色は黄土。『九垓天秤』の一人で、役柄は“巌凱”ウルリクムミと同じく先陣を切って[とむらいの鐘]の軍を率いる先手大将。木の葉一つ無い石の大木の姿をしており、洞から喋る。周囲一帯を石の木で覆い尽くす防御陣『碑堅陣』の使い手。あだ名は見た目通りの「石の大木」。名うての戦上手であったが、『大戦』では、防御陣と性格の相性が悪いこともあってカール・ベルワルドによって速攻で討滅されてしまった。見栄っ張りな性格で、ブロッケン要塞落成の式典の際には、入城の序列を巡って騒ぎを起こしたりもした。話が回りくどい。陰険悪辣の嫌な奴(ウルリクムミの評)である為か、他の面々、特にニヌルタとは反りが合わない。“千変”シュドナイと知らぬ仲ではないらしい。
通称の由来はメンフィスの墓地の神。
“天凍の倶”ニヌルタ(てんとうのぐ)[Ninurta]
“紅世の王”。炎の色は(あおぐろ)。『九垓天秤』の一人で、役柄は全軍の中核となるアシズを守りつつ、[とむらいの鐘]の主力軍を統率する中軍首将。その姿は槍や剣や棍棒など様々な武器が刺さったガラスの壷で戦闘時はこれらの武器に霜が降り始める。「氷の剣」と形容されている。謹厳実直な性格で、公正ならば文句は言わないが、自己顕示欲の強いソカルとはよく激突していた。『大戦』直前の『小夜啼鳥』奪取の際にフレイムヘイズらによって討滅された。漫画版「灼眼のシャナX Etarnal Song -遥かなる歌-」では、アシズたちの退路を守ってマティルダに討滅された。
通称の由来はバビロニア神話の戦争の神。
“戎君”フワワ(じゅうくん)[Huwawa]
“紅世の王”。炎の色は焦茶。『九垓天秤』の一人で、役柄は戦機に応じて動き、強襲や危険な任務を遂行する遊撃部隊の長・遊軍首将。腹まで口が裂けた巨大な狼の姿をしており、「牙剥く野獣」と形容される。戦いにしか興味のない性格。『大戦』以前の『都喰らい』発動後の戦いでマティルダによって討滅された。
通称の由来はバビロニア神話の怪物フンババ (Humbaba) の古名と思われる。

[編集] 革正団(レボルシオン)

19世紀に現れ始めた『“紅世の徒”の存在を人の世に知らしめる』という思想を元に活動する“徒”達の集団。その実体は『組織』と言うより『集団』と例えたほうが的確な思想結社。通常の組織と違って明確な組織の首魁などが存在せず、各地で散発的にこの集団である事を“徒”やその賛同者(人間やフレイムヘイズを含む)が名乗り、『運動』と称して活動していた。その活動目的から封絶を良しとしない傾向がある(その為、[革正団]のメンバーは封絶をあまり使わない)。極一部とはいえフレイムへイズも所属していたという点で他の組織とは一線を画している。1930年頃には欧州で活動が活性化し、遠く離れたアメリカ大陸からもこの集団を止めるために多くのフレイムヘイズが駆り出されていたため、その頃にはメンバーは相当な数に上っていると思われる。普通のフレイムへイズや“徒”からは狂気の集団の如く扱われていた。

“征遼の睟”サラカエル(せいりょうのすい)[Sarakiel]
“紅世の王”。炎の色は碧玉。美麗な男性の聖職者の風貌をしているが、戦闘の際には後光が射して、髪の間に無数の縦に開いた瞳が現れる。[革正団(レボルシオン)]の一人であり、20世紀初頭のハワイの近辺で活動していた。睨んだ対象に自在法を飛ばし、瞳を対象に宿らせる事で強化や干渉を行う自在法『呪眼(エンチャント)』を使う。また『呪眼』である瞳自体を飛ばし、防御や攻撃にも用いる。
理知的な性格で、自分の思想に共感するのであれば、敵であるフレイムヘイズも、“徒”から食われれば非常に弱い人間も、『同志』としてどちらが上も下も無い対等な関係である事を望む。
自覚も無く“徒”に喰われ続けるだけの人間を憂い、“徒”と人間との間に『明白な関係』を打ち立てることで、二つの種族が住まうこの世をより良く変えようとしていた。これは人間が“徒”に比べて劣った搾取される種族である事を世に知らしめる行為と同義であり、混乱や虐殺の増加を招きかねない上に、人間という種族全体が失意と落胆に陥る可能性のある行為でもあったが、彼は人間ならばそれすら乗り越え、“徒”と向き合ってより良く生きて行けると本気で信じていた。
教授製作の『オベリスク』(正式名称『我学の結晶エクセレント27071-穿破の楔』)を使い、自分の命を力に変え使い果たす事で、自在法を乗せた電波を世界中に発信し、あらゆる送受信機に自らの言葉と姿を現すことで、『明白な関係』作りのためのささやかなきっかけを作ろうとしていたが、サーレや『約束の二人』、『極光の射手』としての真の顕現を果たしたキアラ・トスカナに妨害され失敗、最期を悟った後は、自らの願いをほんの少しだけ発信し、この世と人間を蹂躙する事のできる力を持った“紅世の徒”の存在の説明と、そんな“徒”とも対等に関わっていく事のできる人間の『心』についての語りの中途で『オベリスク』ごと粉砕され討滅される。
通称の由来は天使サリエルの別名。
“吠狗首”ドゥーグ(はいこうしゅ)[Doog]
二足歩行の黒犬の姿をした“紅世の徒”。炎の色は灰色。[革正団(レボルシオン)]の一人である。[革正団]として活動する200年ほど前からサラカエルと行動しており、その頃はサラカエルを『お頭』としていた。
犬の面と毛皮を付けた岩石獣人の“燐子”『黒妖犬(モディ)』を使う。簡単な命令をこなす程度の最低限の知能しかないが、大量に作り出すことや、機能を凍結させ長期保存させる事もできる。奥の手として『黒妖犬』自身が崩壊するほどの強烈な咆哮を放つ『金切り声(トラッシュ)』を持ち、サラカエルの『呪眼』の強化と組み合わせることで、複数のフレイムヘイズや“紅世の王”をしばらくの間行動不能にさせる事が出来る。
ハワイ島マウナロア火山近域で行われた戦いで、強化された数十体の『黒妖犬』による『金切り声』でサーレやキアラ達の鼓膜や肺を破り気絶させ、時間を稼いだ後はサラカエルの言い付けで戦線を離脱、瓦礫に飲まれかけた同志ハリエットを助けた後は、サラカエルの遺言で、他の同志に彼の考えが書き込まれた本を見せるために、本を持ってアメリカ大陸へと海を泳ぎ、消息不明となる。
通称の由来はマン島の妖精犬、モーザ・ドゥーグ。

[編集] 百鬼夜行

“紅世の徒”を時代に応じた乗り物で運び、送る事を生業とする運び屋。隠蔽と遁走に秀でた三人の“徒”が営む集団。古くから弱小の“徒”の移動手段や大物の“徒”の隠遁行動の助けなど、多くの“徒”を運び届けてきた。モットーは「安全運転、安全運行、危機に対さば、即退散」。

三人ともそれなりに大きい力を備えているが、力を誇らないために“王”とは見なされず(また、強大な“王”達に比べればその力も自在法も格段に見劣りする)、 ゼミナ以外は戦闘にも向いていない。しかし、小知恵が回り、人心の操作や相手の裏をかく事に長け、慎重に根気強く潜伏しながら業務を行い、自身らの脱出・逃走を行動原理の最優先として、危機に際してはその能力の全てをかけて手段を選ばず逃げる事で、何度となく死に掛けながらも遥か昔から生き残ってきた。

20世紀初頭に起こった欧州での[革正団]の騒動では彼らの足となり、外界宿の警戒網を掻い潜って[革正団]の構成員を運び、指導部に暗殺者を送り届けるなど、影の花形として活躍していた。

“深隠の柎”ギュウキ(しんいんのふ)[gyūki]
“紅世の徒”。[百鬼夜行]の頭目。炎の色は不明。長く伸びた首の先に角ばった木彫りの獣顔が付いた、獅子舞や西洋のシーツお化けのような姿の“徒”。人間を利用する事に長けた[百鬼夜行]の三人の中でも、特に優れた手腕を持つ。パラからは「ボス」、ゼミナからは「ギュウキさん」と呼ばれている。
透明な布状の力で覆う事で自身・他人を大人数、大きくも小さくも気配隠蔽を施せる自在法『倉蓑笠(くらのみのかさ)』を使う。これは他者の姿を自分達そっくりに偽装させる事も出来る(偽装させられた側は声を出せなくなり、偽装の口からはギュウキ達の言葉が勝手に放たれる)。
シーツ状の体の端からは、必要に応じて木製異形の腕が出て来る。物事を説明する際、翡翠でできた兵棋の駒をよく使う。
通称の由来は牛鬼
“輿隷の御者”パラ(よれいのぎょしゃ)[Para]
“紅世の徒”。[百鬼夜行]の運転手。炎の色は不明。緑の制服、白手袋、ゴーグルを身に着け、口元にスカーフを巻いた、暗い翳りのような姿。パラとギュウキの能力の組み合わせによって[百鬼夜行]の通常活動は行われている。
あらゆる物体を“燐子”に変化させる技巧者で、[百鬼夜行]の乗り物は彼が作り出す“燐子”である。また、体組織の黒い翳りをばら撒き、それを取り付かせた物体を幾十百も操作する自在法『ヒーシの種』を使う。ただし、ばら撒く範囲が広すぎると制御しきれない場合もある。
通称の由来はフィンランドの伝承に登場する家事の聖霊。
『大人君子号(たいじんくんしごう)』&『温柔敦厚号(おんじゅうとんこうごう)』
パラの作り出した二つの“燐子”。[百鬼夜行]中央亜細亜便の移動手段。年代物のボンネットバスの姿をしており、五十度を越える急斜面にへばり付いて走行することもできる。話すことはできない。運転しなくても動く。
乗客を運ぶ際は『大人君子号』にパラが、『温柔敦厚号』にゼミナが乗り込み、ギュウキはフードマスコットの姿で両方のボンネット先端に張り付いて気配隠蔽を施している。本編開始の二年前に[百鬼夜行]に誘導されてヴィルヘルミナを襲撃した数十名の“徒”を逃がさない為に、ヴィルヘルミナによって瞬く間に破壊された。
このバス以外にも[百鬼夜行]は時代の移り変わりと共に様々な乗り物を使って運び屋家業を行ってきており、20世紀初頭の[革正団]の騒動時には軍用の大型飛行艇をも使用している。なお、乗客は乗り物の中では人化の自在法を使うことを義務付けられる。
“坤典の隧”ゼミナ(こんてんのすい)[Žemyna]
“紅世の徒”。[百鬼夜行]の用心棒。炎の色は不明。外見は二十代半ばでざんばら髪を雑に束ね、眼の周りに隈取をした和装の女。三人中唯一戦闘向きの“徒”で、非常時(主に戦闘・逃走)の対応担当。武器として常にゴツいツルハシを持ち歩いている。
地面に大穴を掘り離脱する遁走の自在法『地駛(じばしり)』を使う。地面から遠く離れると使えない。
通称の由来はリトアニアの民間伝承に登場する自然の女の精霊。
セムルヴ
“紅世の徒”。[百鬼夜行]の斥候(臨時雇い)。真名及び炎の色は不明。
鳥とも竜とも見える姿をしていた。[百鬼夜行]を追って中央アジア入りしていたヴィルヘルミナに「斥候らしき不審者」として目をつけられ、逃走。渓谷に潜伏していた“壊刃”サブラクによる『約束の二人』襲撃に巻き込まれて命を落とした。

[編集] 巌楹院(ミナック)

電撃黒マ王掲載の「灼眼のシャナX Eternal song ‐遙かなる歌‐」に登場。16世紀初頭の北フランスで大きな勢力を有していた、“盤曲の台”ゴグマゴーグを首領とする組織。“徒”達の代理戦争協定「君主の遊戯」の遊戯者の組織の中でも大物であった。

“盤曲の台”ゴグマゴーグ(ばんきょくのだい)[Gogmagog]
“紅世の王”。炎の色は不明。“徒”の組織、[巌楹院(ミナック)]の首領。
一見すると等身大の女性型人形の姿をしているが、実は人形の踊る舞台と周囲の白い石造りの建造物が丸ごと本体であり、戦闘時には巨大な機械人形と化して動き出す。一人称は「儂」。己の部下を容赦なく切り捨てる傾向がある。幻覚で相手を惑わし、機械人形の拳で叩き潰すという戦法を取る。「大戦」の直前、本拠地でベルペオルから加勢の依頼の伝令を預かった“翠翔”ストラスの伝令を了承した直後、マティルダとヴィルヘルミナの襲撃を受けてしまい、討滅された。
通称の由来は巨人ゴグマゴグ


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