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立石 (葛飾区) - Wikipedia

立石 (葛飾区)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

立石全景(Copyright © 国土画像情報 カラー空中写真 国土交通省)
立石全景(Copyright © 国土画像情報 カラー空中写真 国土交通省)

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立石(たていし)は東京都葛飾区の中西部にある地名である。現在の住居表示では立石一丁目から立石八丁目まであり、人口は21,761人(2005年3月1日現在)。郵便番号は〒124-0012。葛飾区役所の所在地でもあり(立石五丁目13番1号)、葛飾区の行政の中心地を担っている。南には東立石が隣接する。

また、京成押上線京成立石駅を中心とした生活エリアをまとめて立石または京成立石(けいせいたていし)と呼ぶこともある。この場合、行政上の町名でいえば立石や東立石などがほぼ該当する。

地名は立石八丁目37番17号にある立石様という石に由来する。地域の特徴は、昭和時代の情緒ある下町の町並み(レトロ感覚の商店街、町工場など)が現在でも残っていることである。

目次

[編集] 地理

京成立石駅
京成立石駅
立石仲見世
立石仲見世

中川の西岸に位置し、亀有の約3km南方にある。町域は北西は国道6号を、西は平和橋通りを挟んで四つ木に囲まれる形で接している。南は奥戸街道を挟み東立石に、東は中川を挟んで奥戸にそれぞれ接している。町の北東にある京成本線青戸青砥)との町界になっている。

町内にある唯一の鉄道駅が京成押上線の京成立石駅である。駅前は現在、レトロな雰囲気の立石仲見世商店街の他、立石駅前通り商店街、スーパーマーケットイトーヨーカドー立石店)などがひしめく状態であるが、周辺の路地は車の通行が困難なほど狭く、駐車スペースもほとんどない。このため、狭いエリア内で車の進入を気にせずに買い物できる気軽さがある。一方、建物の老朽化などの観点より京成押上線が高架化されるのに合わせた駅前の大規模再開発も検討されている。

町内の商業エリアとしてはこのほか区役所周辺(長崎屋ホームピック・サミットコジマなど)、奥戸街道沿いなどがあるが、住民は近隣の青砥駅周辺の商店やイトーヨーカドー四つ木店などもよく利用している。

周辺は、もともとは中小の工場が多い土地柄であったが、近年はその跡地を利用したマンション建設が盛んである。

町内には葛飾区役所、葛飾税務署、葛飾警察署、かつしかシンフォニーヒルズ(文化会館)、葛飾保健所、葛飾エフエム放送などの公共施設が集中しており、葛飾区の行政上の中心地である。町名の由来となった立石様、安倍晴明が勧請したと伝えられる立石熊野神社などの史跡がある。

一方、東立石は、中川湾曲部に囲まれた袋状の地域で、町内には本田消防署(ほんでんしょうぼうしょ)、渋江公園などがある。

なお、現在の立石・東立石・四つ木・東四つ木・宝町を合わせた地域は昭和40~41年(1965年~1966年)に住居表示が実施されるまで本田(ほんでん)と呼ばれていた。消防署の名はこれに由来している。

立石様
立石様

[編集] 立石様

立石八丁目37番17号にある。現在は児童公園に併設する祠の中心に鎮座している。

付近にかつて古墳があったことやその材質(房州石という凝灰石の一種)から、古墳の石室などと同様 千葉県鋸山付近より同地に持ち込まれたと推定されている。また、奈良・平安時代には立石付近を横断していた古代の官道(東海道)の道標として転用されていたと考えられている。

江戸時代には高さ60センチ以上あり、「根有り石」とも呼ばれていた。名所として諸本(兎園小説、明細帳、江戸名所図会など)にも登場し、立石様の根を掘ったことで災いが起きたなどの伝説を生んでいる。

後に、立石様を欠いて持つと病気に効くという信仰や日清・日露戦争時に弾よけのお守りとして欠いて持つ人が現れたことや地盤沈下などの結果、現在では地表より数センチ程度の高さしかない状況である。

[編集] 歴史

京成立石駅構内にある江戸時代の立石の図。中央で男性が屈んで覗いている。
京成立石駅構内にある江戸時代の立石の図。
中央で男性が屈んで覗いている。

古墳時代には既に拓けていたと考えられており、立石様の周辺には古墳(南蔵院裏古墳)が存在していた(この古墳は明治時代に破却された)。立石様自体も近郊の古墳の石室と同質の房州石(凝灰岩)であることが解っており、このころ千葉県鋸山付近より同地に持ち込まれ、奈良・平安時代には立石付近を横断していた古代の官道(東海道)の道標として転用されていたと考えられている。

室町時代1398年応永5年)に記された「下総国葛西御厨注文」に地名としての立石が初めて登場する。

江戸時代、西葛西領のうち主に新田開発前から田畑のあった立石地域は隣接する向島地域とともに本田筋に区分されていた。この時代、この地域はのほかにウリ(本田ウリ)やその他の農産物を江戸に供給する農村地帯であった。

明治に入り、行政上、東京府南葛飾郡に属することとなる。明治22年(1889年)4月、町村制施行によって江戸時代より続く立石村、梅田村、川端村、原村、中原村、淡之須村、篠原村、渋江村、四ツ木村、宝木塚村などの約十カ村を合わせて南葛飾郡立石村が生まれた。このとき合併前の村名は大字名として存続した。その後立石村は明治23年(1890年)、本田村と改称し、昭和3年(1928年3月1日には町制を施行し本田町となった。

一方、近代化に伴い、それまでの農村地帯は急激に変貌を遂げていった。大正元年(1912年)、京成電気軌道が開業し、京成立石駅が開設されたことで、東京市部との移動が容易になった。また、大正12年(1923年)9月に起こった関東大震災では本所深川浅草などから発生した罹災民が比較的距離の近い本田村へ流入し、以降地域は急速に人口増加・宅地化した。なお現在でも、奥戸街道沿いなど方形に整然と区画整理されている地域がみられるが、これらは大正11年(1922年)頃から昭和初年にかけて、宅地化を目的に行われた耕地整理事業の産物である。

かつて浜野繊維工業があった位置にある記念碑(東立石児童遊園内:東立石4-45)
かつて浜野繊維工業があった位置にある記念碑(東立石児童遊園内:東立石4-45)

また同時期に工業化も進み、大正3年(1914年)には現在の渋江公園の位置で、千種セルロイド工場が創業を始めた。これがこの地域における玩具産業の嚆矢となり、その後多くのセルロイド工場が立石、四つ木地域に集まってきた。現在でも、玩具産業の割合が高いのがこの地域の工業の特色の一つとなっている。更に中川の水が利用できたことから染色工業なども発達した。

昭和7年(1932年)10月の東京市への編入、葛飾区の誕生により本田町は近隣の4町2村と合併した。そしてそれまで本田町内にあった各地域(以前の大字)はそれぞれ本田立石町、本田梅田町などと「本田」を冠して呼ばれるようになった。区役所は当初、現在の立石図書館付近にあった旧本田町役場を使用していたが、昭和12年(1937年)、本田中原町の現在のかつしかシンフォニーヒルズの位置に新築移転した。この区庁舎は昭和20年(1945年)2月の空襲で一旦消失、戦後同地に再建されている。

立石の戦後復興は早く、ほどなく駅周辺に闇市が自然発生的に現れた。これが現在の仲見世商店街につながっているといわれている。 また低湿地帯に属する立石地域は過去幾度もの洪水に見舞われる地域でもあった。その災害史の中でよく知られるのが昭和22年(1947年)に起こったカスリーン台風による被害であり、このときは町域の多くが水没した。

昭和35年(1960年)になると、京成電鉄都営地下鉄1号線(現・浅草線)との相互直通運転を開始し、念願であった浅草国鉄駅(浅草橋駅)への鉄道での直接アクセスが可能になった。また、翌昭和36年(1961年)には区内初のスーパーマーケットであるイトーヨーカドーがオープンしている。

葛飾区総合庁舎
葛飾区総合庁舎

昭和37年(1962年)5月には、葛飾区総合庁舎(葛飾区役所、区議会議事堂など)が落成した。跡地は一旦、区体育館などになった。

住居表示の実施により、昭和41年(1966年)、本田梅田町、本田町、本田立石町、本田中原町などより現在の立石一丁目から立石八丁目が誕生した。また先立つ昭和40年(1965年)には本田原町、南立石町、本田川端町などから、東立石一丁目から東立石四丁目が生まれた。

[編集] 交通

[編集] 鉄道

京成立石駅は高架化が予定されている。なお京成立石駅より各地への所要時間は浅草駅まで約12分、日本橋駅まで20~25分程度(いずれも各駅停車利用時)である。

[編集] 路線バス

都営バス京成タウンバス京成バスの各バス路線がある。京成バス新小53系統を利用した新小岩駅亀有駅からの所要時間はいずれも15~30分程度である。

立石周辺のバス路線
立石周辺のバス路線

[編集] 道路・橋梁

[編集] 道路

[編集] 橋梁

  • 奥戸橋
  • 本奥戸橋
  • 平和橋

[編集] 施設

葛飾警察署
葛飾警察署
かつしかシンフォニーヒルズ
かつしかシンフォニーヒルズ
立石図書館
立石図書館
葛飾赤十字産院
葛飾赤十字産院
渋江公園
渋江公園

区役所等

  • 葛飾区総合庁舎(区役所、都税事務所、区議会議事堂など)(立石五丁目13番1号)

国、都の施設

  • 葛飾警察署(立石二丁目7番9号)
  • 本田消防署(東立石三丁目12番7号)
  • 東京都水道局葛飾営業所(立石八丁目17番4号)
  • 葛飾税務署(立石八丁目31番6号)
  • 葛飾社会保険事務所(立石三丁目7番3号)

集会施設

  • 立石地区センター (立石七丁目1番1号)
  • 東立石地区センター(東立石二丁目15番7号)

文化施設

  • かつしかシンフォニーヒルズ(立石六丁目33番1号)
  • 立石図書館(立石一丁目9番1号)
  • 葛飾エフエム放送(立石五丁目13番1号)

福祉施設

  • 立石休日応急診療所(葛飾区医師会館)(立石五丁目15番12号)
  • 葛飾区保健所 (立石八丁目18番6号)
  • シニア活動支援センター(立石六丁目38番11号)
  • 勤労福祉会館(立石三丁目12番1号)
  • ウィメンズパル(男女平等推進センター、消費生活センター 、障害者就労支援センター)(立石五丁目27番1号)
  • 葛飾赤十字産院(立石五丁目11番12号)

公園

  • 渋江公園(東立石三丁目3番1号)

保育園

  • 本田保育園(立石一丁目4番10号)
  • 梅田保育園(立石三丁目26番10号)
  • 立石駅前保育園(立石七丁目1番1号)
  • こひつじ保育園分園(東立石三丁目14番12号)
  • 東立石保育園(東立石四丁目45番5号)

幼稚園

  • 葛飾こどもの園(立石二丁目29番6号)
  • 麻耶幼稚園(立石八丁目4番12号)
  • 熊野幼稚園(立石八丁目44番31号)

小学校

  • 本田小学校(立石一丁目7番23号)
  • 梅田小学校(立石三丁目24番1号)
  • 清和小学校(立石六丁目2番1号)
  • 川端小学校(東立石一丁目2番1号)

中学校

  • 立石中学校(立石六丁目3番1号)
  • 本田中学校(東立石四丁目7番1号)

高等学校

銀行

イトーヨーカドー立石店
イトーヨーカドー立石店

スーパーマーケット

  • イトーヨーカドー立石店(立石一丁目18番3号)
  • 長崎屋立石店(立石七丁目10番7号)
  • サミット葛飾区役所前店(立石四丁目10番1号)

薬局

  • マツモトキヨシ立石駅前店(立石四丁目25番8号)
  • ユニバーサルドラッグ立石駅前店(立石一丁目19番8号)

家電量販店

コンビニエンスストア

  • サンクス立石駅前店(立石一丁目14番6号)
  • サンクス立石3丁目店(立石三丁目1番2号)
  • セブン-イレブン葛飾立石4丁目店(立石四丁目33番7号)
  • セブンイレブン葛飾東立石1丁目店(東立石一丁目3番6号)
  • セブンイレブン葛飾東立石4丁目店(東立石四丁目55番4号)
  • ファミリーマートさかた立石駅前店(立石一丁目22番4号)
  • ファミリーマート立石5丁目店(立石五丁目18番1号)
  • ファミリーマート立石8丁目店(立石八丁目33番4号)
  • ローソン立石1丁目店(立石一丁目20番11号)
  • ローソン立石8丁目店(立石八丁目43番15号)
  • am/pm葛飾立石6丁目店(立石六丁目34番15号)

ファーストフード

ファミリーレストラン

  • とんでん東立石店(東立石一丁目1番1号)
  • 華屋与兵衛四つ木店(立石二丁目11番1号)
  • ロイヤルホスト立石店(立石五丁目3番8号)
  • さと立石店(立石五丁目26番)
  • さと平和橋店(東立石一丁目13番7号)
葛飾区伝統産業館
葛飾区伝統産業館
立石駅通り商店街
立石駅通り商店街

喫茶店

  • サンマルクカフェ京成立石店(立石七丁目1番2号)
  • ドトールコーヒーショップ京成立石店(立石四丁目25番8号)

産業振興 葛飾区伝統産業館(立石七丁目3番16号)

商店街

  • 立石駅通り商店会
  • 立石大通り商店会
  • 立石勉強会
  • 立石中央通り商店会
  • 立石仲見世共盛会
  • 立石2丁目ハッピー商店会
  • 本田商栄会
  • 立石すずらん通り商店会
  • 区役所通り商店会
  • 立石西町商栄会
  • 立石通り商和会
  • 立石デパート商店会

[編集] その他

  • かつての立石を舞台として、つげ義春忠男兄弟が漫画を描いている。
  • かつては日本製薬葛飾工場が存在しており、血液製剤の製造が行われていた。この原料確保のために売血が実施されており、売血制度が廃止される1990年まで売血目的に訪れる人も絶えなかった。つげ忠男がデビュー前に同工場で働いており、五木寛之が血を売りに来た事もあったという。
  • 立石七丁目は玩具メーカーのタカラトミーの本社所在地である。2006年2月までは同地はトミーの、隣町の青戸タカラの本社所在地であった。
  • 2003年からは、毎年9月に「立石サンバカーニバル」を開催している。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 葛飾区郷土と天文の博物館編 『かつしかの地名と歴史』 葛飾区郷土と天文の博物館、2005年3月。

[編集] 外部リンク

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