福建省
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福建省 | |
略称: 閩 (拼音: Mĭn) | |
省会 | 福州市 |
最大都市 | 福州市 |
省委書記 | 盧展工 |
省長 | 黄小晶 |
面積 | 121,400 km² (23位) |
人口 (2004年) - 人口密度 |
35,110,000 (18位) 289/km² (14位) |
域内総生産 (2004年) - 一人あたり |
6,053億元 (11位) 17,200元 (7位) |
人間開発指数 (2005年) | 0.784 (中) (9位) |
民族 | 漢民族 - 98% シェ族 - 1% 回族 - 0.3% |
地級行政区 | 9 |
県級行政区 | 85 |
郷級行政区 | 1107 |
ISO 3166-2 | CN-35 |
公式サイト http://www.fujian.gov.cn/ |
中華人民共和国 |
主な出来事 人物 理念 統治機構 |
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福建省(ふっけんしょう、拼音: Fújiàn)は中国の行政区分の一つで、大部分を中華人民共和国が統治し、一部の島嶼を中華民国が統治している。
目次 |
[編集] 地理
福建省は八閩ともいい、中国大陸南東に位置し、北は浙江省、南は広東省、西は江西省と隣接している。また台湾海峡を挟み、台湾(台湾省)と接している。省内に武夷山脈と載雲山脈があり、武夷山脈が江西省との境となっている。
気候は温暖。
[編集] 歴史
古代閩人の領域であり、戦国時代に楚に滅ぼされた越王族が閩に逃げ込んだため、閩越と呼ばれるようなった。紀元前221年、秦に征服されて閩中郡が設置されたが、秦末の動乱期に閩越国として独立した。東治(現・福州)に都を置き、92年にわたって漢に抵抗したが、武帝に滅ぼされた。
非漢族はその後も長く勢力を保ったが、福建東部(福州とその周辺)と福建西北部(建州とその周辺)において漢族の開拓が進み、唐代半ばまでには両地域が結びついた。福建の漢化を決定付けたのは、唐代後期に地の利から沿岸地域を舞台に国内・海外貿易が盛んになり、加えて中原の戦乱を避けて様々な階層の人間がこの地に移住してきた。北宋には泉州に貿易官庁である市舶司が設置され(1087年)、朱熹をはじめ多くの文人・官僚を輩出するようになるなどわずか300年余りで未開地の典型であった福建は先進地域の仲間入りを果たした。だが、福建は山地が海に迫り、耕地が少ないので、人口密度が過剰状態となり、海上貿易が盛んであった事もあり、福建の開発が一段落すると、更なる飛躍を求めて海外に移住する者が後を絶たなかった。現在の台湾の本省人や東南アジア華僑の多くは福建からの移住者の子孫である。大部分は泉州、漳州、アモイの閩南地方からの移民である。
海流の関係で日本に近く、近世には倭寇と結託して密貿易を行う福建人が多かった。現在でも日本在住華僑の多くは福建出身であり、また蛇頭による日本密航も福建を出発地とすることが多い。
烏龍茶の生産地として広く知られ、特に武夷山市で生産される武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は世界的著名である。
[編集] 言語
福建語は中国語の4大方言のひとつで、省内ではさらに閩北方言、閩南方言、閩東方言などに分れる。内陸には客家語を話す人々も存在する。福建省は中国国内でも地域による方言差の激しい地域である。
[編集] 行政(中華人民共和国)
9地級市(地区クラスの市)が設置されている。
[編集] 経済
大陸部には中華民国からの直接投資が多く、在住する中華民国人も多い。経済的には海峡を挟んだ統合が進んでいる。
[編集] 教育
- 国立大学
- 厦門(アモイ)大学(1921年創立、アモイ)
- 華僑大学 (泉州)
- 公立大学
- 福建師範大学(1907年、福州)
- 福州大学(福州)
- 福建農林大学(福州)
- 福建医科大学(福州)
- 福建中医学院(福州)
- 閩江学院(福州)
- 福建技術学院(福州)
- 集美大学(アモイ)
- 泉州師範学院(泉州)
- 漳州師範学院(漳州)
- 莆田学院(莆田)
- 三明学院(三明)
- 私立大学
- 仰恩大学(泉州)
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福州市 | 鼓楼区 | 台江区 | 倉山区 | 馬尾区 | 晋安区 | 福清市 | 長楽市 | 閩侯県 | 閩清県 | 永泰県 | (連江県) | 羅源県 | 平潭県 |
廈門市 | 思明区 | 海滄区 | 湖里区 | 集美区 | 同安区 | 翔安区 |
莆田市 | 城廂区 | 涵江区 | 茘城区 | 秀嶼区 | 仙游県 |
三明市 | 梅列区 | 三元区 | 永安市 | 明渓県 | 将楽県 | 大田県 | 寧化県 | 建寧県 | 沙県 | 尤渓県 | 清流県 | 泰寧県 |
泉州市 | 鯉城区 | 豊沢区 | 洛江区 | 泉港区 | 石獅市 | 晋江市 | 南安市 | 恵安県 | 永春県 | 安渓県 | 徳化県 | (金門県) |
漳州市 | 薌城区 | 龍文区 | 龍海市 | 平和県 | 南靖県 | 詔安県 | 漳浦県 | 華安県 | 東山県 | 長泰県 | 雲霄県 |
南平市 | 延平区 | 建甌市 | 邵武市 | 武夷山市 | 建陽市 | 松渓県 | 光沢県 | 順昌県 | 浦城県 | 政和県 |
龍岩市 | 新羅区 | 漳平市 | 長汀県 | 武平県 | 上杭県 | 永定県 | 連城県 |
寧徳市 | 蕉城区 | 福安市 | 福鼎市 | 寿寧県 | 霞浦県 | 柘栄県 | 屏南県 | 古田県 | 周寧県 |
廈門市は副省級市。金門県、連江県の馬祖島は中華民国(台湾)が統治。 |
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直轄市 | 北京 | 天津 | 上海 | 重慶 |
省 | 黒竜江 | 吉林 | 遼寧 | 山東 | 河北 | 山西 | 陝西 | 甘粛 | 青海 | 江蘇 | 安徽 | 河南 | 湖北 | 浙江 | 江西 | 湖南 | 四川 | 福建 | 広東 | 貴州 | 雲南 | 海南 | (台湾) |
自治区 | 新疆 | 内モンゴル | 寧夏 | チベット | 広西 |
特別行政区 | 香港 | マカオ |
台湾問題も参照。 |
[編集] 中華民国における福建省
中華民国が現在統治している福建省は、中国大陸とは海峡をはさんだ島嶼部、金門県(金門島)と連江県の島嶼部(馬祖島)の2県のみである。現在の中華民国では台湾地区(台湾省、台北市、高雄市)との対比から、金門と馬祖の頭文字を使用した「金馬地区」と言う呼称がなされている。
1996年1月15日を以って、中華民国の福建省政府は、地方政府としての機能を「凍結」(事実上の廃止)させられている。現在の中華民国では、実質的に「省」という行政区分は機能していない。ただし、今でも公務員試験等における地域区分や、地方法院(裁判所)等の名称で「福建省」の名称が使われている。
上記の2県は国共内戦以来、防共の拠点として戒厳令のもと厳しい軍事態勢下にあったが、近年中華人民共和国による軍事的な脅威が減少したこと、また対岸の中国大陸との交流が活発化した事により、観光地へと変貌を遂げている。
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直轄市 | 台北 | 高雄 |
台湾省省轄市 | 基隆 | 新竹 | 台中 | 嘉義 | 台南 |
県(台湾省) | 台北 | 桃園 | 新竹 | 苗栗 | 台中 | 彰化 | 南投 | 雲林 | 嘉義 | 台南 | 高雄 | 屏東 | 宜蘭 | 花蓮 | 台東 | 澎湖 |
県(福建省) | 金門 | 連江 |
1955年以降の政府実効統治区域における行政区分。台湾の行政区分、台湾問題も参照。*WP台湾の行政区分 |
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 中華人民共和国・福建省人民政府公式サイト
- 中華民国・福建省政府 ※1996年1月15日をもって、政府機能を「凍結」。
- 新華社福建関連サイト