対馬市
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対馬市(つしまし)は、長崎県の対馬に位置する市である。対馬地方局の所在地。
本項では、地方自治体としての対馬市について記述する。島としての対馬に関する事柄は、対馬を参照のこと。
目次 |
[編集] 地理
詳細は対馬#地理を参照
全体に山がちでほとんど平地は無い。最大の市街地は南東部の厳原地区である。
※この項では「けち」という地名に「鶏知」の字を当てているが、「け」の正しい字は旧字体の鶏の字の右側(鳥の部分)が隹である字「雞」を使う。
- 山:香ノ木山、白嶽、龍良山、御嶽、矢立山
- 湾:浅茅湾
- 河川: 阿連川、飼所川、鶏知川、佐護川、佐須川、洲藻川、瀬川、仁田川、三根川
- 島:対馬島(上島、下島)、泊島、赤島、沖の島、島山島、黒島、三ッ島、海栗島など
- 有人島は、対馬島・海栗島・泊島・赤島・沖の島・島山島
- その他:対馬海峡、朝鮮海峡
- 東端:東経129度30分
- 西端:東経129度10分
- 北端:北緯34度42分
- 南端:北緯34度5分
[編集] 隣接する自治体
対馬市は一島一市の自治体であるため陸で隣接する自治体はない。 しかし以下の自治体と海路・空路で結ばれている。
[編集] 歴史
近代以前については、対馬#歴史を参照
合併前について詳しくは、各町の項を参照
- 1908年4月1日 島嶼町村制施行により、現在の対馬市の領域にあたる以下の各村が発足する。
- 1919年4月1日 厳原村が町制施行し、厳原町となる。
- 1932年4月1日 鶏知村が竹敷村を編入する。
- 1940年10月17日 鶏知村が町制施行により、鶏知町となる。
- 1948年12月1日 豊崎村が町制施行により、豊崎町となる。
- 1955年1月1日 豊崎町・琴村が合併(新設合併)し、上対馬(かみつしま)町が発足する。
- 1955年3月1日 鶏知町・船越村が合併(新設合併)し、美津島(みつしま)町が発足する。
- 1955年3月20日 仁位村・奴加岳村が合併(新設合併)し、豊玉(とよたま)村が発足する。
- 1955年4月15日 仁田村・佐須奈村が合併(新設合併)し、上県(かみあがた)町が発足する。
- 1956年9月30日 厳原町・久田村・豆酘村・佐須村が合併(新設合併)し、厳原町が発足する。
- 1975年4月1日 豊玉村が町制施行により、豊玉町となる。
- 1976年4月1日 峰村が町制施行により、峰町となる。
- 2004年3月1日 対馬島内の厳原町・美津島町・豊玉町・峰町・上県町・上対馬町が合併(新設合併)して対馬市となる。発足時の人口は約4万1000人。市役所は旧厳原町に置かれ、旧6町役場は市役所支所となった。
- 2005年3月6日 元ロッテオリオンズ投手の村田兆治が監督を務める対馬市民球団『対馬まさかりドリームス』が結成される[1]。
- 2005年10月 小浦ダムが完成[2]。
- 2006年7月15日 まちづくりコミュニティ支援交流館(半井桃水館)が開館[3]。
- 2006年10月7日 今屋敷地区第1種市街地再開発事業の中心施設である「対馬市交流センター」がオープン[4]。
- 2007年3月 市立久田小学校内山分校が閉校[5]。
[編集] 行政
[編集] 市長
[編集] 行政区域
対馬全域を行政区域とする。
[編集] 組織
市役所は旧厳原町・市議会は旧豊玉町・市教育委員会は旧上対馬町に置かれている。これは合併協議会で市役所をどこに置くかで議論され、市役所を対馬の中心地である厳原に置く代わりに、中部の豊玉町と旧上県郡の中心地である上対馬にも機関を置くことで島内のバランスを保とうとしたためである。 また、旧6町役場はそれぞれ市役所の支所となっており、多くの行政サービスを旧町単位で行っている。
[編集] 財政
対馬市発足後から一般会計予算規模は年々縮小しており、平成16年度(2004年度)は約383億円だったが平成19年度(2007年度)は287.7億円となった。平成19年度の歳入に占める自主財源の比率は19.4%(約56億円)で、うち市税は32億3890万円(歳入の11.3%)、依存財源のうち市債は30億7520万円(歳入の10.7%)である。歳出に占める義務的経費の比率は56.7%となっている。[6]
また、平成19年度の特別会計予算は10会計があり、予算総額は147億4742万円となっている。企業会計予算(厳原市街地での水道事業)は1億1188万円の赤字となっている。[6]
[編集] 経済
対馬は長崎県に属するが、経済的な結びつきではむしろ福岡県のほうが強い。
[編集] 産業
[編集] 漁業
漁業は対馬市の基幹産業で、沿岸や日本海でのイカ釣漁が盛ん。その他にもタイやブリなどの一本釣漁や沿岸での定置網漁が行われている。主な魚種の漁獲量は以下のようになっている[7]。
2003年度の総漁獲量は22,404トン、総漁獲額は140億5100万円である[8]。
また、浅茅湾を中心に養殖業が行われており、特に真珠養殖が盛ん。養殖業の主な種別の漁獲額と合計額は以下のようになっている[9]。
- 真珠:33億4800万円
- ブリ類:8億5300万円
- 合計:52億5400万円
[編集] 林業
対馬は面積の80%以上が山林で、林業が営まれている。桧の生産が主で「対馬ひのき」としてブランド展開されている。またシイタケ栽培が盛んで、県内生産の9割以上を占める。主な林産物の生産額と合計額は以下のうようになっている[10]。
- 乾シイタケ:34億1510万円
- 製材用素材:17億6542万円
- しいたけ原木:9億5830万円
- 生シイタケ:2億3270万円
- 合計:71億2082万円
[編集] 鉱業
かつては鉱業も盛んだった。対馬銀山は日本で初めて銀が産出した場所でもある。江戸時代には銀や鉛が採掘された。また20世紀の初頭には厳原町佐須地区に亜鉛鉱山が開かれた。同地区では1960年代には年間20万トンを産出し東洋一の亜鉛鉱山と呼ばれたが、1973年に閉山された。現在、銀・鉛・亜鉛の採掘は行われていないが、厳原町阿須地区で陶石類の採掘が行われている。同地区は年間5万トンを生産し、日本三大産地の一つに数えられている。
[編集] 姉妹都市・提携都市など
[編集] 国内
[編集] 海外
[編集] 地域
[編集] 公立病院
- 長崎県離島医療圏組合 対馬いづはら病院
- 長崎県離島医療圏組合 中対馬病院
- 長崎県離島医療圏組合 上対馬病院
[編集] 学校教育
[編集] 幼稚園
- 厳原幼稚園
- 北幼稚園
- 久田幼稚園
- 豆酘幼稚園
- 鶏鳴幼稚園
- 比田勝幼稚園
[編集] 小学校
市内にあるのは市立小学校のみ。
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小規模校が多く、厳原や鶏鳴などを除いてほとんどの学校が1学年1クラス以下(複式学級の所もある)である。
なお、旧厳原町立北小学校と旧美津島町立北部小学校は、対馬市発足と同時にそれぞれ厳原北小学校・美津島北部小学校と改称された。一方、旧豊玉町立南小学校は改称されなかったため、市の中部にあるのに南小学校という状況になっている。
[編集] 中学校
市内にあるのは市立中学校のみ。
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小規模校が多く、厳原や鶏知などを除いてほとんどの学校が1学年1クラスである。
[編集] 高等学校
- 長崎県立対馬高等学校
- 長崎県立豊玉高等学校
- 長崎県立上対馬高等学校
[編集] 社会教育
[編集] ホール・集会場
- 対馬市交流センター
- 対馬市公会堂
- 美津島文化会館
- 豊玉文化会館
- 下対馬開発総合センター
- 中対馬開発総合センター
- 上対馬総合センター
[編集] 公民館
- 中央公民館
- 豆酘地区公民館
- 厳原地区公民館分館ありあけ会館
- 佐須地区公民館
- 美津島地区公民館
- 豊玉地区公民館
- 峰地区公民館
- 上県地区公民館
- 上対馬地区公民館
[編集] コミュニティーセンター
- 竹敷地区コミュニティーセンター
- 美津島自治コミュニティーセンター
- 玉調コミュニティーセンター
- 小船越コミュニティーセンター
- 根緒離島体験施設
- 糸瀬コミュニティーセンター
- 仁田地区コミュニティーセンター
[編集] 資料館・収蔵庫・図書館
- 県立対馬歴史民俗資料館
- 厳原町郷土館
- 重要文化財銅造如来坐像収蔵庫
- 豊玉町郷土館
- 峰町歴史民俗資料館
- 峰町ふるさと宝物館収蔵庫
- 上対馬町歴史民俗資料室
- 西福寺の元版大般若経収蔵庫
- 対馬市立つしま図書館(対馬市交流センター内)
[編集] 体育施設
[編集] 総合運動公園
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[編集] 体育館
- 厳原体育館
- 佐須体育館
- 美津島体育館
- 緒方体育館
- 西地区体育館
- シャインドームみね
- 上県体育館
- 伊奈体育館
[編集] 屋外運動場
- 清水が丘多目的広場
- 佐賀運動広場
- かみあがたふれあいの広場
- 湊浜シーランドステージ
[編集] プール
- 厳原B&G海洋センター
- 湯多里ランド対馬温水プール
- 佐賀水泳プール
- 志多賀水泳プール
[編集] その他体育施設
- 日新館武道場
- 峰弓道場
- グリーンピア対馬パークゴルフ場
[編集] 金融機関
[編集] 警察
[編集] 自衛隊
[編集] 海上保安庁
- 第七管区海上保安本部対馬海上保安部
- 比田勝海上保安署
[編集] 住所表記
基本的に、合併前は〇〇郡△△町大字××と表記していたものを、対馬市△△町××という表記に変更した。ただし例外も有り、旧・上県郡上対馬町大字葦見は対馬市上対馬町芦見に、旧・下県郡厳原町大字厳原北里/大字厳原東里/大字厳原西里は対馬市厳原町北里/厳原町東里/厳原町西里にそれぞれ変更された。 また、「町」の読みは旧・厳原町のみ「まち」だったが、合併後は他の5町も「まち」に統一されている。
[編集] 交通
市内に鉄道・軌道は無く、島内交通には専ら自動車が用いられる。
公共交通機関は、対馬交通がバスを運行している。また、浅茅湾には市営渡船が就航している。旧豊玉町から引き継いだもので、豊玉町内の浅生湾岸各地と美津島町樽ヶ浜を結んでいる。
[編集] 航空
- 全日本空輸グループ(ANA)
- 対馬空港 - 福岡空港
- オリエンタルエアブリッジ(ORC)
- 対馬空港 - 長崎空港
[編集] 道路
[編集] 一般国道
[編集] 主要地方道
- 長崎県道24号厳原豆酘美津島線
- 長崎県道39号上対馬豊玉線
- 長崎県道44号桟原小茂田線
- 長崎県道48号木坂佐賀線
- 長崎県道56号上県小鹿港線
- 長崎県道64号対馬空港線
[編集] 一般県道
- 長崎県道178号舟志佐須奈線
- 長崎県道179号グリーンピアつしま線
- 長崎県道180号舟志宮原線
- 長崎県道181号比田勝港線
- 長崎県道182号大浦比田勝線
- 長崎県道189号鹿見港線
- 長崎県道192号瀬浦厳原港線
- 長崎県道197号竹敷鶏知線
- 長崎県道232号唐崎岬線
[編集] 海運
[編集] 港湾
島外への航路を持つ港湾は、以下の2港がある
[編集] 国内航路
[編集] 国際航路
- 大亜高速海運
- 高速船「シーフラワー2」「ドリームフラワー」
- 厳原港 - 釜山港
- 比田勝港 - 釜山港
- 高速船「シーフラワー2」「ドリームフラワー」
- 対馬国際ライン
- 「あおしお」
- 比田勝港 - 釜山港 (※不定期)
- 「あおしお」
- JR九州高速船
- ジェットフォイル「ビートル」
- 博多港(中央ふ頭)-(比田勝港)- 釜山港 (※利用客数によっては比田勝港に臨時寄航している。)
- ジェットフォイル「ビートル」
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
[編集] レジャー施設・公園
- 鮎もどし自然公園
- 上見坂展望台
- あそうベイパーク
- 神話の里自然公園
- 烏帽子岳展望台
- 峰町ファミリーパーク
- 棹崎公園
- バードウォッチング公園
- 韓国展望所
[編集] 海水浴場
- 湊浜海水浴場
- 三宇田浜海水浴場
- 井口浜海水浴場
- 茂木浜海水浴場
- 美津島町海水浴場
- 青潮の里・尾浦海水浴場
- 豆酘板形海水浴場
[編集] 神社・仏閣
[編集] 温泉
- 厳原温泉(漁り火の湯)
- 美津島温泉(真珠(たま)の湯)
- 峰温泉(ほたるの湯)
- 上対馬温泉(渚の湯)
[編集] 体験型施設
- 体験であい塾「匠」
- 対馬ふるさと伝承館
- そば道場 あがたの里
[編集] 史跡など
- 朝日山古墳
- 今屋敷の防火壁(県指定有形文化財)
- 金田城跡(国指定特別史跡)
- 金石城跡(国指定史跡)
- 旧日新館門(県指定有形文化財)
- 椎根の石屋根倉庫(県指定有形文化財)
- 清水山城跡(国指定史跡)
- 朝鮮国訳官使殉難之碑
- 対馬円通字宗家墓地(県指定史跡)
- 対馬藩お船江跡(県指定史跡)
- 対馬藩主宗家墓所(国指定史跡)
- 塔の首遺跡(国指定史跡)
- 豊砲台跡
- 根曽古墳群(国指定史跡)
- 矢立山古墳群(国指定史跡)
[編集] 祭事・催事
- 厳原港まつり対馬アリラン祭
- 木坂海神神社古式大祭
- 国境マラソンin対馬
- 地蔵盆
- 対馬シーカヤックマラソン大会
- 対馬ちんぐ音楽祭
- 対馬ツーリングトロフィー
- パラグライディング対馬大会
- 和多都美神社古式大祭
[編集] 対馬市出身の著名人
[編集] 脚注
- ^ "対馬市民球団誕生〜対馬まさかりドリームス〜" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2005年4月号. pp. 4 対馬市: 4月 2005年. 2008-1-23閲覧.
- ^ "小浦ダムが完成!" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2005年12月号. pp. 2 対馬市: 12月 2005年. 2008-1-23閲覧.
- ^ "まちづくりコミュニティ支援交流館(通称:半井桃水館)〜厳原町中村地区にオープン〜" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2006年8月号. pp. 4 対馬市: 8月 2006年. 2008-1-23閲覧.
- ^ "対馬市交流センター オープン" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2006年11月号. pp. 2 対馬市: 11月 2006年. 2008-1-23閲覧.
- ^ "久田小学校内山分校が閉校 119年の歴史に幕" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2007年4月号. pp. 12 対馬市: 4月 2007年. 2008-1-23閲覧.
- ^ a b 対馬市公式ウェブサイト|予算・決算|平成17年度
- ^ 2003年度、対馬市市勢要覧 DATA(資料編)PDF56p下段 主な魚種別漁獲量の推移
- ^ 対馬市市勢要覧 DATA(資料編)PDF57p中段 漁業種別漁獲量・漁獲額の推移
- ^ 2003年度、対馬市市勢要覧 DATA(資料編)PDF57p上段 海面養殖業種別収穫量・収穫額の推移
- ^ 2004年度、対馬市市勢要覧 DATA(資料編)PDF55p下段 林産物の生産と生産額
- ^ "岐阜県中津川市と姉妹都市縁組を締結" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2007年12月号. pp. 2 対馬市: 12月 2007年. 2008-1-23閲覧.
- ^ "岡山県瀬戸内市と姉妹市縁組を締結" (PDF) 対馬市広報誌『広報つしま』2006年12月号. pp. 2 対馬市: 12月 2006年. 2008-1-23閲覧.
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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