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倉持隆夫 - Wikipedia

倉持隆夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

倉持 隆夫(くらもち たかお、1941年1月2日 - )は、日本テレビ放送網の元アナウンサー

目次

[編集] 来歴・人物

東京都三鷹市出身。東京都立豊多摩高等学校早稲田大学卒業。1964年アナウンサーとして日本テレビに入社。『全日本プロレス中継』の実況アナウンサーを18年間務め、特に1976年頃からは清水一郎、徳光和夫の後を受けたメインアナウンサーとしてジャイアント馬場ジャンボ鶴田ミル・マスカラスザ・ファンクスらの数々の名勝負を放送。独特の「倉持節」でプロレスファンを熱狂させ、1990年の実況最後の日には試合会場でウェーブが沸き起こるほどの支持を得た。

1990年から事業部へ異動。その間、日本テレビ在籍のまま他局製作のジャパン女子プロレス実況や、NWAWWFのビデオ実況も行っている。1995年読売新聞金沢総局へ出向してニュースキャスターを務め、2001年定年退職。

退職後、「紙のプロレス」誌のインタビューで自らは猪木信者であったことをカミングアウトした。現在は夫人と共にスペインに移住している。

[編集] 倉持アナのプロレス実況

同時代に活躍していたライバル新日本プロレスの『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日)実況担当の古舘伊知郎アナウンサーが印象的な造語フレーズを散りばめた華麗な実況スタイルで注目を浴びたのに対して、倉持アナの実況スタイルは一見地味である。この点について倉持アナは、古舘アナはその日の試合のリング上で起きるであろう出来事について事前に知らされていたであろうが、全日本の場合、馬場もスタッフも何も教えてくれなかった、と説明している。また、その言動・発言は非常に大袈裟なものが多かったが、だからこそプロレスらしい緊迫感と説得力が生まれ、人気を博した。その他、全日本プロレスとジャパンプロレスが提携していた時期には、新日本勢が多く全日本マットを踏んでいたが、新日本勢を見下した発言が多く、解説のジャイアント馬場からも「そんなことはありませんよ」とたしなめられたこともある(一例として、ジャンボ鶴田とアニマル浜口の試合で「全日本のエース鶴田、負ける要素は何もありません!」とやって馬場から「あなたの言うようだと浜口には勝つ要素は何もないみたいだけど浜口はそう軽い相手じゃありませんよ」と言われた)。

1977年世界オープンタッグ選手権最終戦・蔵前国技館でのザ・ファンクスVSザ・シークアブドーラ・ザ・ブッチャー戦では、ザ・シークアブドーラ・ザ・ブッチャーテリー・ファンクの腕にフォークを突き立てた瞬間「あ!フォークだ!フォークだ!フォークですね山田さん!これはテリー・ファンクの選手生命に影響があるかもしれません!」、テリー・ファンクが治療を終え再度、最悪コンビに向かっていった際の「テリー・ファンク!何と勇気のある男でしょう!」と実況、後楽園ホールでのアブドーラ・ザ・ブッチャーvsザ・シーク戦で倉持アナ自身がザ・シークに襲撃された試合(シークに額を切り付けられた倉持アナは本当に裂傷を負った)や、1981年、新日本プロレスから引き抜かれたスタン・ハンセンが突如蔵前国技館に出現した試合(山田隆の「ハンセンですよ!」としてファンには知られている、乱入者がスタン・ハンセンであると確認できた瞬間、倉持アナ、山田隆氏両氏からは「あっ!!」と心底から驚愕の声が発せられており、日本プロレス史上における大事件にふさわしいインパクトある実況となっている)ここでは、優勝が決まったブロディ、スヌーカ組がハンセンとともにドリー・ファンク・ジュニアを袋叩きにされているシーンを「ああーこれはやめて欲しい、これはやめて欲しい!世界のアイドルがやられています。世界のアイドルがメッタ打ち!!」、ハンセンと馬場・鶴田がやりあっているシーンを「ここは全日本のリング上だ!ここは全日本のリング上です!」と実況(なお熊谷市体育館でタイガー・ジェット・シンが乱入した際も「ここは全日本のリング上だ!」と実況している)、1987年最強タッグのハンセンとブロディの初対決は「まだわかりません!まだわかりません!まだどちらが強いのかわかりません!」と実況、1982年東京体育館で行われた馬場VSスタン・ハンセンの初シングル対決での試合開始早々の馬場の16文キックを「16文だー!これは奇襲殺法!16文ヒット!」と実況し、これらの実況は特にインパクトのある実況として知られている。

  • 倉持アナがザ・シークに額を切り付けられ裂傷を負った試合には、後日談があり、ジャイアント馬場と元子夫人にクリーニング代として「たしか20万円頂いた」(倉持アナ談)、倉持アナがデトロイトに行った時ザ・シークからは宝石をもらっている。この倉持アナ襲撃のアングルはおそらく当時のプロデューサー・原章氏とジャイアント馬場の2人のみが事前に知っていた。


全日本プロレス10周年(1982年)記念興行のハイライトとして蔵前国技館で行われたメイン・イベントの馬場、ブルーノ・サンマルチノ組vsタイガー・ジェット・シン、上田組戦ではサンマルチノがリング上で戦っている姿を「TVをご覧の皆様、これが最後の雄姿になるかもしません!しっかりとご覧下さい!」と感動的な実況をしている。

なお、全日本プロレス中継レギュラー枠最後の実況は日本武道館でのゴディ・ウイリアムス組対ハンセン・天龍組の世界タッグ選手権で、ヒザを痛めていた天龍の不甲斐なさにハンセンと天龍が仲間割れしたシーンを「何だー!何だー!何が起こっている!」と実況。リング上での挨拶では「会場の皆さん!視聴率が欲しいんです!」と述べている。

また、東京ドームで行われた日米レスリングサミットではメイン・イベントのスタン・ハンセンvsハルク・ホーガン戦を実況。フィニッシュが近づいたことを感じた倉持アナはレポートする徳光和夫氏を制し「ちょっと待って下さい!実況を続けます!」と述べ、「ハルク・ホーガンのアックスボンバー!これがアックスボンバーだ!」と実況。これが全日本プロレス最後の実況となった。

[編集] 全日本プロレス中継における名言集

独特の抑揚として、単語は語尾を下げて発音することが多く、また体言止めも多用した。
  • 輪島、怒りのミラクルタッチ!」(単に輪島がタッグパートナーにタッチしただけ)
  • 「世界の鶴田、日本の長州!」
  • 「大流血!1リットル、いや2リットルか?」
  • 「男のロマンを遺憾なく見せ付けております!!」(大流血しながら勝利したテリー・ファンクを讃えて)
  • 「ジャイアント馬場、マッハのスピード!!」(マッハのタイミング、とも)
  • 「戦いの殿堂、日本武道館
  • 「ジャンボ鶴田、ルー・テーズばりのバーックドロップ!」
  • 「顎の先端にヒーット!」(ジャンボ鶴田のジャンピング・ニーバットは必ずこう実況された)
  • 「もう(ブッチャーたちの)反則負けにしていいんじゃないですか?」(オープンタッグ選手権でテリー・ファンクの右腕がズタズタにされているのを見て。)
  • 「両者対角線上に分かれました」
  • 「場内は興奮の坩堝と化しております!!」
  • 「マスカラス・ファンのちびっ子たち」
  • 「○○は世界マット界の宝でございます」(○○にはファンクス、ハンセン、ブロディなど)
  • 「グランドに入りましたので、ここで○○を~」(寝技に入るとリーグ戦の得点経過や次期シリーズの来日外国人情報など試合と関係のない話を始めるのが定番)
  • 「リング上、お話の間(かん)に~、選手が交代しておりますぅ~」(タッグの時、試合とは関係ない話をしている間に選手交代があったとき)
  • 「なにかもう、ゾクゾクしてきますねえ。山田さん」(世界最強タッグ決定リーグ戦のメンバー発表後のセリフ)
  • 「セレモニーは完全に破壊されました!」(リーグ戦などで、開会セレモニー中に乱闘が始まって大混乱になるとこういう実況が入るのがお約束だった)
  • 「史上最凶悪コンビ、最悪コンビの登場です!」(ブッチャー、シーク組の入場時の実況)
  • 「さあ~わかりません。今夜はどこから現れるかわかりません!」(ザ・シークタイガー・ジェット・シンなどラフ・ファイターの入場時には必ずこう実況し、緊迫感をあおった)
  • 「解説席の山田さんが狙われた~」(ブッチャーが解説の山田隆氏にイスを投げつけたときの実況)
  • 「もう、額からドクドク、ド~クド~ク流血しております。このままですと、呼吸困難になるかもしれませんねえ、山田さん」(選手が大流血をした時の実況。緊迫感をあおった)
  • ウエスタン・ラリアットが飛んでいく~」(スタン・ハンセンがウエスタン・ラリアットを浴びせた時の実況)
  • 「○○!おめでとう!!」(下述の他にも、日本人選手が主要タイトルを奪取したとき、必ず「○○!おめでとう!!」という実況が入った)
    • 「天龍!おめでとう!!」(対ジャンボ鶴田、天龍3連敗かと思われた勝負に勝利し)
    • 「鶴田!おめでとう!!」(蔵前国技館での鶴田がAWA世界王座奪取時の実況)
  • 「ほほう。さすが16文解説」(馬場の解説に対して)

[編集] 独特の口調

[編集] 外部リンク

スペイン&フラメンコの総合サイト。倉持元アナの現地情報エッセイ「セビージャのパテオにて」が連載されている。


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