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プロレス夢のオールスター戦 - Wikipedia

プロレス夢のオールスター戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プロレス夢のオールスター戦(プロレスゆめのオールスターせん)とは、1979年8月26日日本武道館で行われた日本プロレスイベントである。正式名称は「東京スポーツ新聞社創立20周年記念 プロレス夢のオールスター戦」。

[編集] 概要

1979年5月21日、東京スポーツが創立20周年記念のイベントとしてプロレスのオールスター戦を企画し、当時の日本のプロレス3団体であった全日本プロレス新日本プロレス国際プロレスに大会出場を打診した。この時点で3団体共に「プロレス界の発展のため」という東京スポーツの趣旨に賛同し、前向きに検討することを約束した。

ただ、これを機に日本のマット界統一(プロレス界の統一コミッショナーの設立。当時新日本と国際は二階堂進コミッショナーとして推戴していたが、全日本に全く相談なしに擁立されたものであった)とプロレスファンが望むジャイアント馬場との対戦を実現させようと図る新日本のアントニオ猪木と、「(猪木が)過去のいきさつをクリアし、筋を通してくれることが参加の条件」と主張する全日本の馬場の意見がぶつかり、開催が難航し始めた。

馬場の言う過去のいきさつとは、新日本からの“口撃”のことである。猪木の馬場への度重なる挑戦は過激なものが多く、馬場が挑戦を受けない、もしくは無視すれば、さらに激しく馬場及び全日本を罵った過去があった。馬場は「それまでの猪木の発言を新聞や雑誌等のマスコミを通じて全て取り消せ」と主張するものの、猪木も「口から出まかせではなく、信念に基づいた発言なので取り消すことはできない」と、これを飲もうとはしなかった。主催者である東京スポーツも、大会の目玉として馬場と猪木の対決を実現させたく、馬場と猪木、そして国際プロレスの社長である吉原功を含めて何度か会談の場を設けた。しかし馬場と猪木はお互いに譲らず、開催すら危ぶまれた。

東京スポーツ側が「両者の対決は次の機会にして、今回はBI砲の復活を」と提案。それでも馬場は「過去のいきさつ」に拘り、首を縦に振らなかった。これを受けて猪木は「二階堂進コミッショナーに一任する」と発言、そのまま新日本のパキスタン遠征に出かけてしまい、馬場もアメリカ遠征に出かけてしまった。

結局、東京スポーツと二階堂コミッショナーの話し合いにより、次善の策としてBI砲の復活を決定、そして晴れてオールスター戦開催の正式発表にこぎつけた(なお、本来なら国際のエースであるラッシャー木村を交えた6人タッグマッチになってもいいところであるが、それが話題に上がった様子は全くない)。正式発表後の猪木と馬場は衝突することもなく、お互いを尊重するコメントを連発。猪木に至っては「雰囲気を掴むためにオールスター戦前に全日本プロレスのリングに上がろうかな」とコメントし、馬場も「次のシリーズからでもどうぞ」と応えるなど、和気藹々としたムードだった。

[編集] 対戦カード

第1試合
3団体参加バトルロイヤル(時間無制限)
参加選手
新日本プロレス - 山本小鉄、魁勝司、小林邦昭平田淳二前田明斉藤弘幸ジョージ高野
全日本プロレス - 渕正信園田一治大仁田厚百田光雄、肥後宗典、伊藤正男、ミスター林
国際プロレス - 鶴見五郎高杉正彦、米村勉、デビル・ムラサキ、若松市政
○山本(12分14秒・カナダ式背骨折り)×大仁田
第2試合
シングルマッチ20分1本勝負
荒川真 vs スネーク奄美
○荒川(8分26秒・片エビ固め)×奄美
第3試合
タッグマッチ20分1本勝負
マイティ井上星野勘太郎 vs 木戸修石川敬士
○星野(12分32秒・エビ固め)×木戸
第4試合
6人タッグマッチ30分1本勝負
木村健吾佐藤昭雄阿修羅・原 vs 藤原喜明永源遥寺西勇
○原(16分22秒・エビ固め)×寺西
第5試合
タッグマッチ30分1本勝負
長州力アニマル浜口 vs グレート小鹿大熊元司
○長州組(11分8秒・反則)×小鹿組
第6試合
シングルマッチ45分1本勝負
坂口征二 vs ロッキー羽田
○坂口(6分34秒・片エビ固め)×羽田
第7試合
6人タッグマッチ45分1本勝負
ジャンボ鶴田ミル・マスカラス藤波辰巳 vs マサ斎藤タイガー戸口高千穂明久
マスカラス(14分56秒・体固め)斎藤
第8試合
シングルマッチ60分1本勝負
ラッシャー木村 vs ストロング小林
○木村(12分4秒・リングアウト)小林
第9試合
タッグマッチ時間無制限1本勝負
ジャイアント馬場、アントニオ猪木 vs アブドーラ・ザ・ブッチャータイガー・ジェット・シン
猪木(13分3秒・逆さ押さえ込み)シン

[編集] エピソード

  • この日は全日本のシリーズ中で東京に全日本のリングが無かったため、試合は新日本のリングを使用した。
  • 当時は新日本がテレビ朝日、全日本が日本テレビ、国際が東京12チャンネルと、それぞれがテレビ中継に関して専属契約をしていたので、他局と契約状態の選手を放送することで生じるであろう軋轢を避けるべく、今大会のテレビ中継は一切なされなかった(逆にテレビ中継がなかったからこそ、この大会が実現したとも言える)。しかし事前の取り決めで、報道ニュース扱いで映像を流すならば、専属契約の有無に関わらず各局とも自由に放送できることとした。これより各局の当日のニュース枠で約3分間だけ映像が放送された。日本テレビでは倉持隆夫アナの実況で、テレビ朝日では古舘伊知郎アナの実況・山本小鉄の解説で、メインイベントである馬場・猪木組とブッチャー・シン組の試合が放送された。
  • 馬場、猪木のBI砲の対戦相手はファン投票で決められた。中間発表ではドリー・ファンク・ジュニアテリー・ファンクザ・ファンクスが1位で、タイガー・ジェット・シン、アブドーラ・ザ・ブッチャー組が2位、ジャンボ鶴田、藤波辰巳組が3位であった。しかし最終的にシン、ブッチャー組が1位となった。
  • 上述の試合後、猪木はリング上で「この次、このリングで顔を合わせる時は戦う時です!」とマイクアピールし、馬場も「よし、やろう!」と応じた。しかし、その後リングでは一度も顔を合すことなく、馬場は1999年没。よって当大会が最後のBIそろい踏みとなった。
  • 大会パンフレットは1部500円で7000部用意されたが、全て完売した。さらに通販用のパンフレットも製作された。当時は武道館クラスの大会で1部200円のパンフレットが2000-3000部売れれば良かった方なので、この大会の世間の注目度がいかに高かったのかが分かる。


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