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フォーミュラ3 - Wikipedia

フォーミュラ3

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フォーミュラ3
フォーミュラ3

フォーミュラ3Formula 3F3)は、自動車レースの1カテゴリーFIAが定義するフォーミュラカー(オープンホイール)四輪レースのうち、F1GP2フォーミュラ・ニッポンの下に位置するカテゴリーである。

目次

[編集] 概要

GP2及びフォーミュラ・ニッポン(旧F3000)の下に位置付けられた国際フォーミュラレース。現在幾つかの国、地域を舞台に選手権シリーズが開催されており、中でもイギリスF3(1951年~)、全日本F3(1979年~)、ユーロF3(2003年にドイツ・フランス・イタリアの国内選手権を統合したシリーズ。しかしその後ドイツ・イタリアでは独自の選手権が復活)はレベルの高い有力シリーズであり、最新のマシンとエンジンと技術が投入されているレースである。また車体、エンジンは参戦チームがそれぞれを車体メーカー及びエンジンチューナーから購入し、組み合わせて使用する。

レース体系はイギリス・ユーロ・全日本とも「1イベント・2レース」のスタイルで行なわれている。また距離は選手権によって違うが最短で60〜80km前後、最長で90〜110km前後の走行距離となっている。イギリス選手権の場合は距離ではなく「スタートから30分間」のタイムレースとなっている。またイギリス及びユーロ選手権では旧型車体(一世代前)での参戦を認めているので、新型と旧型の2世代のマシンの混走したレースとなっている。ただし選手権ポイントは別々に与えられている。

各選手権毎にレギュレーションの細かい違いの中でシリーズを戦っているものの、マシン・エンジン・タイヤ等の基本的なレギュレーションは同一である為、それぞれのシリーズから参加者を募るレースが開催される事がF3の大きな特徴である。

等は各シリーズの上位ドライバーが参戦するためF3の世界一決定戦のような性格を持つ。

その他、1990年から1993年においては、「マカオ/富士チャレンジレース」として、マカオグランプリの翌週にF3世界一決定戦が富士スピードウェイで行われていた。最初のマカオ/富士チャレンジ勝者は、ミハエル・シューマッハであった。コリアスーパープリ(韓国)は1999年に開催されたが、2003年限りで開催終了。後継イベントとして2004年にバーレーンスーパープリ(バーレーン)が開催されたが、これも1回限りで終了した。

  • 車体
ローラB06
ローラB06
現在は各シリーズともダラーラが製作したものが主流となっているが、童夢ローラの車体を使用するユーザーも少数ながら存在する。2007年よりフランスのミゲリがイギリス選手権に参戦する事を表明した。全日本F3に車体を供給していた童夢は、ホンダとの参戦契約が2006年をもって終了したことに伴い、同年を最後に車体の開発を終了することを発表している。(このため2007年の全日本シリーズはダラーラのワンメイクとなった)
イギリスは1993年、全日本は1994年、ユーロは2003年以降は全てダラーラがチャンピオンマシンとなっている。
参戦費用高騰を防止する為に、新型発売の年からの3年間はモノコックを含めて車体の基本設計を変えるモデルチェンジ及び発売は禁止されているが、それ以外のパーツはアップデートキットとしての発売は認められている。
最低重量は550kgでF1より55kg軽いが、車幅(1,800mm)と全高(1,000mm)はF1と同じで、車体の安全規格についてもF1と同等性能を持っている。
過去には他にマーチラルトレイナードトムス(自社製作)、マルティニなどが参戦していた。
車体名 供給している選手権 現行車両発売年
ダラーライタリア イギリス・ユーロ・全日本・スペイン・ドイツ 2008年
ローライギリス イギリス・ドイツ 2008年
童夢日本 全日本(2006年まで) 2006年
ミゲリフランス イギリス 2007年
  • エンジン
エンジン
エンジン
市販車に搭載されている4気筒で、年間2,500台以上生産されているエンジンをベースにしなければならない。排気量は2,000ccまでとなっているが、ベースエンジンの排気量の規定は無く、2,000cc以下のものやそれ以上のエンジンを、レギュレーションに規定されてる「2,000cc」へ変更する事が許されている。また同メーカーエンジンの違うシリンダーヘッドとシリンダーブロックを組合わせて使用することも可能である。
リストリクター(エンジンへの吸気量を制限する装置)を装着している事(直径X幅:26mmX3mm)で、どのメーカー(チューナ)のエンジンでも最高回転数は6500rpm前後で、出力は210PS程度(吸気口のサイズが変更される1996年までは24mmで、170PS程度だった)、最高速度はギアレシオによっては270km/h前後まで出る。
現在各シリーズでは、メルセデス・ベンツ、無限ホンダ(M-TEC)、トヨタ-トムスが主流となっている。特に、イギリスとユーロシリーズではメルセデスエンジンが圧倒的な強さで、シリーズランキング上位を独占している(このため、本来トヨタ-トムスエンジンを使うべき立場にあるトヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)からの参戦ドライバーも、ユーロシリーズではメルセデスエンジンで参戦している)。全日本では、トヨタ-トムスが20年ぶりに新型エンジンを2007年シーズンから登場させた。その他にはルノーオペル等も供給されている。ただし、オペルは2004年をもってワークス活動を終了しており、現在はチューナーの「スピース」からのカスタマー供給のみとなっている。またユーロシリーズでは、フォルクスワーゲンが15年振りにエンジン供給をシーズン途中の9月から行う事を発表した。
エンジン名 チューナー名 形式名 供給している選手権
無限ホンダ M-TEC MF204C 全日本・イギリス・イタリア・ドイツ
トヨタ-トムス トムス 1AZ-FE 全日本
トヨタ-トムス トムス 3S-GE ドイツ・全日本(ナショナルクラス・ワンメイク)
トヨタ トヨタ 不明 スペイン(ワンメイク)
スリーボンド 東名エンジン SR20VE 全日本
メルセデス・ベンツ HWA M271 ユーロ・イギリス ・ドイツ
オペル スピース X18XE ユーロ・ドイツ・イタリア
ルノー ソデモ 不明 ドイツ
フォルクスワーゲン 不明 不明 ユーロ
  • ギアボックス
2001年までは「5速・Hパターン」ミッションだったのが、2002年からはシーケンシャルミッションと呼ばれる前後の操作のみでギアチェンジが出来る6速のギアボックスが登場した。
  • タイヤ
レギュレーションによりワンメイクとされ、晴用のスリックタイヤ及び雨用のレインタイヤもそれぞれ1種類と決められている。全ての選手権及びbpマスターズ、マカオGPでは使用出来るタイヤの本数も晴用・雨用ともに制限されている。またタイヤウオーマーの使用は禁止されている。
タイヤ名 供給している選手権・イベント
エイヴォン イギリス
クムホ ユーロ・bpマスターズ
ブリヂストン 全日本
ヨコハマ マカオGP
ハンコック イタリア・ドイツ
ダンロップ スペイン
  • 禁止事項
F1及びGP2で認められているセミオートマチックトランスミッションカーボン製のディスクブレーキ、その他のハイテクシステム(アクティブサスペンショントラクションコントロールシステムABS等)の搭載及び使用は禁止されている。
  • その他
    • 2002年からはECU(エンジンコントロールユニット)をドイツのメーカーのボッシュが統一した仕様で全てのエンジンに供給をしている。これはエンジン毎によって違うECUの開発費を抑制する目的でもある。またそれに伴いディスプレイもボッシュ社製のが使用されている。
    • イギリス選手権ではイギリス国内のサーキットだけではなく、ベルギースパ・フランコルシャン)、イタリアムジェロ)、フランスポー)等の国外で行われるレースを国内選手権扱いとして行っている。また「ナショナルクラス(一世代落ち車体使用)」ではエンジン開発競争費用抑制の為にエンジンはチューナーである「ニール・ブラウン・エンジニアリング」の完全管理の下で無限エンジンのワンメイクとなっている。
    • スペインのシリーズではエンジンの開発費用高騰を防ぐ為、スペインのトヨタが開発及び一括供給と管理を行っている。
    • ユーロ選手権ではホイールドイツのメーカーである「ATS」に、またサスペンションオランダの「KONI」に統一されている。これは各メーカーによる開発を抑制する為に供給されている。2006年シーズンのマシンは全てダラーラとなっている。
    • 環境面を配慮してユーロシリーズでは、排気ガスに含まれる有害物質の排出を極力抑える目的で排気管に触媒を取り付けている。全日本では音量規制に伴い、マフラーを取り付けている。しかしマカオGPの時はマフラーの取り付け義務が無いので取外して走行している。

[編集] F1への登竜門

イギリス・ユーロ(フランス)・イタリア・全日本のF3チャンピオンには、ドライバーからの申請があれば無条件でスーパーライセンスの発給が行われる(発給には国際A級ライセンスが必要だが、F3チャンピオンであれば発給条件を満たしているのが普通)ため、F3がF1への登竜門として注目をされている。特に、セカンドカテゴリである国際F3000、GP2出身者でチャンピオンになったドライバーは存在しないが、F3チャンピオンがF1チャンピオンに輝く確率が高い。

またF3のチャンピオン(イギリス・ユーロの場合)を獲った翌年に次の上級カテゴリー(F1、GP2、フォーミュラ・ニッポン等)へステップアップするには、スポンサー(F1やGP2等のスポンサーの場合)からのサポートが有る場合はほぼ間違いなくシートが用意されているが、スポンサーが無い場合はシート獲得が極めて厳しい状況となっている。

[編集] F1チャンピオンに輝いたF3チャンピオン

氏名 選手権名 F3チャンピオン獲得年 F1チャンピオン獲得年
ジャッキー・スチュワート イギリス 1964年 1969,1971,1973年
エマーソン・フィッティパルディ イギリス 1969年 1972,1974年
ネルソン・ピケ イギリス 1978年 1981,1983,1987年
アラン・プロスト フランス ・ヨーロッパ 1978年(仏),1979年(欧) 1985,1986,1989,1993年
アイルトン・セナ イギリス 1983年 1988,1990,1991年
ミカ・ハッキネン イギリス 1990年 1998,1999年
ミハエル・シューマッハ ドイツ 1990年 1994,1995,2000~2004年

[編集] 全日本F3選手権

日本では1979年より日本フォーミュラスリー協会が独自に開催し、1981年より日本自動車連盟(JAF)より公認され全日本選手権シリーズとなった。開催当初は、チャンピオンにヨーロッパ選手権へのスカラシップが与えられた。1980年代後半になると諸外国より外人ドライバーが多数参戦する一方、日本人ドライバーの力不足が目立つようになった。また近年は、有力日本人ドライバーが自動車メーカーのスカラシップを得て欧州のF3に参戦するケースが増えたため、チャンピオンの多くが外国人となっている。2001年より1大会2レース制が導入され、ヨーロッパの選手権に近い形となっている。

シャシーは、これまで外国製ではダラーラ、マーチ、ラルト、レイナード、マルティニ、ボウマン、ヴァン・ディーメン等が参戦していたが、現在ではダラーラのワンメイクとなっている。国産では、かつてはハヤシ、トムスが参戦しており(トムスについては実際はイギリス法人のトムスGBが開発を担当していたため、国産に含めない場合もある)、童夢もローラと組み2003年から2006年にかけてシャシーを供給していた(2005年以降は単独供給)。

エンジンに関しては、2002年以降はトヨタ-トムス、無限ホンダ、スリーボンド日産)が使用されており、しのぎを削っている。かつてはフォルクスワーゲンHKS三菱)、フィアット、オペルも参戦していた。

タイヤは1987年まではダンロップとヨコハマも供給をしていたが、1988年以降はブリヂストンのワンメイクである。

バブル景気の崩壊以後、参戦するドライバー数が減少する傾向が長期にわたって続いている。このため何度か旧型シャシーによる下級クラスを設ける試みが行われているが、あまり参加者数の増加にはつながっていない。

  • 1995年に旧型シャーシ(一世代前)を使用したBクラスが設けられたが、参加台数の減少により廃止された。
  • 2002年には再び旧型シャシーを使用したBクラスが復活したが、実際にはBクラスのエントリーはなかった。
  • 2005年にはBクラスを廃止する代わりに、旧型シャシーでのエントリーを認める規則改正がなされたが、実際には旧型シャシーによるエントリーはほとんどなかった。
  • 2008年には、これまで主力だったトヨタ・3S-GEエンジンを活用する目的で、エンジンを3S-GEのワンメイクとし旧型シャシーを使用した「ナショナルクラス」が創設された。開幕戦には7台のエントリーがあり、今後定着するかどうか注目される。

[編集] チャンピオン(1990年以降)

全日本 イギリス ドイツ フランス イタリア ユーロシリーズ
1990 服部尚貴 ミカ・ハッキネン ミハエル・シューマッハ エリック・エラリー ロベルト・コルチアーゴ
1991 パウロ・カーカッシ ルーベンス・バリチェロ トム・クリステンセン ジャン・クリストフ・ブシュー ジャンバティスタ・ブージ
1992 アンソニー・レイド ジル・ド・フェラン ペドロ・ラミー フランク・ラゴルス マッシミリアーノ・アンジェレッリ
1993 トム・クリステンセン ケルビン・バート ヨス・フェルスタッペン ディディエ・コタツ クリスチャン・ペスカトーリ
1994 ミハエル・クルム ヤン・マグヌッセン ヨルグ・ミューラー ジャン・フィリップ・ベロク ジャンカルロ・フィジケラ
1995 ペドロ・デ・ラ・ロサ オリバー・ギャビン ノルベルト・フォンタナ ローレン・レドン ルカ・ランゴーニ
1996 脇阪寿一 ラルフ・ファーマン ヤルノ・トゥルーリ ソヘイル・アヤリ アンドレア・ボルドリーニ
1997 トム・コロネル ジョニー・ケーン ニック・ハイドフェルド パトリス・ガイ オリバー・マルティニ
1998 ピーター・ダンブレック マリオ・ハバーフェルド バス・ラインダース デビッド・サレンス ダニー・クレバス
1999 ダレン・マニング マーク・ハインズ クリスチャン・アルバース セバスチャン・ボーデ ピーター・サンドバーグ
2000 セバスチャン・フィリップ アントニオ・ピッツォニア ジョルジョ・パンターノ ジョナサン・コシェ ダビデ・ウボルディ
2001 ブノワ・トレルイエ 佐藤琢磨 金石年弘 福田良 ロレンツォ・デル・ガル
2002 小暮卓史 ロビー・カー ゲイリー・パフェット トリスタン・ゴメンディ ミロス・パブロビッチ
2003 ジェームス・コートニー アラン・ファン・デル・メルヴェ ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ ユーロシリーズにシリーズ名変更 リヴォルノ・イッポリティ ライアン・ブリスコー
2004 ロニー・クインタレッリ ネルシーニョ・ピケ Bastian Kolmsee クレッソーニ・マッテオ ジェイミー・グリーン
2005 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ アルヴァロ・パレンテ ペター・エルックマン ルイジ・フェッラーラ ルイス・ハミルトン
2006 エイドリアン・スーティル マイク・コンウェイ Ho Pin Tung マウロ・マッシローニ ポール・ディ・レスタ
2007 大嶋和也 マルコ・アスマー カルロ・ヴァン・ダム パオロ・マリア・ノチェーラ ロメイン・グロスジャン

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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