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チョコレート - Wikipedia

チョコレート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

チョコレート
チョコレート

チョコレート(cioccolato、猪口冷糖(当て字))は、カカオマス砂糖カカオバターを混ぜて練り固めた食品である。ミルクチョコレートはこれらの材料に粉乳も加えられる。また、ホワイトチョコレートカカオバターに砂糖、粉乳を混ぜて作られる。

目次

[編集] チョコレートの呼称

イギリス人が固形のチョコレートを考案するまでは、チョコレートといえば飲み物を意味した。日本語では、昔は液体のものをホット・チョコレートと呼び区別したが、ココアと呼ぶことも多い。しかし近年またホットチョコレートの呼び名が増えている。これは、英語圏で「ホットチョコレート」と呼ばれることが多いからであろう(マクドナルドでも「ホットチョコレート」と称している)。[要出典]他の言語では、飲み物のチョコレートと固形のチョコレートを区別しないものもある(フランス語ショコラスペイン語チョコラーテ[要出典]など)。

[編集] 概説

固形チョコレートは一般的に、熱に弱く溶けやすい。溶けたり、長期間保存したものには白い色がつく。この部分はファット・ブルーム(fat bloom)、あるいは単にブルームという。ブルームが生じたものを食べても問題はないが、風味や味は落ちる。これは、カカオに含まれる油脂成分が浮いて表面に出てきたものである。

質量あたりの熱量が大きく携行が容易であることから、固形チョコレートは軍隊レーションに同封されたり、登山などの際の非常食として携帯される。カロリーの面だけでなく、非常の際に甘味が心身の安らぎをもたらすという意味合いも大きい。

チョコレートを食べるとニキビができるという噂があり、経験としてチョコレートを食べるとニキビができやすいと訴える者も多いが、科学的根拠は現在のところないとされている。脂肪分が多いこと、カフェインチラミンなどを含む刺激物であるからという安易な発想である可能性がある。また、チョコレートを食べすぎると鼻血が出るという迷信があるが、これにも医学的な根拠は無い。

イヌネコ鳥類などヒト以外のほとんどの動物はチョコレートを食べると中毒を起こす。これは、チョコレートやココアなどに含まれるテオブロミンを代謝できないことが原因で、死に至ることもある。

コーヒーと同じく、チョコレートも産地により、苦味、酸味、コクなどのバランスが異なる。最も産出量が多いアフリカ産のチョコレートは比較的苦味が強いためミルクチョコレートに向いており、中南米産のチョコレートはブラックチョコレートに向いているといわれる。

[編集] 歴史

紀元前2000年
紀元前2000年ごろから、中央アメリカ及びメキシコ南部ではカカオが栽培されていた。15世紀までには、カカオはその土地では貨幣として流通したほど重要視された。当時の中央アメリカでは、カカオは粉にしてトウモロコシの粉や唐辛子などを入れ、水や湯に溶かして飲まれていた。主に嗜好品として、また、薬用、強壮目的で飲まれた[1]
16世紀 -(アメリカ大陸の発見)
クリストファー・コロンブスが中央アメリカ島部に到達すると、それを通じ、スペインにカカオがもたらされた。コロンブスの息子によれば、最初にチョコレート(カカオの実)を見たヨーロッパ人はコロンブスで、1502年のコロンブス最後の航海のときであった。ただし、飲んだという記述はない。ヨーロッパ人との接触当初、中央アメリカ人たちはココアのことをカカワトルと呼んだ。1579年までに、彼らは同じものをショコラテと呼ぶようになり、これがチョコレートの語源とされるが、何故カカワトルがショコラテになったのかは不明であり、従って語源も不明である。スペイン語をはじめとしたヨーロッパ諸言語でcaca(kaka)が排泄物を表す幼児語であるため、排泄物を連想されるカカという語感の音を避けようとしたせいかも知れない。
苦い飲料だったチョコレートに砂糖を加える発明は、16世紀にメキシコに渡った宣教師によって考案された。
中世ヨーロッパ
16世紀に入り中央アメリカがスペインに征服されると、カカオが手に入りやすくなり、スペイン一般庶民もチョコレートドリンクを飲むようになった。
チョコレートは当初、ヨーロッパではスペインのみで普及した。しかし、フランスルイ13世がスペイン王女アンヌ・ドートリッシュ(スペイン名アナ)と結婚したとき、チョコレートを好むアンヌが嫁入りのときも持参したので、フランスにチョコレートがもたらされることになった。次のルイ14世1661年、チョコレート好きのスペイン王女マリー・テレーズ(マリア・テレサ)と結婚し、フランスでは上流階級からチョコレートが広まった。マリアはまた、チョコレート道具一式と、チョコレート専門のコック(後にいうショコラティエ)を連れて嫁入りした。イギリスでは1657年に、チョコレートショップと呼ばれるチョコレートを飲ませる店が開店した。
近代ヨーロッパ
1828年オランダバンホーテンがチョコレートを粉末にする特許を取得。これは同時に、カカオからカカオバターを効率的に取る方法でもあった。それまでのチョコレートは濃密で、水なしでは飲めないものだったが、これにより口当たりがよくなり普及が進んだ。
1847年イギリスのフライ社が食べるチョコレートを発売。これが最初の固形チョコレートとされる。しかしこれはまだ苦いもので、万人に普及するにはもう少し工夫が必要であった。
1876年スイスのロウソク職人ダニエル・ピーターがミルクチョコレート(スウィートチョコレートに粉乳を加えたもの)を発明した。

この後、ざらざらした食感をなめらかにする工夫がされ、現在の固形チョコレートの原型が作られた。

[編集] 日本での歴史

日本のチョコレートに関する記述は、18世紀長崎の遊女がオランダ人から貰った物を記したリストの中に「しよくらあと」として登場するのが最初である。1873年岩倉使節団フランス訪問中にチョコレート工場を見学したという記録がある。

戦前・戦中
日本のチョコレート製造は、1878年に「米津凮月堂」が製造したのが最初である。ただしこれは、輸入した原料チョコレートを加工したものであった。米津凮月堂は、新聞に掲載された日本初のチョコレートの広告には貯古齢糖と漢字を当てていた。カカオ豆からの一貫生産は、1918年森永製菓によって開始された。
戦争の影響により、日本では1940年までにカカオの輸入は止まり、風味がカカオにやや類似し果糖の原料でもあった菊芋と百合根(ユリ鱗茎)の脂肪分、砂糖の代わりにグルコース(ブドウ糖)を原料にした代用チョコレート(通称:グルチョコレート)が考案された。
戦後・現在
1945年、日本が太平洋戦争に敗れると、アメリカの進駐軍を通じて大量のチョコレートが日本にもたらされた。
戦後の日本では、安価なものから高価なものまでさまざまなチョコレート菓子が販売されるようになった。特に1960年にカカオ豆の輸入が自由化され、続いて1971年にはチョコレート製品の輸入が自由化されたことで、様々な種類のチョコレートが流通するようになった。
1980年代から1990年代にかけてはトリュフなどの小粒な形状をした高級チョコレートが一般的に出回るようになった。2000年代に入るとさらに高級かつ洗練されたチョコレート菓子が流行した。
2004年頃には東京都内にヨーロッパ各国の高級チョコレート店が多数出店し、中には1粒400円から1000円という超高級チョコレートを取り扱う店も現れた。

[編集] チョコレートの規格

日本では、1971年昭和46年)3月、不当景品類及び不当表示防止法第10条第1項の規定に基づき、公正取引委員会の認定を受けた「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によって規格が定められている。

[編集] カカオ成分

原料となるカカオ自体は苦く、日本では砂糖で甘味をつけたものが普通であったが、カカオに含まれるポリフェノールが注目されるようになり、2000年代に入ってカカオ比率の高い商品が各種発売されるようになった(日本国外製ではリンツ・チョコレートの「エクセレンス」、日本国産では明治製菓の「チョコレート効果」(カカオ分86%)が代表的)。しかしその味は当然ながらカカオそのものの苦味が非常にきつく(コーヒー豆ペーストを食べている感覚に近い)、従来のチョコレートのような甘い風味を期待すると酷い目に遭う。特にカカオ99%を使ったチョコの包装紙には但し書きが付くほどである。

なお、ホワイトチョコレートにはほとんどポリフェノールは含まれていないため、健康のためチョコレートを摂るのであればできるだけカカオ分が高いものにしたほうがよい。

カカオ分の表記のない製品でも、下記#チョコレート製品に示された種類別名称からある程度判別できる。「準チョコレート」となっているものはカカオ分がかなり低くなっている。特に駄菓子のチョコレートは多くが「準チョコレート」規格である。

[編集] チョコレート生地

純チョコレート生地
カカオ分35%以上・ココアバター18%以上。糖分蔗糖に限る)55%以下・レシチン0.5%以下・レシチンとバニラ香料以外の食品添加物無添加で、ココアバター・乳脂肪分以外の脂肪分を使用していないこと。水分3%以下であること。
純ミルクチョコレート生地
カカオ分21%以上・ココアバター18%以上。乳固形分14%以上・乳脂肪分3.5%以上。糖分(蔗糖に限る)55%以下・レシチン0.5%以下・レシチンとバニラ系香料以外の食品添加物無添加で、ココアバター・乳脂肪分以外の脂肪分を使用していないこと。水分3%以下であること。
チョコレート生地
カカオ分35%以上・ココアバター18%以上で、水分3%以下であること。
ただし、カカオ分21%以上・ココアバター18%以上、かつ、乳固形分とカカオ分の合計が35%以上・乳脂肪分3%以上、水分3%以下で、カカオ分の代わりに乳固形分を使用することが可能。
ミルクチョコレート生地
カカオ分21%以上・ココアバター18%以上。乳固形分14%以上・乳脂肪分3%以上で、水分3%以下であること。
準チョコレート生地
カカオ分15%以上・ココアバター3%以上。脂肪分18%以上で、水分3%以下であること。
準ミルクチョコレート生地
カカオ分7%以上・ココアバター3%以上。脂肪分18%以上で、乳固形分12.5%以上・乳脂肪分2%以上。水分3%以下であること。

[編集] チョコレート製品

上記「ミルクチョコレート」「準ミルクチョコレート」の種類別名称は、それぞれ「チョコレート」「準チョコレート」として扱われる。

チョコレート
チョコレート生地そのものか、チョコレート生地が60%以上のチョコレート加工品。チョコレート加工品とは、チョコレート生地を全重量の40%以上使用したもの
チョコレート加工品のうち、クリームを全重量の10%以上含み、水分10%以上である製品は、「生チョコレート」を称することができる。
チョコレート菓子
チョコレート生地が60%未満のチョコレート加工品
準チョコレート
「準」は正しくは準に○囲み。準チョコレート生地そのものか、準チョコレート生地が60%以上の準チョコレート加工品
準チョコレート菓子
準チョコレート生地が60%未満の準チョコレート加工品

[編集] チョコレートの日

バレンタインデーにチョコレートを贈る風習は、19世紀のイギリスのチョコレート会社キャドバリー社によって始められた。

日本チョコレート・ココア協会が、日本でバレンタインデーにチョコレートを贈るようになったことをきっかけに「チョコレートの日」として記念日を制定し、1970年代に定着した。

また、バレンタインデーに、女性から男性にチョコレートを渡すという習慣は日本独自のものであるといわれるが、英語版ウィキペディアの(en:chocolate)の項にバレンタインデーへのリンクがあることからも分かるように、チョコレートを贈ること自体は特に日本だけの風習ではない。ただし、欧米ではバレンタインデーに男性から女性に贈り物をするのが普通であり、必ず女性から男性へチョコレートが贈られる日本の習慣は欧米とは逆となっている。 ちなみに男性が女性に渡す日(お返し)はホワイトデーであるが、この習慣は世界的にはバレンタインデーほど普及していない。

[編集] 主な製造企業

[編集] 日本のメーカー

[編集] 海外メーカー

[編集] 業務用

[編集] チョコレートが好きな著名人

[編集] 関連文献

  • 日本チョコレート・ココア協会監修 『チョコレートの大研究 おいしさのヒミツと歴史、お菓子づくり』 (PHP研究所、2007/01) ISBN 4569686613
  • Stephen T.Beckett (著), 古谷野 哲夫 (翻訳) 『チョコレートの科学―その機能性と製造技術のすべて』 (光琳、2007/07) ISBN 4771207046
  • 成美堂出版編集部 編 『チョコレートの事典 ― 選び方・味わい方チョコレートのすべてがわかる』 (成美堂出版、2004/12) ISBN 4415029558
  • ソフィー・D. コウ, マイケル・D. コウ, 樋口幸子 訳 『チョコレートの歴史』 (河出書房新社、1999/03) ISBN 4309223451
  • 加藤由基雄, 八杉佳穂 『チョコレートの博物誌』 (小学館、1996/01) ISBN 4096060038
  • 八杉佳穂 『チョコレートの文化誌』 (世界思想社、2004/02) ISBN 4790710408
  • Caroll Off (著), 北村陽子 (翻訳)  『チョコレートの真実』 (英治出版、2007/09) ISBN 4862760159

[編集] 登場作品

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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