石北本線
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石北本線(せきほくほんせん)は、北海道旭川市の新旭川駅から北見市の北見駅を経て、網走市の網走駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(地方交通線)である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 駅数:40駅(起終点駅含む。他に信号場4)
- 軌間:1067 mm
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 交換可能な駅は駅一覧を参照。
[編集] 廃止区間
[編集] 運転
新旭川駅が起点だが、すべての普通・快速列車が旭川駅まで、特急列車は札幌駅まで乗り入れている。
※運行数は2007年10月1日現在
[編集] 地域輸送
おおむね、「旭川~上川」「上川・白滝~遠軽」「遠軽・留辺蘂~北見~網走」で運行系統が分けられる。
[編集] 旭川~上川間
線路名称上の起点は新旭川だが、列車は旭川駅を起点に運転される。上川までは旭川の近郊区間となっている。旭川~上川には8往復程度の列車が設定されており、日中を除いて1~2時間に1本の運行となっている。また旭川~当麻・伊香牛発着の系統もある。
[編集] 上川・白滝~遠軽間
上川~白滝間は、特急「オホーツク」と特別快速「きたみ」を除くと普通列車が1日わずか1往復の運転である。この区間は人口希薄地帯で、民営化後に3駅が廃止、または信号場に格下げとなっている。白滝~遠軽間は、普通列車と「きたみ」で合わせて5往復の運転があるものの、旧白滝・下白滝は1日下り1便、上り3便しか停車しない。
[編集] 遠軽~網走間
遠軽~北見・網走間に普通列車が4往復あり、ほかに遠軽~生田原間の区間列車が設定されている。当区間の最閑散区間である生田原~金華間は、普通列車と「きたみ」で1日5往復の運転である。
金華以東は北見・網走を中心としたダイヤになっており、金華・留辺蘂・東相内から北見または網走まで運行する系統も多い。留辺蘂~網走では日中を除いて1~2時間に1本の運行となっている。また一部の列車は釧網本線の知床斜里駅・緑駅まで直通する。「きたみ」は始(終)点北見駅で網走・知床斜里方面の普通列車と接続するダイヤが組まれている。
1990年から1995年の間、網走駅~北見駅~遠軽駅間で快速「あばしり」が1日1往復運転されていた。
[編集] 広域輸送
札幌~網走間に特急「オホーツク」4往復が運転される。観光シーズン時にはさらにリゾート車両などで臨時特急が運転される場合がある。これを補完する形で、旭川~北見間に特別快速「きたみ」が1往復運転されている。
[編集] 使用されている車両
- 特急オホーツク:キハ183系気動車
- 特別快速きたみ:キハ54形気動車
- 普通:キハ40形気動車、キハ54形気動車。 - キハ40形が中心である。また、旭川~東旭川・当麻・伊香牛間では富良野線用のキハ150形が使用されている場合もある。
[編集] 歴史
石北本線は、北見・網走を目指して建設された複数の路線を繋ぎ合わせたものである。一つ目は名寄から興部、遠軽を経て北見に至る湧別線ルート、二つ目は十勝地方の池田から北見、網走に至る網走本線ルート、三つ目は旭川から北見峠を越えて遠軽を短絡する石北線ルートである。1932年に難所だった北見峠を越える石北線が全通して、旭川から北見・網走方面を結ぶ最短経路の鉄道が開通した。
当初、札幌方面と北見を結ぶルートは札幌駅~旭川駅~富良野駅~池田駅~北見駅のルートであり、その後根室本線の滝川駅~富良野駅間の開通でさらに短絡化された。のち名寄本線が開通して少し短絡され、その後石北本線の全通により現在のルートが最短となった。
石北本線が名実ともに現在の形となるのは、1961年に線区の整理統合が行われてからである。現在も遠軽駅の線形がスイッチバックであることが、石北本線の複雑な生い立ちを物語っている。
この鉄道の歴史を語るうえで忘れてならないのは、留辺蘂町(現・北見市)から生田原町(現・遠軽町)にかけての常紋トンネルで「タコ部屋労働」と呼ばれる虐待労働が行われた事実である。その詳細は別項に譲るが、常紋トンネルの建設にあたって人柱が立てられ、実際にトンネル内から人骨が発掘されたという報告があり、それに纏わる怪談話も少なからず伝えられている。
[編集] 年表
[編集] 新旭川~中越間
- 1922年(大正11年)11月4日 【開業】石北線新旭川~愛別 【駅新設】新旭川、東旭川、桜岡、当麻、愛別
- 1923年(大正12年)11月15日 【延伸開業】愛別~上川 【駅新設】中愛別、安足間、上川
- 1927年(昭和2年)10月10日 【線名改称】石北西線 新旭川~上川
- 1929年(昭和4年)11月20日 【延伸開業】上川~中越 【駅新設】天幕、中越
[編集] 中越~遠軽間
- 1927年(昭和2年)10月10日 【開業】石北東線 遠軽~丸瀬布 【駅新設】瀬戸瀬、丸瀬布
- 8月12日 【延伸開業】丸瀬布~白滝 【駅新設】下白滝、白滝
- 1932年(昭和7年)10月1日 【延伸開業】中越~白滝間 【駅新設】上越、奥白滝、上白滝 【線名改称・区間編入】石北線 新旭川~野付牛(湧別線 遠軽~野付牛を編入)
[編集] 遠軽~野付牛(北見)間
- 1912年(大正元年)11月18日 【開業】湧別軽便線 野付牛~留辺蘂 【駅新設】相ノ内、上相ノ内、留辺蘂
- 1914年(大正3年)10月5日 【線名改称】留辺蘂軽便線 野付牛~留辺蘂 【開業】湧別軽便線(軌間762 mm) 留辺蘂~下生田原 【駅新設】奔無加、常紋(信号所)、上生田原、下生田原
- 1915年(大正4年)11月1日 【延伸開業】湧別軽便線 下生田原~遠軽(~社名淵) 【駅新設】遠軽
- 1916年(大正5年)11月7日 【改軌762 mm→1067 mm】留辺蘂~遠軽 【路線統合】湧別軽便線 野付牛~遠軽~下湧別(留辺蘂軽便線を統合)
- 1922年(大正11年)4月1日 【信号所→信号場】常紋
- 9月2日 【線名改称】湧別線(軽便鉄道法廃止により)
- 10月1日 【区間分離】遠軽~野付牛を石北線に編入
[編集] 野付牛(北見)~網走間
- 1911年(明治44年)9月25日 【駅新設】野付牛(網走線 淕別~野付牛間開業)
- 10月5日 【延伸開業】網走線 野付牛~網走(池田~網走間全通) 【駅新設】端野、緋牛内、美幌、女満別、呼人、網走
- 11月18日 【駅名改称】網走本線 池田~野付牛~網走
- 1932年(昭和7年)12月1日 【駅名改称】網走→(貨)浜網走 【駅新設】網走(2代)(既設線上に新設) 【区間分離】網走本線(貨物支線) 網走~浜網走(0.8 km)
[編集] 全通後
- 1934年(昭和9年)2月5日 【駅名改称】上相ノ内→相ノ内、相ノ内→東相ノ内
- 1942年(昭和17年)10月1日 【駅名改称】野付牛→北見
- 1946年(昭和21年)3月1日 【駅名改称】下生田原→安国 上生田原→生田原
- 12月1日 【仮乗降場新設】野上、生野
- 1947年(昭和22年)2月11日 【仮乗降場新設】旧白滝、旭野
- 1948年(昭和23年)11月1日 【仮乗降場新設】鳥ノ沢
- 1950年(昭和25年)1月15日 【仮乗降場→駅・改称】旭野→西女満別
- 11月1日 【仮乗降場新設】下相ノ内
- 1951年(昭和26年)7月20日 【駅名改称】奔無加→金華
- 1956年(昭和31年)11月1日 【仮乗降場新設】伊奈牛
- 1957年(昭和32年)12月1日 【仮乗降場新設】柏陽
- 1960年(昭和35年)5月2日 【仮乗降場新設】北日ノ出、将軍山、愛山、東雲
- 1961年(昭和36年)4月1日 【区間統合・線名改称】網走本線北見~網走間及び網走~浜網走間(貨物支線)を分離、石北線と統合して新旭川~網走(234.0 km)、貨物支線(0.8 km)を石北本線に改称
- 1967年(昭和42年)10月1日 【仮乗降場廃止】下相ノ内
- 11月15日 【仮乗降場名改称】野上→新栄野
- 1969年(昭和44年)11月1日 【改キロ】網走~浜網走間(貨物支線)(0.8 km→1.3 km)
- 1971年(昭和46年)7月1日 【仮乗降場廃止】鳥ノ沢
- 1975年(昭和50年)12月25日 【駅→信号場(仮乗降場)】上越(のち仮乗降場扱いも停止)
- 1980年(昭和55年)10月1日 【開業】貨物支線 東旭川~北旭川(6.2 km)
- 1983年(昭和58年)1月10日 【無人化】桜岡、伊香牛、中愛別、天幕、中越、奥白滝、上白滝、下白滝、瀬戸瀬、安国、金華、緋牛内、西女満別、呼人
- 1984年(昭和59年)2月1日 【廃止】貨物支線 網走~浜網走(-1.3 km)
- 1984年(昭和59年)11月10日 【無人化】東旭川、当麻、愛別、安足間、白滝、丸瀬布、生田原、相ノ内、東相ノ内、端野、女満別
- 1986年(昭和61年)11月1日 【休止】貨物支線 東旭川~北旭川(-6.2 km) 【臨時乗降場新設】南永山、西北見、愛し野 【ダイヤ改正】上川~白滝間で普通列車を1往復に削減、白滝~遠軽間の最終を2時間近く繰り上げ
- 1987年(昭和62年)4月1日 【貨物営業廃止】北見~美幌 【廃止】貨物支線 東旭川~北旭川(-6.2 km) 【承継】北海道旅客鉄道(第1種)、日本貨物鉄道(第2種・新旭川~北見、美幌~網走) 【臨時乗降場→駅】南永山、西北見、愛し野 【仮乗降場→駅】北日ノ出、将軍山、愛山、旧白滝、東雲、伊奈牛、新栄野、生野、柏陽
- 1990年(平成2年)9月1日 【駅廃止】伊奈牛
- 1992年(平成4年)3月14日 全線で普通列車のワンマン運転開始
- 1997年(平成9年)4月1日 【駅名改称】相ノ内→相内、東相ノ内→東相内
- 2000年(平成12年)4月1日 【駅新設】西留辺蘂
- 2001年(平成13年)7月1日 【駅廃止】天幕 【駅→信号場】中越、奥白滝
- 2002年(平成14年)4月1日 【第二種鉄道事業廃止】日本貨物鉄道(美幌~網走 -27.9 km)
- 2003年(平成15年)3月1日 旭川~上川間で最終を5分ほど繰り上げ
- 2006年(平成18年)3月18日 【駅廃止】新栄野
- 2007年(平成19年)3月1日 緋牛内~美幌間の踏切内に進入したトレーラーに普通列車が衝突して脱線。卒業式に向かう乗客・乗務員ら51人が負傷。
- 2007年(平成19年)10月1日 全区間で駅ナンバリングを実施
[編集] 駅一覧及び接続路線
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
A30 | 新旭川駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:宗谷本線 | 北海道 | 旭川市 |
A31 | *南永山駅 | 2.5 | |||
A32 | 東旭川駅 | 5.2 | |||
A33 | *北日ノ出駅 | 7.3 | |||
A34 | 桜岡駅 | 10.2 | |||
A35 | 当麻駅 | 13.9 | 上川郡当麻町 | ||
A36 | *将軍山駅 | 17.4 | |||
A37 | 伊香牛駅 | 19.5 | |||
A38 | 愛別駅 | 25.9 | 上川郡愛別町 | ||
A39 | 中愛別駅 | 32.0 | |||
A40 | *愛山駅 | 36.0 | |||
A41 | 安足間駅 | 38.0 | |||
A42 | *東雲駅 | 40.4 | 上川郡上川町 | ||
A43 | 上川駅 | 44.9 | |||
50.5 | |||||
中越信号場 | (57.2) | ||||
上越信号場 | (64.9) | ||||
奥白滝信号場 | (73.9) | 紋別郡遠軽町 | |||
A44 | *上白滝駅 | 78.9 | |||
A45 | 白滝駅 | 82.2 | |||
A46 | *旧白滝駅 | 88.3 | |||
A47 | 下白滝駅 | 92.7 | |||
A48 | 丸瀬布駅 | 101.9 | |||
- | |||||
A49 | 瀬戸瀬駅 | 109.7 | |||
113.0 | |||||
A50 | 遠軽駅 | 120.8 | |||
A51 | 安国駅 | 128.8 | |||
A52 | *生野駅 | 132.7 | |||
A53 | 生田原駅 | 137.7 | |||
常紋信号場 | (148.0) | 北見市 | |||
A54 | 金華駅 | 152.7 | |||
A55 | *西留辺蘂駅 | 156.2 | |||
A56 | 留辺蘂駅 | 158.2 | |||
A57 | 相内駅 | 169.1 | |||
A58 | 東相内駅 | 173.7 | |||
A59 | *西北見駅 | 176.3 | |||
A60 | 北見駅 | 181.0 | |||
A61 | *柏陽駅 | 183.7 | |||
A62 | *愛し野駅 | 185.9 | |||
A63 | 端野駅 | 187.3 | |||
A64 | 緋牛内駅 | 194.6 | |||
A65 | 美幌駅 | 206.1 | 網走郡美幌町 | ||
A66 | *西女満別駅 | 213.1 | 網走郡大空町 | ||
A67 | 女満別駅 | 218.1 | |||
A68 | 呼人駅 | 225.9 | 網走市 | ||
A69 | 網走駅 | 234.0 | 北海道旅客鉄道:釧網本線 |
- *印の駅では列車の交換不能。それ以外の駅はすべて交換可能。なお、現在廃止となっている3駅は、廃止直前はいずれも列車の交換は不能であった。
- 常紋信号場はかつて仮乗降場として旅客扱いを行った事があり、中越・上越・奥白滝の3信号場は以前は全て駅であった。
[編集] 過去の接続路線
- 遠軽駅:名寄本線 - 1989年5月1日廃止
- 北見駅:北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線 - 2006年4月21日廃止
- 美幌駅:相生線 - 1985年4月1日廃止
- 網走駅:湧網線 - 1987年3月20日廃止