釧網本線
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釧網本線(せんもうほんせん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する北海道網走市の網走駅と釧路市の東釧路駅を結ぶ鉄道路線(地方交通線)である。
国土交通省監修『鉄道要覧』やJR線路名称公告では東釧路駅が起点とされているが、列車運行上は網走から釧路に向かう列車が下りとなっている[1]。本項では網走駅を起点として記述する。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業)
- 区間(営業キロ)網走~東釧路 166.2km
- 駅数:27(起終点駅を含む)
- 軌間:1067mm
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
- 交換可能な駅は駅一覧を参照。
[編集] 運転
かつては急行列車も運転されていたが、現在は普通列車、快速列車のみの運転である。
釧網本線の起終点は東釧路駅であるが、列車は根室本線に直通し釧路駅を発着する。営業列車は、全区間通しの列車のほか、網走駅~知床斜里駅・緑駅間および摩周駅・川湯温泉駅~釧路駅間の区間列車があり、釧路方は1~3時間に1本の運行になっている。支庁界で野上峠越えとなる緑駅~川湯温泉駅間では、6時間半以上運転されない時間帯がある(4往復。毎年5月1日~10月31日は網走駅~緑駅間・摩周駅~釧路駅間の区間列車を、緑駅~摩周駅間を延長運転し、両区間列車を繋ぐ形で5往復)。網走駅から石北本線への乗り入れも数便ある。1986年に急行「しれとこ」が廃止されて以来、優等列車の運転はなく、速達型列車として快速「しれとこ」が1日1往復運転されている。臨時列車以外は全てワンマン運転である。
定期列車に使用されている車両は釧路運輸車両所のキハ54形が主で、一部の区間列車には旭川運転所と釧路運輸車両所のキハ40形も使用される。全区間通しの列車は、川湯温泉~緑間が急勾配(25‰)・急曲線(最急曲線は半径300m)・多雪区間であるため基本的にキハ54形が単行で限定運用され、ダイヤもキハ54形の性能に沿って設定されている。ただ、下り1本だけはキハ40形単行でも代走出来るダイヤが組まれている。増結される場合はキハ40形が使用される事が多い。運転最高速度は85km/hである。
近年は沿線の豊富な観光資源を背景に、トロッコ列車(ノロッコ号)や蒸気機関車牽引列車などの観光列車が通年運転されている。沿線に観光地が多いためか比較的団体臨時列車も多く、キハ183系一般車やリゾート列車、お座敷列車が入線する。時にはDD51形機関車牽引の北斗星用客車(24系客車)も入線する。
2007年4月より藻琴駅~浜小清水駅間においてデュアル・モード・ビークル(DMV)の試験的営業運行が行われている。片道は軌道、片道は道路を通る循環ルートで土・日・祝日・長期休暇期間のみ運行。旅行商品扱いのため、乗車には事前申し込みが必要である。
[編集] 歴史
太平洋沿岸の釧路とオホーツク海沿岸の網走を結ぶ目的で、両側から建設が進められた。路線は網走などに流された囚人らの手で建設された。網走側は、網走本線の延長として1924年から1929年にかけて札鶴(現在の札弦)まで開業し、釧路側は、釧網線として1927年から1930年にかけて川湯(現在の川湯温泉)まで開業した。このうち、標茶~弟子屈(現・摩周)間は、1896年に事実上廃止となった釧路鉄道の旧路盤を利用している。1931年に川湯~札鶴間が開業し、全通。釧網線に網走本線の網走以遠を編入し、現在の姿となった。
1987年の国鉄分割民営化後は、オホーツク海の流氷や小清水原生花園、知床半島、摩周湖、釧路湿原等、沿線の豊富な観光資源を背景に観光路線として振興が図られており、新駅設置や駅名の改称が行なわれた。
路線は、網走駅-桂台駅の一駅間を除き釧路支社が所管する。網走-桂台間のみ旭川支社の管轄で、桂台は釧網本線で唯一の同支社の管理駅(網走駅管理)である。
[編集] 年表
[編集] 網走本線
- 1924年(大正13年)11月15日 【延伸開業】網走本線網走(初代)~北浜(7.2M≒11.6km) 【駅新設】鱒浦、藻琴、北浜
- 1925年(大正14年)11月10日 【延伸開業】北浜~斜里(16.0M≒25.7km) 【駅新設】浜小清水、止別、斜里
- 1929年(昭和4年)11月14日 【延伸開業】斜里~札鶴(12.2M≒19.6km) 【駅新設】猿間川、上斜里、札鶴
[編集] 釧網線
- 1927年(昭和2年)9月15日 【開業】釧網線 釧路~標茶(29.9M≒48.1km) (根室本線との分岐は別保信号場) 【駅開業】別保(信号場)、遠矢、細岡、塘路、茅沼、五十石、標茶
- 1928年(昭和3年)11月11日 【信号場→駅・改称】別保→東釧路 【起点変更】釧路→東釧路(-1.8M≒-2.9km)
- 1929年(昭和4年)8月15日 【延伸開業】標茶~弟子屈(15.7M≒25.3km) 【駅新設】磯分内、南弟子屈、弟子屈
- 1930年(昭和5年)8月20日 【延伸開業】弟子屈~川湯(15.9km) 【駅新設】美留和、川湯
[編集] 全通以後
- 1931年(昭和6年)9月20日 【延伸開業・全通】札鶴~川湯(22.8km) 【区間統合】釧網線 網走~東釧路(166.3km)(網走本線網走~札弦間を釧網線に編入) 【駅新設】上札鶴
- 1932年(昭和7年)2月1日 【線路付替】網走駅移転。網走(初代)~鱒浦廃止(-6.3km)。網走(2代)~鱒浦(6.2km)開業。網走(初代)を浜網走に改称
- 1936年(昭和11年)10月29日 【線名改称】釧網本線
- 1950年(昭和25年)9月10日 【駅名改称】猿間川→中斜里
- 1952年(昭和27年)11月15日 【駅名改称】古樋→浜小清水
- 1956年(昭和31年)4月10日 【駅名改称】上札鶴→緑、札鶴→札弦、上斜里→清里町
- 1962年(昭和37年)10月1日 【駅新設】南斜里
- 1964年(昭和39年)6月1日 【仮乗降場新設】原生花園
- 1967年(昭和42年)4月1日 【仮乗降場新設】桂台
- 1978年(昭和53年)10月2日 【仮乗降場廃止】原生花園
- 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】北海道旅客鉄道(第1種)、日本貨物鉄道(第2種)【仮乗降場→駅】桂台
- 1987年(昭和62年)7月1日 【臨時駅新設】原生花園
- 1988年(昭和63年)7月23日 【臨時駅新設】釧路湿原
- 1989年(平成元年)3月13日 【駅名改称】川湯→川湯温泉
- 1990年(平成2年)11月20日 【駅名改称】弟子屈→摩周
- 1996年(平成8年)12月1日 【臨時駅→駅】釧路湿原
- 1998年(平成10年)4月11日 【駅名改称】斜里→知床斜里
- 2002年(平成14年)4月1日 【第二種鉄道事業廃止】日本貨物鉄道 全線(-166.2km)
[編集] 駅一覧
- #印は、列車の交換が可能な駅。
駅番号 | 駅名 | 網走 からの 営業キロ |
快速 しれとこ 停車駅 |
接続路線 | 所在地 (すべて北海道内) |
---|---|---|---|---|---|
釧網本線 | |||||
A69 | 網走駅 | 0.0 | ● | 北海道旅客鉄道:石北本線(一部列車直通) | 網走市 |
B79 | 桂台駅 | 1.4 | | | ||
B78 | 鱒浦駅 | 6.2 | | | ||
B77 | 藻琴駅 | 8.7 | ● | ||
B76 | 北浜駅 | 11.5 | ● | ||
B75 | (臨)原生花園駅 | 16.9 | ● | 斜里郡小清水町 | |
B74 | 浜小清水駅# | 20.1 | ● | ||
B73 | 止別駅 | 25.8 | ● | ||
B72 | 知床斜里駅# | 37.3 | ● | 斜里郡斜里町 | |
B71 | 中斜里駅 | 41.9 | ● | ||
B70 | 南斜里駅 | 44.1 | | | ||
B69 | 清里町駅# | 49.2 | ● | 斜里郡清里町 | |
B68 | 札弦駅 | 57.0 | ● | ||
B67 | 緑駅# | 65.3 | ● | ||
B66 | 川湯温泉駅# | 79.8 | ● | 川上郡弟子屈町 | |
B65 | 美留和駅 | 87.0 | | | ||
B64 | 摩周駅# | 95.7 | ● | ||
B63 | 南弟子屈駅 | 103.9 | | | ||
B62 | 磯分内駅 | 110.4 | ● | 川上郡標茶町 | |
B61 | 標茶駅# | 121.0 | ● | ||
B60 | 五十石駅 | 129.5 | | | ||
B59 | 茅沼駅 | 134.9 | ● | ||
B58 | 塘路駅# | 141.9 | ● | ||
B57 | 細岡駅 | 149.1 | | | 釧路郡釧路町 | |
B56 | 釧路湿原駅 | 151.5 | ※ | ||
B55 | 遠矢駅 | 158.8 | ● | ||
B54 | 東釧路駅# | 166.2 | ● | 北海道旅客鉄道:根室本線(根室方面) | 釧路市 |
根室本線 | |||||
K53 | 釧路駅 | 169.1 | ● | 北海道旅客鉄道:根室本線(帯広・札幌方面) | 釧路市 |
- 原生花園駅の営業期間は5月1日~10月31日。
- ※:釧路行は毎日停車。網走行は5月1日~11月30日停車。