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宇宙戦艦ヤマトIII - Wikipedia

宇宙戦艦ヤマトIII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

宇宙戦艦ヤマトIII』(うちゅうせんかんヤマトIII)は、宇宙戦艦ヤマトシリーズの最後のテレビ版アニメで、讀賣テレビ放送系の各TV局で、1980年10月11日 から 1981年4月4日までの土曜日の午後7時から7時30分、全25話で放映された。

当初は全52話で計画されており、第3の敵「ゼニー合衆国」の登場も予定されていたが、視聴率の低迷(ただし全盛期に比して、の話であり、本作単独で見ると15%もの視聴率があった)のため短縮された。

反面、作画面ではシリーズ中、最も不安定な作品であり、キャラクターの描き方のバラツキが大きく、動画時のアラもかなり目立つ回がある。

当初、1年間の放送予定であったことから、ヤマトの乗組員にも土門竜介揚羽武、坂巻浪夫、仁科春夫、雷電五郎、板東平次、赤城大六、幕之内勉、平田一、京塚ミヤコ以下の女子看護士たち、多数のロボットアンドロイドなど、各部門に新しいキャラクターが多数加えられた。これは、ストーリーが1年間の「第二の地球探し」という長期の航海であることから、艦内での生活や人間模様をじっくり描くために用意された設定であったが、土門、揚羽以外のほとんどの人物は、名前と台詞こそあったものの、結局、放送期間の短縮を受けて、早々に退場するかその他大勢程度の活躍のままで終わってしまった。

しかし、宇宙戦艦ヤマトは決して単なる「戦闘艦」なのではなく地球の「希望」であるという当初のコンセプトからすれば、本作品のヤマトはその本来の役割を果たしたといえよう。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] ストーリー

23世紀初頭、銀河系では、巨大な星間国家ボラー連邦と新興のガルマン・ガミラス帝国が激しい星間戦争をくりかえしていた。ボラー連邦の属領バース星をめぐる戦闘の際、ガルマン・ガミラス東部方面軍のダゴン艦隊が放った惑星破壊プロトンミサイルが流れ弾となって太陽系に侵入し、太陽に命中してしまった。 その影響で太陽に核融合異常増進が起こり、このままだと1年以内に地球は灼熱地獄となって人類が滅亡し、3年で太陽が惑星を飲み込んで超新星爆発を起こして太陽系自体が消滅してしまうという。 地球防衛軍司令長官藤堂平九郎は、宇宙戦艦ヤマトを第2の地球探しの特務艦として、銀河系中心方向に密かに派遣することにした。長く艦長代理を務めてきた古代進は正式に新艦長に任命され、島大介及び真田志郎が副長としてこれを補佐する事となった。また、今回の任務に際し新人乗組員が多数乗艦、その中には土門竜介揚羽武ら有望な若者も含まれていた。

ダゴン艦隊の攻撃で傷つき、太陽系へ逃れてきたバース星旗艦ラジェンドラ号を助けた事から、ヤマトとガルマン・ガミラス東部方面軍は交戦状態に入ってしまった。ヤマトは数回の戦闘を勝ち抜いたが、ついに捕獲されてしまう。 ガルマン・ガミラスの総統はあのデスラーだった。再び地球やヤマトと戦う可能性を避けるため、オリオン腕最辺境の恒星系には手を出すな、と厳命していたデスラーは、部下たちが独断でヤマトと戦っていたことを知って激怒し、古代をはじめヤマトクルー一同に対し、総統としてその不明をわびる。自軍のミサイルが原因で地球に危機がせまっている、と聞いたデスラーは、償いに太陽制御のための工作船団を派遣し、それが失敗に終わると、国境付近のM1678散開星団のはずれにある地球に似た惑星惑星ファンタムを紹介した。しかし、ファンタムはコスモ生命体であって、第2の地球にはなりえないことが判明した。

惑星ファンタムで、ガルマン・ガミラスとボラーの双方から追われるルダ王女を助けたヤマトは、ボラー本国艦隊を破ってルダ王女をシャルバート星に送り届ける。環境が地球と酷似し住民が全くの無抵抗であるこの星を見て、乗員の中には土門の様に、シャルバート星を占領しようと提案する者もいた。古代でさえ一瞬はそう考えたが、それではボラー連邦やガルマン・ガミラスと同じになってしまう、と説得しその提案を退けた。だが、実はシャルバート星は古来から全宇宙でも脅威に値する科学力を持ち、それを自分たちの意思で敢えて封印していたのであった。ヤマトは、ルダ王女から核融合を制御するハイドロコスモジェン砲を贈られ、異次元空間を最高速で航行し、太陽系へ帰還した。

ボラー連邦ベムラーゼ首相は、自ら大艦隊と切り札とも言うべき機動要塞を駆って太陽系内に侵攻し、デスラーを誘き寄せる事を目的にヤマトを攻撃する。デスラーが親衛艦隊を率いて太陽系内に現れ、ボラー艦隊をデスラー砲の斉射で一掃するものの、秘密兵器ブラックホール砲により、旗艦以外の親衛艦隊を失うピンチに陥いる。しかし、揚羽の特攻によってブラックホール砲の砲口を破壊されたゼスパーゼに、デスラーは、ハイパーデスラー砲でとどめを刺す。土門の決死の復旧作業により稼働したハイドロコスモジェン砲は太陽の核融合異常増進を「鎮め」、地球は、人類滅亡まであと30日を残して救われた。

[編集] スタッフ

  • 企画・製作・総指揮:西崎義展
  • 監督・総設定:松本零士
  • 監督:山本暎一
  • アニメーション・ディレクター:棚橋一徳
  • 総作画監督:小泉謙三
  • SF設定協力:豊田有恒、星敬、出渕裕
  • メカデザイン:板橋克己、サブマリン
  • 美術監督:伊藤主計、勝又激
  • 撮影監督:菅谷信行
  • 音響監督:鳥海俊材
  • 音楽:宮川泰
  • 制作:よみうりテレビ、東京動画

[編集] 放送リスト

話数 サブタイトル 脚本 コンテ 演出 作画監督
01 太陽系の破滅 山本暎一 白土武 棚橋一徳 高橋信也
02 銀河系大戦 小泉謙三
03 ヤマト暁の発進 芦田豊雄
04 あの火星を撃て 藤川桂介 遠藤政治 小泉謙三
05 SOS!ラジェンドラ号 白土武 宇田川一彦
06 激闘!11番惑星空域 山本暎一 川喜多繁 小泉謙三
07 アルファ星波高し 松野達也 芦田豊雄
08 最後の開拓者 山本英明 白土武 白土武
09 バーナード星の決闘 棚橋一徳 小泉謙三
10 ダゴン新鋭艦隊の反撃 笹川ひろし 宇田川一彦
11 ヤマト危し!魔の白鳥座星域 笹川ひろし 宇田川一彦
12 宇宙の流刑地 白土武 川喜多繁
13 恐るべし!ボラー連邦 白土武
14 次元潜航艇ガルマンウルフ 山本暎一
山本英明
芦田豊雄 芦田豊雄
15 ヤマト捕わる!! 宇田川一彦
16 デスラーの祝日 山本英明 笹川ひろし 棚橋一徳 小泉謙三
17 デスラー帝国危機一髪 高橋信也
18 怒る太陽 白土武 川喜多繁 小泉謙三
19 惑星ファンタムへの道 根本祥二 白土武
20 幻の惑星 遠藤政治 宇田川一彦
21 打ち砕かれた希望 笹川ひろし 棚橋一徳 小泉謙三
22 さらば 夢の星よ 笹川ひろし 高橋信也
23 激戦!スカラゲック海峡星団 白土武 宇田川一彦
24 シャルバート星の秘密 笹川ひろし 宇田川一彦
25 ヤマト あの太陽を撃て! 山本英明 白土武 棚橋一徳 小泉謙三

[編集] その他

  • ヤマトはおおよそ、以下のような航路をたどった。
    地球日本アルプスのドック) - 海王星 - 11番惑星 - アルファ・ケンタウリ第4惑星 - バーナード第1惑星 - 白鳥座三連星 - バース星 - ガルマン・ガミラス本星 - 惑星ファンタム - スカラゲック海峡星団 - シャルバート星 - 地球
  • 地球防衛軍司令長官に「藤堂平九郎」という本名が設定されたのは、本作が初めてとされるが『ヤマトよ永遠に』の劇場パンフレットに既に名前があった。
  • シリーズのストーリー上の設定における本作の年代は、本作劇中では「23世紀初頭」とナレーションがされ、作品中では年数は明示されていない。対して、本作の関連書籍等の中には「2205年」とするものが存在、実際に放送当時はそう設定されていた。しかし、諸事情により続編の「完結編」が西暦2203年になってしまい、その際に本作も2203年の設定に訂正された。なお、本作の直前にあたる「ヤマトよ永遠に」の年代は「2202年」である。
  • 「太陽に核融合異常増進が起こり、このままだと1年以内に地球は灼熱地獄となって人類が滅亡」のシノプシスは、高校生のファングループの投稿が元になっている。ラジオ番組『セイ・ヤング』において、DJの西崎義展自身がこれを紹介した。(ただしこのシノプシスは、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の続編としてのもの)
  • ヤマトIIIはヤマトシリーズの中では例外的に地球への侵略を企てる異星人が登場しない。銀河系はガルマン・ガミラスとボラー連邦の二つの超大国の全面戦争の真っ最中であり、地球はその巻き添えを食らったに過ぎない点で異色である。なお、ボラー連邦とガルマン・ガミラス、そして地球の関係は当時の冷戦構造が基になっていると思われる(ボラーをソ連、ガルマン・ガミラスをアメリカ、地球を日本と置き換える事ができる)。ICBMを思わせる戦略兵器・惑星破壊プロトンミサイルも登場した。その一方、ガミラスは元々ナチス・ドイツをモデルとしている関係から独ソ戦のイメージも一部織り込まれている(機甲艦隊等といった名称が登場するが、無論これは独ソ戦で主戦力であった戦車機甲師団をイメージしたものである)。
  • このシリーズだけ、戦闘服の襟章に全員色が付いていた。
  • インターネット上では「ヤマト3」と書かれている場合もあるので、検索時には注意が必要。(ローマ数字のⅢとIを3つを並べたIIIの混在もありえる)なお、TV版の白色彗星帝国との戦いを描いた作品は「ヤマト2」であり、元々、タイトルの表記方法が異なっている。

[編集] 関連事項


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