ヤマトよ永遠に
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤマトよ永遠に | |
監督 | 松本零士、舛田利雄 |
---|---|
製作総指揮 | 西崎義展 |
脚本 | 舛田利雄、山本英明、藤川桂介 |
音楽 | 宮川泰 |
主題歌 | 愛よその日まで/布施明 |
撮影監督 | 片山幸男、菅谷信行 |
編集 | 千蔵豊 |
配給 | 東映 |
公開 | 1980年8月2日 |
上映時間 | 145分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 23億円 |
前作 | さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち |
次作 | 宇宙戦艦ヤマト 完結編 |
allcinema | |
Variety Japan | |
- テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』第26話(最終回)のサブタイトル。
- 1980年公開の劇場公開作品。本項目で述べる。
- 『宇宙戦艦ヤマトIII』の第7話以降、第25話(最終回)までの奇数話のエンディングテーマとして使用された楽曲の題名。2.の映画の公開記念イベントとして公募された詩を元に製作された。
『ヤマトよ永遠に』(やまとよとわに)は、1980年公開の宇宙戦艦ヤマトシリーズの映画。
目次 |
[編集] 概要
地球と暗黒星団帝国との戦いを描く。400万人の観客動員数を達成した『さらば宇宙戦艦ヤマト』以降では初となった劇場用映画。
前年に放送されたテレビスペシャル『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』に登場した暗黒星団帝国との戦いの決着がつけられる続編的位置付けではあるが、あまり連続性は強くなく、前作を見ていなくても独立した作品としても鑑賞できる内容となっている。
日本武道館でのフェスティバルや船をチャーターした2泊3日の航海旅行、ミステリーツアーなど様々なイベントが行なわれ、また、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズでは恒例となっている声優が生出演するラジオドラマなどが内容のニッポン放送の『オールナイトニッポン』スペシャルも放送された。配給収入は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』には及ばなかったものの、約13億6千万円と、十分にヒット作品と呼べる収益を上げている。
シリーズでは唯一デスラーが登場しなかった作品でもある。また、これまでヤマトに乗艦し古代進の傍らでともに戦ってきた森雪は、本作品では地球に残留し、地球からヤマトの戦いを支援している。代わりにヤマトに乗艦するヒロイン的な役を、古代進の兄・守とスターシアの娘であるサーシャが務めている。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] ストーリー
突如外宇宙から現れた謎の光が地球に向けて進んでいく。太陽系内の各惑星をその光球飛行物体が通り過ぎていくと、各惑星の前線基地からの通信が何故か途絶えていってしまう。光球飛行物体は急速に地球に接近し、地球側も迎撃ミサイルで応戦したが、とうとう地球上に降り立ってしまう。それは何と超大型ミサイルだったのだ。そして後から突然謎の大艦隊が地球に押し寄せてくる。地球艦隊はいきなりの奇襲攻撃に為すすべも無く壊滅し、地球はどんどん制圧されていく。
そんな中、古代達ヤマトの乗組員達は各々の死地から辛くも逃れ、沖田艦長の眠る英雄の丘に集結し、森雪のもたらした極秘命令を受け小惑星イカルスへと向かう。しかし森雪は途中で負傷し、一人だけ地球に残ることになる。地球から決死の脱出を果たした一行がイカロスに着くと、なんとそこにはヤマトが隠されていたのだった。だが、地球は首都を含む全土が「暗黒星団帝国」に制圧されてしまう。
「暗黒星団帝国」はヤマトの在処を示せと要求してくる。そして謎の超大型ミサイルは重核子爆弾(ハイペロン爆弾)であり、地球の中間子質量を破壊し、人類の脳細胞を一挙に死滅させることが出来ると脅してくる。ヤマトの乗組員たちはこの超大型ミサイルの起爆コントロールが敵母星であることを突き止めると、この爆弾の爆発を阻止するため、暗黒星雲の彼方へと航海に旅立つのだった。
「暗黒星団帝国」の文明は高度に機械化が進んでいるため、人間も頭部以外はすべて機械で構成されていた。その種としての衰退を地球人の肉体を手に入れる事によって克服するため、脳細胞のみを破壊する重核子爆弾を送り込んできたのであった。重核子爆弾の起爆コントロールは二重化されており、地球上にある重核子爆弾本体の起爆システムを解除した後、暗黒星団帝国本星の起爆装置を無力化せねばならない。そのため、地球ではパルチザンに参加した森雪がシステムを解除、暗黒星団帝国本星をヤマトが波動砲で破壊することで、地球は救われた。
[編集] カットされたシーン
古代達が地球から高速連絡艇でイカロス天文台に向かう際、原作・漫画版では暗黒星団帝国の監視網を逃れる為、佐渡医師より仮死状態になる薬品を注射されるシーンがある。薬物注射が放映倫理上問題になったのかは不明だが、この部分は映像化されず、後にアルフォンから雪に「監視からの報告によれば、高速連絡艇から生命反応が無かった」と告げるシーンと上手く噛みあわない事になる。
雪とアルフォンのキスシーンが実際に制作されていた。こちらは本編での使用を目的としたものでは無く、 当時アニメ誌の説明によれば「現場のアニメスタッフが面白半分で完成させた」とあるが、実際にはアニメ誌への公開を見込んで意図的に作ったものと思われる。実際にこの数カットのセル画はアニメ誌等で何度も公開されている。
[編集] スタッフ
- 原作:松本零士、西崎義展
- 監督・総設定:松本零士
- 脚本:舛田利雄、山本英明、藤川桂介
- 音楽:宮川泰
- プロデューサー:吉田達
- チーフディレクター:勝間田具治
- 監督:舛田利雄
- 制作・総指揮:西崎義展
- 助監督:棚橋一徳
- 総作画監督:宇田川一彦
- メカニックデザイン:辻忠直、板橋克己
- キャラクターデザイン:宇田川一彦、高橋信也、白土武
[編集] 主題歌・劇中歌
[編集] 主題歌(エンディング)
[編集] 劇中歌
- 「星のペンダント」-作詞:阿久悠/作・編曲:宮川泰/唄:ささきいさお
- 「愛の生命」-作詞:山口洋子/作曲:浜田金吾/編曲:戸塚修/唄:岩崎宏美
- 「銀河伝説」-作詞:阿久悠/作曲:宮川泰/編曲:川口真/唄:岩崎宏美
- 「おもかげ星」-作詞:山口洋子/作・編曲:宮川泰/唄:堀江美都子
[編集] 宣伝コピー
空前のスケールに包まれて いま、ヤマトが帰ってきた!!
[編集] その他
- 本編途中で画面サイズをアメリカンビスタサイズ(1:1.85)からシネマスコープサイズ(1:2.35)に切り替える手法が導入され、これに4チャンネル・ステレオ、スキャニメーションを合わせて、本作ではワープ・ディメンション方式と呼称されていた。よって冒頭から二重銀河へ抜ける所まではモノラル音声である。後にビデオソフト化された際にモノラル部分もステレオ化されている。
- 本作のストーリーは、西崎義展と松本零士がともに意見を出し合い、松本が原案を作成、それを元に作った舛田案に西崎がヤマトらしさを加味して完成させるという初めての試みが行われた。もっとも西崎は、自分の力不足により、松本のアイデアを生かしきれなかったと述べている[1]。
- 原案である松本案では、主人公たちの思いとは裏腹に、地球は極端な機械化をおし進め、誤った道を歩みだしているという舞台設定があった[2]。実際の本編ではそれは希薄になっているが、地球艦隊が無人艦ばかりで構成されているのはその名残りである。
- 「暗黒星団帝国」がヤマトの在処を探ったのは、「暗黒星団帝国」の物質は、その性質上、波動エネルギーに決定的に弱いという致命的な弱点を抱えているため。
- 今作で、宇宙でただ一人イスカンダル人の血を引くサーシャが死亡したため、イスカンダル人は完全に絶滅した。
[編集] 脚注
- ^ ‘ファイナルデラックス版 ヤマトよ永遠に’(西崎音楽出版)より
- ^ この原案では、事故を起こした古代が、人間が宇宙船を操縦するなんてもう時代遅れだと陰口をたたかれる、入院した病院で医者の代わりに機械が治療をしている姿をみて、ここでも機械かとつぶやくなど、かなり顕著に現れている。
|
|
---|---|
総合 | 宇宙戦艦ヤマトシリーズ |
テレビアニメ | 宇宙戦艦ヤマト - 宇宙戦艦ヤマト2 - 新たなる旅立ち - 宇宙戦艦ヤマトIII |
劇場映画 | 第1作 宇宙戦艦ヤマト - 第2作 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち -第3作 ヤマトよ永遠に - 第4作 宇宙戦艦ヤマト 完結編 -第5作 宇宙戦艦ヤマト復活編(製作中止) |
他のメディア | YAMATO2520(OVA) - 新宇宙戦艦ヤマト(漫画) |
登場人物 | 登場人物一覧 - 古代進 - 森雪 - 沖田十三 - デスラー |
登場国家・惑星 | 登場勢力一覧 - 地球 - イスカンダル - ガミラス帝国(ガミラス)- 白色彗星帝国 - テレザート星 - 暗黒星団帝国(デザリアム星) - ガルマン・ガミラス帝国 -ボラー連邦(バース星) -シャルバート - 惑星ファンタム - ディンギル帝国 |
登場艦船 | 艦船一覧 - ヤマト - 沖田艦 - デスラー艦 - ガミラス艦 |
登場兵器 | 登場兵器一覧 - 波動砲 - デスラー砲 - 火炎直撃砲 - 重核子爆弾 - 惑星破壊プロトンミサイル - ブラックホール砲 - ハイドロコスモジェン砲 - ハイパー放射ミサイル |
用語 | 宇宙放射線病 - 英雄の丘 - コスモクリーナーD - デスラー戦法 - 波動エンジン |
関連人物・企業 | 西崎義展 - 松本零士 - 豊田有恒 - 舛田利雄 - 阿久悠 - 羽田健太郎 - 宮川泰 - 東北新社 - バンダイビジュアル |