大阪高速鉄道大阪モノレール線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大阪モノレール線(おおさかモノレールせん)は、大阪府豊中市の大阪空港駅から門真市の門真市駅を結ぶ大阪高速鉄道の跨座式モノレール路線である。
北大阪地区のターミナルである千里中央から、大阪国際空港(伊丹空港)や万博記念公園などへのアクセス路線として利用されている。
大阪モノレール線は、ギネスブックでも認められた世界最長の営業距離を持つモノレールでもある。そのため、主要駅のコンコースにはギネスブックの認定書が設置されている。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):21.2km
- 方式:跨座式
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化方式:直流1500V
- 閉塞方式:車内信号式
- 最急勾配:50‰(少路~千里中央間・摂津~南摂津間)
- 最急曲線:半径100m(蛍池~柴原間)
[編集] 概要
大阪国際空港(伊丹空港)~国道176号交点(柴原駅付近)までは大阪府道11号大阪国際空港線区域内に、国道176号交点~門真市駅間は大阪府道2号大阪中央環状線区域内(一部、高速自動車国道部と重用)にそれぞれ建設され、柴原駅~万博記念公園駅間は中国自動車道と、万博記念公園駅~門真市駅間は近畿自動車道と並走している。
元々は大阪国際空港と堺泉北臨海工業地帯を結ぶという壮大な構想から始まった。大阪府道2号大阪中央環状線沿いを堺市方面まで延伸する計画であったが、現在のところ、2004年に近畿地方交通審議会から「京阪神圏において、中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として門真市から東大阪市の瓜生堂(近鉄奈良線との交点で八戸ノ里駅と若江岩田駅のほぼ中間点)までの延伸案が示されたに過ぎない。その延伸案もおおさか東線との競合や沿線人口の減少などの課題があり、実現性は定かではない。大阪高速鉄道には在阪5私鉄すべてが株を保有しているが、実質は阪急電鉄主導であり、阪急各線間を連絡する役割が大きい。そのため、阪急沿線外への延伸は厳しいものがあるが、阪急百貨店が北花田駅に進出するなど従来の沿線地域を超えた商圏拡大の動きや、阪神高速道路大和川線との兼ね合い次第では延伸案にも現実味が帯びてくる。
大阪モノレール線は大阪市を中心に放射状に延びる私鉄を環状に接続し、周辺都市間の移動の確保を図るために建設された。大阪市内中心部を通らないため、また開業当初はドル箱である大阪国際空港までの延伸が遅れたこともあり(蛍池駅付近の用地買収が難航したため)、赤字に苦しんでいた。事実、大阪国際空港へ延伸されるまではエキスポランド利用客やガンバ大阪主催試合の観客輸送に頼っていた面があり(乗客は)天気に左右されるといわれていた。だが、国内線のみとなったものの今なお利用客の多い大阪国際空港への延伸を果たし、加えてほぼ同時期の門真市駅への延伸後は、北摂方面と京阪電鉄沿線とが結ばれる事となり、空港の利用客と松下電器グループの各社に通勤する社員の恩恵を受ける事となった。それらのおかげで現在では少しずつ黒字基調となっている。
路線はすべて大阪府道の区域内を通過し、軌道法の適用を受けたため、建設にあたっては国から高率の補助を受けた。また、軌道及び橋脚部は道路施設の扱いとなるなど減価償却負担が軽くなっているため、第三セクター運営の路線としては珍しく好成績を上げている。
宇野辺駅~南茨木駅間で東海道本線(JR京都線)をオーバークロスするが、同線との乗り換え駅は設定されていない。建設が決まった当初は当時の国鉄に乗り換え用の新駅を建設するか、もしくは東海道本線茨木駅を移転するよう要請したものの、当時の財政事情からそれが許されず、結果的にJRとは連絡しない今の形となってしまった。また、宇野辺駅は開業時は茨木駅と名付けられていたが、JRの茨木駅とは大きく離れており、乗り換えできると勘違いする乗客が多かったため、大阪空港延伸時に現在の宇野辺駅に改称されている。
なお、「大阪モノレール線」という呼称は、支線である国際文化公園都市線(彩都線)開業前に決められたものであり、現在では彩都線を含めた大阪高速鉄道の全路線を「大阪モノレール」と呼称していることから、案内上ではこの路線自体を「大阪モノレール線」とは呼ばず「本線」と呼ぶこともある。
[編集] 運行形態
日中は10分間隔での運転で、万博記念公園で彩都線の列車に接続するが、日中などは彩都線が20分間隔の運転になるので、半数の列車だけが接続する。全線通しの運転が基本だが、早朝の数本に出庫を兼ねた万博記念公園発門真市行と上り始発に南茨木発大阪空港行が存在するほか、夜の上り終発が門真市発南茨木行と下り終発が大阪空港発千里中央行(平日のみ)がある。また、平日の朝と夕方以降に彩都線定期直通列車が千里中央~彩都西間で運行されるほか、万博記念競技場でJリーグの試合がある場合は千里中央から彩都線へ直通臨時列車が運行される。彩都線直通列車運行中は、千里中央~万博記念公園は約5分おきの運転となる。行楽シーズンの土・休日には万博記念公園の行楽客に対応するために、日中に臨時列車を千里中央~門真市に運転し、この区間は定期列車を含めて5分間隔の運転となる。
[編集] 歴史
- 1990年(平成2年)6月1日 千里中央~南茨木間が開業。
- 1994年(平成6年)9月30日 柴原~千里中央間が開業。
- 1997年(平成9年)4月1日 大阪空港~柴原間が開業。茨木駅を宇野辺駅に改称。
- 1997年(平成9年)8月22日 南茨木~門真市間が開業。
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 大阪空港駅 | - | 0.0 | 大阪府 | 豊中市 | |
12 | 蛍池駅 | 1.4 | 1.4 | 阪急電鉄:宝塚本線 | ||
13 | 柴原駅 | 1.7 | 3.1 | |||
14 | 少路駅 | 1.7 | 4.8 | |||
15 | 千里中央駅 | 1.8 | 6.6 | 北大阪急行電鉄:南北線 | ||
16 | 山田駅 | 1.9 | 8.5 | 阪急電鉄:千里線 | 吹田市 | |
17 | 万博記念公園駅 | 1.4 | 9.9 | 大阪高速鉄道:国際文化公園都市線(彩都線) | ||
18 | 宇野辺駅 | 2.2 | 12.1 | 茨木市 | ||
19 | 南茨木駅 | 1.2 | 13.3 | 阪急電鉄:京都本線 | ||
20 | 沢良宜駅 | 1.2 | 14.5 | |||
21 | 摂津駅 | 1.5 | 16.0 | 摂津市 | ||
22 | 南摂津駅 | 1.8 | 17.8 | |||
23 | 大日駅 | 2.1 | 19.9 | 大阪市営地下鉄:谷町線 | 守口市 | |
24 | 門真市駅 | 1.3 | 21.2 | 京阪電気鉄道:京阪本線 | 門真市 |
- 駅はないが、蛍池駅~柴原駅間にある半径100メートルの急カーブの途中で池田市をかすめて走る。また、大阪空港駅付近は複雑に豊中市域と兵庫県伊丹市域が入り組んでおり、駅舎・軌道とも両府県にまたがっている。