ギネス・ワールド・レコーズ
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ギネス・ワールド・レコーズ(ギネス世界記録、英:Guinness World Records、ギネスブック)とは、世界一を収集した本。略称ギネス。
アイルランドのビール会社、ギネス社 (Guinness) の関連会社「ギネス・ワールド・レコード社」が発行している。様々な分野の世界一が何かを認定、掲載している。「ギネス・ワールド・レコード社」には様々な地域から申請が届く。
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[編集] 概要
収録されるのは、発行元が定める「認定されたカテゴリー」の元で「認定されたルール」に従って作られた記録である。
長く「ギネス(ブック)」の名称で親しまれていたが、2002年度版から「ギネス・ワールド・レコーズ」(「ギネス世界記録」)に改称された。
また、2005年8月には東京タワーフットタウン3階に、ギネス世界記録を集めた博物館「ギネス・ワールドレコード・ミュージアムTOKYO」が開館している。
NHKのニュースや番組では公共放送の性質上、商号及び商品名を宣伝しないよう「世界の記録集」「世界の記録を集めた本」などと表現される(例外で、一部番組では番組の性格上「ギネス」が用いられることもある)。
毎年11月の第2木曜日は、ギネス・ワールド・レコード社が定めた「ギネス世界記録の日」である。
[編集] 日本語版
日本語版は1966年に竹内書店が『これが世界一 記録がなんでもわかる本』という題名で発行した。1971年には同じく竹内書店から『記録の百科事典 世界一編』という邦題で発行。
『ギネスブック』のタイトルで発売された邦訳は、1977年に講談社が出たものが最初で、同社からは1988年版まで刊行された。1989年版はエトナ出版が、1990年代以降は長らくきこ書房が手がけてきたが、2002年版(この版のみタイトルが『ギネス・ワールド・レコーズ』)を最後に取り扱いをやめた。
2003年版は日本では発行されず、2004年版からはポプラ社が『ギネス世界記録』の題名で発行している。ポプラ社版の特徴としては、児童の興味を惹きつけるようカラー写真を多用し、ページ数や掲載されている項目数がやや少ない。
[編集] 歴史
ギネスブックの発行は、ギネス社の社長であるヒュー・ビーバーが、仲間とアイルランドへ狩りに行った時の出来事がきっかけ。狩りの獲物のうち、世界一速く飛べる鳥はヨーロッパムナグロかライチョウか、という議論になり、これになかなか結論が出なかったためで、ビーバーがもしこういう事柄を集めて載せた本があれば評判になるのではないかと発想した。ロンドンで調査業務を行っていたノリス・マクワーターとロス・マクワーターに調査と出版が依頼され、1951年にギネスブックの初版が発売された。
[編集] 登録方法
登録するには、イギリスのロンドン本部に書面で事前連絡するか、同社のウェブサイトから申請する。なお、必ず英語で行い、自分の住所や名前、電話番号(もちろん国際電話番号)、内容や理由などを書く。その際の申請料は300ポンドである。 2008年3月より、全文日本語での登録申請が可能となったが、その場合の申請料は1000ポンドである。
しっかりと伝わっていれば、ギネス本部からの注意書きなど必要書類が送られてくる。その後、世界一のものを写真、またはビデオでわかりやすく収め、それを手紙などでイギリスの本部に送る。また、ギネス本部で働く審査員に来てもらうよう依頼することもできるが、移動費、人件費などの費用は申請者の負担となる。その後、記録が認められれば、ギネスから賞状などが届く。
ギネスには毎年6万件以上もの応募が来るため、必ずしもギネスブックに出るとはいえないし、連絡に時間がかかるが、ギネスでは必ず応募者に対して返事を送ることになっている[1]。
なお、認定されるまでの日数や登録料がかかることや、公式の世界一を認定する団体はギネス以外にもあることから、世界一の記録を作っても申請しないか、できないケースもある(例:2007年5月27日に岩手県二戸市で達成された世界一長い焼き鳥)。
[編集] 記録の認定・登録の基準
申請された記録内容についての認定・登録は、ギネス・ワールド・レコーズ社の記録認定委員会が決定する。記録の分野が問われることはないが、以下のような基準が満たされる必要がある。
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- 記録達成が証明されること
- 記録が数量化できること
- 今後記録が破られる可能性があること
また、次のような申請内容と判断される場合は受け付けられない。
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- 申請内容が、挑戦者本人、観客、周囲の人々を大きな危険に晒すもの
- 申請者以外の人が、その記録に挑戦するに値しないと判断されるもの
かつての版では、社会問題や人権問題に抵触し、倫理的・道義的に問題のある行為や、あるいは命に関わる大変危険な行為を伴う内容に関する記録がいくつか掲載されていたが、近年の版では掲載されていない記録もあり、また新規・更新の申請を受け付けられない記録もある。
過去の版に掲載されていたが、現在の版では掲載されていない記録の例
- リナ・メディナによる最年少の出産記録(5歳7ヶ月21日で出産)
- かつては「最年少出産記録」の項目として掲載されていたが、現在は掲載されていない。理由は明言されていないが、女児に対する性犯罪を誘発しかねないことや、幼児婚などの人権問題を生じるためと考えられる。
- 早食いの記録
- 1980年代頃の版までは食べ物の早食いの記録が掲載されていたが、記録への挑戦による無謀な早食いで命を落とす事故が多発したため、1990年代以降の版で記録が掲載されなくなり、また新規の記録の登録や更新の申請についても、挑戦者の安全に配慮されたルールに則らなければ受付けをしないと表明するようになった。