伊豆箱根鉄道7000系電車

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伊豆箱根鉄道7000系電車（いずはこねてつどう7000けいでんしゃ）は、伊豆箱根鉄道が1991年（平成3年）と1992年（平成4年）に導入した駿豆線用の電車である。

目次 1 概要 2 外観 3 内装 4 運用など 5 編成 6 仕様、主要諸元 6.1 概要 6.2 主要諸元 7 脚注

[編集] 概要

当時、伊豆箱根鉄道（以下「同社」と表記）駿豆線で運用していた1000系自社オリジナル車の初期車 (1001F,1003F) は旧式の吊掛駆動方式であり、また非冷房車で車齢もある程度達していた^[1]。その置き換えと所有車両の冷房車比率向上、これまで導入された3000系は5本が在籍していること、また1988年（昭和63年）に観光利用客の利便性を向上させるために運転を開始した快速列車（一部座席指定席制）の増発や、日本国有鉄道の分割民営化により発足した東海旅客鉄道（JR東海）管轄の東海道本線熱海・沼津・富士等への直通運転を同社社内で検討していたことから、JR東海との直通運転を考慮した車両として登場した。

同社では1000系自社オリジナル車、3000系、大雄山線用5000系に続いて4例目となる自社発注車両である。

車両製造は3000系・5000系と同様、東急車輛製造が担当した。

[編集] 外観

基本的は3000系ステンレス車をベースに、前面デザインはそれまでの独特のデザインから、京浜急行電鉄2000形のように、中間部で「く」の字型に折れるデザインとされた。前照灯と尾灯は角型とされ一体化ケーシングに収められた。また行先表示器の他、列車種別表示器と列車番号表示器が前面窓の上部に配置された。支柱のない一枚の大きなフロントガラスを採用し、前面下部には排障器（スカート）を装着した。

側面デザインは、先頭車の客用扉数は3000系と同一の片側3か所であるが、座席配置の関係から、客用窓と扉の配置は同時期に製造されたJR東海311系と同一で、客用扉の幅は1,300mmである（座席配置は後述）。中間車は、快速運用で指定席車両として使用することを考慮し、国鉄213系サハ213形に類似した片側2扉とされた。乗客の乗降性も考慮し、客用扉の幅は1,400mmとされた。また側面行先表示器も設置された。

車体の配色は、3000系ステンレス車と共通であり、ステンレス地に「ライオンズブルー」の帯を巻いている。

2008年（平成20年）1月現在、先頭車前面には『修善寺温泉開湯千二百年祭』を記念したヘッドマークが装着されている。当初は第2編成のみだったが、現在は第1編成にも装着されている。

[編集] 内装

座席配置は、直通運転や快速運用での快適性を考慮し、3000系でのセミクロスシートから転換式クロスシートとされた。ただし、車端部はボックス式クロスシート、客用扉付近は固定式となっている。

座席モケット色は、第1編成の先頭車はそれまでの赤系統の色から落着いたベージュ系、中間車は従来の赤系統である。第2編成では先頭車・中間車とも赤・黒・グレーの3色をランダムに配している。

座面形状はバケットタイプで、座席の前後間隔（シートピッチ）は910mmであり、中間車の車端部はこれより広くなっている。

中間車は連結面に貫通扉を設置し、窓ガラスには「座席指定車」と表記されている。快速列車の廃止後にこの表記は3000系モハ3002^[2]では消去されたが、当系列では存置されたままである。しかしモハ7301では2007年に貫通扉は撤去されている。

全車とも側面窓の巻き上げカーテンカバーには座席番号が表示されている。また第2編成である7102Fでは、先頭車の運転室との仕切上部と各車両の連結面上部に車内案内表示器を設置した。

[編集] 運用など

登場当初は快速列車をメインに運用されていた。だが製造時期がバブル崩壊直後であったことや、その後の長期にわたる景気低迷、そして1996年（平成8年）頃には群発地震による伊豆半島の観光不況のあおりを受け、1998年（平成10年）3月に快速列車は廃止され、普通列車のみでの運用となっている。一般利用客や観光客からは快適性の良さから好評を得ている反面、朝夕のラッシュ時に利用する通勤・通学客からは、中間車が2扉であることや、全席クロスシートで、立客用のつり革が設けられていないことによる不評もあったが、2007年（平成19年）、客用扉部分につり革が設置された。

また、当系列の製造コストの高さが問題視され、その後の新規製造車両については再度3000系となり、1997年（平成9年）に3000系3011Fが落成した。車体デザインや座席配置等は同系3009Fと共通だが、当系列や大雄山線用の5000系5011F以降で採用された装備品が取り入れられている。

[編集] 編成

駿豆線唯一のオールクロスシート車であり、3両編成2本が在籍する。以下に編成および製造時期を示す。

• 三島←クモハ7100形(Mc)-モハ7300形(M')-クハ7500形(Tc)→修善寺
  

編成番号	クモハ7100	モハ7300	クハ7500	製造年度	備考
7101F	7101	7301	7501	1991年
7102F	7102	7302	7502	1992年	車内案内表示器を装備

[編集] 仕様、主要諸元

[編集] 概要

3000系の仕様から若干の改良が見られる。

制御装置は3000系と共通の三菱電機製ABFM型電動カム軸抵抗制御式多段型だが、高速性を重視した改良型とされた。

主電動機は3000系と同一の日立製作所製である。出力も3000系と同一の120kWであるが、新型のHS-12535-08RB形とされた。歯車比は84:15 = 1:5.60と若干高速走行向きの設定である。パンタグラフは3000系3009Fまで採用された菱形タイプから、同社では初めての下枠交差形とされた。

制動装置は3000系ステンレス車と共通のナブテスコ（旧社名ナブコ←日本エアーブレーキ）製のHRD1-D形遅れ込め制御装置付き発電ブレーキ併用電気指令式電磁直通ブレーキである。

台車は、電動車 (M) が住友金属工業製ダイヤフラム式空気ばね台車FS542N形、制御車 (Tc) はFS042N形である。型式末尾の「N」は伊豆箱根鉄道用であることを示す^[3]。

運転操作機器はJR東海への直通運転を考慮し、主幹制御器は3000系のワンハンドル式から211系と同一配置の横軸型主幹制御器、横軸平行操作型ブレーキ設定器が採用された。保安装置もJR東海のATS-ST形との切替が可能なものを採用している。先頭車の屋根部にはJR列車無線用アンテナ取付座が準備されており、当初は運転室内にATS切替スイッチも装備していたが、その後撤去された。

2007年（平成19年）10月現在、7101Fで駅収受方式ワンマン運転対応設備の設置が行われている。

[編集] 主要諸元

• 定員：Mc・Tc=130名（座席56名）、M=129名（座席64名）
• 車両寸法：長さ=20,000mm/横幅=2,950mm/全高4,183mm
  （パンタグラフ上昇時）
• 自重：Mc・M=39t、Tc=29t（いずれも新造時）
• 制御装置：ABFM形電動カム抵抗制御式多段制御装置（三菱電機製）
• 台車：Mc・M=FS542N形、Tc=FS042N形
  （住友金属工業製、 緩衝ゴム式軸コイルバネ形ダイヤフラム式空気ばね台車）
• 駆動装置：TD撓み板継手中空軸平行カルダン
• 主電動機：HS-12535-08RB形直流直巻電動機（日立製作所製）
• 主電動機出力（端子電圧、定格出力）：端子電圧375V、定格出力120kW
• 歯車比：84:15 = 1:5.60
• 起動加速度：低加速=2.4km/h/sと高加速=3.0km/h/sに切替可能（通常は低加速に設定）
• 設計最高速度：120km/h
• 制動装置：HRD1-D形遅れ込め制御付発電ブレーキ併用電気指令式電磁直通ブレーキ
  （ナブテスコ/旧社名ナブコ/日本エアーブレーキ製）
• 減速度：3.5km/h/s（常用）/4.0km/h/s（非常）
• 集電装置：下枠交差形パンタグラフ（東洋電機製造製）
• 補助電源装置：静止形インバータ
• 冷房装置：CU-72C形集中式、42,000kcal/h/車両（三菱電機製）

[編集] 脚注

1. ^ 後期車の1005F、1007Fも非冷房車だが、1989年（平成元年）に台車交換により1100系と同じ台車であるFS342形、主電動機も同じく日立HS-836-Frb形に交換されて新性能車となり、車齢も1100系とほぼ同じであったため車両置換え対象からは外された。
2. ^ 1988年に扉間の座席を転換クロスシートに改造した。
3. ^ 同社3000系、5000系のFS372N形と共通部品が多い事から採用されている。これまで西武鉄道の標準台車であったFS372系ダイヤフラム式空気ばね台車の軸箱支持装置をペデスタル式軸コイルバネ形から緩衝ゴム式に改良し、西武4000系や10000系でも採用された。

表・話・編・歴 伊豆箱根鉄道の車両
現役の車両
駿豆線 7000系 - 3000系 - 1100系（元西武701系） 電気機関車： ED31形 大雄山線 5000系 電気機関車代用：コデ165形 十国鋼索線 1形
過去の車両
駿豆線 1000系