九州じゃんがら
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九州じゃんがら(きゅうしゅうじゃんがら)は、株式会社タス21が東京都内の各地で運営する九州系豚骨ラーメン店である。略称じゃんがら。九州じゃんがららあめん(きゅうしゅうじゃんがららあめん)は、同社の登録商標である。
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[編集] 沿革
慶應義塾大学法学部を卒業した下川高士は、子供好きで、大ファンだった青春ドラマの影響を受けて、1979年東京に学習塾のブルカン塾を開く。
開塾して1年、家計に苦しむ家庭とその状況に置かれた子供たちを見て、保護者の都合から授業料を払えないという事だけで通塾を断る事ができないと、金銭的に苦しい子供たちの授業料を免除する事にする。しかし採算度外視でボランティア化した結果、塾の運営基盤が揺らぐ事態となる。
こうした中で下川らは、塾をきちんと運営しながら自らの生活基盤を安定出きるような仕事は無いかと考え始める。そしていきついた答えがラーメン店の運営である。昼はラーメン作り、夜は塾の運営という体制で、真心を込めたラーメン作りをし、自分たちの頑張りを子供たちに見せることで生きる事というメッセージを伝える事ができるというものである。東京都で生まれたが熊本県で育っている下川を始め、スタッフのほとんどが九州の出身であることもあり、豚骨系ラーメンとなる。
1984年にじゃんがらを開業してからも味やサービスの向上を行い続け、各種メディアに取りあげられるようになり、なんでんかんでんと並んで豚骨ラーメンの普及に重要な役割を果たすこととなる。現在塾とは独立した経営を行っているが、スタッフには、同塾で講師をしていた店長やチーフ、同塾の卒業生から店員になる者も多い。
[編集] 店舗
- 同じビル。立地上混雑するため2階店では替え玉を提供しない。
- 銀座店 - 1991年開店。ビルの取り壊しに伴い2006年に閉店。
- 赤坂店 - 1994年開店。2004年3月2日昼に当時総理大臣であった小泉純一郎が食事して話題となる。
- 日本橋店 - 2000年開店。
- 神田西口店 - 2007年開店。上記銀座店の閉店に伴い、長引いた場所探しの末オープン。
- 文化交流倶楽部 バール・デ・じゃんがら - バー。原宿にある。ラーメンは提供していない。
[編集] メニュー
[編集] ラーメン
豚骨ベースのラーメンだが、種類ごとにアレンジを加えている。店舗によって取り扱うメニューが異なる。
- 九州じゃんがら(略称じゃんがら)
- 1984年発売。豚骨ベースで東京風醤油系の要素を組み合わせたもの。マイルドな味わいとなっている。
- 九州じゃんがらみそ(略称じゃんがらみそ)
- 1984年発売。じゃんがらのスープにオリジナルの合わせ味噌を溶かして混ぜ合わせたもの。
- ぼんしゃん
- 1988年発売。濃厚でこってりかつクリーミーな豚骨ラーメン。博多ラーメンに近い。
- こぼんしゃん
- 1994年発売。ぼんしゃんをベースににんにくの風味と鶏がらのスープを合わせたもの。ぼんしゃんのコクとクリーミーさを残しながらマイルドな味わいとなっている。熊本ラーメンに近い。
- からぼん
- 2002年発売。ぼんしゃんのスープに10種類のスパイスを加えた、辛さを重視したもの。
- つけちゃん
- 2002年発売。豚骨醤油系のつけ麺。通常時はあつもり麺の「ホットつけちゃん」として出されているが、夏期限定で冷やもり麺の「つけちゃん」として出される。
- むぎちゃん
- 2004年発売。じゃんがらのスープに九州名産の麦味噌を合わせたもの。従来の味噌味も併売されている。
- しおちゃん
- 発売時期不詳。塩味のラーメンで透明なスープが特徴。一部店舗にて過去に取り扱いがあったものの、現在では取り扱っている店舗は無い(1996年頃、赤坂店では取り扱っていた)。
[編集] トッピング
- 全部いり
- 上記全てのトッピングを入れることを、「全部いり」と呼び、代表メニューとしている。なお、「全部いり」に含まれない有料トッピングとして、海苔やカレー風味の肉味噌などもある。全部入りを注文すると、店員から活気のある礼を言われる。
- 替え玉
- 替え玉は、先述のようにできる店とできない店がある。「じゃんがら通」の中には、替え玉は温くなり薄まったスープに麺を足すことになり、最初の1杯と完全に同じ味にはならないことから、ライスを入れる者もいる。
- その他
- 九州ラーメンの定番であるゴマ、紅生姜、辛子高菜が調味料と並んで机に用意されており、無料で自由に入れる事ができる。調味料とあわせて、自分に合った味を探求していったり、食べながら少しずつ味を変えて楽しむなど、様々な食べ方がある。
[編集] スープの変遷
以前からのファンの間では「じゃんがらは味が変わった」とよく言われる[要出典]。秋葉原本店で昔に出していたじゃんがらは、濃厚クリーミーな味であった。1990年代中期頃から、しだいにライトな味に変化し始め、現在のマイルドであっさりとしたじゃんがらとなった(そのため、当時ぼんしゃんは秋葉原本店には存在しなかった)。これにより、「あっさり系のじゃんがら」と「濃厚系のぼんしゃん」という、2つの軸が完成した。
[編集] 類似店
九州じゃんがらに名称が酷似しているラーメン店として、かつては関東地方を中心に全国的に店舗を構えていた元祖じゃんがららぁめんというラーメン店が存在する(水戸市に本店があった株式会社自然物語が経営母体であったが、急激な多店舗展開が災いして経営が悪化し、民事再生法による再生手続を経た後、2005年11月に破産。それに伴い経営母体が移転している)。九州じゃんがらが有名になったこと、元祖じゃんがらがチェーン展開を幅広く行っていたこと、元祖じゃんがらが「じゃんがら」を商標出願していたこと(拒絶査定される)などから、両店を混同する客は多いが、味は全く異なる。 九州じゃんがらは店頭やウェブサイトで混同しないように注意を呼び掛けており、元祖じゃんがら名称の店舗がほとんど閉店した後も、同様の類似店との混同を避けるため、呼び掛けは続いている。
なお、詳述は避けるが上記の「元祖~」以外にも、「じゃんがら」を意識したと思われる店名で外見の雰囲気なども似せ、九州とんこつラーメンを出す店が都内の繁華街に複数存在する。
[編集] 参考文献
- 九州じゃんがらのしおり - 店頭で無料配布している。