キュベレイ
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キュベレイ(QUBELEY)は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の兵器。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] キュベレイ
[編集] 機体解説
キュベレイ | |
型式番号 | AMX-004(MMS-3) |
所属 | ネオ・ジオン(アクシズ) |
建造 | ネオ・ジオン(アクシズ) |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.4m |
本体重量 | 35.2t |
全備重量 | 57.2t |
ジェネレーター出力 | 1,820kw |
スラスター総推力 | 61,600kg |
センサー有効半径 | 10,900m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
主な搭乗者 | ハマーン・カーン |
武装 | ビームガン兼ビームサーベル×2 ファンネル×10(?) 追加装備・大型ビームサーベル×2 |
アクシズにて設計・開発されたニュータイプ専用試作型モビルスーツ。一年戦争時に多大な戦果を挙げたニュータイプ専用モビルアーマー「エルメス」の後継機。キュベレイの開発はグリプス戦役以前より基礎研究が開始されていたとされ、サイコミュを搭載し、ビットを小型化した遠隔誘導攻撃端末「ファンネル」の運用を可能とした。また、機体制御そのものもサイコミュによって行うことができる。
スペック・ノート上のファンネル搭載数は10基とされているが、実際にはそれを超える数のファンネルの使用が確認されており、正確な搭載数は明らかになっていない。この他、ビーム・サーベルを腕部に内蔵しており、腕部に収納している時はビームガンとして機能する[1]。
外観的にも大きな特徴でもある2対のフレキシブル・バインダーは各3基のメイン・バーニアを内蔵し、姿勢制御と機体機動を同時に行う。キュベレイが実戦投入されたグリプス戦役期のモビルスーツには、これに類する機能を有するAMBAC装置と推進器を兼ねたスラスター・バインダーを装備した機体が多い。本機が装備するバインダーは「もう一対の腕」と称するに相応しい広範な可動域と高い自由度を確保しており、曲芸的な空間機動力を機体に付与している。バインダー・ノズルの推力自体は標準の域を出ないが、バインダーを機体を覆う形で折り畳む事により、推力ベクトルを一方向に集中させ、加速に適した形態をとることが可能である。また、シールドとしての機能も有する。
キュベレイのサイコミュを稼動させるためには高いニュータイプ能力が必要であった。このため、事実上ハマーン・カーン専用機として運用され、グリプス戦役・第一次ネオ・ジオン抗争を通して随一の性能を誇っていた。
型式番号はAMX-004。当初はMMS-3で、AMX-004は連邦内での識別番号という設定だったが(機体種類が不明であるためXが含まれている)、これはいつの間にか消滅した。
[編集] 劇中での活躍
グリプス戦役末期にアクシズの指導者ハマーン・カーンの座乗する一機が実戦投入され、エゥーゴの百式やΖガンダムといったエース機を圧倒し、また本機と並ぶ当時最高峰のNT専用機であるティターンズのジ・Oともニュータイプ・パイロット同士による超常的な戦闘を展開した。
その後の第一次ネオ・ジオン抗争時には最終決戦時のみ出撃。ジュドー・アーシタのΖΖガンダムを相手に一進一退の死闘を演じる。戦闘中、ΖΖガンダムのハイメガキャノンの照射を受けたキュベレイは、搭乗者であるハマーンのニュータイプ能力によってバリアーを展開、直撃に耐えた。ジュドーの気の高まりによってハイメガキャノンの出力が増大し、キュベレイはコロニー壁面に叩き伏せられるものの、ハマーンの戦意は衰えなかった。戦闘の最終局面においてファンネルを囮に使った不意打ちを仕掛け、ΖΖガンダムと切り結ぶ。そして相打ちに近い形ではあったが、キュベレイは胴を両断され、爆散した。
[編集] 機体デザイン
デザインを手がけたのは永野護。曲線を多用した形状と白の塗装を組み合わせた、優美かつ華麗な機体である。模型雑誌ではプロのモデラーにより、ハマーンの本機の機体色をパールホワイトで塗装した作例が載ることもある。モビルスーツの中では異色とも言える外見だが、パイロットのハマーンの存在と合わせ、ファンの間でも人気が高い。だが「当時は全く支持されなかった」と永野は語っている[2] 。
なお永野の準備稿には「エルメスII」の記述が見られ、ガンプラでも左背中に「LMES2」とある。また装甲を外すとシルエットはザクそのものという発言を幾度かしており、サイコミュ機の流れを引きつつ、スタンダードなジオン系もイメージさせるデザインになっているという。
インタビューによると、永野が中学時代に描いたロボットがキュベレイの原点で、同じデザインから発展したものにリック・ディアスがあるとのこと。両デザインとも胸部や脚部が似通ったデザインラインとなっている。加えて月刊ZガンダムエースNo.001では「当初マラサイとしてデザインされていたものがクリンナップされてキュベレイとなった」と書かれている。また同誌には、現在とは微妙に違う「永野版キュベレイ」のポスターが付属していた。
永野の作品であるファイブスター物語には、キュベレイのデザインがそのまま流用されたメイザー・ブローズというキャラクターが登場する。装着した甲冑はキュベレイそのものだが中身は人間で、ファンネルに似た武器を使用する。また、腕に「Q」(キュベレイのアルファベットの頭文字)のマーキングがある。
[編集] バリエーション
- AMX-001 プロトタイプキュベレイ
- AMX-004-2,3 キュベレイMk-II
- AMX-004G 量産型キュベレイ
- AMX-004 クィンテッド・キュベレイ
- MAN-07G G-3/ゲー・ドライ
[編集] キュベレイMk-II
(型式番号:AMX-004-2,3)
[編集] 機体解説
ハマーン・カーンが搭乗した試作1号機のマイナーチェンジ・バージョン。基本的な機体構成は同じである。当時アクシズ内にて養成されていたクローン・ニュータイプの能力を査定する為に製造されたとも言われている。ビーム・サーベルの基部が3方向に展開可能など、若干の改修がされている他、サイコミュ・コントローラーによる外部制御が可能な仕様の機体も存在する。
エルピー・プル用の2号機(黒、紺、紫色とも)はエゥーゴの巡洋艦アーガマに回収された後に、サイコガンダムMk-IIとの交戦時に破壊されている。また、プルツー用の3号機(サイコミュ・コントローラー搭載機、赤色)はハマーン・カーン暗殺任務の際に近衛部隊のゲーマルク、ガズアル、ガズエルと交戦した他、エゥーゴのΖΖガンダムとも交戦している。
優れたサイコミュ兵装を有するキュベレイであったが、そのオールレンジ攻撃もΖΖガンダムには通用せず、ネェル・アーガマによるハイパー・メガ粒子砲の余波を受け、機体は破壊される(搭乗者のプルツーは無事に脱出している)。
[編集] 量産型キュベレイ
(型式番号: AMX-004G(AMX-017))
[編集] 機体解説
量産型キュベレイ | |
型式番号 | AMX-004G(AMX-017) |
所属 | ネオ・ジオン |
建造 | ネオ・ジオン |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.4m |
本体重量 | 35.2t |
全備重量 | 62.1t |
ジェネレーター出力 | 1,820kw |
スラスター総推力 | 61,600kg |
センサー有効半径 | 10,900m |
装甲材質 | - |
主な搭乗者 | ニュータイプ部隊 |
武装 | ハンドランチャー兼ビームサーベル×2 ファンネル×30 アクティブカノン×2 |
キュベレイのマスプロダクション・モデル。背部に2基のアクティブ・カノンを搭載、ファンネル搭載数はキュベレイの3倍など、火力が大幅に向上。
ネオ・ジオン内乱時にグレミー・トト率いる反乱軍・ニュータイプ部隊に編成され、クィン・マンサの随伴機として大量投入された。パイロットはクローン・ニュータイプで、ハマーン正規軍及びエゥーゴのガンダム・チームを相手に圧倒的な戦闘力を見せ付けた。キャラ・スーン操るゲーマルクと交戦し、全機が撃墜されている。
なお、初登場時のカラーリングはグレミー軍の識別用として多数の機体に施されたグレーだったが、反乱軍壊滅後はキュベレイMk-II(プル専用機の2号機)と同色に変更されている。パイロットのニュータイプ部隊は、プルツーらと同じくプルのクローンとの説がある(小説『機動戦士ガンダムUC』において、その事を裏付けるような描写が存在する)。
第一次ネオ・ジオン抗争終結後の目撃例としては、ゲームブック『機動戦士ガンダム シャアの帰還』において、グワダン級戦艦イン・エクセスの艦載機として登場している。特殊任務用の機体として改修が施されており、プロトタイプに近い頭部と肩のスパイク(突起)が目を引く特徴となっている。ゲーム中の展開次第ではシャア・アズナブルが搭乗する機体となる。
この他、本機をベースとした改修機としてゲームブック『機動戦士ガンダムΖΖ Vol.3 エニグマ始動』に登場するクインテット・キュベレイが存在する。これはニュータイプパイロットが搭乗する機体を司令塔として、複数の機体をファンネルに見立て思念誘導するという、後年のビットMS的思想の元祖ともいえるシュペール・サイコミュ・システム実装機である。
デザインの初出は、講談社発行『Ζガンダムを10倍楽しむ本』のピンナップに描かれた永野護デザインのモビルスーツであるとされている。ただし機体色は真紅であり、アクティブカノンも描かれてはいない(というより、キュベレイの準備稿の発展と見るのが妥当であろう)。
また、デアゴスティーニ・ジャパン発行の『ガンダム FACT FILE』は、量産型キュベレイのバリエーション機として、グレーのカラーリングで両肩のウイング・バインダーのデザインが前後左右同じ機体(円形のパーツが二つ)のイラストをページのトップに掲載している(第126号)。
しかし、この様な形状の機体は劇中に登場しておらず、デアゴスティーニ・ジャパンは「出展に関しましては現時点では不明のためご案内できかねる(2007年8月9日時点)」「量産型キュベレイはアニメ本編では数話しか出ていない機体で、カラーリングの差異の理由づけなど、細かい部分は本編内で語られていません。そこで、本編で足りなかった部分を補う意味を含めて126号に提示したようなバリエーション機を登場させた次第です。本編ではこのような仕様の機体は登場していませんが、映像に登場していなかっただけで計画されていたかもしれません。そのような『IF』に近い設定遊びのひとつとしてお楽しみいただければ幸いです。(2007年8月10日時点)」とコメントしている。
[編集] その他のキュベレイ
[編集] G-3/ゲー・ドライ
ゲー・ドライ | |
型式番号 | MAN-010 |
所属 | ネオ・ジオン(アクシズ) |
建造 | ネオ・ジオン(アクシズ) |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 不明 |
本体重量 | 不明 |
全備重量 | 不明 |
ジェネレーター出力 | 不明 |
スラスター総推力 | 不明 |
センサー有効半径 | 不明 |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
主な搭乗者 | ハマーン・カーン |
武装 | ビームガン兼ビームサーベル×2 ファンネル×多数 球状メガ粒子砲×12 肩部メガ粒子砲×2 |
近藤版キュベレイ(型式番号: MAN-07G(MAN-010))。
ネオ・ジオンが開発したニュータイプ用のMA。多数のビーム砲とファンネルを装備している。近藤和久の漫画版『機動戦士Ζガンダム』内でハマーン・カーンが搭乗している。同じく近藤の『機動戦士ガンダム ジオンの再興』及び『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』内でも、MSの姿形は多少違うが登場している。
同じ名称で複数の姿形が提示されているが、共通点はエルメス直系の後継機で、脚部と肩のバインダーをたたむことでステルス性と機動性を備えたMA形態を取れるNT専用可変MAである事。
機体各所に備えられた多数の球状メガ粒子砲(12門)、両肩のメガ粒子砲(2門)、そして多数のファンネルを搭載する。なお「ジオンの再興」における設定としてファンネルをミサイルのような誘導兵器として使える事(ファンネルミサイル)と一般兵向けにファンネルを撤廃したボマータイプの存在が追記されていた。
劇場版Zガンダムにおいてキュベレイが両肩のバインダーを折りたたむ変形機構を獲得していたが、この機体の変形機構が影響していると思われる。また、この機体はクィン・マンサのデザインにも影響を与えており、公式設定上では無きものにされているもののデザインという観点だけから見ればさまざまな機体に影響を与えた重要な機体と言える。
なおG-3(ドイツ語読みでゲー・ドライ)という名称は、コトブキヤからガレージキット化された際に、キュベレイという名称を嫌った近藤が、小林誠の提案により当時のドイツ軍制式ライフルH&K G3に因んで名づけたものである。
[編集] プロトタイプキュベレイ
ゲーム『SDガンダム GGENERATION F』に登場(型式番号: AMX-001/MSN-08)。
アクシズの試作MS。エルメスのMS化を目指したが、サイコミュの小型化に成功せず、全高25mもの大型MSとなった。カラーリングは水色で、エルメスに四肢がついたようなデザインになっている。類似のコンセプトの機体として、シュネー・ヴァイスが挙げられる。
[編集] 脚注
- ^ 機動戦士Ζガンダムの劇場版アニメ第3部『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』における追加設定として、追加兵装の大型ビームサーベルがある(HCM-proでは両肩のバインダー内に装備されている)。
- ^ 月刊ZガンダムエースNo.001より
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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