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JFK (阪神タイガース) - Wikipedia

JFK (阪神タイガース)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

JFK(ジェイエフケイ)は、阪神タイガースにおける左投手のジェフ・ウィリアムス(J)、右投手の久保田智之(K)藤川球児(F)という3名のリリーフ投手のことを指す。2005-2006年頃は藤川→ウィリアムス→久保田の順番が主であったが2007年以降は久保田→ウィリアムス→藤川の順番になっている。

目次

[編集] 命名の由来

2005年7月18日横浜ベイスターズ戦でジェイミー・ブラウンから藤川-ウィリアムス-久保田の継投で完封勝ちすると、翌日の日刊スポーツには見出しにJFKの文字が登場した。この記事を書いた記者はかねてから「ウィリアムス(Jeff Williams)・藤川(Fujikawa)・久保田(Kubota)の頭文字をつなげるとジョン・F・ケネディと同じになる」と考えており、3人を継投した場合に阪神が17連勝したのを機にJFKを送り出したそうである(しかし、これ以前に公式サイトの掲示板でニックネームをつけるスレッドが立ち上がっていた。その中にもちろんJFKという名前もあった)。たちまちJFKはプロ野球ファンの間で話題となり、8月17日の横浜戦(大阪ドーム)では3人揃ってのヒーローインタビューも実現した。 関西テレビの報道番組『アンカー』の木曜日コメンテーター金村義明は、「JFKの名付親は私です」と言っていたが、定かではない。

[編集] 実績・魅力

2007年シーズン終了時で3人全員がシーズン75試合以上の登板、40ホールドポイントを経験しており、かつストッパーとして25セーブ以上をマークしたシーズンがある。高い奪三振率を誇り、抑えのエースとして通用する能力を持った選手が3人も同じチームにいるということが他球団にとっては脅威的なことである。つまりJFKの三人が後ろに控えていることにより、相手チームは6回終了時点までにリードを奪っておかないと負ける率が高くなってしまう。極端にいえば6回で試合が終わってしまうという事である。

実際、2005年は阪神が6回までにリードしている場合の勝率は9割を越えていた。スポーツジャーナリストの二宮清純はこの事を評して「JFKの誕生は球界の革命である」と述べた。この年の藤川はシーズン最多登板記録を更新する80試合、ウィリアムスも75試合に登板したが、同一チームで複数の投手が70試合以上登板したのは史上初のことだった。また久保田も68試合に登板し、9月29日読売ジャイアンツ戦では胴上げ投手にもなった。

どうしてもJFKばかりがクローズアップされるが、JFK以外のリリーフも充実しており、リリーフ陣の総合的な層の厚さが優勝に結びついたと言える。特に、大量リード・同点・ビハインド時などに活躍するJFK以外の3人、桟原将司Sajikihara)、橋本健太郎Hashimoto)、江草仁貴Egusa)については、ウィリアムスによってSHEと名付けられ、こちらは阪神ファンの間で話題になった。 また、2007年シーズンは、上記3人に加えて渡辺亮ダーウィン・クビアンらもJFKへの繋ぎ役として活躍し、より充実したリリーフ陣を結成している。

JFKを初めとする投手陣の躍進により、2005年のチーム奪三振は1,208個を数え、2003年福岡ダイエーホークスが記録した1,126個を大きく上回る日本新記録を達成した。

2006年シーズンもJFKの活躍に期待が持たれたが、ウィリアムスはキャンプ中に左ひざ手術のため開幕離脱、久保田は交流戦終了後に右手骨折の怪我をして離脱したため、JFKの登場は数試合に限られ、優勝を逃した一因となった。

2007年は3人揃って大きな怪我や調整遅れも無く開幕を迎えられ、開幕2戦目の3月31日の対広島戦で早速3人のリレーにより逃げ切り勝ちに成功し、3人揃ってのヒーローインタビューも実現した。しかし順番はこれまでの藤川→ウィリアムス→久保田ではなく、久保田と藤川が入れ替わり藤川が最後を締める形に変わった。この事により、もし先発の調子が悪ければ、スタミナ抜群の久保田にロングリリーフをさせる事が可能となり、このKJFまたはJKFの形はJFK以上の磐石さを増した。この年、久保田は藤川の保持していたシーズン最多登板記録を大幅に塗り替える90試合に登板、藤川も中日ドラゴンズ岩瀬仁紀の持っていたシーズン最多セーブ記録に並ぶ46セーブを記録すると共に、71試合に登板。2005年に続き、同一チームで複数の投手が70試合以上登板するという2度目の事例となる。そしてウィリアムスは2度目のシーズン40ホールドポイントをマークし、史上初となる100ホールドポイントを達成する。

楽天の野村克也監督でさえ、「阪神のやっていることはある意味、野球の神髄。近代野球の新しいスタイルだね。」と言うほどである。

[編集] 先発投手のコマ不足とJFKの登板増加

上記の通り3人ともストッパー経験を持つなど実績は申し分なく、「阪神戦は6回までにリードされたら終わり」と対戦相手に恐れられるJFKだが、投手陣は別の問題を抱えていた。それは「先発投手のコマ不足」である。

JFKが確立された2005年以降、監督の岡田彰布は「6回までに僅差でリードしたらJFK」を勝ちゲームの基本方針にしているが、その一方で完投能力の乏しい先発投手は6回までに降板することが多くなった(下柳剛は2005年に規定投球回に達していないのに最多勝を獲得したほどである)。

このことは、2006年までは井川慶安藤優也福原忍と比較的完投能力のある先発が揃っていたため、特に大きな問題にはならなかったが、この年オフに井川がニューヨーク・ヤンキースに移籍し、さらに先発の両輪にと期待された安藤と福原が共に故障した結果、2007年の開幕時には深刻な先発不足に陥ってしまった。これに加えて打線も振るわなかったことから(特に右打者が大不振で、右打者のチーム本塁打第1号は開幕から10試合目、それも投手のライアン・ボーグルソンであった)、阪神はゴールデンウィークでの全敗を含む9連敗を喫するなど、開幕から大きく出遅れてしまい、一時は6年ぶりの最下位も囁かれる状態に陥る。

岡田はこれに対し前年まで以上にJFKを多く起用する采配を取ったことから、チームは10連勝もするなど快進撃を見せ(ちなみにこの10連勝中藤川は全試合に登板した)、一時は読売ジャイアンツとの12ゲーム差を引っ繰り返して首位に立ったが、巨人を逆転した頃から頼みのJFKが、疲れの影響からか失点を許す場面が目立つようになり、最終的には優勝を逃す結果となった。中日ドラゴンズとのクライマックスシリーズ1stステージでも「先発不足」「打線の弱さ」の弱点は全く変わらず、結局藤川を使う機会すらなく敗退した。

2007年の阪神投手陣の極端さは数字にも現れていて、チーム防御率3.56はリーグトップであったが、リリーフの防御率が2.45(リーグ1位)なのに対し、先発の防御率は4.45(リーグ最下位)と完全にバランスを欠いていた。規定投球回に到達した投手は1人もなく、久保田に至っては全てリリーフ登板にもかかわらず、投球回数はエース格の下柳に次いでチーム2位であった。また藤川とウィリアムスは前述通り9月以降に失点を許す場面が目立った。2人の防御率は8月までの藤川0.70、ウィリアムス0.16なのに対し、9月以降は4.82、5.40となり、最終的な防御率が藤川1.63、ウィリアムス0.96と8月までの成績よりもかなり落ち込んだ。

ちなみに規定投球回到達者なしのチームが出たのは2003年のオリックス・ブルーウェーブ以来4年ぶりであったが、この年のオリックスがチーム防御率が史上最悪の5.95と投手陣が完全に崩壊したのに対し、阪神はチーム防御率がリーグトップであるにもかかわらずこの記録が生まれたと言う珍現象が起きた。

[編集] 通算成績

  • JFKと命名された2005年シーズン以降の成績。それ以前の年度及び詳細な成績は各選手の記事を参照のこと。
  • 表中の太字はリーグ最多数字
年度 選手 登板 勝利 敗戦 セーブ HP 打者 投球回 被本
塁打
与四
与死
奪三振 失点 自責点 防御率 奪三振率
2005 ウィリアムス 75 3 3 0 40 311 76 2/3 4 24 2 90 20 18 2.11 10.57
藤川 80 7 1 1 53 349 92 1/3 5 20 1 139 20 14 1.36 13.55
久保田 68 5 4 27 8 330 80 2/3 8 15 2 97 20 19 2.12 10.82
JFK計 223 15 8 28 101 990 249 2/3 17 59 5 326 60 51 1.84 11.75
2006 ウィリアムス 47 3 2 3 29 195 47 1/3 1 15 4 49 11 10 1.90 9.32
藤川 63 5 0 17 35 306 79 1/3 3 22 0 122 6 6 0.68 13.84
久保田 47 5 7 16 7 221 50 4 19 1 57 26 22 3.96 10.26
JFK計 157 13 9 36 71 722 176 2/3 8 56 5 228 43 38 1.94 11.62
2007 ウィリアムス 60 1 2 0 43 247 65 1/3 2 16 0 66 9 7 0.96 9.09
藤川 71 5 5 46 11 313 83 2 18 1 115 15 15 1.63 12.47
久保田 90 9 3 0 55 448 108 6 32 0 101 26 21 1.75 8.42
JFK計 221 15 10 46 109 1008 256 1/3 10 66 1 282 50 43 1.51 9.90

[編集] JFKの源流

前述で球界の革命と評されたJFKであるが、左右の中継ぎと抑えというトリオは1990年代前半の西武ライオンズにおいて「サンフレッチェ」と呼ばれた杉山賢人(左の中継ぎ)・潮崎哲也(右の中継ぎ)・鹿取義隆(抑え)の組み合わせで実現しており、JFKが最初ではない。1986年には、王監督時代の巨人で鹿取、角盈男ルイス・サンチェのトリオが重用されており、また1999年の中日においては落合英二(右の中継ぎ)・岩瀬仁紀(左の中継ぎ)・サムソン・リー(左の中継ぎ・抑え)・宣銅烈(抑え)という理想的とも言えるラインナップでリーグを征している。

阪神でも2000年伊藤敦規(右の中継ぎ)・遠山奬志(左の中継ぎ)・葛西稔(抑え)といった強力リリーフトリオが存在したが、チームが最下位に沈む暗黒時代だったことから、話題にならなかった。

また、1985年に日本一になった際に中西清起山本和行のダブルストッパーが話題となったが、山本がアキレス腱を断裂する前は中西→山本の順番で登場することが多かったため、中西を右の中継ぎと解釈した場合、中西の前に左の中継ぎとして登場することが多かった福間納を含めたトリオがJFKの源流であると考えることもできる。なお、この年には中西清起Nakanishi)・平田勝男Hirata)・木戸克彦Kido)の3人が「NHKトリオ」と呼ばれていた。

また、1995年のドラフト会議において、日本ハムファイターズから指名され即戦力として期待された3投手、沼田浩デュプロ)、平松省二ヨークベニマル)、黒木純司三菱自動車水島)も「NHKトリオ」と呼ばれていた。

[編集] 他球団への波及

JFKの登場後、JFK同様にリリーフ投手陣の頭文字を取ることがメディアで流行した。ただしJFKほど続けて活躍したユニットはない。

[編集] エピソード

  • 阪神の複数選手の総称と政治用語を掛け合わせた語句にはPKOがある。本来は国連平和維持活動(Peace Keeping Operations)のことだが、阪神では1992年に2位浮上に大きく貢献したジム・パチョレックPaciorek)、亀山努Kameyama)、トーマス・オマリーO'Malley)、および翌1993年に2人の1軍外国人枠を争ったパチョレック、郭李建夫Kakuri)、オマリーを指した。
  • 2005年の巨人VS阪神戦(東京ドーム)の中継で解説を担当していた原辰徳(現巨人監督)は、JFKを『UFJ』(当時実在した銀行、現三菱東京UFJ銀行)と勘違いして言ってしまった。この発言をしたシーンは後に『ザ・サンデー』や『スポんちゅ』などで何度も取り上げられ、阪神ファンの間ではこの発言が今でも語り草となっている。
  • 更に古く1985年には3番バース(Bass)、4番掛布(Kakehu)、5番岡田(Okada)の日本一に大きく貢献したクリーンナップ打線にBKOある。
  • 2008年に入ってからは、JFKとともに新井貴浩Arai)、・金本知憲Kanemoto)、・藤川球児Fujikawa)の頭のアルファベットを取って、AKFという言葉も使われている。また、渡辺亮もJFKに並ぶ存在として頭角を現しており、久保田が一時不調に陥った際には『渡辺(Watanabe)→ウィリアムス(Williams)→藤川(Fujikawa)』と言うリレーを使った事からWWFと言う略称が使われた事もあった。

[編集] 関連項目


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