鳥嶋和彦
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鳥嶋 和彦(とりしま かずひこ、1952年- )は編集者、集英社取締役。新潟県小千谷市出身。
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[編集] 経歴
新潟県立小千谷高等学校、慶應義塾大学卒業。1976年に集英社に入社し『週刊少年ジャンプ』編集部に配属され、以後一貫してジャンプ関連の雑誌・書籍の編集を担当。メインである漫画の編集はもとより、企画ページ(「ジャンプ放送局」「ファミコン神拳110番」など)の編集や連載漫画のメディアミックスにも才能を発揮(堀井雄二をゲームの世界に導くなど、『ドラゴンクエスト』誕生にも一役買っている)。その流れから、1993年には創刊編集長としてゲーム雑誌『Vジャンプ』を立ち上げた。
1996年2月には『週刊少年ジャンプ』の売上低迷を打破する切り札としてジャンプ本誌に呼び戻され編集長に就任。 『遊☆戯☆王』など連載作品のメディアミックスを精力的に推し進めた。前体制から続く発行部数下落傾向の結果、1997年には『週刊少年マガジン』に発行部数首位の座を奪われたものの、この頃から『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』などの新人作家のヒット作が再び出てくるようになった。以後2001年6月まで同誌の編集長であった。その後、『週刊少年ジャンプ』『月刊少年ジャンプ』『Vジャンプ』を統括する第3編集部部長(取締役昇格後も2006年7月まで兼任)やライツ事業部部長となり、2004年8月には集英社取締役となる。
[編集] 編集者としての功績
編集者として多くの漫画家を発掘・育成しており、中でも鳥山明、桂正和の2人が当人達の成功もあり特に有名。彼等は様々な場面で鳥嶋を恩師と呼んでおり、鳥嶋が『Vジャンプ』を立ち上げた際に連載を行うなどと繋がりが深い。鳥山については『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』の編集を、桂については『ウイングマン』の編集や『電影少女』の発案に関わっていた。
漫画家が仕上げた原稿に自分の目を通し、その内容が意に沿わない場合は容赦なく没(不採用・書き直し)にする「鬼の編集者」としても有名で、口癖の「ボツ!」は『Dr.スランプ』を始めとして多くの作品に登場し、鳥嶋本人の代名詞となっている[1]。
ラブコメ好きらしく、『ドーベルマン刑事』(連載後期の担当)での加納と三森、『Dr.スランプ』でのアラレとオボッチャマン(をはじめとした各種カップル)など、非ラブコメ作品においても登場キャラクター同士を恋愛関係に発展させることにこだわった。一方、元々恋愛沙汰を嫌っていた鳥山はこの姿勢に反抗し、千兵衛博士とみどり先生の結婚に至る過程および次作『ドラゴンボール』での孫悟空とチチの結婚に至る過程をあっさりさせたとのこと。
[編集] マシリト
鳥山は『Dr.スランプ』の作中で、鳥嶋をモデルにしたDr.マシリトというキャラクターを悪役として登場させている。名称は「トリシマ」を逆読みしたもので、以降、マシリトは鳥嶋のニックネームとなっている。Dr.マシリトはのちにニンテンドーDS専用ソフト『ジャンプスーパースターズ』『ジャンプアルティメットスターズ』にも、使用キャラとして登場している。もっと遡ると『ファミコンジャンプ 英雄列伝』でも最終決戦の2人目の相手としても立ちはだかっている。
その後も「週刊少年ジャンプ」掲載作品には、『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』のマトリフ、『とっても!ラッキーマン』のトリシマン、『幕張』の嶋鳥和彦など、鳥嶋をモデルとしたキャラクターが次々と登場した。ゲームソフト『桃太郎伝説』シリーズ・『桃太郎電鉄』シリーズにも、彼をモデルにしたキャラ『天の邪鬼』(あまのじゃく)が登場する。
また、「Vジャンプ」の読者コーナーにも総統マシリトが登場し、テレビ番組『ダンジョンV』のキャラクターにもなった。同誌連載中の『犬マユゲでいこう』では実名で登場している(単行本には顔写真も掲載、ネタにされている)。
[編集] 特記事項
- 酒に弱い、茶髪は嫌い。
- 眉が薄いことをよくネタにされる(眉無しと呼ばれている)。
- かなりの毒舌家である。
- ヘッドロックが特技。
- カラオケが好き。
- ゲームソフト『桃太郎電鉄シリーズ』の原作者さくまあきらによると、『桃鉄』のキャラクターであるキングボンビーは、上記の通り容赦ない鳥嶋の性格をモデルにしているという。
[編集] 脚注
- ^ 『Dr.スランプ』第8巻のおまけ漫画「ヤシの木はうごいた」では、漫画家の意に沿わない行動に対し「ボツにするぞ」と脅す場面もあった。
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