茶髪
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茶髪(ちゃぱつ)とは、茶褐色に染めた、あるいは脱色した髪の毛をさす俗語。
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[編集] 茶髪の流行
ファッションとしてのヘアカラーは、ブロンドハイライト(髪の一部分を金色の明るい線状に染める髪型、現代では「メッシュ」と呼ばれる)などが1980年代にはロックの影響を受けた一部の若者の間で存在していた。 しかし一般には髪の脱色や明るい色への染髪は「ツッパリ」・「不良」・「非行少年(少女)」などのイメージにとらえられがちであり、ヘアカラーが広く普及するには至らなかった。
1990年代中頃から、高校生以上の若年の男女の間でヘアカラーが好まれ流行した。ファッションへの意識の変化等もあって、「髪を染める=不良」という悪いイメージや抵抗感が弱まり、表情に軽やかさや明るさを出す、洋服との組み合わせで印象に変化をつける、あるいは女性に柔らかい雰囲気を与えるファッションの一つとして認められ、受け入れられるようになった。テレビや雑誌に茶髪のモデル、タレントたちが多く登場するようになり、若者の間で髪を染めることに対する抵抗がなくなってごく普通にヘアカラーが行われるようになった。明るい茶髪に極端な細眉のアムラーや、茶髪か明るい色のメッシュを入れた髪に日焼けサロンで焼いた肌、ルーズソックス姿のコギャルが登場した。
やがて若年層だけでなく社会人でも業種によっては茶髪が許容されるようになり、日本人のファッションの一つとして定着した。女性の場合、中高年層でも白髪を染める目的などで茶髪にすることが珍しくなくなった。 おしゃれ(または身だしなみ)のスタイルの一つとしてすっかり市民権を得たヘアカラーだが、現在でも特に男性の場合は、茶髪は社会人にはふさわしくないと敬遠する向きもある。[1]
2000年代においては芸能人やスポーツ選手だけでなく政治家や皇族のなかでも茶髪の者が現れ始めている。かつての染髪に対する悪いイメージは薄くなり、日本人の間でも女性を中心に「染めていても似合っていれば構わない」という考え方が大勢を占めていると言える。
また、近年では若年層向けのファッション雑誌にも黒髪で登場するモデルが増えるなど、黒髪の魅力が再認識される流れが広がっており、髪色の流行も一時期の茶髪一辺倒から変化してきている。2005年末には、1990年代末から2000年代にかけてファッションリーダーとして茶髪の流行を先導してきた浜崎あゆみが黒髪にしたことが話題を呼んだ。2006年には、資生堂がヘアケアブランド『TSUBAKI』で、クラシエが『いち髪』で日本人女性の黒髪ロングヘアの美しさを強調する広告を展開しており、TSUBAKIは大ヒット商品となっている。黒髪とヘアカラーのいずれもが受け入れられつつあることは日本人のファッションの成熟という点から見ても理想的であり、今や世界有数のファッション大国とも言われる日本にふさわしい展開を見せていると言える。黒髪と色を入れた髪のそれぞれの良さをコーディネイトに生かし個人の好み、スタイルによって髪の色も選ぶのが現代流のおしゃれと言えよう。
[編集] 茶髪にする時は
ファッションにおいては髪の色は一概にどれが良い、悪いということは決めにくく、メイク、洋服とのバランスによってそれぞれの髪色が持つメリットがある。日本人も年齢、顔立ちなど人によって千差万別の個性があり、美しい黒髪が魅力的な一方、ヘアカラーの手法次第でイメージアップできる例もある。それらを生かしたスタイルを作り上げるのが個々のセンスの見せ所であり、楽しみ方でもある。
現在の日本ではコーディネイトの上で髪の色使いに関して幅広く選択できるようになっており、特に女性の場合は職場、プライベートを問わず個々の好みによってかなり自由に髪色を選べる状況になっている。しかし、明るい茶髪に対しては、仕事や公的な場では快しとしない人も少なくなく、TPOに合わせる必要がある。また、男性の染髪に対しては否定的な風潮が未だに残っており、多くの職場で女子の染髪が自由だったり、事実上黙認されているのに対し、男子に対しては禁止しているケースが多々ある。
染髪は場合によっては髪を傷めてしまうことが少なくなく、人によっては染髪が脱毛症の原因になるケースもあるので、自らの体質を考慮し髪に負担をかけ過ぎない範囲で楽しむべきであり、ヘアケアにも気を遣う必要がある。また現在でも若年層の場合、茶髪は非行につながると見られる場合もあり、中高生が髪を染めることに嫌悪感や偏見を持つ人がいることにも注意すべきであろう。
[編集] 関連項目
- 髪型
- 美容
- 美容師
- 染髪
- 金髪
- 赤毛
- 黒髪
- 濡烏 - 「濡れ羽色」、「烏羽色」とも。青みを帯びた黒を指す。日本において最も理想的な黒髪の色とされる。
- ヘアカラーリング剤
- 男性差別 - 各種企業の就業規則で、男子に対しては染髪行為を全面的に禁止する一方、女子には「過度の明るい色への染髪」のみが禁止されて適度な茶髪は容認されている場合がしばしばある。アルバイトの求人募集などでも散見される。