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高田藩 - Wikipedia

高田藩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

高田藩(たかだはん)は、越後国に存在した福嶋藩(ふくしまはん)とも呼ばれている。藩庁は高田城(現在の新潟県上越市)にあった。

目次

[編集] 概要

[編集] 堀氏統治時代

戦国時代越後織田信長武田信玄と並ぶ英雄・上杉謙信の領国であった。謙信の後を継いだ上杉景勝慶長3年(1598年)、豊臣秀吉の命を受けて会津に加増移封され、代わって越後には秀吉の家臣・堀秀治が30万石で入った。秀治は慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いでは東軍に与して越後に在国し、上杉景勝が越後に残った上杉氏の旧臣を煽動して起こした一揆を鎮定したため、戦後に徳川家康から所領を安堵された。

ところが慶長11年(1606年)、秀治は31歳の若さで急死。そのために堀氏の家督はまだ11歳という幼年の秀治の子・堀忠俊が継いだ。慶長12年(1607年)、忠俊は謙信時代からの越後の本城である春日山城を廃して福嶋城に移った。しかし、忠俊は幼年の上、生来からの病弱ということもあって政務が執れるはずが無く、実質的な政務は秀治の叔父で名臣として名高かった堀直政が取り仕切ることとなった。

しかし、慶長13年(1608年2月26日に直政は死去してしまう。すると、堀氏の内部で内紛が起こった。直政は子に堀直次(越後三条城主)とその異母弟の堀直寄坂戸城主)の二人がいたが、この二人が藩の主導権をめぐって争い始めたのである。その争いは慶長15年(1610年)に入ると激化し、同年2月には遂に徳川家康による裁断を受けることとなった。忠俊自身は直次を支持していたが、家康の調べでとんでもないことが発覚する。直次が浄土宗日蓮宗の僧侶を争論させて、敗れた方の僧侶を全て処刑していたことが発覚したのだ。これに家康は激怒し、次のような裁定を下したと徳川実紀には記されている。

  • 「忠俊幼弱にして讒臣に迷ひ。邪正を弁へず讒者を助けんとするをもて。大国を封ずる器にあらずとて。忽に越後の国四十五万石を奪われ云々」

こうして忠俊は改易となり、陸奥国岩城に流されたのである(直次は改易の上、出羽国最上に流刑。直寄は信濃国飯山藩4万石に懲罰的な移封となった)。この裁定は、家康が僧侶殺害を激怒したことも一因であるが、堀氏が豊臣氏恩顧の大名であり、加賀前田氏を抑えるためには信頼に足る一族を越後に配しておきたいという思惑があったためとも言われている。

[編集] 松平忠輝統治時代

そして、堀氏の改易後には、家康の六男・松平忠輝が従来の川中島藩12万石に加え、越後の新領である63万石を領する75万石の太守として赴任することとなった。その後松平忠輝は慶長19年(1614年)に高田城を築城し、福嶋城を廃してこれに移った。厳密な意味ではこれ以降が高田藩である。

しかし忠輝は父・家康や異母兄・徳川秀忠に疎まれたことがあったためか、1615年大坂夏の陣で遅参した上、忠輝軍が大坂に向けて行軍中の近江国守山で秀忠直属の旗本2名を斬殺するという事件を起こしてしまった。
しかも夏の陣後、朝廷に戦勝を奏上すべく家康と共に参内することになっていたにも関わらず、忠輝は桂川で舟遊びをしていた。これらが原因して家康死後の元和2年(1616年)7月6日、秀忠の命により忠輝は改易されて、伊勢国朝熊に配流されてしまった。一説には秀忠が自分より才能に優れた忠輝の存在(忠輝の妻・五郎八姫伊達政宗の娘)を恐れたための処置だったとも言われている。

[編集] 酒井氏統治時代

忠輝改易後は徳川四天王筆頭であった酒井忠次の嫡男・酒井家次上野国高崎藩より10万石で入る。家次は1618年に死去し、代わってその子・酒井忠勝が継いだが、信濃国松代藩へ移封。

[編集] 松平忠昌/松平光長統治時代

入れ替わりで松代より松平忠昌(家康の次男・結城秀康の次男)が25万9000石で入る。そして長兄で越前福井藩を継いでいた松平忠直が有名な乱行事件で秀忠の怒りを買って配流されたため、忠昌は兄の後を受けて福井藩主となる。
代わって高田には越前松平家宗家の忠直の子・松平光長が入ることとなる。ところがこの光長も、一族重臣の間で後継ぎをめぐっての騒動(越後騒動)を引き起こして第5代将軍・徳川綱吉によって(一説には綱吉が嫌っていた大老酒井忠清がこの騒動に関与していたためとも)、改易されてしまった。

その後はしばらく天領とされたが、やがて相模国小田原藩から、稲葉正往が、京都所司代を罷免されて、10万3000石で入って高田藩が再び立藩する。しかし、正住は下総国佐倉藩へ移封。入れ替わりで戸田忠真が6万8000石で入るが、下野国宇都宮藩へ移封。

伊勢国桑名藩より松平定重が、将軍綱吉の不興を買って、11万3000石で入る。厳しい統治を行なったために一揆が頻発して起こり、遂に5代目の松平定賢のとき、二度目の左遷となり、陸奥国白河藩へ移封。

[編集] 榊原氏統治時代

代わって播磨国姫路藩から榊原政永が15万石で入る。榊原氏の姫路から高田への移封は政永の父・榊原政岑が吉原で遊び呆けて将軍・徳川吉宗の怒りを買ったことによる懲罰的なものであった。石高は15万石だが、実際には陸奥国にある飛び地(現在の福島県石川郡浅川町に陣屋(浅川陣屋)を置いた。
後に釜子(同県白河市東地区)へ移す)を含めたものであり、額面どおりの収入を得ることは非常に困難で、そのために財政が悪化したといわれている。しかし政永の孫で名君として知られた榊原政令の時代には、他藩の事情から飛び地分を隣接地に付け替えられるという幸運もあって藩政は安定した。その後、榊原氏6代の支配を経て明治維新を迎える。

戊辰戦争では当初、態度を曖昧にしていたが官軍が迫ると領内にいた幕府側の歩兵隊を追放し恭順の姿勢を示した。長岡会津討伐の先鋒を命じられ、東北各地を転戦した。恭順を拒否した藩士は脱藩後、神木隊を組織し後に彰義隊に合同した。 戊辰戦争終結後、降伏した会津藩士1,742名の御預を命じられる。藩内には旧幕府側に対する同情が強く、御預の会津藩士ついても新政府からの給費はごくわずかであったため藩庫から多くの金穀を補填し手厚く待遇した。御預中に死亡した会津藩士の墓地は現在でも「会津墓地」と呼ばれ有志の手によって護持されている。

[編集] 歴代藩主

[編集] 堀(ほり)家

外様、45万石(堀一族の領土は坂戸藩蔵王堂藩三条藩など含め30万石、越後国主としては、与力の新発田藩溝口家の6万石、村上藩の9万石を含めて45万石)

  1. 堀秀治(ひではる)
  2. 堀忠俊(ただとし)

[編集] 松平(長沢)(まつだいら(ながさわ))家

親藩、75万石[1]

  1. 松平忠輝(ただてる)従四位下。左近衛少将。上総介。

[編集] 酒井(さかい)家

譜代、10万石

  1. 酒井家次(いえつぐ)従五位下。左衛門尉
  2. 酒井忠勝(ただかつ)従四位下。宮内大輔

[編集] 松平(越前)(まつだいら(えちぜん))家

親藩(秀康次男・忠昌系越前家→福井松平家)、25万9000石

  1. 松平忠昌(ただまさ)従五位下。伊予守。

[編集] 松平(越前)(まつだいら(えちぜん))家

親藩(越前家宗家・越後中将家→柳原松平家→津山松平家)、26万石 [2]

  1. 松平光長(みつなが)従三位。権中将。越後守。

[編集] 天領

[編集] 稲葉(いなば)家

譜代、10万3000石

  1. 稲葉正往(まさゆき)従四位下。丹後守。侍従

[編集] 戸田(とだ)家

譜代、6万8000石

  1. 戸田忠真(ただざね)従四位下。山城守。侍従。

[編集] 松平(久松)(まつだいら(ひさまつ))家

譜代、11万3000石

  1. 松平定重(さだしげ)従五位下。越中守。
  2. 松平定逵(さだみち)従五位下。因幡守。
  3. 松平定輝(さだてる)従五位下。越中守。
  4. 松平定儀(さだのり)従五位下。越中守。
  5. 松平定賢(さだよし)従四位下。越中守。

[編集] 榊原(さかきばら)家

譜代、15万石

  1. 榊原政永(まさなが)従四位下。式部大輔。侍従。
  2. 榊原政敦(まさあつ)従四位下。式部大輔。侍従。
  3. 榊原政令(まさのり)従四位下。遠江守。
  4. 榊原政養(まさきよ)従四位下。右京大夫
  5. 榊原政愛(まさちか)従四位下。式部大輔。侍従。
  6. 榊原政敬(まさたか)従四位下。式部大輔。侍従。

[編集] 脚注

  1. ^ 与力大名として を附属される。
  2. ^ 与力大名として を附属され、与力分48万9,088石・都合74万9,088石

[編集] 関連項目

他の言語


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