牙城会
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牙城会(がじょうかい)とは、新宗教団体創価学会の男子部に所属する会員を中心に構成される人材育成グループ。構成員数は、7万余名。創価学会の歴史と理念を学ぶと同時に、全国各地の創価学会会館の自主警備等が主な活動。シンボルマークは「獅子」。シンボルカラーは赤。 "Gajokai" から「G」と略称され、Gをあしらった金色のバッジと赤系のネクタイを着用している。
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[編集] 任務
創価学会では、会館の警備も「仏道修行」の一環と規定している。日々の仏道修行(唱題)と来訪者に対する心遣い(来訪者に気持ち良く会館を利用してもらう)を学び、社会人として成長することを目的として、会館警護の任務を行う。 警備中の無事故を祈り、最新の注意を持って、会館警備(不審者の入館阻止・会館内外の事故防止)を行い、無事故で任務を終了するのが当たり前と考え警備任務を遂行するが、万一、事故が生じた場合、信心の魔(信心を妨げる業)と捉えたり、自己の心に油断がなかったか厳しく問いかける。 牙城会は警備業の許可を受けた団体ではないので、その任務は報酬を受けての業務ではなく法的には当直・宿直と同等であるが、会員は任命をうけて無報酬で活動している。
任務につく最小単位をグループという。人数は1グループあたり2名から5名、会館の規模が大きくなればそれ以上になる。平日・土曜の夜間(18時から閉館まで)と休日(朝8時から閉館まで)交代で着任する。かつては閉館から翌朝まで泊り込み、交代で警備したが、現在では特別な期間中の場合や一部の会館を除いてセコムによる機械警備に取って代わられている。毎年2月1日(牙城会創立記念日)から翌年1月31日までを1期とし、各グループが年間10回から20回程度着任する(青年層の活動家数が減少している地方の会館ではその回数は自然と多くならざるを得ず、30回以上着任する地域もある)。その予定は毎年1月までに発表され、牙城会員は仕事の予定などを調整する。牙城会は会合のあるなしに関わらず着任しており、同じ男子部の人材グループである創価班が会合ごとに招集されるのとは大きく異なる。仕事にもよるが平日の6時に着任するのは20代から30代の働き盛りの男性にとっては容易ではない。そのために当日は通常よりも早めに出勤したり休憩時間を削ったりなど、仕事と任務の両立に尽力する者が多い。
なお、平日の日中は地域の中心会館であれば、創価学会職員が日常の業務を行っている。中心会館以外の小規模会館では牙城会が着任する時間帯以外は、壮年・婦人の有志が牙城会と同様の任務を行っている。この有志を「一日会館長」「一日室長」、有志によるグループを「宝城会(地域によっては創城会、王城会)」と呼ぶ。ただし、牙城会のように全国的に統一された組織ではなく、地域ごとに名称・活動内容にはバラつきがある。また方面ごとの「本部会館」(東京信濃町の創価文化会館、大阪の関西本部など)では平日の日中、学生部の活動家による「本部牙城会」が同様の任務についている。
男子部活動家が不足している地域では、牙城会は創価班を兼任する場合がある。
任務内容は会館の開錠・施錠から来館者の受付、会合の問合せの対応、落し物、忘れ物の処理から周辺のパトロールと多岐にわたる。パトロールでは会館周辺の不審物のチェックなどを行うが、一市民の自主警備なので仮に明らかに不審な人物などが徘徊していても、現行犯でない限りは尋問や取り押さえる権限はない。そのときは警察、消防などに通報するが、牙城会のパトロールによって車上荒らしが捕まったり近隣の火災をボヤのうちに消し止め、表彰された例がある。
過去には、オウム真理教によって任務中の牙城会員がサリンを浴びる事件が起きている。(池田大作サリン襲撃未遂事件)
[編集] 大学校と人材育成
創価学会では、地域の座談会などの会合を、会員の自宅を利用して開催してきた。それは現在も変わらないが、昭和30年代から40年代にかけて会員数を大きく伸ばしたこと、住宅事情の変化などによって、全国に会館が建設された。その自主警備を行うグループを、当時は地域ごとに「当番」や「会館警備」と呼んでいたが、1971年「牙城会」として全国組織化。統一的な人材育成に取り組むことになった。
創価学会の会館は小規模であっても、「本部幹部会」などの会合には200から300名の会員が来館する。そのため所轄の消防署の指導の下、年に1回程度の割合で消防・防災訓練を行っている。内容は消火、及び避難誘導、通報実習や、心肺蘇生法の実技のほか、最近では各会館に自動体外式除細動器 (AED) が備えられたためその講習も行われる。牙城会警備長および壮年婦人の担当役員が中心になって開催されるが、牙城会のほか創価班、白蓮グループ、及び壮年、婦人の一般会員も参加する。
実際に任務につく前の訓練・研修機関として牙城会大学校が設置されている。設立は1986年(昭和61年)。2007年現在、「新世紀7期」を数える。大学校とは、地域の会館などを利用して開催される研修会のことである。活動し始めの男子部員は地域の部長から推薦されて面接を受ける。入校すると大学校団長の指揮のもと1年間、折伏(勧誘・宗教論争の方法)に取り組み、信仰の基本、創価学会の歴史、『人間革命』読破等の指導・訓練を受ける。
[編集] 牙城会の役職一覧
- 委員長:圏<区>以上の組織に1名ずつおかれる。男子部の圏主任部長クラスが任命されることが多い。例えば、圏主任部長の任にある者が兼任で牙城会圏委員長を務めるなど。
- 大学校事務局長:全国と各方面におかれる。
- 副委員長:委員長を補佐する。複数名おかれ、この中から以下三役が選出される。
- 警備長:警備実務全般を統括する。
- 言論企画部長:牙城会における理論面、思想学習を統括する。
- 大学校団長:各地域の部長に推薦された大学校生を指導、育成する。大学校では必要に応じて以下の役務をおく。
- 大学校副団長:必要に応じて複数名おかれる。団長を補佐する。
- 運営委員:大学校生と行動をともにして、指導育成する。折伏に臨んでは決着責任者とも呼ばれる。
- 部長:本部1名。地域ごとの牙城会員を統括する。
- 班長:支部1名または複数名。部長を補佐し、地域ごとの牙城会員を統括する。置いていない方面も存在する。
- 総括:その日着任したグループの責任者。ベテランの牙城会員が選抜される。小規模の会館では「主任」と呼ぶこともある。総括を置かず全て主任に統一している方面も存在する。あるいは、「総括」「主任」(事実上副総括)の体制で運営している会館もある。
- 副総括:総括を補佐する。
[編集] 関連項目
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