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国立天文台 - Wikipedia

国立天文台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

国立天文台(こくりつてんもんだい、英:National Astronomical Observatory of Japan 略称:NAOJ)は理論観測の両面から天文学を研究する日本研究所・大学共同利用機関である。

日本国外のハワイ観測所などいくつかの観測所や、三鷹キャンパスなどで研究活動を行っており、総称として国立天文台と呼ばれる。本部は東京都三鷹市三鷹キャンパス内にある。

国立天文台三鷹キャンパス
国立天文台三鷹キャンパス

目次

[編集] 概要

1921年に作られた三鷹キャンパスにある第一赤道儀室。
1921年に作られた三鷹キャンパスにある第一赤道儀室。

日本における国立の天体観測所は、江戸幕府が、現在の東京都港区麻布に設置した、観象台から始まる[1]。明治維新後に東京大学(旧:東京帝国大学)に星学科が設立されたとき、その附属の研究所として観象台が存続。その後、東京大学附属東京天文台として天体観測を行う研究所として、研究を実施。その後、行政改革によって、名古屋大学空電研究所や緯度観測所と統合し、現在の国立天文台になる。その後、各研究所における研究利用の窓口として、大学共同利用機関が設立され、現在の陣容になる。

国立天文台は「国立大学法人法」、文部科学省令「自然科学研究機構設置基準」及び文部科学省令「国立天文台設置基準」に定める所の本部(研究センター)を東京都三鷹市に置き、日本各地や国外にも観測施設を設置し観測業務並びに機器開発、装置運用を実施。自然科学研究機構を構成する大学共同利用機関の一つであり、総合研究大学院大学の専攻研究科を構成する。また、台内に社団法人日本天文学会、財団法人天文学振興財団日本惑星科学会等の天体科学もしくは天体物理学研究支援の団体の事務局がある。科学データとして国際的に評価の高い、理科年表の編纂を80年以上に渡り実施。代表的な観測研究施設としてハワイにてすばる望遠鏡を設置・運用。その他、各観測研究所に設置された観測機器を用いた観測研究業務並びに天体観測機器開発、観測装置運用を実施。

[編集] 歴代台長

国立天文台発足以降の、歴代台長(在任期間)の一覧

国立天文台長は、4年間の任期制であり、再選により2年の延長が可能である。また、台長選出においては、台内における教授会の議決を持って行う[2]

[編集] 沿革

[編集] 研究活動

国立天文台は日本の天体科学研究における代表的な研究機関として、天文科学および天体物理学(関連項目:天体力学)に関連する分野の研究教育活動をほぼ網羅する。また、自然科学研究機構における天体物理学専門組織として、天文学に関連する講座を開設、大学及び大学院からの研究共同利用を受け入れている。大学共同利用機関として、各学校法人や研究室からの研究計画に基づく研究利用申請や研究者の受け入れによって、観測装置の共同開発及び開発指導を始め、施設利用の推進、さらに観測データの共同利用なども実施。さらに国家事業としての編纂を行う「暦計算室」や日本標準時の決定および報時を行う「天文保時室」などの部署を設置し、独立行政法人産業技術総合研究所や独立行政法人情報通信研究機構などと並んでこの分野における国内の代表的機関の一つである[3]

国立天文台は日本以外の天文科学研究機関との国際共同研究活動も幅広く実施しており、最近の例としてはすばる望遠鏡ALMA望遠鏡などのプロジェクトが挙げられる。また、4D2Uプロジェクトや太陽系外惑星探査プロジェクトなど、従来の研究活動の枠組みを超えた新たな研究プロジェクトも推進。さらに、月探査計画「かぐや」では、月の精密観測に必要な機器開発を始めとして、測地学研究の観点から、地球朝夕や測地学観測でも研究活動を実施。スペースVLBIでは、世界唯一の実施機関として、国際的にも高い評価を得ている。

さらに、「開かれた天文台」として石垣島天文台などの設置・運用を支援し、日本における天文科学分野の広報・普及活動を推進。

今後のプロジェクトとして、より大口径かつ大規模な観測に対応した「超大型光学赤外線望遠鏡」の調査研究・開発研究が開始され、米国の30m鏡巨大望遠鏡計画であるTMT計画とも連携を深めつつある[4]。今後、欧州のプロジェクトや北米(アメリカカナダ)とのこれまで通りの連携を維持し発展させる予定。2005年には天文宇宙科学研究所(韓国)、中国科学院国家天文台(中国)、中央研究院天文及天体物理学研究所(台湾)とともに東アジア中核天文台連合(EACOA)を結成し、東アジア地域における天文学研究の発展に尽力することとなった。東アジア地区をはじめとする各国からの留学生の受け入れや海外研究機関への観測装置の利用促進・提供を実施し、各国の天文台の近代化に向けた活動を支援している。

[編集] 組織

国立天文台の組織はプロジェクト室・センター・研究部の3つに大きく分かれる。各組織は以下の通りである。特に明記していないものは三鷹キャンパス内に組織・講座を設置。

[編集] プロジェクト室

プロジェクト室は、国立天文台が大学共同利用機関[5]として、各大学等の研究室からの利用申請に基づいて様々な観測や実験の実施や開発研究を円滑に行なうために設置された組織である。国立天文台が日本国内外にて運用を行う各観測所もプロジェクト室の一種となっている[6]

[編集] 観測所

観測所は、観測装置群の運用、観測業務、観測データ解析を行う施設である。観測業務は、各研究室等からの観測計画に基づき実施されており、観測データは観測計画を立てたグループ等に公開され、解析業務が行われることになっている[7]

[編集] 国内
水沢VERA観測所岩手県奥州市水沢区)
日本における国際緯度観測事業開始の地
太陽観測所 (東京都三鷹市
コロナグラフ太陽フレア望遠鏡、クーデ式太陽望遠鏡(運用停止)を持つ観測所。
太陽フレア望遠鏡 
太陽光スペクトル観測によって、太陽磁場の観測を行う望遠鏡。三鷹キャンパスに設置されている。
乗鞍コロナ観測所 (長野県松本市安曇)
日本において国産かつ国内初のコロナグラフが設置された観測所。
野辺山キャンパス(宇宙電波観測所と太陽電波観測所からなる観測所)
野辺山宇宙電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村
国内最大のミリ波望遠鏡を備えた観測所。
野辺山太陽電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村)
太陽電波観測の草分けである観測所。
岡山天体物理観測所岡山県浅口市鴨方町)
日本における光学スペクトル観測の発祥の地

脚注)将来的には、国内の観測所はキャンパスに統一する予定です。大学院教育と研究を兼ねた組織として、今後も天文学の教育ならびに広報、研究を進めるためです。

[編集] 海外
ハワイ観測所アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島)
世界最大級の一枚鏡による望遠鏡を備えた観測所。
ASTE推進室(チリ共和国アタカマ砂漠
名古屋大学なんてんに続いて設置された南天観測を行う観測所。

付記)海外の観測拠点は、それぞれ設置運営を行うに際して、設置場所となっている行政府及び研究機関の協力を経て運用を実施している。

[編集] 人工衛星
ひので科学プロジェクト 
ようこう」の後継として打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)の開発研究ならびに運用を進める組織。宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の宇宙科学研究本部との共同プロジェクト。「ひので」の打ち上げ成功・観測開始に伴い、SOLAR-B推進室から観測所としての性格を持つ当プロジェクトへと移行した。
RISEプロジェクト 
月探査機「かぐや」・「おうな」・「おきな」の観測装置のうち、惑星測地学探査に必要な機器類の開発研究並びに運用を進める組織。宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の宇宙科学研究本部との共同プロジェクト。月探査計画が順調に推移していることをふまえ、RISE推進室から観測所としての性格を持つ当プロジェクトへ移行した。

[編集] 開発研究室

所在地はすべて三鷹キャンパスである。推進室の位置づけは、観測装置群の企画から開発時に設置され、研究利用可能となる観測装置群が稼動すると、プロジェクト室へ移行し各観測業務並びに運用、解析業務を行うことになっている。

天文シミュレーションプロジェクト 
天文学専用スーパーコンピュータを備えた研究室。天文学におけるシミュレーション計算を専門的に行う組織である。
ALMA推進室 
チリ共和国アタカマ砂漠に80台の電波望遠鏡を作る国際プロジェクトの開発研究を推進する組織。
重力波プロジェクト推進室 
重力波望遠鏡の開発研究ならびに運用を進める組織。
MIRA推進室 
赤外線干渉型望遠鏡の研究開発ならびに運用を進める組織。
JASMINE検討室 
将来打ち上げる赤外線探査による位置天文衛星計画の技術開発、ならびに検討を進める組織。
赤外線探査による位置天文衛星(JASMINE)。
京都大学理学系研究科宇宙物理研究室との共同プロジェクト。
スペースVLBI推進室 
スペースVLBIVSOP計画)の運用計画を推進する組織。JAXA 宇宙研究本部との共同プロジェクト。VSOP計画にて使用された天文観測衛星はるかは運用を終え、次世代の観測計画VSOP-IIに必要な開発研究の具体化及び準備作業を進めている。
4次元デジタル宇宙プロジェクト(4D2U)室 
バーチャルリアリティ技術を用いて観測データのインタラクティブな可視化と天文学教育用ソフトの開発を行う。
ELTプロジェクト室(Extremely Large Telescope)
次世代超大型光学赤外線望遠鏡計画の開発研究の調査研究を実施。
太陽系外惑星探査プロジェクト室 
現在、国内では唯一の太陽系外惑星探査に関する公的研究組織。

[編集] センター

センターは、国立天文台の基盤となる観測業務活動を支援する組織である。所在地は特に明記していないものは三鷹キャンパス内にある。

天文データセンター 
天文科学関連データベースの国内外との連携センター(各国中央天文台との協定の締結によって、天文学データベースの相互利用の推進を実施)。
データベース天文学推進室 
世界中に分散する各種天文科学データベースを統合化し、波長を越えたデータ解析を可能にするJVOプロジェクトの開発研究を実施。
先端技術センター 
次世代の天体観測機器についての開発研究を手がけており、天体観測装置開発センターの役割を担う(各観測所ごとに装置開発拠点を持つ。大型機器は三鷹キャンパスが担当する)。
天文情報センター 
天体科学に関連する広報普及活動を担当し、観測成果や天体現象などの情報を対外的に発信している。彗星や小惑星の発見など天体科学に関する情報を受付け、観測研究成果の確定作業を行っている。
広報室 
天体科学に関連する広報を実施。
普及室 
天体科学関連の教育、技術等の普及を実施。
暦計算室 
暦の算定ならびに提案を実施。
図書係 
国立天文台図書室の管理を実施。
出版係 
国立天文台の発行する文書類の発行を実施。

[編集] 研究部

研究部は、国立天文台の職員が研究テーマに応じて、いずれかの部署にて配属され研究活動を行う組織である。よって、すべての職員はいずれかの研究部に所属している。研究の対象は電波天文学から赤外線天文学さらに高エネルギー天文学、そして重力波天文学までを行うことを目的に設置されている。なお、現在の研究部の構成は、その前身となった各天文台(東京大学附属東京天文台・緯度観測所・名古屋大学空電研究所)の流れを汲んだものとなっている。所在地は以下に示す。

光赤外研究部 
光赤外天文学の観測研究の実施(岡山天体物理観測所ハワイ観測所)。
電波研究部 
電波天文学の観測研究の実施(野辺山地区水沢VERA観測所)。
太陽天体プラズマ研究部 
太陽等の天体プラズマの観測研究の実施(三鷹キャンパス、野辺山地区、名古屋大学)。
理論研究部 
天文学の理論的研究を行う(三鷹キャンパス)。

[編集] 関連プロジェクト

JVOプロジェクト 
各国の中央天文台にて運用が行われている天文科学専用データベースをインターネットによって統合するヴァーチャル天文台プロジェクト。波長の壁を超えて統一的に解析できる新しい天文学研究基盤ソフトウエアの開発研究を目指している。なお、本ソフトウエアは将来的には、4D2Uプロジェクトで開発された"Mitaka"のように登録制のフリーソフトで提供される予定である。
太陽周期活動望遠鏡計画 
岡山天体物理観測所のマグネトログラフや三鷹の太陽フレア望遠鏡で培った観測技術を用いて、より精度の高い太陽活動を捉える将来の望遠鏡開発ならびに観測計画。国立天文台と京都大学大学院理学系研究科、独立行政法人情報通信研究機構との共同プロジェクト。
石垣島天文台沖縄県石垣市) 
国立天文台も参画した5者共同運用の開かれた天文台。特に青少年・生涯教育に重点を置いた試み。

[編集] 東京天文台の改組

東京天文台の改組はそれまで多くの研究費が旧帝国大学等に集中するという批判が高まったため取られた措置である。東京大学の組織であった東京天文台は、大学から独立し広く開かれた研究所となる国立天文台と大学において教育研究指導を推進する東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターに改組された。他には、東京大学附属宇宙航空研究所が、宇宙科学研究所へ改組された例や、名古屋大学プラズマ研究所及び、広島大学核融合理論研究センター、京都大学ヘリオトロン核融合研究センターが統合されて核融合科学研究所が発足した例などがある[8]

[編集] 公開行事

[編集] 三鷹キャンパス

国立天文台三鷹キャンパス常時公開 
(年末年始(12月28日~1月4日)を除く10:00~17:00(入場は16:30まで))
国立天文台三鷹キャンパス特別公開 
(例年は、10月中旬から下旬にかけての休日を利用して行う)
国立天文台定例天体観望会 
(第2週の金曜日、第4土曜日)

[編集] その他

各観測所の項を参照。

天体科学に関するイベントに関しては、関連項目のイベント欄を参照。他の情報源としては、国立天文台アストロトピックスや各出版社による専門雑誌、各報道機関における気象情報などが利用可能である[9]

[編集] 教育研究業務

本業務に関しては、文部科学省令及び自然科学研究機構設置基準、国立天文台設置基準に基づき実施。また、社会人教育に関しては、国立天文台三鷹キャンパス並びに観測所が設置されている行政府との間での相互信頼関係に基づき実施[10]

[編集] 大学院教育

総合研究大学院大学を参照

大学院前期・後期課程の入試を行っている。大学院ではサイエンスプロデューサー養成講座を開いている[11]

[編集] 研究活動

  • 天文月報やPASJ、その他学術専門雑誌に掲載された研究活動を実施。
  • 各種専門雑誌からの依頼による、監修や執筆等によって、研究活動の成果発表を実施。
  • 教科書編纂
    • 社団法人日本天文学会では、篤志家からの寄附によって得られた基金に基づき、日本の天文科学分野における21世紀の標準教科書の作成を実施。

[編集] 公益活動

各観測装置から得られた画像や観測データは、教育事業などの私的利益を伴わない用途において無償公開している。営利目的の場合には申請を要する。また、各観測所においては、公開事業によって観測成果や観測機器の公開を実施。詳細は、各観測所の項参照。

[編集] 社会人教育

三鷹ネットワーク大学 
三鷹市内に所在する学術機関、産業界、三鷹市との協力により、生涯教育活動の支援を推進中。なお、国立天文台は三鷹ネットワーク大学への直接的な運営には関知していないが、講師派遣や教材提供などで協力関係にある。
  • 一般公開
    • 各観測所毎に行政府との協力及び連携を通じて、生涯教育活動を継続中。さらに、観測所毎の天体観望会や石垣島天文台における観測会の実施、施設の特別公開、観測研究成果の公開等を通じた天体科学(天文学及び宇宙物理学)への理解を深める活動の継続。各地の科学館や文化講座にて行われているセミナーや公開講座への講師の派遣支援等によって実施。

[編集] 生涯教育

各種イベントを通じて、文部科学省及び環境省のスローガンでもある、「日本国の豊かな自然に感謝し、豊かな自然観をはぐくみ、人と自然の共生」を願う教育活動を行う。国立天文台内では、スターウィーク、各施設の公開や公開、広報機関を通じた観測業務及び観測研究成果の発信等のイベントを実施する。

また、外部に対しては全国各地の科学館等で実施している出張天文講座や研究成果公開、親子で楽しむ天文科学教室、各地の公開天文台及びプラネタリウムでの解説・番組制作を支援している。また、プラネタリウム番組制作活動が有志によって行われている。

[編集] 関連項目

[編集] 施設・機関

[編集] 国内

[編集] 国際

[編集] 研究活動

[編集] 研究活動の発表の場

[編集] イベント

[編集] 公式イベント

[編集] 天体科学のイベント

[編集] 参考資料

[編集] 法令・政令

[編集] 第三者評価資料

[編集] オフィシャル・レポート(紹介資料)

[編集] オフィシャル・ジャーナル(研究報告誌)

[編集] 教科書

検定教科書ではないため、大学学部や大学院で使用する天文学の教科書。記述は、向学心のある高等学校生にも分かりやすくすることを目標としている。

[編集] データ集

以下は、年単位に発行されている。

[編集] オフィシャル・データ

[編集] 編纂調整済みデータ

[編集] 専門雑誌

天文雑誌を参照

[編集] 関連団体

[編集] 学術研究団体

[編集] 学術研究関連団体

その他の各地に点在する天文同好会や教育機関などの組織及び活動に関しては、天文雑誌に紹介記事が掲載されることが多い。

[編集] その他

[編集] 人物

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 天文学において、日本書紀における「占星台」の記述がある。また、現在の東京都台東区には「浅草天文台」が設立された記録がある。浅草天文台は、江戸幕府の天文方が、私費を集めて設立した民間の天文台。その後、「享保の改革」で名高い、徳川吉宗の出した幕府令によって設立されたのが、「観象台」であり、「浅草天文台」を吸収合併している。司天台は、京都の朝廷に勤める天文方が、朝廷から支援を受けて設立された天文台。それぞれの目的は、暦の編纂であった。なぜならば、当時の暦は太陰太陽暦を採用していたため、暦と季節の間にずれが生じやすかったためである。
  2. ^ 東京大学東京天文台時代の台長は、東京大学理学部長が勤めていた。緯度観測所長は、現在の「国立天文台」と同じ。また、名古屋大学空電研究所長は、名古屋大学理学部長が勤めていた。
  3. ^ 世界時を決定するための国際地球回転観測事業にVLBI解析センターとして参画しており、原子時計群の運転やGPS衛星を活用した高精度国際時計比較を行なったり、国際原子時 の運用に寄与している。
  4. ^ 現在の所、すぐに予算がつくわけではないため、観測利用等でTMT計画などへの参加も含めた検討も行っている。しかしながら、将来に向けて大型複合光学式反射望遠鏡の開発研究は必要であり、そのために、超軽量鏡をはじめとして、技術開発を進める予定である。同様のプロジェクトとして、ヨーロッパ南天天文台 でも大型望遠鏡計画(E-ELT)の準備が推進されている。
  5. ^ 大学共同利用機関とは、大学(学校法人)では保有(もしくは設置・運用)の難しい大型機器等を開発・設置・運用することによって、詳細かつ精密な研究を実施できるようにした研究機関のことである。
  6. ^ プロジェクト室の室長は教授准教授で、各観測所長は教授もしくは准教授である。国立天文台内では教授会によってプロジェクト運営会議が行われ、各観測所における観測利用申請や観測計画を集めて優先順位を決定し、事務機関である自然科学研究機構へ報告並びに申請が行われる。
  7. ^ 一般に対しては、報道機関による取材や観測所の公式サイトを通じて公開される。各観測所の一般公開では、これまでの観測成果の公開を実施。特別公開では、各観測所の業務内容や研究成果、さらにはホットな研究トピックスを紹介することで、研究業務の理解を深める活動を実施。
  8. ^ その他の旧帝国大学にあった研究所群も、全国共同利用機関もしくは施設として、公式な研究機関となった。以前は、大学間や研究室間だけでの身内の組織であったが、企業等の私的利益もしくはリスクが高く、短期間での研究成果が求められる法人などからも研究者の受け入れや研究テーマの実施等も可能になった。例として、学校法人や国立大学法人内に設置されている寄附講座や委託研究員制度などが挙げられる。
  9. ^ 本項目におけるイベントとは、スター・ウィークが、国立天文台がPRし一般市民を対象とした環境ならびに自然科学に関するイベントであり、アストロトピックや専門雑誌、気象情報におけるPRは、太陽系内現象の予報、宇宙探査の成果に基づくものである。気象情報などにおけるPRは、装置利用など必要のない、身近な月食日食流星群などの場合が多い。
  10. ^ なお、観測所が無い自治体へも、PAOネットやスターウィークを初めとした天体現象のイベントへの参加を呼びかけている。各地の科学館や教育上必要とされる要請などがあれば、講師派遣や機材提供などを実施することになっている。
  11. ^ 国立天文台(正確には、総合研究大学院大学・天体科学専攻)におけるサイエンスプロデューサー養成講座とは、科学館やプラネタリウムなどにおいて、天体観測の指導やプラネタリウム番組の企画・製作を行う教育指導者の養成講座であり、大学院前期課程(旧:修士課程・年限2年)からなる。


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