八手三郎
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八手 三郎(やつで さぶろう)は、東映映像本部テレビプロデューサーの共同ペンネーム。『スーパー戦隊』シリーズなどの、同社オリジナルの子供向け特撮アクションドラマの作品に、原作者や作詞家の名前として用いられる。正式な読み方は前記の通りだが、「はって さぶろう」など他の読み方をされることもある。
1970年代後半から1980年代初頭にかけては、『超電磁ロボ コン・バトラーV』など、東映が直接制作を手がけていたテレビア二メ作品にもクレジットされていた。
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[編集] 概要
由来には諸説あるが、『仮面ライダー』シリーズなどを手がけた平山亨が関わっていることでは共通している。以下に各説を挙げる。
- 平山が東映京都撮影所の助監督・監督時代、同撮影所の助監督が共同ペンネームとして用いていた。平山が本社テレビ部に異動後、社員プロデューサーが担当作品関係で脚本や企画書や作詞等を執筆する必要があった際、京都で使われていたこのペンネームを復活させた。
- 京都撮影所助監督の、何物からも自由なクリエイターとしての気概を持ちつつも、一方で会社という組織に従属する立場であることも認識せざるを得ない微妙な立場を「やって候(さふらふ = そうろう)」という言葉に反映させた。
- 平山が原稿の催促をされたときの言い訳「やって候」から。“候”は「~します(しました)」の文語体表記で、「やってますよ」の意味である。
- 「やってみろ」の転化。若者が「候」の意味を理解できなくなってから憶測で提唱された新説で誤謬であるとの説もあるが、平山と関わりの深い音楽家の菊池俊輔がインタビューでこの由来を開陳している。
- 平山が東映以外の仕事をやった際に「本名じゃ問題があるので…」と用いたペンネーム。語源は3や4に同じ。
平山は1990年に東映を定年退職したが、「八手三郎」は、彼が所属していた東映テレビ事業部、現在は機構改革により映像本部テレビプロデューサー集団の共同ペンネームとなり、引き続き使われている。
東映の特撮テレビドラマでは、アニメや近年の円谷プロダクション作品に見られる、シリーズの世界観・ストーリーの根本部分を決定しストーリーの流れを管理するポストである「シリーズ構成」の職を基本的に置かず、東映側の担当チーフプロデューサーと、「メインライター」と呼ばれるそのシリーズで中心的な役割を担う脚本家がその仕事を分担している。従って「八手三郎」の実体は、チーフプロデューサーとメインライターの共同作業といえる。
[編集] 主な作品
- スーパー戦隊シリーズ(『バトルフィーバーJ』以降)
- メタルヒーローシリーズ
- 超電磁ロボ コン・バトラーV
- 超電磁マシーン ボルテスV
- 闘将ダイモス
- 未来ロボ ダルタニアス
- 宇宙大帝ゴッドシグマ
- 百獣王ゴライオン
- 機甲艦隊ダイラガーXV
- 光速電神アルベガス
- ビデオ戦士レザリオン
- スパイダーマン(日本版)
[編集] 作詞した曲
- 「仮面ライダーのうた」(歌:藤浩一、メール・ハーモニー)
- 「少年仮面ライダー隊の歌」(歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会)
- 「おれはXカイゾーグ」(歌:水木一郎)
- 「ロボコン・ロボット世界一」(歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会)
- 「ロボコンガッツラコン」(歌:水木一郎、山上万智子)
- 「ロボコン音頭」(歌:水木一郎、山上万智子、コロムビアゆりかご会)
- 「アマゾンダダダ!!」(歌:子門真人、コロムビアゆりかご会)
- 「仮面ライダーストロンガーのうた」(歌:水木一郎)
- 「きょうもたたかうストロンガー」(歌:水木一郎、堀江美都子)
- 「ストロンガーアクション」(歌:水木一郎、堀江美都子)
- 「駆けろ!スパイダーマン」(歌:ヒデ夕樹)
- 「誓いのバラード」(歌:ヒデ夕樹)
- 「秘密戦隊ゴレンジャー」(歌:ささきいさお、こおろぎ'73)
- 「男はひとり道をゆく」(歌:水木一郎)
- 「二人の地平線」(歌:宮内洋)
- 「いつか、花は咲くだろう」(歌:ささきいさお)
- 「J.A.K.Q.進めジャッカー」(歌:ささきいさお、こおろぎ'73、ザ・チャープス)
- 「スペードエース若き獅子」(歌:ささきいさお、ザ・チャープス)
- 「ジャッカーマシンロック」(歌:ささきいさお)
- 「行け!スカイエース」(歌:ささきいさお、こおろぎ'73)
- 「ジャッカー愛のテーマ」(歌:ささきいさお)
- 「はるかなる愛にかけて(歌:水木一郎、こおろぎ'73)
- 「輝け!8人ライダー」(歌:ささきいさお)
- 「勇者が行く」(歌:MoJo)
- 「いつの日か」(歌:こおろぎ'73)
- 「火を噴けライダー拳」(歌:高杉俊价、こおろぎ'73)
- 「出撃!ゴーグルロボ」 (歌:MoJo、こおろぎ'73)
- 「俺のハートは夢じかけ」(歌:MoJo)
- 「ゴーゴーダイナロボ」(歌:MoJo)
- 「FORGET MEMORIE'S」(歌:串田アキラ)
- 「オーラに輝け!グレートファイブ」(歌:影山ヒロノブ)
- 「出してみようぜ!オーラパワー」(歌:影山ヒロノブ)
- 「五星戦隊ダイレンジャー」(歌:NewJACK拓郎)
- 「俺たち無敵さ!!ダイレンジャー」(歌:NewJACK拓郎)
- 「オーレ!オーレンジャー」(歌:速水けんたろう)
- 「緊急発進!!オーレンジャー」(歌:速水けんたろう)
- 「電磁戦隊メガレンジャー」(歌:風雅なおと)
- 「気のせいかな」(歌:風雅なおと)
- 「清く正しくカブタック」(歌:草尾毅)
- 「炎神ファーストラップ-Type Normal-」(歌:Project.R(谷本貴義・Sister MAYO・大石憲一郎) with炎神キッズ)
- (マイクスギヤマと共同)
「駆けろ!スパイダーマン」は平山亨が、「誓いのバラード」は吉川進が作詞したことが『スパイダーマン』DVD-BOXの特典解説書で明かされている。
[編集] 関連項目
- テレビ朝日
- 宇都宮恭三
- 矢立肇
- 東堂いづみ
- 葉村彰子
- アラン・スミシー
- シブサワ・コウ
- マーベル・コミック・グループ
- 施耐庵
- 太陽にほえろ! (脚本家グループの「魔久平(まくべい)」)
- 俗・さよなら絶望先生 (構成の「東富耶子(とうふやし)」