宇宙大帝ゴッドシグマ
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『宇宙大帝ゴッドシグマ』(うちゅうたいていゴッドシグマ)とは、東京12チャンネルの水曜日19:30-20:00枠において、1980年(昭和55年)3月19日から1981年(昭和56年)3月25日にかけて全50話が放送されたテレビシリーズの題名。
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[編集] 概要
本作は東映テレビ事業部企画、アカデミー製作(下請制作はグリーンボックス)制作のアニメ番組である。本作の広告代理店は東映エージエンシーが担当しており、提供スポンサーはポピーが主力を務めていた。
1976年の『超電磁ロボ コン・バトラーV』から、東映テレビ事業部企画のアニメ路線を支えてきた飯島敬プロデューサーが、本作を最後に同路線から降板。東映動画時代から定評があった飯島のシリーズ構成と、チーフディレクターを務めた田口勝彦のセンスが加わることで、第4クール間際には前代未聞の展開を見せた作品でもある。
本作の特色のひとつとして、主役ロボット・ゴッドシグマに合体する構成があげられる。ロボット同士が合体して一つの巨大ロボットとなる前例は1976年の『UFO戦士ダイアポロン』があるが、ダイアポロンに比べれば無理の少ない形での合体を達成している。1981年1月から放送の『最強ロボ ダイオージャ』とは、ロボ同士の合体、支援メカとの合体というコンセプトはほぼ同一である。なお放映当時の設定であった265mという身長は歴代アニメロボットの中でもかなり巨大な部類に入る。その設定が活かされた場合の有名巨大ロボットとの身長比はイデオン(全高105m)の約2.6倍、コンバトラーV(身長57m)の約4.6倍、RX-78-2ガンダム(全高18.0m)の約14.7倍である。
[編集] ストーリー
西暦2050年、宇宙の開発を進めていた地球の人類は、突如として250年後の未来から現れた謎の敵エルダー軍の奇襲を受けた。西暦2300年のエルダー星は、地球人類の侵略を受け、トリニティ・エネルギーを利用した地球の兵器の前に圧倒的不利の情勢にあった。彼らエルダー星人の目的はただ一つ、水爆の数十倍もの力を秘めた新エネルギーであるトリニティ・エネルギーを強奪し、歴史を改変すること。
エルダー星人は地球人たちが入植していた木星の衛星イオを占領。そして、地球のトリニティ・エネルギーを奪うためにコスモ・ザウルスで、トリニティ・シティに攻撃を開始した。闘志也たちはゴッドシグマで、地球を、トリニティ・エネルギーを守り、そしてイオを奪還するべく長い戦いを繰り広げてゆく。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] スタッフ
- 原作:八手三郎
- 企画協力:秋野紅葉、Y&K
- プロデューサー:江津兵太(東京12チャンネル)、飯島敬、折田至(東映テレビ事業部)
- 制作担当:野崎欣宏、高山幸直
- 脚本:田口章一、山崎久、桜井正明、辻真先、中原朗、曽田博久、島田真之、他
- チーフディレクター:神田武幸(第1-10話)、田口勝彦(第11-50話)
- 絵コンテ/演出:田口勝彦、小鹿英吉、宮崎一哉ほか
- キャラクター原案:新谷かおる
- キャラクターデザイン:宇田川一彦
- 作画監督:宇田川一彦、飯野皓ほか
- デザイン協力:出渕裕
- メカニックデザイン:村上克司、サブマリン
- 美術監督:岡田和夫
- 撮影監督:福田岳志(三晃プロダクション)
- 音楽:筒井広志
- 音響監督:河村常平
- 音楽演奏:東京室内楽協会
- キャスティング協力:ぷろだくしょんバオバブ
- アニメーション協力:グリーンボックス
- アニメーション制作:アカデミー製作→東京動画
- 広告代理店:東映エージエンシー
- 放送局:東京12チャンネル
[編集] 主題歌
- OP:『がんばれ!宇宙の戦士』
(作詞:八手三郎/作曲:小林亜星/編曲:武市昌久/歌:ささきいさお、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会)
- ED:『レッド・ブルー・イエロー』
(作詞:八手三郎/作曲:小林亜星/編曲:武市昌久/歌:かおりくみこ、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会)
[編集] 登場人物:キャスト
- 壇闘志也:富山敬
- 本作の主人公。木星の衛星・イオの開拓民二世(イオ生まれイオ育ち)。
- トリニティシティを訪ねた際、エルダーの攻撃を受けて空雷王に乗り込みそのままパイロットとなる。
- そしてゴッドシグマのメインパイロットでもある。
- エルダーに対し憎しみで戦っていたが、テラルとの邂逅の中宇宙の平和を願うようになる。
- 最終話時点で18歳であることが、作中のナレーションで語られている。
- ジュリィ野口:安原義人
- トリニティシティの主任技師。海鳴王のパイロットとなる。
- 彼もまたイオに家族がおり、地球で共に暮らすために守銭奴のように金を貯めていた。
- 吉良謙作:玄田哲章
- イオの開拓民で闘志也の親友。エルダーの攻撃により、目の前で家族を失うという過去を持つ。
- 命からがらイオから脱出しトリニティシティでたどり着く。その後、闘志也の推薦もあり陸震王のパイロットとなる。
- 当初はロボットの操縦を苦手としていたが、後に克服した。
- 風見博士:富田耕生
- トリニティエネルギー、ゴッドシグマの開発者。エルダー軍の持つある技術に目が眩み、物語終盤にエルダー側に寝返る。
- いわゆるマッドサイエンティストの類。
- 春日理恵:滝沢久美子
- 風見博士の秘書。闘志也に思いを寄せている。
- 木星への出発後は風見博士に代わって基地の全指揮を取る。
- マルチーノ:緒方賢一
- トリニティシティのスポンサー。守銭奴。
- エルダー侵略時でありながら三体のロボットを売り払おうとしたりイオニウムを基地に売らなかったりと非常識な行動が目立つ。
- トリニティエネルギー奪取の命を元老院から受け過去の地球に派遣されたエルダーの指揮官。
- リーツ司令:飯塚昭三
- テラルの副官。コスモザウルスの指揮を執る。ロッドバードを殺害しメサに射殺される。
- ジーラ:吉田理保子
- テラルの副官。コスモザウルスの開発を行う。ガガーンに寝返ったふりをしてテラルを仮死状態にしてエルダー基地から逃亡するも追手に射殺される。
- ガガーン:寺島幹夫
- エルダー星のタカ派軍人。テラルを失脚させ軍の実権を握る。冷酷非情。
- ダルトン:屋良有作
- ガガーンの副官の戦闘指揮官。
- メサ:山田俊司
- ガガーン配下の科学長官。
- ナレーション:屋良有作
[編集] メカ
- 宇宙大帝ゴッドシグマ
- 空雷王、海鳴王、陸震王の3体のロボットとビッグウィングが合体して完成する巨大ロボット。
- 合体のかけ声は「シグマフォーメーション!」
- 身長66.0m(別資料では265m。放送後に66mに再設定された)、体重1200.0t。動力源はトリニティ・エネルギー 。
- 武器は、無双剣、ゴッドシールド、ゴッドストリング、フィンガーニードル、ゴッドトマホーク、スピンソーサーなど。
- 必殺技は無双剣による剣術。主に「無双剣・唐竹割り」「無双剣・十文字切り」など。中盤より、パワーアップしたコスモ・ザウルスの特殊メッキを剥がし耐久力を低下させる「シグマ・ブレスト」が追加。また、無双剣の通用しない敵に対し、ビッグ・ウィングを切り離して体当たりさせる「ビッグウィング・アタック」を使用した。
- トリニティ・エネルギー
- 核や化学反応とは違い、次元の歪みから取り出したエネルギー。同エネルギーを取り出し貯蔵するためには木星のイオでしか採掘されない特殊な超重金属「イオニウム」が必要で、合体時に毎回消費される模様。
- 風見博士が開発。助手であるジュリィにも製造方法など詳細を教えていなかったため、風見博士の裏切りが起きた終盤では苦戦を強いられる原因となった。
- 空雷王
- 壇闘志也が搭乗。黒を基調としたロボット。ゴッドシグマの膝から上になる。武器は、リベットガン、クウライキュウ、クウライショット、クウライカッター、クウライショック。
- 玩具においては、足首の裏に合体時の腕部(拳)のパーツが格納されている。
- 海鳴王
- ジュリィ野口 が搭乗。青を基調としたロボット。ゴッドシグマの右足の膝から下になる。武器は、アイスブリザード、ダブルチェーン、ウォーターガン。
- 陸震王
- 吉良謙作が搭乗。黄色を基調としたロボット。ゴッドシグマの左足の膝から下になる。武器はリクシンミサイル、リクシンハンマー、レッドビーム、アタックドリル。
- ビッグウイング
- 無人航空機。ゴッドシールド/無双剣を格納。ゴッドシグマの上半身、空雷王を格納し胸部/背部になる。ゴッドシグマへの合体時にトリニティ・エネルギーを充電されて、トリニティ・シティーより発進する。無双剣は翼部に収められ、翼が斜め一直線に変形した後、上側の翼端から柄が出て引き抜かれる。(9話では下から抜いた)
- なお、村上克司による当初のデザイン画稿では存在しておらず、後にプロポーションの調整を目的として追加された機体である。
- トリニティ・シティ
- マルチーノが投資し、風見博士がトリニティ・エネルギー開発のために作った人工島。トリニティ・エネルギーの秘密防衛のためにか、エルダー星人の攻撃の前からかなり強力な自己防衛能力を保有している。当初は港に接岸していたが、エルダーの攻撃が激しくなり、近隣都市がとばっちりで攻撃を受けたため、海上に移動する。その後、敵の本拠地イオへ向けて、その巨体を宇宙へと羽ばたかせた。
- 金属獣コスモ・ザウルス
- エルダー星人がトリニティ・シティへ攻撃を加えるために作られる金属生命体。木星の大赤点(大赤斑のこと)からエネルギーと原料を取り込み、イオのエルダー基地で生成される小型の宇宙生物。その後、攻撃武器と重金属を取り込み完成する生きている金属。毎回、無双剣でとどめを刺されるが、後半にパワーアップする。表面に特殊メッキ加工が施され、無敵と思われていた無双剣をはじき返し、逆に粉砕した。しかし、風見博士がゴッドシグマに追加した「シグマ・ブレスト」によって、特殊メッキが剥がされてしまう結果となった。
[編集] 放送リスト
話数 | サブタイトル | 登場メカなど |
---|---|---|
1 | 怒れイオの戦士 |
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2 | トリニティ基地浮上 | |
3 | イオに向って合体だ |
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4 | コスモザウルスの秘密 |
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5 | じゃじゃ馬救出作戦 |
|
6 | 小さな侵入者 |
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7 | 月面へ出撃せよ |
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8 | わんぱく大作戦 |
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9 | イオからの生還者 |
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10 | 父として博士として |
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11 | 小さな恋人の危機 |
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12 | 敵エルダー星を発見 |
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13 | イオの花が咲いた |
|
14 | 怒りの対決 | |
15 | 危険なプレゼント |
|
16 | 敵将テラルの秘密 |
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17 | 巨大ロボットの買主 |
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18 | 恐怖の合体くずし |
|
19 | ロボット発進不能 |
|
20 | ジュリィの秘密貯金 |
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21 | 隕石包囲網を破れ |
|
22 | 空雷王帰還せず |
|
23 | 幻の魚を見た |
|
24 | イオへ200キロ |
|
25 | 基地移動指令 |
|
26 | 可愛い反逆者 |
|
27 | 2300年の敵 |
|
28 | 新しき戦いの序曲 |
|
29 | 地球の白旗を見よ |
|
30 | 危険がいっぱい |
|
31 | イオ最新情報 | |
32 | 月を賭けた決闘 |
|
33 | 地獄のスタジアム |
|
34 | 敵将テラルの涙 |
|
35 | テラル処刑の日 |
|
36 | 我がジュリイの妹 |
|
37 | 2300年の秘密 |
|
38 | イオへの旅立ち |
|
39 | 裏切者は誰だ |
|
40 | 死を招く火星 |
|
41 | 誕生日は葬式の日 |
|
42 | 火星の反乱 |
|
43 | テラルの骨を拾え |
|
44 | イオが消えた |
|
45 | 闘う・イオの地球人 |
|
46 | 狂気の敗北宣言 |
|
47 | 風見博士の反逆 | |
48 | イオの地に立つ |
|
49 | イオに立つ墓標 |
|
50 | 未来への旅立ち |
[編集] その他
- 副主題歌「レッド・ブルー・イエロー」には太陽系の惑星配列が含まれており、テンポよく覚えやすい。放送当時は冥王星は海王星の内側を回っており、その時点での惑星配列とは合っていないが、作中年代の西暦2050年時点では歌詞の順序で正しい。なお、同様の趣向が後年のロボットアニメ「勇者警察ジェイデッカー」のエンディングテーマで使用されており、こちらは放送当時の太陽系の惑星配列に合わせた歌詞になっている。
- 放送前年に木星の輪が発見されたことを受け、本作のエンディングに描かれる木星にも輪が描かれている。しかし、輪の影が木星本体に落ちており、この描写は誤りであるが、木星の輪が細く、影が確認できなかったため、それまで発見されなかった。
- ゲーム『スーパーロボット大戦Z』への参戦が予定されている。亡くなった富山敬の代役として檀闘志也の声は関智一が担当することがラジオ番組「サンライズラヂオEX。」で発表された。
[編集] 映像ソフト化
2003年2月から7月まで、東映チャンネルの「スーパーロボット列伝」にて再放送された。
[編集] 同時間帯における番組の変遷
東京12チャンネル 水曜日19:30-20:00 (1980年3月19日から、1981年3月25日まで) |
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
宇宙大帝ゴッドシグマ
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