児童合唱
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児童合唱(じどうがっしょう)とは、変声前の子供のみによる合唱。童声合唱ともいう。また少年合唱も同じ意味であるが、この語は特に男子のみによるものを指すことが多い。音域的には女声合唱に比してやや狭いもののほぼ重なっているが、声質が異なり、子供ならではの透明さ、溌剌さが、大人の女声合唱とはまた違った魅力を持っている。
児童合唱は、女声合唱、男声合唱とともに、同声合唱に分類される。このため、変声後の男児を含む中学生による混声合唱は、ふつう児童合唱には含まれない。
児童合唱団においては、男子は、変声期を迎える頃(小学6年から中学生の間)に退団することが多い。その一方、女子は、男子ほど声変わりが顕著ではないため、高校生や大学生が活動していることも少なくない。
ここでは、クラシック音楽の中での児童合唱について重点的に説明する。 ポピュラー音楽におけるそれについては、後述。
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[編集] 編成
声域、声質によって、ソプラノとアルトに分かれる。三部に分かれる場合は、ソプラノとアルトの間にメゾソプラノが置かれる。
[編集] 他の合唱との組み合わせ
主として、管弦楽つき合唱曲や、合唱つき交響曲において、混声(女声/男声)合唱とは別に、児童合唱のパートが与えられることがある。 また、混声合唱曲において、高声部を通常の女声の代わりに児童(特に少年)が受け持つことがある。前者の例としては、オルフの「カルミナ・ブラーナ」や、マーラーの「千人の交響曲」など。後者は、かつて、女性が教会で歌うことが禁じられていたことから行われていた。現在では、主として音楽的な観点から選択されている。高声部に児童合唱を指定した曲としては、ストラヴィンスキーの「ミサ曲」や、シベリウスの「アテネ人の歌」などがある。
[編集] 楽曲
[編集] 主な児童合唱曲
ここに挙げられた曲のなかには、女声合唱団によってもしばしば歌われているものがある。()内は伴奏形態を示す。
- テレマン 学校の先生(2ヴァイオリン、通奏低音)
- リスト 音楽を奏でて(無伴奏)
- リムスキー=コルサコフ 2つの児童合唱曲(無伴奏)
- ドビュッシー もう家のない子供たちのクリスマス(ピアノ)
- ピエルネ ベツレヘムの子供たち(管弦楽)
- シベリウス 小学生の行進曲(無伴奏)
- ラフマニノフ 6つの合唱曲 作品15(ピアノ)
- バルトーク 27の合唱曲(無伴奏)
- コダーイ ジプシーがチーズを食べる(無伴奏)
- イベール 小さなこぶ牛の子守歌(無伴奏)
- ヒンデミット 子供のための合唱曲(無伴奏)
- プーランク 小さな声(無伴奏)
- トマジ 真夜中のミサ(ガルベ、オーボエ、チェレフォスタ、ヴィブラフォン、3ギター)
- ブリテン 金曜日の午後 作品7(ピアノ)/キャロルの祭典 作品28(ハープ)/子供の十字軍 作品82(打楽器、2ピアノ、オルガン)
- 柴田南雄 北越戯譜 作品49(篠笛、祭太鼓)
- クセナキス ポラ・タ・ディナ(管楽器、打楽器)
- ヘンツェ 聖母の子守歌(室内楽)
- ラウタヴァーラ 子供のミサ(弦楽)
- 間宮芳生 合唱のためのコンポジション第4番「子供の領分」(管弦楽)/第7番「マンモスの墓」(無伴奏)/第12番「はるかなあしたから」(弦楽またはピアノ4手)/第15番(ピアノ)
- 南安雄 チコタン(ピアノ)
- シェーファー ミニワンカ(無伴奏)
- 三善晃 オデコのこいつ(ピアノ)/オーケストラと童声合唱のための《響紋》
- カンチェリ ライト・ソロウ(管弦楽)
- サリネン 文法の組曲(管弦楽)
[編集] 児童合唱が登場する主なオペラ
[編集] ポピュラー音楽における児童合唱
1960年代から80年代にかけて、特に、アニメや特撮番組(または映画)の主題歌を児童合唱団が歌うことが多くみられた。ここでは、その主な曲を紹介する。()内は、番組名と、歌手および合唱団名を示す。
- アニメ
- 人形劇
- ひょっこりひょうたん島(ひょっこりひょうたん島/前川陽子、ひばり児童合唱団)
- 特撮
- 月光仮面は誰でしょう(月光仮面/ボニー・ジャックス、ひばり児童合唱団)
- ウルトラマンのうた(ウルトラマン/コーロ・ステルラ、みすず児童合唱団)
- ゴーゴー・キカイダー(人造人間キカイダー/秀夕木、コロムビアゆりかご会)
- 進め!ゴレンジャー(秘密戦隊ゴレンジャー/ささきいさお、堀江美都子、コロムビアゆりかご会)
[編集] 主要合唱団
- ウィーン少年合唱団
- NHK東京児童合唱団
- 音羽ゆりかご会
- 上高田少年合唱団
- 杉並児童合唱団
- 東京荒川少年少女合唱団
- 東京少年少女合唱隊
- 西六郷少年少女合唱団
- ひばり児童合唱団