修羅の門
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『修羅の門』(しゅらのもん)は、川原正敏作の格闘漫画。月刊少年マガジンに連載されていた。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 解説
- あらゆる戦いで無敗を誇る一子相伝の格闘術「陸奥圓明流」の継承者・陸奥九十九の活躍を描く格闘漫画である。作者は本作のテーマの1つに「活人拳」に対するアンチテーゼを挙げている。第14回講談社漫画賞少年部門受賞作(1990年)。
- 単行本は2008年6月時点で、31巻まで刊行。また、九十九の祖先である陸奥圓明流歴代継承者の活躍を描いた外伝作品『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』も発表されている。外伝と本編の繋がりは基本的にないが、外伝アメリカ西部編のみは、第三部後半と話がリンクしている。
- 第四部はブラジルを舞台に、当時格闘技界で旋風を巻き起こしていたグレイシー柔術をモチーフにした格闘技が登場している。しかし作者によると、ホイス・グレイシーが第1回UFCを制する前からグレイシー柔術と前田光世、ヴァーリ・トゥードの存在を知っており、最初から第四部にはブラジリアン柔術を登場させるつもりだったという。
- 1996年の第4部完結以来連載が中断しており、物語は未だ完結していない。その理由を作者は単行本31巻の後書きに、一部読者から寄せられた第4部の結末を批判する意見に激しく落胆し、続ける気力がなくなってしまったためと記している。(但し『修羅の刻』は現在も不定期で連載が続けられている)
[編集] ストーリー
[編集] 第一部
実戦空手の総本山と言われる、世界最大の空手団体・神武館の本部道場に、ある日一人の少年が現れた。陸奥圓明流という謎の古武術を使い、その場に居合わせた道場破りを簡単に倒してみせた少年・陸奥九十九は、「神武館をぶっ倒しにきた」と館長・龍造寺徹心に祖父の手紙を渡し、そのまま神武館に居候を始める。それを快く思わない指導員の木村は九十九に戦いを挑んだが、百人の道場生共々倒されてしまう。やがてその噂を聞きつけた神武館の四鬼竜が、九十九を倒さんと四人揃って本部道場を訪れた。
[編集] 第二部
神武館の四鬼竜が無名の少年に倒されたという話は、瞬く間に全国へと広がった。九十九はそれに合わせるように、鬼道館を初めとする数々の有名格闘団体に道場破りを仕掛け、その全てを撃破。時を同じくして徹心は、日本最強の格闘家を決定する大会、全日本異種格闘技選手権の開催を発表した。打倒九十九に燃える各団体のエースや、自分の実力を世に問わんとする猛者が、続々と出場に名乗りを挙げる。
[編集] 第三部
全日本異種格闘技選手権で優勝を収めた九十九は、人知れず日本から姿を消し、羽山悟を倒したヘヴィ級プロボクサー、アリオス・キルレインと戦うためアメリカ合衆国へと渡る。しかしアリオスは「ボクサー以外と戦うつもりはない」と九十九の挑戦を拒否。アリオスとの対決を諦めない九十九は、対戦の機会を自ら作るため、プロボクサーとしてリングに上がることを決意する。
[編集] 第四部
「コンデ・コマの業を受け継ぐ者と決着をつけろ」。日本を発つ際の祖父の言葉に従い、九十九は防衛戦を行うことなくヘヴィ級統一世界王座を返上、マッイイツォと共にブラジルへ向かう。そしてブラジルの地で、コンデ・コマの流れを汲む柔術家レオン・グラシエーロ、神武館南米王者イグナシオ・ダ・シルバとの出会いを経て、グラシエーロ家主催の格闘大会ヴァーリ・トゥードへ出場することとなる。
[編集] 登場人物
[編集] 陸奥圓明流
- 陸奥九十九(むつ つくも)
- 本作の主人公。第40代陸奥圓明流伝承者。自分の代で陸奥圓明流を終わらせるべく、格闘技界にその姿を現した。神武館の四鬼竜を倒した後、全日本異種格闘技選手権を制覇、アメリカでプロボクシングヘヴィ級の統一王者となり、ブラジルのヴァーリ・トゥード大会に出場し優勝を果たす。
- 身長170cmと格闘家としては小柄な体格だが、目にも留まらぬスピード、ヘヴィ級を圧倒するパワーなど、超人的な基礎体力を誇る。格闘家としての技量も抜群に高く、手技、足技、寝技など、どの分野においても専門家を凌駕する実力を見せる。自分が認めた相手と対戦する時は相手の力を100%以上引き出した上で勝とうとするが、そうでない相手はたとえどれほどの実力者であっても最小限の労力で倒す。追い詰められると自分の中に眠っている『修羅』が目覚め、更なる力を発揮する。
- 金銭についての執着が全くなく、飄々として掴み所のないとぼけた性格をしているが、戦うことについて自分なりの哲学を持っており、戦いに臨む時、戦いについて語る時は別人のように真剣な表情を見せる。食欲が非常に旺盛で、二周り以上体格の違うイグナシオとほとんど変わらない量の料理を平らげていた。アマゾンの密林では、アナコンダを獲って食べていたという。
- 陸奥真玄(むつ しんげん)
- 九十九の祖父で、九十九の母・静流(しずる)の父。小柄な老人。第39代(先代)陸奥圓明流伝承者。青年時代、徹心と戦って勝利したことがある。かつて九十九から稽古中に左目をえぐられたため、常に片目を瞑っている。
- 陸奥冬弥(むつ とうや)
- 陸奥の名を懸けた九十九との果し合いに敗れ命を落とした、九十九の実兄。圓明流史上屈指の才能を持ち、若くして全盛期の真玄を超えたと言われていたが、優しすぎる性格のため自分が継承者に向かないことを自覚していた。その死は、その後の九十九の人生に大きな影響を及ぼしている。
[編集] 神武館
- 龍造寺舞子(りゅうぞうじ まいこ)
- 本作のヒロイン。徹心の孫娘。九十九に想いを寄せている。
- 当初は瀕死の重傷を負っても戦うことを止めようとしない九十九の身を涙ながらに案じていたが、アリオス戦をきっかけに九十九の戦いや生き方を受け入れ、常にその後ろ姿を応援するようになった。
- 幼い頃から空手を習っており、全国大会で優勝したこともある。
- 龍造寺徹心(りゅうぞうじ てっしん)
- 神武館館長。青年時代に陸奥真玄と戦って敗れたことを機に自らの空手を見つめ直し、それまでの主流であった寸止めの空手と決別。フルコンタクト空手の流派・神武館を立ち上げ、打倒圓明流を目標として自らも鍛錬を続けてきた。
- 全日本異種格闘技選手権を主催し、九十九を倒すべく神武館代表として自ら出場、『生ける武神』と呼ばれた往年の実力が健在であることを示したが、準決勝で不破北斗に敗北し、左眼を失う。大会後は海堂と共に山篭りを行い、海堂に自らの空手の全てを叩き込んだ。
- 海堂晃(かいどう あきら)
- 神武館全国大会優勝者。東京本部所属。『四鬼竜』の一人に数えられている。天才と呼ばれており、『双龍脚』を初めとする数々の華麗なテクニックを誇る。
- 四鬼竜の最後の一人として九十九に戦いを挑み、命がけの特訓の末虎砲をかわし九十九を追い詰めるも、最後は無空波の前に敗れた。この時の負傷から全日本異種格闘技選手権への出場を見送り、大会後徹心と共に山に篭って修行に明け暮れる。九十九のヴァーリ・トゥード優勝と時を同じくして山を降り、九十九との再戦と片山右京との対決を決意。その際徹心から、「自分の理想に限りなく近づいた」と評されていた。
- 陣雷浩一(じんらい こういち)
- 神武館全国大会準優勝者。千葉支部所属。『四鬼竜』の一人。ローキックを得意とし、『ハリケーンソルジャー』の異名を取る。
- 追い詰められるとなりふり構わないファイトスタイルに変わる。目潰しなどを用いて九十九を追い詰めたが、虎砲の前に倒れた。第三部以降は、木村と共に東京本部の指導員を務めている。
- 泉敏彦(いずみ としひこ)
- 神武館全国大会四位。広島支部所属。『四鬼竜』の一人。身の軽さを生かした蹴り技を得意とし、『鳥人泉』と呼ばれている。新開発の必殺技・紫電三連脚を九十九に簡単に使いこなされ、敗れ去った。
- 増畑大志(ますはた だいし)
- 神武館全国大会三位。札幌支部所属。『四鬼竜』の一人。その圧倒的な体格とパワーから『北の重戦車』と呼ばれているが、九十九戦では特に見せ場もなくパンチ一発で倒された。
- 木村(きむら)
- 神武館本部指導員。全国大会五位入賞の実力者。神武館の人間として最初に九十九と闘い、居合わせた百人の道場生と共に倒され、関節技で腕を折られる。作者によると、下の名前は設定していたが失念してしまったという。
- 龍造寺巌(りゅうぞうじ いわお)
- 舞子の父。かつて『神武館の鬼』と呼ばれた徹心の一番弟子で、現在は神武館最高師範・アメリカニューヨーク支部長。17年前に徹心の娘と結婚して婿入りし、姓を宍戸から龍造寺に改めた。
- 夏休みを利用して遊びに来た舞子がきっかけとなって九十九と出会い、アリオス戦を控えた九十九のスパーリングパートナーを買って出たが、練習中に闘志の昂ぶりを抑えられなくなり、真剣勝負を挑む。最終的に九十九の肋骨と左拳を骨折させたが、虎砲を食らって敗れ入院を余儀なくされた。
- 舞子の母
- 徹心の娘で、巌の妻。名前は明らかになっていない。第三部では巌のサポートの為ニューヨークに在住していたが、第四部では日本に戻り、神武館の館長代理を務めている。糸目。
- 格闘家の男について理解があり、夫と九十九との決闘を止めもせず平然と見守ったり、九十九に対して腰が引けがちだった舞子を色々励ましたりしていた。
- イグナシオ・ダ・シルバ
- 神武館ブラジル支部所属の空手家。神武館南米チャンピオン。身長195㎝。体重115kg。22歳。
- 少年時代はサッカー選手だった。才能には定評があったが、当時は痩せた体格だった上に所属チームも弱小だったためその実力を認められず、審判の贔屓判定のために大試合に敗北。試合後フィールドにうずくまって一人泣いていたところを徳光にスカウトされ、空手に転向した。
- その巨体と、力技のみでラモンらを圧倒した桁外れなバネから、当初は『重戦車』と渾名されるパワーファイターと思われていた。しかし実際はテクニックにも天才的な資質を持ち、ヴァーリ・トゥード準決勝の九十九戦では徳光直伝のトリッキーな技術の数々を使いこなし、海堂以外には使えないと言われた双龍脚をも放ってみせた。「空手は立ってやるもの、寝技は他の格闘技に任せればいい」という徳光の教えを忠実に守り、九十九からどんな投げ技、関節技をかけられても、最後まで倒れることはなかった。
- 性格は明朗で飄々としており、常に笑顔を崩さない。徳光から日本語を学んでおり、関西弁を話せる。
- 徳光将(とくみつ まさる)
- 神武館ブラジル支部長。イグナシオの空手と日本語の師匠。龍造寺巌の兄弟弟子・ライバルで、その独特のテクニックから『魔術師』と呼ばれていた。相手の力量を見抜くことに長け、勝てると確信できた戦いにしか臨まない主義。関西出身の阪神ファン。小太りで眼鏡をかけている。モデルは漫画家の徳光康之。
[編集] 第二部
- 片山右京(かたやま うきょう)
- 鬼道館所属の空手家。全日本鬼道杯大会優勝者で、その美貌と華麗なファイトスタイルから『氷の貴公子』と呼ばれている。何事に対しても真剣にならない冷めた性格だったが、鬼道館に道場破りに来た九十九に触発され、必殺技・菩薩掌を編み出し全日本異種格闘技選手権に出場する。
- 天才的な格闘センスと驚異的な動体視力を誇り、準決勝における九十九との戦いでは、牙斬を模倣、さらに龍破を破るなどして九十九を追い詰めた。しかし菩薩掌を破られて虎砲を受け、最後の最後で実力が覚醒するも及ばず敗れ去った。
- 大会後、九十九に対する自分の気持ちに整理がつけられないでいたが、海外での九十九の活躍を知り、禅寺での空手の修行を経て、九十九との再戦と海堂晃との対決を決意する。
- レーサー片山右京と同姓同名。
- 飛田高明(ひだ たかあき)
- 真日本プロレス所属のプロレスラー。28歳、195cm、120kg。『新格闘王』の異名を取る、日本プロレス界最強の男。実戦重視の超過激プロレスを提唱し、対戦相手を負傷させ謹慎処分を受けていた。プロレスこそが地上最強であることを証明するため、会社からの解雇を覚悟で全日本異種格闘技選手権に参戦。
- フランク・クラウザーの直弟子で、関節技のみならずキック、パンチといった打撃技の腕も一流である。大会準々決勝で九十九と対戦し、互いの全てを振り絞るような激闘を演じ、必殺技・インペリアル・ホールドでKO寸前まで追い詰めるも、最後は龍破を受け自ら敗北を認めた。
- 大会後、真日本プロレスを離脱し独自の格闘団体・RWFを設立。格闘家と同時に団体経営者としても活躍し、第四部ではヴァーリ・トゥード中継において解説者を務めていた。
- 羽山悟(はやま さとる)
- シュートボクサー。19歳。次代シュートの星と言われ、既に師匠でありシュートボクシングの創始者であるライガー剛よりも強いと噂されている。全日本異種格闘技選手権第二回戦で九十九と対戦、格闘技者としての意気込みの現れとしてグローブを外して戦いに臨み、大恩あるライガーとシュートボクシングの発展のため、「雷」でとどめを刺されるまで何度となく立ち上がり九十九に向かっていった。
- 大会後、ハワイでアリオス・キルレインとのボクシングマッチに挑んだが、アリオスのあまりの強さに惨敗。その試合を観戦していた九十九に、アリオスとの対決を決意させた。
- 竹海直人(たけみ なおと)
- キックボクサー。日本キックボクシング界の第一人者で、そのストイックな性格から『キックボクシング界の宮本武蔵』と呼ばれ、ラジャダムナン・スタジアムでムエタイの元王者を倒したこともある。全日本異種格闘技選手権の初戦で九十九と対戦し、自分の生涯最高のキックを繰り出すも、九十九にそれを上回る蹴りをカウンターで叩き込まれ、立ったまま失神した。
- 大会後は現役を引退し、トレーナーとして後進の育成に当たっている。
- フランク・クラウザー
- 『プロレスの神様』の異名を取る、アメリカプロレス界往年の名選手。真剣勝負を求めすぎるためプロモーターから敬遠されていたが、その実力は随一と言われていた。飛田高明の師匠で、飛田の応援のため日本に駆けつける。
- 若い頃に徹心と戦って敗れたことがあり、以来徹心とは友人関係にある。大会が終わり、九十九がアメリカに渡って以降は、九十九をテディ・ビンセントと引き合わせ、セコンドとしてテディと共に九十九のリングサイドにつくなど、様々なバックアップを行った。
- 奥寺鉄二(おくでら てつじ)
- 鬼道館所属の空手家。全日本鬼道杯準優勝者で、柔道三段も持つパワーファイター。『狂い獅子』と呼ばれている。
- 鬼道館に道場破りに来た九十九に復讐すべく、大会三位の日向高文、四位の久嶋孝と共に闇討ちをかける。しかし三人揃って返り討ちに遭い、更にその様子を谷山に撮影され、記事として発表されてしまった。
- 谷山(たにやま)
- 格闘マガジン誌の記者。奥寺らの闇討ちの情報を九十九から受け、その様子を助手の猪熊と共に撮影、誌面に掲載する。それをきっかけに九十九の強さに惹かれていき、以降九十九の応援団長を自認、アメリカやブラジルでは専属記者として独占インタビューも成功させた。
- 不破北斗(ふわ ほくと)
- 陸奥圓明流の分家、不破圓明流の伝承者。
- 不破圓明流によって格闘界を支配すべく、全日本異種格闘技選手権に参加。準決勝で徹心を倒し、決勝戦では圓明流の奥義の数々を用いて九十九と激闘を繰り広げ、最後は四門・朱雀を受け敗北、死亡した。
- 冷酷非情な性格で、勝利のためには手段を選ばず、殺人すら厭わない。実際に人を殺した経験こそないものの、その実力・才能は非常に高く、真玄から「殺人の経験さえ積めば、誰よりも圓明流らしい」とまで評されていた。
[編集] 第三部
- アリオス・キルレイン
- ヘヴィ級プロボクサー。身長190cm、体重95kg、19歳。アメリカ人(黒人)。
- 『ブラックライトニング』『ザ・マシーン』の異名を持つ天才ボクサーで、名伯楽と言われたトレーナー、エザード・ロスの『ラスト・サン』。ピーカブースタイルから繰り出す多彩なコンビネーションや、驚異的なスピード・破壊力を誇る『ライトニングストレート』などを得意とする。その類稀な才能から、エザードをして「無敗の王者のまま引退する」と言わしめた。エザードの死後、世界王者への最短距離を進むべくボブ・キングと手を組み、『世界ヘヴィ級王座統一トーナメント』に出場する。
- スラムの出身で、誰からも愛情を受けずに育った。窃盗で食いつないでいたところをエザードに見初められ、ボクシングの道に足を踏み入れる。大恩あるエザードの夢を自分の夢とし、それを実現するためリングに上がり続けていたが、トーナメント決勝戦で九十九と拳を交えているうち、戦うことそのものの喜びに目覚めていった。九十九に敗れ王座を逃した後はキングの下を離れ、ホセ・カルネラをトレーナーに迎えて再び王座を目指している。
- テディ・ビンセント
- 数々の世界王者を育成した、ボクシング界にその名を知られる名トレーナー。日系アメリカ人。「何も教えない、ただ火を点けるだけだ」と評されており、技術を教授するよりも選手の闘志を鼓舞することに長けている。
- 教え子ヘンリーがホセ・カルネラに敗れ命を落としたのをきっかけにトレーナー業を引退し、スラムのアパートで趣味のジグソーパズルを作りながら余生を送っていた。クラウザーの連れてきた九十九にかつての情熱を呼び覚まされトレーナーとして復帰、九十九のアリオス挑戦の手助けを行う。
- モデルはエディ・タウンゼント。
- ジャージィ・ローマン
- 元世界ヘヴィ級チャンピオン。スキンヘッドの黒人。交通事故で家族を失い、一時はボクシングから引退し樵として生活を送っていたが、「神の声を聞いた」とリングに復帰し、現在は世界4位にまで上り詰めている。黒人層からの人気が高い。
- かつては猪突猛進型のブルファイターだった。復帰後は『神の声』により相手の攻撃を先読みする、防御主体の戦法を取っている。統一トーナメント第一回戦で九十九と対戦し、的確な防御・攻撃と年齢に似合わないパワーで九十九を苦しめた。モデルはジョージ・フォアマン。
- マイケル・アーロン
- WBCヘヴィ級世界チャンピオン。ホセ・カルネラにKO勝ちし、20歳3ヶ月の最年少記録でチャンピオンベルトを奪取して以来、王座を守り続けている。戦績は35戦無敗、KO率97%。得意技は、スリークォーターのアッパー『スマッシュ』。
- 実際の試合において何が起こるかわからないことを念頭に置き、数々の科学的トレーニングによって自らの肉体を作り上げている。しかし、リングに上がる目的は生活のため金銭のためであり、純粋に戦うためではない。統一トーナメント準決勝にて九十九と対戦した際、獅子吼で肘を折られて命の危険を感じ、自らKO負けを選んだ。
- リック・ガンフォード
- ヘヴィ級プロボクサー。アメリカ人(白人)。ノーランカーながら10戦10KOという高い戦績を収めており、『ホワイトホープ』と呼ばれている。名門の出身で、知勇兼備のエリート。父親がベトナム戦争に出征しベトコンに殺されたことから、アジア人に差別的なほど深い恨みを抱いている。
- 統一トーナメント初戦においてローマンと戦うはずだったが、突如トーナメント出場が決まった九十九のため急遽特別予選の対戦相手となり、九十九に本気を出させることも出来ないまま、浮嶽で顎を砕かれた。事実上のKO負けであるが、諸事情から試合はノーコンテスト扱いになっている。
- アナクレト・ムガビ
- ヘヴィ級世界10位のプロボクサー。マサイ族出身で『アフリカの星』と呼ばれている。地面に着きそうなほどの腕の長さを生かした、変則的なパンチを得意とする。
- 統一トーナメント準決勝でアリオスと対戦。独特の試合運びで優位に立つが、最後はライトニングストレートの直撃を食らって頸骨を粉砕され、死亡した。
- ボブ・キング
- アメリカプロボクシング界の敏腕プロモーター。業界に強い影響力を持ち、強引なやり口と悪辣さから悪評も多い。早期の世界王座奪取を狙うアリオスと手を組み、統一ヘビー級王座選手権を開催した。モデルはドン・キング。
- エザード・ロス
- ピーカーブースタイル、ナンバーシステムという独特の戦法で知られる、アメリカボクシング界における伝説の名トレーナー。フロイド・アームストロング、ロッキー・マントル、ホセ・カルネラの三人の名王者を育て上げた。一度はボクシング界から退いていたが、アリオスと出会い、病の体を押してトレーナーに復帰。アリオスがチャンピオンになることを夢見ながら、志半ばで帰らぬ人となった。モデルはカス・ダマト。
- ホセ・カルネラ
- エザード・ロスのかつての教え子で、元ヘヴィ級世界王者。エザードとボブ・キングとの確執のためアリオスとは疎遠だった。トーナメント決勝にあたり、キングの要請で『弟』であるアリオスのセコンドに就任。アリオスが敗れ王座を逃した後は、トレーナーとしてアリオスに付いている。
- エドワード・ヒューズ
- 世界一の大富豪。孫娘フローレンスを救われた礼をするため、屋敷に九十九とテディを招待する。その席上、フローレンスを勇気づけるためヘヴィ級トーナメントへ出場してほしいと九十九に打診するが断られ、それを自分とフローレンスに対する侮辱と取り九十九を脅迫するも、逆に九十九の迫力に圧倒される。その後、半ば頼みこむ形で条件つきの出場を申し入れ、今度は快諾された。
- フローレンス・ヒューズ
- エドワード・ヒューズの孫娘。溺愛されて育ったためか、我侭で生意気な性格に育っている。スラムに迷い込んでならず者に襲われていたところを九十九に助けられ、その時に会話を交わして以来九十九を強く意識するようになる。心臓に障害を持っており、身体に傷がつくことを嫌がって手術を受けてこなかったが、九十九に触発されて手術を受け、アリオス戦前には退院し祖父と共に観戦に訪れていた。
- ジルコォー・マッイイツォ
- インディアンの部族、ネズ・パース族の青年。本名ジェームズ。長老ニルチッイの命を受け、かつて陸奥の一族に祖先を救われた恩に報いるため、当時の族長の名、ジルコォー・マッイイツォを受け継ぎ、九十九の前に現れた。当初九十九は部族に帰るよう諭していたが、やがて道中への同行を許し、第四部においては九十九の付き人として常に行動を共にしていた。
- ニルチッイの調合した薬を携帯している。九十九は、その薬以外の一切の治療を受けようとしない。
- ニルチッイ
- ネズ・パース族の長老。百歳を優に越える老婆。外伝・アメリカ西部編のニルチッイと同一人物。西部開拓時代、命を懸けて一族の危機を救った陸奥雷の遺言を守り、陸奥の一族がアメリカへ渡ってくるのを待ち続けていた。アリオス戦を終えて訪ねてきた九十九に雷の面影を見出し、九十九の胸の中で長い生涯を閉じた。
[編集] 第四部
- レオン・グラシエーロ
- グラシエーロ家の長男で、グラシエーロ柔術の継承者。30歳。髭が濃く、長髪を後ろで束ねている。かつて無敗の王者としてヴァーリ・トゥードに君臨していたが、試合中に人を殺してしまい引退、以来ファベェーラの神父として子供達に柔術を教えながら、静かに生活を送っていた。しかし九十九との出会いを機に闘志が再燃、優勝賞金でファベェーラの子供達を救うため、現役復帰と大会出場を決意した。
- 長いブランクから実力の低下が危惧されていたが、20手先まで見通すと言われる卓越した寝技のテクニックは健在で、準々決勝までの全ての試合を実戦練習のつもりで臨み、勝利を納めた。準決勝のジョニー・ハリス戦で窮地に追い込まれた際、身の内に隠していた『悪魔(ディアーボ)』が覚醒、首折りの技でハリスを倒し、決勝戦でも九十九を四門・玄武を放つところまで追い詰めた。
- ヒクソン・グレイシーがモデルと言われているが、登場当初作者はまだヒクソンの存在を知らず、ストーリー展開の都合上、(架空の存在のつもりで)グラシエーロの長兄を登場させたと語っている。
- ジョニー・ハリス
- プロレスラー。身長180㎝。体重125kg。38歳。
- ボディビルダー顔負けの鍛え抜かれた肉体と、完全に極まった状態からでも寝技を簡単にはね返せるほどの超人的なパワーを持つ。タフネスもあり、ハイキックの直撃を数発食らっても、ダメージらしいダメージは見られなかった。最初は相手に攻撃させ、危機に陥ったところから一発逆転を見せることが最も客に受けると考え、プロレスのみならずヴァーリ・トゥードでもそれを実践。パワーボム、ラリアットといったプロレス技のみで準決勝まで勝ちあがった。
- プロレス界においては『破壊王(キング・オブ・デストロイ)』という異名で呼ばれており、反撃の際にやりすぎて相手を壊してしまうため、現在は業界から追放されている。若い頃にフランク・クラウザーと対戦したことがあり、クラウザーから「あれほどのパワーを持った選手は見たことがない」とまで評されていた。
- ブラッド・ウェガリー
- 傭兵。30歳。戦場仕込みの非常に高い格闘技術を用いる一方、失神した相手にも容赦なくとどめを刺し、反則技はおろか暗器すら使用するなど、勝ち上がるためには手段を選ばない。準々決勝で九十九と対戦し、正々堂々試合をすると見せかけて右目の視力を奪うも、圓明流の秘技の数々に圧倒され敗れ去った。
- 抽選会の際、グラシエーロ家に有利なトーナメントの組合せに抗議し、試合ごとに抽選を行うというシステムを提案、グラシエーロ側に受け入れさせた。金にうるさく、したたかで掴みどころのない性格をしており、大会後、コロンビアに向かう九十九の案内役を買って出る。
- ラモン・グラシエーロ
- グラシエーロ家の次男。兄レオンが引退して以降、グラシエーロ柔術のエースとして将来を期待されている。RWFのアメリカ大会に出場し、RWFの有力選手・ハーディングを破って優勝、格闘界にその名を知らしめた。
- 詰将棋のような理詰めで完璧な試合展開を得意とする。ヴァーリ・トゥード準々決勝でイグナシオと対戦した際、圧倒的なパワーの前に自分の技が一切通用しない現実に恐怖を覚え、敗北した。モデルはホイス・グレイシー。
- 南洋竜(なんようりゅう)
- 本名サレバ・ペニタニ。身長190cm、体重200kg。
- サモア系人種の元大相撲力士で、最高位は十両。ぶちかましを得意とする。二回戦で九十九と対戦し敗れた。
- モデルはティラ・トゥリ(四股名・高見州)。名前は、KONISHIKIと武蔵丸の旧名からそれぞれ取られている。
- ペーター・ベルカンプ
- オランダ人の柔道家で、空手の心得もある。有名格闘家で優勝候補の一人だったが、準々決勝でレオンの練習台にさせられあっけなく敗北。モデルはビターゼ・タリエル。
- アニータ
- ファベェーラに住む少女。レオンから習った柔術を悪用し、ひったくりなど窃盗で生計を立てている。レオンを慕っている。
- ビクトル・グラシエーロ
- レオン、ラモンの祖父。前田光世から直々に柔術を学び、グラシエーロ柔術を作り上げた。グラシエーロ家の大御所として、グラシエーロ柔術とヴァーリ・トゥードを取り仕切っている。
- 自らの柔術について、「コマから柔術は習ったが、その業・理想は正確には受け継いでいない」と語っている。
- 前田光世(まえだ みつよ)
- コンデ・コマと呼ばれ、様々な異種格闘技戦で無敗を誇った、伝説の日本人柔道家。グラシエーロ柔術の祖。ビクトルの柔術の師匠だが、ビクトルが柔術の技術以外を受け継ぐ気がないと知り、日本人少年・三郎を養子に迎えて自らの業を全て叩き込んだ。光世と三郎は、劇中では既に逝去している。
- 実在した前田光世については、前田光世の記事を参照。
- ケンシン・マエダ
- 前田三郎の息子。年齢は40歳前後。三郎から光世直伝の業を全て教え込まれており、現在はコロンビアで傭兵をしている。かつてウェガリーのいた部隊を急襲し、素手で全滅させたことがある。
- 劇中には未登場。確かなことは言及されていないが、九十九の父であることが示唆されている。
[編集] 用語・設定
[編集] 圓明流
千年の長きに渡って受け継がれてきた、一子相伝・門外不出の格闘術。千年間、あらゆる剣豪や格闘者と相対し戦いを重ねてきたが、未だ一度の負けも知らない(各時代での活躍は『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』参照)。本家の『陸奥圓明流』と、安土桃山時代に分家した『不破圓明流』がある。不破は陸奥と異なり暗殺・殺人を生業としており、「陸奥は歴史の影に、不破は歴史の闇に生きてきた」と言われている。
対剣術や多対一の状況も想定された、実戦的な殺人技術が多く見られる。一般の古武術にはない多彩な蹴り技を持ち、組み技においては『投げる』『極める』『折る』が一連の流れで同時に行われるものが多く、打撃が組み込まれているものもある。圓明流の家に生まれた者は、生まれ落ちたその瞬間から継承者としての訓練を始める。そのため、圓明流の技を真に用い奥義を使いこなせる者は、圓明流の人間しかいない。
[編集] 投げ・関節技
- 蔓落とし(かずらおとし)
- 相手の拳打を受け流しつつ、その腕に自らの腕を巻きつけて関節を極め、もう片方の腕で相手の襟を掴み、相手の踏み込みの勢いを利用して投げる。受身が取れない投げ技であると同時に、極めた関節を折る効果もある。
- 上腕蔓ひねり(かみうでかずらひねり)
- 立っている状態で腕緘をかけ、そのまま投げる。相手の肩は折れる。
- 雷(いかずち)
- 逆関節を極めた一本背負いで相手の腕を折りつつ頭から落とし、逆さになった相手の頭部に蹴りを入れる。
- 飛燕十字蔓(ひえんじゅうじかずら)
- 飛燕裏十字(ひえんうらじゅうじ)
- 相手の腕に飛びついて倒し、腕挫十字固を極める技。飛びつく際に相手の顔面に蹴りを入れる。蹴りを入れてそのまま仰向けに倒せば十字蔓、同時に足を払ってうつ伏せに倒せば裏十字となる。
- 斗浪(となみ)
- 横蹴りで頭部を狙うと見せかけ、その蹴り足の踵で後頭部を打ち、そのまま跳躍して両足を相手の首に絡め、首を極めつつ身体全体を捻って投げ、首から落とす。
- 狼牙(ろうが)
- 立っている状態でアームロックを極めて相手を後方に投げ、地面に激突すると同時に頭部に肘を落とす。訃ノ蔓(ふのかずら)と呼ばれる。
- 巌颪(いわおろし)
- 相手の顔面に掌打を叩きつけ、そのまま頭部を掴んで地面に押し倒し、相手の頭に膝を落とす。九十九が冬弥を倒した技である。
- 獅子吼(ししこう)
- 相手のパンチが伸びきった瞬間に合わせ、クロスカウンターのように外側から腕を叩きつけ肘を折る。
- 羽車(はねぐるま)
- 転がした相手の片腕を十字固めに極めようとし、それを返そうと相手が腕を持ち上げるのに合わせて体を回転させ、同じ腕を裏十字固めに極める。
[編集] 蹴り技
- 弧月(こげつ)
- 逆立ち状態から相手を蹴り上げる技。空振りになった状態から踵落としに移行する『裏』がある。
- 無刀金的破(むとうきんてきは)
- 相手の武器を白刃取りで受け止め、同時に金的を蹴る。
- 紫電(しでん)
- 上段への後ろ回し蹴りと見せ、当たる直前に蹴り足の軌道を変えて金的を攻撃する。
- 旋(つむじ)
- 跳び後ろ回し蹴りから、そのまま空中で回し蹴りへ繋ぐ連続蹴り。胴回し回転蹴りから回し蹴りを繰り出すバージョンもある。
- 斧鉞(ふえつ)
- 高く跳び上がり、前方宙返りから二段踵落としを繰り出す。
[編集] 打撃技
- 虎砲(こほう)
- 相手に拳を当てた状態から、全身のパワーを一気に相手に叩き込む技。中国武術の寸勁に似ている。 当たった箇所が陥没するほど破壊力が高く、「虎砲を放って倒せなかった男は、陸奥圓明流千年の歴史の中でも数名しかいない」という。作中全般を通して多く用いられている。
- 蛇破山(じゃはざん)
- 拳を敵のガードに叩きつけた後、当てた拳を押し込んで相手のガードを下げさせ、胸部に肘を叩きこむ。
- 裏蛇破山 朔光(うらじゃはざん さくこう)
- 蛇破山の変形。相手の攻撃を上方に受け流し、懐に潜り込んで鳩尾に肘を叩きこむ。
- 牙斬(がざん)
- 相手の繰り出した拳の小指を狙い、カウンターでパンチを叩きつける。
- 浮嶽(ふがく)
- 頭の上に拳を置いて相手の懐にもぐり込み、立ち上がる勢いを利用しながら頭上の拳で相手の顎を打ち、追い討ちでアッパーを叩き込む。一撃目の拳は虎砲の変化形で、相手の顎を粉砕するほどのパワーがある。
[編集] 防御技
- 浮身(ふしん)
- 相手から打撃を受けた際、力の方向に合わせて跳ぶことにより、受けた攻撃の衝撃を逃がす。
- 指穿(しせん)
- 徹底的に鍛え上げた指を、相手の肉体に突き入れる。相手から組み技を受けた際に使用する。
- 金剛(こんごう)
- 筋肉を収縮させることによって、肉体に突き刺さる針や弾丸を筋肉で止める。火縄銃に対抗するために編み出された技で、本作作中ではこれを応用し、首に掛かったワイヤーを切断するなどしていた。
[編集] その他
- 訃霞(ふがすみ)
- 唾を礫にして口中から飛ばし、相手の視力を奪う。不破圓明流では本来、針または鉛玉を飛ばすという。
- 雹(ひょう)
- 小石や弾丸など、小さな物体を高速で投げる技。飛び道具に対処する技を練習するために編み出された裏の技だが、投げた物や当たり所によっては相手の命を奪うこともできる。
[編集] 奥義
- 無空波(むくうは)
- 虎砲と同じく相手に拳を当てた状態から、全身のパワーを振動波として相手に叩き込む。瞬間的に振動が伝播されるため、虎砲と異なり回避は不可能。振動が威力を持って伝わるまでに、若干のタイムラグがある。
- 龍破(りゅうは)
- 相手を高速のフットワークで眩惑し、続いて相手の首の前で両足を高速で交差させ、そこからかまいたちを発生させて相手の頸動脈を切り裂く。交差される両足が、龍の顎に見立てられている。
- 神威(かむい)
- 不破圓明流独自の奥義。相手に上から覆いかぶさられるように投げられたと見せかけ、片足を相手の足に絡めて密着、片足の膝を相手の腹部に当て、地面に倒れこむと同時に当てた膝から「虎砲」を放つ。
[編集] 四門
陸奥圓明流における、奥義の上に存在するものの総称。圓明流においては己の能力を100%出し切る技を『奥義』と呼ぶが、『四門』は更にそれ以上の力を引き出すもので、『死門』とも呼ばれる。
相手の攻撃を驚異的な機動でかわし、超人的なフットワークで相手に残像を見せて眩惑(この時相手からは、使用者が四人になったように見える)、その後『青龍』『白虎』『朱雀』『玄武』の四種類の技のうちひとつを繰り出し、相手を攻撃・殺害する。真玄の言葉によると、九十九以外に「四門を開いた」継承者はいないという。
- 朱雀(すざく)
- 背後から相手の頭上に飛びついて両足で相手の首を挟み、そのまま体を捻って首を折りながら地面に倒し、相手の頭部に肘を当て、落下の勢いを利用して地面と挟み込むように顔面を潰す。対不破北斗戦で使用。
- 玄武(げんぶ)
- 背後に仰向けに寝転んで両足で相手の片足を絡め取り、相手をうつ伏せに倒しながら猛スピードで起き上がり、相手の後頭部に頭突きを叩き込む。対レオン・グラシエーロ戦で使用。
(青龍、白虎は本編未登場。)
[編集] 神武館空手
青年時代に陸奥真玄に敗れた龍造寺徹心が、打倒圓明流を誓って興した実戦空手の流派である。現在は世界有数の格闘団体に成長しており、龍造寺巌、徳光将ら創設時からの高弟が世界中で普及に貢献している。
一般には投げ・関節技の基礎と、それら異種格闘技に対抗するための空手の技しか教えておらず、公式試合においても顔面への攻撃は反則となっている。しかし徹心と一部の高弟は圓明流を研究しており、圓明流の技を一部使うのみならず、対圓明流用の独自の技も用いる。
- 双竜脚(そうりゅうきゃく)
- 左右の回し蹴りを同時に叩き込む技。回し蹴りが来ると思った瞬間、逆方向から逆足の回し蹴りが襲う。海堂晃以外には使えない技と言われていたが、後に九十九とイグナシオも使いこなしている。
- 徹心スペシャル(仮名)
- 正面に相対して立った状態から腕を折られた直後、股をすくい上げるように相手の身体を抱え上げ、相手の胸に自らの膝を当てながら、自分の体ごと叩きつけるように投げる。肋骨のみならず、内臓にも大きなダメージを与える。関節技を極めた直後の動きが停止する一瞬の隙を突き、「腕一本捨てれば活路が見出せるだろう」と編み出されたものである。
- 徹心が圓明流対策として開発した技。徹心から巌に直伝されたが、徹心がクラウザーを倒した技でもあるため、クラウザーの弟子である飛田高明にも受け継がれている。
- 魔術(マジック)
- 人間の生理的な習性や心理的な死角を突くトリッキーな技術の総称。徳光将が現役時代に得意としていたもので、その弟子であるイグナシオへと受け継がれた。
- 度重なる左右の動きで相手の注意を横方向に向けておき、縦の攻撃で奇襲をかける。縦の攻撃があると見せかけて、そのまま横から攻めることもある。
- 跳び踵落としと見せかけ、踏み込んで防御した相手の足の甲を、軸足で踏み抜く。
- 何の変哲もない正拳突き。虚実の応酬に惑わされまいとすると、このような単純な技も直撃するようになる。
[編集] 鬼道館空手
神武館空手と双璧をなす、日本空手界における一大流派。鬼頭撻馬が館長を務める。顔面への打撃だけでなく投げ・関節技も認められており、その分神武館よりも実戦的であると喧伝している。美貌の全日本チャンピオン・片山右京を擁し、女性ファンが多い。
- 菩薩掌(ぼさつしょう)
- 片山右京の必殺技。相手の頭部を両掌で挟み込むように打ち、その時に頭と掌の間にほんのわずかな隙間を空けておくことで、相手の頭部を一瞬のうちに数千・数万回振動させる。まともに食らうと顔中の穴から血が噴出し、直撃を避けてもパンチドランカー症状が発生する。片山右京の天才的な見切りの技術をもって初めて使いこなせる技。
[編集] ピーカーブースタイル
エザード・ロスが教えていた独自のファイトスタイル。両拳を常に顎の前で構えさせるため、防御に優れる。使いこなせるボクサーは限られているが、習得した選手は皆、ボクシング史上に残る名王者となっている。
- ナンバーシステム
- エザードが編み出した独特のコンビネーションシステム。人体の各部に番号を振り、エザードの指示により順序よくそれらの箇所を打つ。
- ライトニングストレート
- アリオス・キルレインのフィニッシュブロー。右ストレートパンチ。その破壊力と速度は凄まじく、目で追うことすらできない。
- ショートアッパー
- アリオス・キルレインの得意技。密着した状態から放つショートアッパー。相手の体を浮かせるほどの威力を誇り、これにより相手を突き放してからライトニングストレートに連携する。
- 見えないパンチ(仮名)
- フックを打つと見せかけ肘で相手の頬を叩く、エザード直伝の裏技。フックと全く同じ動きで放たれるため、審判には反則とわかりづらい。アリオスが用いたものは、そのスピードがあまりに速いため、パンチが一瞬遅れて相手に当たっているように見えていた。
[編集] グラシエーロ柔術
- ビクトル・グラシエーロがコンデ・コマ(前田光世)から受け継いだ柔術を元に編み出し、ブラジルの地で発展した格闘技。関節を極めながらの投げ技など、その名の通り柔道より柔術に近い技術体系を持つ。
- ガードポジション
- 寝技において、下になった人間が、仰向けになって相手の胴を両足で挟む。下から相手の動きをコントロールしやすい。
- マウントポジション
- 仰向けになった相手の腹部に馬乗りになる。この体勢から逃れることは出来ないと言われ、上に乗った人間は、相手の顔面を殴打するも関節技を極めるも自由にできる。
- 首折り(仮名)
- レオン・グラシエーロの必殺技。立った状態でフロントチョークを極め、そのまま側方宙返りを行って相手の首を折る。左右どちらにも回転できる。
[編集] ゲーム版
- メガドライブ版
- 1992年8月7日発売。セガ制作。原作第二部までを題材にした、コマンドバトル式のアドベンチャーゲーム。原作ストーリーを忠実に再現しているが、それ故に原作通りの順番で技を選択するだけでクリア可能。
- プレイステーション版
- 1998年4月2日発売。講談社制作。原作の人気キャラを用いた、3Dポリゴン方式の対戦型格闘ゲーム。ファミ通に掲載されたクロスレビューコーナーにおいて、4人のレビュアーより10点満点でそれぞれ2点、3点、3点、4点との評価を受けた。ファミ通の評価は3点以上が通例であり、2点が付くのはきわめて異例である。
- 一度マウントポジションを取れば相手を倒すまで一方的に攻撃できる、敵の腕や足を折って攻撃できなくする、自らの腕と引き換えに必殺攻撃をしかけることができるといった、通常の格闘ゲームには見られない仕様が盛り込まれている。
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