ロータス・エリーゼ
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ロータス・エリーゼ(Elise)は、ロータスの製造するロードスター型の軽量かつ高性能な自動車である。車重は1tを切る。
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[編集] 特徴
エリーゼの特徴はなんと言ってもその軽さにある。エアコン・カーオーディオ・パワーステアリング・パワーウインドウなどの快適装備を排し、果ては灰皿まで省略した結果、車重はフェイズ1のStandardが公称690kg(車検証上では750kg)程度で軽自動車並みの重さしかない。軽い事のメリットは、少ないエンジンのパワーで良い運動性能を発揮でき、ブレーキ性能の向上など数多い。また性能の割にエリーゼは、400~700万円程度と他の海外高級ブランドより安い設定となっているのも特徴のひとつだろう。
[編集] 歴史
倒産の危機に瀕したロータスが社運を賭けて開発したエリーゼは、画期的なアルミシャシーを掲げて1995年のフランクフルトショーで華々しくデビューした。コンベンショナルなリベット止めを用いないシャシーは大いに注目を集め、翌1996年のデリバリー当初より大量のバックオーダーを抱えることとなる。初期ロットで実に690kgと軽量なことに加え、F1コンストラクターとしても活躍した技術を随所に散りばめられたエリーゼはハンドリング面で非常に高い評価を得、順調に生産を重ねて行った。エンジンのバリエーションや、エキシージと呼ばれるクローズドクーペモデルの追加等を受けつつ、2001年にはビッグマイナーチェンジを果たし、フェイズIIへと進化した(海外では、Mk1/Mk2やS1/S2等と呼称される)。また2004年にはトヨタよりエンジンの受給を開始し、更なるグレードの拡大を図っている。エスプリの生産が終了した今、名実共にロータスの屋台骨となるモデルであると言えよう。 エリーゼは、Eで始まるロータス伝統の名前が付けられているが、その出自は当時のロータス株主であったブガッティ社の会長ロマーノ・アルティオーリの孫娘の名前「エリーザ」に由来している。
[編集] 構造
アルミシャシーはコンベンショナルなリベット止めとはせずに、航空機製造用のエポキシ系の接着剤で固定されており、剛性確保や組立て精度向上と共に軽量化(シャシー単体で68kg)にも寄与している。初期ロットのエリーゼは軽量化のため、エンジンベイ、リヤハブキャリアもアルミで作られている。また、ブレーキローターまでも量産車初のアルミ(メタルマトリックス)ディスクを使っていた。1998年以降のロットにおいては、アルミディスクの供給会社が倒産したため、通常のスチールに変更された他、その他のアルミ部品も鉄もしくはFRPに変更され、少なからず重量が増加している。 エンジンはリアに横置きミッドシップマウントされ、後輪を駆動する。サスペンションはフロント/リア共に、スポーツカーの王道とも呼べるダブルウィッシュボーン。ボディは総FRP、幌は布製で、折り畳み式では無く手動での脱着式。オープン時はタルガトップ形態となる。二座式。
[編集] エンジン
[編集] ~2006年5月
基本となるのは、ローバー社が供給する1.8LNA直列4気筒(DOHC、形式名は18K。Kシリーズと呼称される)。1998年にVVCと呼ばれる可変バルブタイミング機構を備えたラインナップが加わった。更に2004年には、同じく1.8リットルの排気量を持ち、米国の排気ガス規制をクリアするトヨタ製の2ZZ-GEエンジン(VVTL-i搭載)を追加、3種類のバリエーション展開となった。基本グレードをスタンダード、VVC付きを111、2ZZ-GE搭載型を111Rという名称にしている。外見上の識別点は、マフラーがKシリーズはサイドツイン出し、2ZZ-GEがセンターツイン出しとなっていることである。また、リアディフューザーがスタンダードはシングルピース、111以降のモデルはスリーピース構造となっている。
[編集] 2006年6月~
ローバー破綻の影響を受け、従来のKシリーズエンジンの供給が打ち切られたことから、次期スタンダードエンジンとしてトヨタ・1ZZ-FEエンジンが選ばれた。奢られる可変バルブタイミング機構はVVT-i。マフラーは2ZZ-GEと同じくセンターツイン出し。ディフューザーはスリーピースのみとされている。2ZZ-GEが高回転志向なのに比し、1ZZ-FEは低回転重視となっている為、そのスペック差は常用域では表れない。これにより、現行エリーゼシリーズに搭載されるエンジンは全てトヨタ製となった。
[編集] スペック
- 18K4F
- 供給元/ROVER 90kw(122ps)/5,600rpm 168Nm(16.8kg/m)/4,500rpm
- 18K4K(VVC付)
- 供給元/ROVER 116kw(156ps)/7,000rpm 174Nm(17.7kg/m)/4,500rpm 可変バルブタイミング機構付き
- 1ZZ-FE
- 供給元/TOYOTA 100kw(136ps)/6,200rpm 172Nm(17.5kg/m)/4,200rpm 可変バルブタイミング機構付き
- 2ZZ-GE
- 供給元/TOYOTA 141kw(192ps)/7,800rpm 181Nm(18.5kg/m)/6,800rpm 連続可変バルブタイミング・バルブリフト機構付き
[編集] モデル展開
[編集] フェイズI
[編集] Standard(111)
エリーゼの原点。全ての点において、素のエリーゼと言うことが出来る。搭載エンジンは18K。丸目のヘッドランプが特徴のファニーフェイスが人気を集めた。 並行輸入車は「エリーゼ」というが、後の正規輸入車から、商標上の問題によって開発ナンバーである「111」を使用している。
[編集] 111S
モアパワーの要求に応え、18KにVVCと呼ばれる可変バルブタイミングを搭載したハイパワーモデル。リアスポイラーが付き、リアタイヤがワイド化され、ボディサイズにも若干の変更が加えられている。 (Standardが全長3,726mm×全幅1,701mmに対し、111Sが全長3,734mm×全幅1,703mm)
[編集] Motorsport Elise
2000年にワンメイクレース専用マシンとして生み出された。VVC付の18KからVVC機構を取り外し、独立4連スロットルを付けたエンジンを搭載。イギリスのエンジンチューナーであるミニスター・レーシングの手によってチューンされており、ピストン・コンロッド・クランクシャフト・カムなど中身は別物となっている。最高出力206ps、車重715kg、生産数65台。Motorsport Eliseの市販仕様がExige mk.1である。
[編集] Exige
前述のモータースポーツエリーゼのロードゴーイングバージョン。
[編集] フェイズII
[編集] Standard
ルックスが一変し、有機的且つシャープな昆虫風マスクに大変身を遂げた。アメリカ市場を意識してか、より快適志向となっている。
[編集] 111
フェイズIの構成を踏襲し、VVC付き18Kを積む。
[編集] 111R
ロータス初のトヨタ製エンジン搭載車。ABSも装備している。トヨタ製エンジンを搭載するにあたり、サブ・フレームを大幅に変更していることから、形式番号はtype111ではなくtype120となっている。
[編集] Elise S
ローバー破綻によりKシリーズを失ったスタンダードエリーゼに替わり、新たにトヨタ・1ZZ-FEを得たエリーゼの基本グレード。0~100km/h加速は6.1秒。最高速は205km/h。
[編集] Elise R
Elise Sの設定に伴い追加されたグレード。内容としては111Rのキャリーオーバーである。0~100km/h加速は5.2秒。最高速は241km/h。
[編集] Elise SC
2007年10月から開催されている東京モーターショーで2008年モデルとしてプレミアされた、エリーゼのハイパフォーマンスグレード。かねてよりエリーゼシリーズに搭載されている2ZZ-GEを、ロータスが設計しイートン社製ローター(M45ユニット)を使用するスーパーチャージャーで過給しており、220psを発揮すると謳われている。最大の特徴は、過給器を備えながらもインタークーラーを持たないことで、これにより後方視界がスポイルされること無くエキシージSに迫る加速を味わえることになる。外観上の特徴は、新たに設計されたリアスポイラーとアロイホイール。出力の向上に対応するべく、リアタイヤは8Jへとサイズアップされる。車重は903kg、0~100km/h加速は4.6秒であり、最高速度は242km/hとなる。
[編集] Exige
フェイズIIになり搭載エンジンは2ZZ-GEへと進化した。0~100km/h加速は5.2秒。最高速は237km/h。
[編集] ExigeS
イートン製スーパーチャージャーを搭載した、初の過給器付きエリーゼ。重量935kg で出力162.5kW(221PS)になり0~100km/h が4.3秒(0~60mph は4.1秒)となる。最高速は248km/h。パワーウェイトレシオは5.8kg/kw、4.2kg/ps(173.8kW/t、236.4PS/t)。
[編集] その他
[編集] GT1
1997年に始まったFIA GT選手権GT1クラスに参戦するために開発されたモデルで市販のエリーゼとほぼ共通点は無い。ただし最も特徴的な押出し形成のアルミフレームを接着するという構造と外見は継承された。当初はエスプリのレース仕様のエンジンをキャリーオーバーしたが話にならず、GM傘下時代に設計したコルベットZR-1のV8エンジンを許可を得て使用した。しかしDTMの技術がフィードバックされたメルセデスベンツ・CLK‐GTRや完全新型エンジンを引っさげて登場したポルシェ 911 GT1 には到底太刀打ちできず1998年には撤退した。後にプライベーターが大幅なエアロダイナミクスの改善のために外観をノーブル・M12そっくりに改造したが結果的に基本性能の低さは変わることが無かった。
[編集] 340R
1998年10月20日、バーミンガムで行われたNECモーターショーで発表された異端モデル。軽量化の為に屋根やエアコンは無く、ドアすら持たない。当初、500kgの車重に170bhpのKシリーズを搭載する予定であった。1t当たりの出力が340bhpであることからこの名が与えられ、生産台数も340台に限られた。しかし車検証では車両重量が680kgと確認できる。前軸重は270kg、後軸重は410kgとある。エンジンは178bhpなので、パワーウェイトレシオは3.8kg/bhp。0~100km/h加速は4.4秒。
[編集] Europa S
2006年6月21日に発表された、エリーゼと同じアルミバスタブ成形のシャシーをベースとした2シーターGT。形式ナンバーは121となり、エリーゼの派生モデルでは無いとロータスはアナウンスしている。ホイールベースは30mm延長され、全長も115mm長くなっている(フロントオーバーハングが+32mm、リアが+52mm)。その結果、ラゲッジスペースはエリーゼ比で42リットルプラスの154リットルを得るなど、快適性の強化が図られた。 詳しくはヨーロッパの項を参照のこと。
[編集] 2-Eleven
2007年3月にジュネーブ・モーターショーでお披露目されたスパルタンモデル。シャシーはロータスお得意の、エリーゼに由来するアルミ接合バスタブである。ターゲットはサーキットをこよなく愛する好事家。340Rと同じく屋根を持たず、エアコンすらオミットされシェイプアップされた670kgのボディに、スーパーチャージャー過給される2ZZ-GEエンジンを搭載する。そのスペックは188kw(255ps)/8,000rpm、242Nm(24.7kg/m)/7,000rpmに達し、最高速は250km/h、0~100km/h加速は3.9秒を誇る。グレードはロードゴーイングバージョンと、ウィングをカーボン化する等更なる減量を施し、車重666kgを達成したトラックオンリーバージョンの二本立てで、前者はライトや触媒そしてリアウィングがイギリスの公道走行条件を満たすものとされている。即ち、その販売はイギリス国内に限られるとの当初の発表であったが、日本でもロードゴーイングバージョンがナンバー付き車両として販売されることが決定している。
この他にも数え切れない程のスペシャルモデルが随時発表・生産されている。 2006年8月現在、カタログモデルとして日本で購入出来るのは、Elise S、EliseR、ExigeそれとExigeSである。
[編集] 関連項目
- ロータス (自動車)
- ロータス・エラン
- オペル・スピードスター - エリーゼと基本設計を同じくするオペルの車種。