レッドフィッシュ (潜水艦)
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艦歴 | |
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発注 | |
起工 | 1943年9月9日 |
進水 | 1944年1月27日 |
就役 | 1944年4月12日 |
退役 | 1968年6月27日 |
除籍 | 1968年6月30日 |
その後 | 標的艦として1969年2月6日に処分 |
性能諸元 | |
排水量: | 1,526トン(水上) 2,424トン(水中) |
全長 | 95 m (311.6 ft) |
全幅 | 8.3 m (27.3 ft) |
吃水 | 5.1 m (16.1 ft) |
機関 | フェアバンクス・モース38D-1/8 10気筒ディーゼルエンジン 4基 エリオット・モーター発電機2基 |
最大速力 | 水上: 20.25 ノット(37 km/h) 水中: 8.75 ノット(16km/h) |
航続距離 | 10ノットで21,900 km |
乗員 | 士官6名、兵員60名 |
兵装 | 5インチ単装砲 1門 20mm機関砲 1門 53.3cm魚雷発射管 10門 |
レッドフィッシュ (USS Redfish, SS/AGSS-395) はアメリカ海軍の潜水艦。バラオ級潜水艦の一隻。艦名は紅鮭に因む。同名の艦(USS Redfish)としては初代。
目次 |
[編集] 艦歴
レッドフィッシュは1943年9月9日にメイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工した。1944年1月27日にルース・ローパーによって命名、進水し、4月12日にルイス・D・マクレガー艦長の指揮下就役する。
[編集] 第1回哨戒
1944年6月27日に真珠湾に到着したレッドフィッシュは、7月23日にミッドウェー島に向け出港し、8月25日に日本の貨物船ばとばは丸(日本海運、5,953トン)を、9月16日にはタンカー第二小倉丸(日本油槽船、7,311トン)をルソン海峡で撃沈。9月21日早朝、レッドフィッシュは僚艦ピクーダ (USS Picuda, SS-382) とともにタマ26船団をルソン海峡で襲撃する。レッドフィッシュは先頭を航行していた輸送船瑞穂丸(大阪商船、8,506トン)に魚雷3本を命中させて撃沈した。ちなみに同船は沈没の際、日の丸を高々と揚げた瞬間を描いた大久保一郎の絵画で知られる。レッドフィッシュはミッドウェー島に10月2日に帰投した。
[編集] 第2回哨戒
10月25日に2度目の哨戒のために出港。11月2日、サイパンに到着し、給油の上翌日出撃した。11月22日22時37分、レッドフィッシュは基隆港外で基隆から那覇に向かっていたタカ206船団を襲撃し、輸送船鳳山丸(南日本汽船、2,552トン)を撃沈した。その後はしばらく戦果もなかったが、12月8日夜、レッドフィッシュはSJレーダーで日本艦隊らしきものを捕捉した。この艦隊は、フィリピンへ緊急物資輸送を実施し、帰途台湾で合流した戦艦榛名、重巡洋艦利根、駆逐艦3隻とともに佐世保に向かっていた航空母艦隼鷹を中心とする艦隊であった。レッドフィッシュは至近の僚艦シーデビル (USS Seadevil, SS-400) 以下に艦隊の存在を通報するとともに、自身も艦隊を追跡した。艦隊は高速でジグザグコースを取っておりやや雷撃しにくい体勢が続いたが、翌9日1時33分に絶好の射点につき、隼鷹へ向けて魚雷6本を発射した。1時34分、このうちの1本が隼鷹の右舷のやや後部に命中。命中直後こそ隼鷹は航行可能だったが、程なく爆発が起きて航行不能となった。レッドフィッシュは止めを刺そうとし、旋回して艦尾の発射管から魚雷を4本発射。そのうち1本が右舷艦首部に命中した。隼鷹は右舷へ30度傾いたまま微速航行を続け佐世保に帰投。沈没につながる幸い致命的な被害は食い止められたものの、このときの損傷により、隼鷹は終戦まで戦列に復帰することができなかった。
1944年12月19日午後、浮上航行していたレッドフィッシュは宮古島近海で日本機を発見し潜航した。この時、レッドフィッシュにフィリピンのミンドロ島方面に向け航行中であった日本の新鋭航空母艦雲龍を含む小艦隊が接近しつつあった。16時27分、レッドフィッシュはその潜望鏡の視界内に雲龍の姿を捉えた。その2分後、雲龍はジグザグコースを取り始めた。これにより、レッドフィッシュは雲龍の右舷側を見るような体勢となった。16時37分、レッドフィッシュは雲龍までの距離が約5,400メートルと遠かったものの雷撃を敢行、魚雷4本を発射した。16時38分、雲龍の右舷艦橋下に魚雷1本が命中。雲龍はたちまち右舷に20度傾き、やがて航行不能となった。レッドフィッシュは第2撃を駆逐艦檜に向けて艦尾から魚雷を4本発射したが、命中しなかった。16時44分、レッドフィッシュは雲龍に止めを刺さんと魚雷を1本のみ発射。魚雷は最初の命中箇所に近いところに命中し、16時50分に火薬庫が爆発を起こし、17時に沈没した。レッドフィッシュは、撃沈直後こそ沈没する雲龍を潜望鏡カメラで撮影する余裕もあったが、その時、檜がレッドフィッシュの潜望鏡を発見。レッドフィッシュはただちに45メートル、次いで70メートルの深度に逃れたが、爆雷攻撃により前部発射管室の船殻や水測兵器に重大なダメージを受け、電池も故障が頻発した。反撃を辛くもかわしたレッドフィッシュは、1945年1月2日に真珠湾に帰投。2月17日、レッドフィッシュは修理のためアメリカ東海岸のポーツマス海軍造船所に向かい、その後7月23日に真珠湾へ帰港、3回目の哨戒へ向けての準備に余念が無かったが、結局終戦までその場にとどまった。
[編集] 戦後
1945年9月から1946年1月までグアムで任務に従事した後、レッドフィッシュは1月30日にサンディエゴに到着した。1947年3月3日にサンディエゴを出航しグアムと日本へ向かい、6月21日に帰還する。西海岸とハワイ水域での作戦活動後、レッドフィッシュは1951年2月2日に朝鮮半島に向かい、その後6月24日まで国連軍の支援の一部として横須賀沖で活動した。レッドフィッシュは7月3日にサンディエゴへ帰還し、西海岸沖で活動した。
1954年春、撮影用の水平舵を取り付けたレッドフィッシュは、ディズニー映画『海底二万マイル』に「ノーチラス号 Nautilus」として撮影協力した。また、1957年のクラーク・ゲーブル主演映画『深く静かに潜航せよ』においても、潜水艦「ナーカ Nerka」として数シーンに登場した。その他、テレビシリーズ『サイレント・サービス』にも数場面に登場している。
レッドフィッシュは1960年7月1日に AGSS-395 (実験潜水艦)に艦種変更され、3月26日にサンディエゴを出航、9月26日まで西大西洋に展開した。その後1968年まで西太平洋で例年の訓練を行う。1968年6月27日、レッドフィッシュはサンディエゴにおいて退役し、6月30日には海軍籍から除籍された。翌年、実艦標的となり海没処分された。
レッドフィッシュは第二次世界大戦の戦功で2個の従軍星章を受章した。
[編集] 参考文献
- Dictionary of American Naval Fighting Ships
- 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年。
- 木俣滋郎『日本空母戦史』図書出版社、1977年。
- 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1986年。
- 木俣滋郎『敵潜水艦攻撃』朝日ソノラマ、1989年。
- 野間恒『商船が語る太平洋戦争 商船三井戦時船史』私家版、2004年。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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