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メタス - Wikipedia

メタス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

メタスMETHUSS)は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の兵器。エゥーゴの試作型可変モビルスーツ (TMS) である。(型式番号:MSA-005)

ラフデザインはビシャルデザイン(小林誠、掘口滋らもデザインに参加していたという説がある)、フィニッシュワークはスタジオけむ(中沢数宣のものと思われるサインが設定画に記されている)が担当。 「メタス」の名前の由来は、「目が多数」から。これはもともと、モノアイを複数持つモビルスーツ (MS) 「クラックス」(ハンブラビの前身となるデザイン)が、本来は「メタス」としてデザインされていた名残である。クラックスのデザインは永野護によるもので、採用となったメタスのデザインに直接的な関わりはない。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] メタス

[編集] 機体解説

機体諸元
メタス(MS形態)
型式番号 MSA-005
所属 エゥーゴ
建造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
全高 26.0m
頭頂高 18.1m
本体重量 27.8t
全備重量 52.4t
ジェネレーター出力 1,640kW
スラスター総推力 77,000kg
センサー有効半径 11,300m
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 アーム・ビームガン×2
ビームサーベル×6
主な搭乗者 ファ・ユイリィ
レコア・ロンド
メタス(MA形態)
全高 6.2m
全長 21.8m
武装 アーム・ビームガン×2

[編集] 開発経緯

エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社による可変モビルスーツ開発計画「Ζ計画」によって開発された機体。プロジェクトの発足時には既に地球連邦製のアッシマーは可変モビルアーマーとして完成していたが、それに対抗するためエゥーゴはMS形態での頭頂高が20m以下というスペックを要求した。これに対しアナハイムはムーバブルフレームを採用することでわずか1年の開発期間を経た宇宙世紀0087年前半、2機のMSを完成させた。うち1機は可変機構に欠陥が生じ、非TMSとして百式という形でロールアウトした。もう一方が初のTMSとして完成、これがメタスである。百式に対しメタスはAMBACを採用しなかったことにより、フレームへの負荷が低かったのが幸いした。しかし、モビルアーマー (MA) 形態が宇宙戦を主にした戦闘機型であったため、全領域での運用を前提としたエゥーゴの要求を満たせず、変形機構分析のため実験機としての位置づけに留まった。これらのデータは後に完成したΖガンダムの開発に寄与している。また、ΖIIではメタスの変形機構を発展させたものが採用されている。主に女性パイロットによって運用されることが多かった。

本機は完成度が高く実戦に耐えうる性能を発揮したため多少の改修の後、数機がグリプス戦役に投入された。そのうちの1機はエゥーゴの旗艦アーガマへ配備され貴重な戦力となった。その後勃発した第一次ネオ・ジオン抗争開戦初期に戦線離脱した。

[編集] 各部解説

頭部メインカメラは変形時の省スペース化のためモノアイシステムを採用しており、2基のモノアイはそれぞれ水平方向と垂直方向に移動する。なお、嘴の伸びたジオン系MSふうの頭部を持つが、模型のHGUCでは手を加えられ連邦系の頭部にアレンジされている。

変形機構の簡素化のため胴体部はわずか3本のアクチュエーターのみで腰部と連結されている。そのため十分な強度を確保できず格闘戦にはあまり向かない機体となってしまった。 だがあくまで実験機であるが故の結果と言え、メンテナンス性は向上することとなった。

背部ユニットにはプロペラントタンクを内装する。MA形態時に機首となり、先端部には各種センサーが設けられている。艦内移動時には前方に倒すことで省スペース化をはかる。

武装は前腕部にアーム・ビームガンを2門が設けられ、砲身を180°回転させて使用時する。また、脛部にはラックが設けられ片側3基、計6基のビームサーベルが装備されている。このビームサーベルはヒートホーク状のビームを形成することもできる。

[編集] モビルアーマー形態

頭部を背部ユニットに収納し、腕部・脚部を折り畳み、肩部と脚部を連結することでMA形態をとる。3基のランディング・スキッドで着陸する。MA形態が本機の本来の形態であり加速・運動性能は申し分なく、宇宙戦用戦闘機として高い性能を示した。武装はアーム・ビームガン2基。

[編集] 劇中での活躍

[編集] TV版『機動戦士Ζガンダム』

レコア・ロンド少尉が主にパイロットを務め、補欠要員をファ・ユイリィ軍曹が務めた。後にファの専用機となる。物語を通じて、非力なMSとして描かれている。だがこの描写は不安定なレコア、パイロットの適性に思い悩むファの心理などを表現する演出として成功していたといえる。一方で量産機種でないことが重要キャラであるレコア、ヒロインであるファの個性を埋没させない要因ともなっている。

第22話「シロッコの眼」で初登場。輸送機らしき船からレコアが所属先の強襲巡洋艦アーガマに直接搬入した。追いすがる敵MS隊のいる後方へ向けて射撃などをしている。
第23話「ムーン・アタック」ではファがレコアを出し抜いて搭乗。カミーユ・ビダンΖガンダムのアシストを受けながらハイザックを撃破している。
第24話「反撃」でも同じくファが搭乗。ヤザン・ゲーブル大尉のギャプランと交戦。追いつめられながらも加速力に勝る同機に引けをとらないスピードを発揮していた。
第28話「ジュピトリス潜入」ではファがサラ・ザビアロフ曹長のメッサーラと交戦。メインバーニアに被弾しながらも、同機の脚部も撃ち抜いている。
第29話「サイド2の危機」ではレコアが可変モビルスーツの利を活かし、Ζガンダムと共に長距離侵攻。
第34話「宇宙が呼ぶ声」では行動不能となったレコアがヤザンのハンブラビによって撃墜される。
第38話「レコアの気配」では修理されたのか、増加配備されたのかは不明だがファの搭乗により再登場。アーガマ艦長のブライト・ノア大佐に「メタスは壊したくない」と言われていた。これはある程度、性能が評価されていたことを推察させる。設定にはないグレネードランチャーをハンブラビ隊に射撃し、アポリー中尉のリック・ディアスの危機を救う。だが早くもヤザンのハンブラビによりまたも撃墜される。ファはアポリーの指示により辛くも脱出、難を逃れる。
戦闘終了後のシンタクムの発言によればシーンは描かれてはいないものの、敵機を撃破したようである。
第41話「目覚め」では再々登場。以降、ファの専用機となったようだ。
第43話「ハマーンの嘲笑」ではカツ・コバヤシネモと共にバーザムを撃墜、カミーユの危機を救う。
第44話「ゼダンの門」ではカツが特例で搭乗。ジェリド・メサ中尉のバイアランのバーニアを破壊、撤退に追い込む。
第45話「天から来るもの」ではかつてのパイロットであるレコアが乗るパラス・アテネと交戦する。
第47話「宇宙の渦」ではガザCを撃墜、カツのGディフェンサーの危機を救う。ハマーン・カーンキュベレイから砲撃を受けるΖガンダムを庇い、脚部を損傷する。
第50話「宇宙を駆ける」ではハイザック、バーザムを撃墜。クワトロ・バジーナ大尉の百式、カミーユのΖガンダムと共にコロニーレーザー砲内部でパプテマス・シロッコ大尉のジ・オ、ハマーンのキュベレイと交戦。アームビームガンを連射し、苦戦するΖガンダムからキュベレイを退けさせる。ジ・オを撃墜したΖガンダム、損壊したガンダムMk-IIを回収して最終決戦からアーガマに帰投する。

[編集] 劇場版『機動戦士Ζガンダム』

レコアがパイロットを務め、後に増加配備される2号機(劇中では「メタス2[ツー]」とも呼称される)にはファが搭乗。TV版が主に非力なMSとして描かれていたのに対し、中堅機以上、または有用な支援機として描かれていた感がある。敏腕パイロットであるレコアの戦士性や、ファの懸命さなどを表現していたようにも伺える。
劇場版でのみ、アーガマ内で背部ユニットを前方に倒してMSとMAの中間のような形態をとる新解釈が度々、描かれていた。上方に大きく張り出した背部ユニットを含む全高が一般的なMSの平均以上となる26mにもなるためか、省スペースを図っていたことを感じさせる細かな演出である。

劇場版第二作『機動戦士ΖガンダムII -恋人たち-』にて1号機が初登場。アポリーのΖガンダム、Gディフェンサーなどと共にアーガマに直接搬入された。その後、劇中で描かれるすべてのアーガマの作戦に参加する。終盤ではTV版ではゲルググのレプリカ機が行っていた百式のメガバズーカランチャーのエネルギー供給役という危険な任務も遂行する。その後、ヤザンのハンブラビに追い込まれたカミーユのΖガンダムをガザC隊の砲撃の網をくぐり抜けながらMA形態で救出、曳航するなど機動力に富んだ様を見せつける。

劇場版第三作『機動戦士ΖガンダムIII -星の鼓動は愛-』ではヤザンのハンブラビに挑むものの、やはり行動不能となってしまうレコアのために撃墜される。後に増加配備された2号機にはファが搭乗することとなり、以降の全作戦に従事。劇中での周囲の発言等から察するには主に最前線にいる僚機への簡易補給や連絡、損傷機回収のため、可変MSとして優れた航行能力を活かして母艦アーガマと戦場を行き来する役割を担っていたようだ。戦闘に不慣れなパイロット(ファ)に起因した役目だと思われるが、実際には強力な敵MSとも僚機への支援という形で積極的に交戦していた。クライマックスではヒロインの搭乗機として、TV版とはまた違った形で存在感を示す。

[編集] その他

TV版『機動戦士Ζガンダム』の続編である『機動戦士ガンダムΖΖ』でも序盤に登場。グリプス戦役で受けた損傷をほぼ未修理のままネオ・ジオン軍と戦い(一時トーレスが搭乗)、回を追うごとにさらにダメージを受けていった。最終的には上半身と下半身が分断された姿になってしまうが操縦自体は可能であり、Ζガンダムを庇う形で攻撃を受けて戦線を離脱。ファの戦いに幕を下ろすことで『機動戦士Ζガンダム』からの言わば中継ぎの役割を終えることとなった。

また、2006年刊のムック『ガンダム MS グラフィカ』では百式編で50機ものメタスがネオ・ジオンに納入されたエピソードが描かれている。しかしながら元アナハイム・エレクトロニクス社員コーディ・L・ナカージの発言は支離滅裂であり、サザビーの後ろに陳列されたメタスのカット(青い1機と緑の4機が確認できる)についての説明もなく、真意の程は確かではない。

ゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』ではZガンダムが参戦してる作品の多くで登場している。特徴として攻撃力は低いものの、他の機体をHPを回復(修理)する能力をつけており、欠かせない戦力になっている。

[編集] バリエーション

[編集] ガンキャノン・ディテクター

ガンキャノン・ディテクターは、アニメ『機動戦士Ζガンダム』から派生した『Ζ-MSV』において設定された架空の兵器カラバの試作モビルスーツである。(型式番号: MSA-005K)

[編集] 機体解説

メタスのムーバブルフレームを流用し、砲撃戦仕様に改めた機体。各部の装甲が強化され、両肩にビームキャノンを2門、右肩装甲部にビームガンを1門および専用のビームライフルを装備する。メタスの可変機構を活かし砲撃形態に変形できたとされる。カラバに送られ、援護射撃・対空防御に活躍した。

本機は2機が完成し、シャトルに搭載されて北米地区に送られたが、投下の失敗により1機は全壊。残る1機は比較的損傷が少なく、そのまま補修を施して戦線に投入されたという。また、本機の名称は本来ならば「メタス地上戦用キャノンタイプ」とでも称されるところであろうが、カラバのリーダーの一人、ハヤト・コバヤシが一年戦争にて搭乗したRX-77-2にちなみ、この名称と赤い機体色を与えられた。

[編集] 劇中での活躍

森田崇の漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』に登場。宇宙世紀0088年8月、ネオ・ジオンによる地球侵攻作戦において北米ニューヤーク基地防衛に使用された。

[編集] メタス改

メタス改(メタスかい) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』から派生した『Ζ-MSV』において設定された架空の兵器カラバの試作可変モビルスーツである。(型式番号: MSA-005S)

[編集] 機体解説

機体諸元
メタス改
型式番号 MSA-005S
所属 カラバ
建造 -
生産形態 試作機
全高 -
頭頂高 18.3
本体重量 34.9t
全備重量 50.9t
ジェネレーター出力 2,000kW
スラスター総推力 83,000kg
センサー有効半径 12,000m
装甲材質 ガンダリウムγ
武装 ハイメガキャノン
ビームサーベル×2
アームバルカン×2
主な搭乗者 -

メタスの基本フレームをカラバに供与して開発された。背部ユニットの先端に大口径のハイメガキャノンを装備し、弱点だった火力の不足を補うことに成功している。背部ユニットを前方に倒せばMS形態時にもハイメガキャノンの水平射撃を行うこともできる。
一部のゲーム等ではデフォルメ再現されてはいるものの、MA形態の設定画が存在しない。


[編集] メタス・マリナー

メタス・マリナーMETHUSS MARINER)は、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する予定であった架空の兵器。エゥーゴの試作型水陸両用可変モビルスーツ (TMS) である。(型式番号:MSA-005M)
カトキハジメのMSデザインのデビューとなる予定でもあった。

[編集] 機体解説

機体諸元
メタス・マリナー(MS形態)
型式番号 MSA-005M
所属 エゥーゴ
建造 -
生産形態 試作機
全高 28.8m
頭頂高 16.9m
本体重量 38.7t
全備重量 44.6t
ジェネレーター出力 -
スラスター総推力 -
センサー有効半径 -
装甲材質 -
武装 アーム・ビームガン×2
ビームサーベル×6
クローアーム×2
サブロック
主な搭乗者 -
メタス・マリナー(MA形態)
全高 10.8m
全長 24.6m
武装 アーム・ビームガン×2

第一次ネオ・ジオン抗争時、アクシズによる地球降下作戦に対抗するため、エゥーゴも地球降下からそのまま拠点制圧を目的としたモビルスーツ (MS) の開発を急いだ。そこで大気圏突入からそのまま水中戦に移行できるMSとしてメタスを改良し、水中用装備を施されたのがメタス・マリナーである。大気圏突入には機体下部に専用のフライングアーマーを装着し、着水後はボートとしても利用でき、パージすることで潜水を行う。頭部はバイザータイプのものに換装され胸部の張り出しがないものに変更された。背部には大型ハイドロシステムを装備し水中では高い運動性を誇る。股間部および脚部リアアーマーには計3基のスタビライザーが設置されている。爪先部にはセンサーが増設され、整流を考慮した形状に変更されている。

武装はアームビームガン2門。格闘戦用に4本のクローを装備する。その他ビームサーベル6基、サブロックを装備するという資料が存在するがその存在は明らかになっていない。

先行量産機がロールアウトした時点で既に戦局は宇宙へ移ってしまっていたため量産化には至らなかった。

[編集] モビルアーマー形態

基本的にベース機であるメタスと同様の変形シーケンスを行う。腕部のクローを収納し、スタビライザーを展開する。機体背部に設けられたシャックルで2機のMSの曳航が可能である。


[編集] ΖII

ΖII(ゼッツー) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』から派生した『Ζ-MSV』において設定された架空の兵器。エゥーゴの試作可変モビルスーツである(型式番号: MSZ-008)。複雑な可変機構とピーキーな操作性により生産面、運用面で扱いの難しかったΖ系可変MSに対し、メタス系列の機体構成や可変機構を取り入れることで、それらの解決が試みられた試作機である。Ζ系の発展系でありつつ、メタス系の上位機種的な側面も持つ機体であるといえる。詳しくはΖIIを参照のこと。

[編集] リゼル

リゼルは小説『機動戦士ガンダムUC』において設定された架空の兵器。地球連邦軍の量産可変モビルスーツである(型式番号: RGZ-95)。上記のΖIIの量産仕様とも言える機体である。基本的なコンセプトはΖIIに準じており、メタス系の影響が色濃いシルエットと可変システムが特徴。さらに量産化を考慮してジェガンとの一部パーツ流用などの再設計が盛り込まれている。Ζ系、メタス系、そしてジェガンなどRGM系列それぞれで蓄積された要素が結実した機体であるといえる。詳しくはリゼルを参照のこと。

[編集] 関連項目


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