ボビー・コックス
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ボビー・コックス(Robert Joseph Cox , 1941年5月21日 -)はアメリカ・メジャーリーグベースボールの元選手で、現在はアトランタ・ブレーブス監督。選手としては内野手(三塁手)。右投右打。アメリカ合衆国オクラホマ州タルサ出身。
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[編集] 人物・来歴
1959年にロサンゼルス・ドジャースと契約。メジャー昇格に10年近くを要し、選手としては1968年、1969年の2シーズン、ニューヨーク・ヤンキースでプレイし、220試合に出場したのみに終わった。引退後はヤンキース傘下のマイナーチームでコーチを務め、1976年に3Aシラキュース(当時)監督に就任。ロン・ギドリー、テリー・ウィットフィールドらを擁してガバナーズ・カップ(3A最高チームにあたる)を受賞。
1978年にアトランタ・ブレーブス(当時はナ・リーグ西地区所属)の監督に就任。当時チームはどん底の状態で、最初の2シーズンは地区最下位に終わり、結局4シーズン務めて勝ち越しは1980年のみで解任。皮肉にも、解任翌年の1982年にチームは地区優勝を果たした。
1982年にトロント・ブルージェイズの監督に就任。初年度は6位(7球団中)であったが、2年目・3年目にいずれも89勝をあげ、4年目の1985年には99勝62敗をあげ、チームを球団創設以来初の地区優勝に導く。この年より7回戦制となったア・リーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)ではカンザスシティ・ロイヤルズを3勝1敗と追い込むが、それから3連敗を喫してワールドシリーズ進出を逃すと、解任された。この年ア・リーグ最優秀監督賞を受賞。
1986年に、ブレーブスにゼネラル・マネージャー(GM)として復帰。チームはこの頃再び低迷していたが、ロン・ガントやトム・グラビンらの若手選手の成長や、若手ジョン・スモルツ、ベテランチャーリー・リーブラント、ロニー・スミスらをトレードで獲得。
1990年途中に、GM兼任の監督に就任。この年は最下位に終わったが、不振が続くのベテランデール・マーフィーを放出し、デービッド・ジャスティスをライトで起用して新人王受賞の活躍を引き出すなど、徐々にチームを強化した。翌1991年には監督専任になり、前年最下位のチームを一気に地区優勝に導く。前年最下位のチームの地区優勝はメジャー史上初であった。NLCSでも東地区優勝のピッツバーグ・パイレーツを破りワールドシリーズに進出。ミネソタ・ツインズを最後まで苦しめるが、3勝4敗で惜しくもワールドチャンピオンを逃したが、自身は最優秀監督賞を受賞した。翌1992年にも地区優勝し、NLCSでも再びパイレーツを破るが、ワールドシリーズでは、かつて監督を務めたブルージェイズに敗れた。1993年は地区優勝するが、NLCSでフィラデルフィア・フィリーズに敗れる。
1994年、地区再編(東西2地区制→東中西3地区制)に伴い、東地区に編入されるが、この年はストライキでシーズンが途中終了し、2位に終わった。1995年は90勝54敗の成績で地区優勝。この年より、2005年まで11年連続で地区優勝。プレイオフ(ディビジョンシリーズ、NLCS、ワールドシリーズ)を通じて11勝2敗の成績で、チームをミルウォーキー時代の1957年以来38年ぶり、アトランタ移転後初のワールドチャンピオンに導く。翌1996年もワールドシリーズに進出。ヤンキースと対戦し、1・2戦を連勝するがそこから4連敗して2年連続ワールドチャンピオンを逃す。
その後は、前述のように2005年まで毎年地区優勝するが、ワールドシリーズ進出は1999年(ヤンキースに4連敗)のみで、他はNLCS又はNLDSで敗退。なお、2004年、2005年には最優秀監督賞を受賞している。2006年は1990年以来の勝率5割未満(79勝83敗)で地区3位に終わる。
2007年5月12日に、監督通算2,195勝をあげ、レッズとタイガースの名将スパーキー・アンダーソンを抜き、メジャー歴代4位となった。8月14日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦では通算132回目の退場処分となり、20世紀初頭にこの日の対戦相手・ジャイアンツを率いたジョン・マグローの通算記録を抜き、メジャー史上最多となった。9月5日には史上6人目の監督通算4,000戦を達成。この試合は勝利で飾った。
2007年終了時点で、監督としての通算勝率は.561、貯金491(歴代3位)を誇る。監督退任後のアメリカ野球殿堂入りも確実視されている。(過去、貯金300以上の実績を残した監督で殿堂入りを逃した者は一人もいない。)
[編集] 受賞歴・記録
- 最優秀監督賞4回(1985年、1991年、2004年、2005年)
[編集] 通算打撃成績
- 出場220試合 打数628 得点50 安打141 二塁打22 三塁打2 本塁打9 打点58 塁打194 四球75(うち敬遠14) 死球6 三振126 盗塁3 盗塁死3 出塁率.310 長打率.309 打率.225 犠飛7 犠打3 併殺打17
[編集] 年度別成績(監督)
年度 | チーム | 地区 | 年齢 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 勝率 | 順位/チーム数 | 備考 | ポストシーズン 勝敗 |
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1978年 | ATL | NL WEST | 37 | 162 | 69 | 93 | .426 | 6 / 6 | |||
1979年 | ATL | NL WEST | 38 | 160 | 66 | 94 | .412 | 6 / 6 | |||
1980年 | ATL | NL WEST | 39 | 161 | 81 | 80 | .503 | 4 / 6 | |||
1981年 | ATL | NL WEST | 40 | 116 | 50 | 56 | .472 | 4 / 6、5 / 6[1] | |||
1982年 | TOR | AL EAST | 41 | 162 | 78 | 84 | .481 | 6 / 7 | |||
1983年 | TOR | AL EAST | 42 | 162 | 89 | 73 | .549 | 4 / 7 | |||
1984年 | TOR | AL EAST | 43 | 162 | 89 | 73 | .549 | 2 / 7 | |||
1985年 | TOR | AL EAST | 44 | 161 | 99 | 62 | .615 | 1 / 7 | ALCS敗退 | 3勝4敗 | |
1990年 | ATL | NL WEST | 49 | 97 | 40 | 57 | .412 | 6 / 6[2] | 途中就任 | ||
1991年 | ATL | NL WEST | 50 | 162 | 94 | 68 | .580 | 1 / 6 | WS敗退 | 7勝7敗 | |
1992年 | ATL | NL WEST | 51 | 162 | 98 | 64 | .605 | 1 / 6 | WS敗退 | 6勝7敗 | |
1993年 | ATL | NL WEST | 52 | 162 | 104 | 58 | .642 | 1 / 7 | NLCS敗退 | 2勝4敗 | |
1994年 | ATL | NL EAST | 53 | 114 | 68 | 46 | .596 | (2 / 5)[3] | |||
1995年 | ATL | NL EAST | 54 | 144 | 90 | 54 | .625 | 1 / 5 | WS優勝 | 11勝2敗 | |
1996年 | ATL | NL EAST | 55 | 162 | 96 | 66 | .593 | 1 / 5 | WS敗退 | 9勝7敗 | |
1997年 | ATL | NL EAST | 56 | 162 | 101 | 61 | .623 | 1 / 5 | NLCS敗退 | 5勝4敗 | |
1998年 | ATL | NL EAST | 57 | 162 | 106 | 56 | .654 | 1 / 5 | NLCS敗退 | 7勝6敗 | |
1999年 | ATL | NL EAST | 58 | 162 | 103 | 59 | .636 | 1 / 5 | WS敗退 | 7勝6敗 | |
2000年 | ATL | NL EAST | 59 | 162 | 95 | 67 | .586 | 1 / 5 | NLDS敗退 | 0勝3敗 | |
2001年 | ATL | NL EAST | 60 | 162 | 88 | 74 | .543 | 1 / 5 | NLCS敗退 | 4勝4敗 | |
2002年 | ATL | NL EAST | 61 | 160 | 101 | 59 | .631 | 1 / 5 | NLDS敗退 | 2勝3敗 | |
2003年 | ATL | NL EAST | 62 | 162 | 101 | 61 | .623 | 1 / 5 | NLDS敗退 | 2勝3敗 | |
2004年 | ATL | NL EAST | 63 | 162 | 96 | 66 | .593 | 1 / 5 | NLDS敗退 | 2勝3敗 | |
2005年 | ATL | NL EAST | 64 | 162 | 90 | 72 | .556 | 1 / 5 | NLDS敗退 | 1勝3敗 | |
2006年 | ATL | NL EAST | 65 | 162 | 79 | 83 | .488 | 3 / 5 | |||
2007年 | ATL | NL EAST | 66 | 162 | 84 | 78 | .519 | 3 / 5 | |||
通算 | 26年 | 4,022 | 2,255 | 1,764 | .561 | 66勝64敗 |
- WS…ワールドシリーズ、LCS…リーグチャンピオンシップシリーズ、DS…ディビジョンシリーズ。
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- 監督の通算成績と情報 Baseball-reference.com
- 選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube
- Bobby Cox(メジャーリーグ成績・英語)(The Official Site of Major League Baseballより)
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投手 | 46 マニー・アコスタ / 30 ジェフ・ベネット / 56 ブレイン・ボイヤー / 57 ホルヘ・カンピーヨ / 38 バディ・カーライル / 65 ヤイロ・キューバス / 47 トム・グラビン / 51 マイク・ゴンザレス / 32 マイク・ハンプトン / 15 ティム・ハドソン / 36 チャック・ジェームズ / 49 ジェイアー・ジャージェンス / 54 アンソニー・レリュー / 63 チャーリー・モートン / 58 ピーター・モイラン / 13 ウィル・オーマン / 37 ジョジョ・レイエス / 40 ジェフ・リッジウェイ / 34 ロイス・リング / 29 ジョン・スモルツ / 39 ラファエル・ソリアーノ / 54 フィル・ストックマン / 33 タイラー・イエーツ |
捕手 | 16 ブライアン・マッキャン / 27 コーキー・ミラー / -- クリント・サモンズ |
内野手 | 19 ユネル・エスコバー / 8 ルーベン・ゴタイ / 4 オマー・インファンテ / 2 ケリー・ジョンソン / 10 チッパー・ジョーンズ / 1 ブレント・リリブリッジ / 20 グレッグ・ノートン / 14 マーティン・プラド / 24 マーク・テシェイラ |
外野手 | 22 ジョシュ・アンダーソン / 18 グレゴール・ブランコ / 23 マット・ダイアズ / 7 ジェフ・フランコーア / 28 ブランドン・ジョーンズ / 11 マーク・コッツェイ |
監督・コーチ | 6 ボビー・コックス(監督) / 52 チノ・カダイア(ベンチコーチ) / 59 フランク・フルツ(体力・コンディショニングコーチ) / 17 グレン・ハバード(一塁コーチ) / 45 ロジャー・マクドウェル(投手コーチ) / 9 テリー・ペンドルトン(打撃コーチ) / 12 エディー・ペレス(ブルペンコーチ) / 43 ブライアン・スニッカー(三塁コーチ) |
公式サイト(英語)より 40人ロースター 監督・コーチ一覧 2008年5月26日更新 |
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2 ラファエル・ベリアード / 7 ドワイト・スミス / 8 ハビー・ロペス / 9 マーキス・グリッソム / 10 チッパー・ジョーンズ / 11 チャーリー・オブライエン / 16 マイク・モーデカイ / 17 ルイス・ポローニア / 18 ライアン・クレスコ / 20 マーク・レムキー / 23 デービッド・ジャスティス / 24 マイク・デベロー / 26 アレハンドロ・ペーニャ / 27 フレッド・マグリフ / 29 ジョン・スモルツ / 31 グレッグ・マダックス / 33 スティーブ・エイバリー / 38 グレッグ・マクマイケル / 43 マーク・ウォーラース / 47 トム・グラビン / 50 ケント・マーカー / 51 ペドロ・ボーボン・ジュニア / 52 ブラッド・クロンツ 監督 ボビー・コックス |