ホンダFC
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ホンダFC | |
原語表記 | 本田技研工業株式会社フットボールクラブ |
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愛称 | ホンダFC |
クラブカラー | 赤 |
創設年 | 1971年 |
所属リーグ | 日本フットボールリーグ |
ホームタウン | 浜松市 |
ホームスタジアム | ホンダ都田サッカー場 |
収容人数 | 4,000 |
代表者 | 佐藤博 |
監督 | 石橋眞和 |
ホンダFC(ホンダエフシー、Honda FC)は、静岡県浜松市中区に本拠を置く社会人サッカークラブである。正式名称は本田技研工業株式会社フットボールクラブ。
目次 |
[編集] 概要
ホームタウンは静岡県浜松市。ホームスタジアムは同市北区にあるホンダ都田サッカー場で、小さいながらもクラブ自身が所有する自前のスタジアムである。育成システムも日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のクラブに引けを取らない物を所有している。
過去に2度Jリーグクラブ化の構想があったが、いずれも実現していない。1999年の日本フットボールリーグ (JFL) への参入以来、優勝2回・2位5回とアマチュアクラブとして上位での安定した成績を残している。このためしばしば「Jへの門番」と目されることがある。
[編集] 歴史
母体は社会人の本田技研工業サッカー部で、1971年結成。1972年に静岡県リーグ、1973年には東海社会人リーグ、1975年には日本サッカーリーグ (JSL) 2部に昇格。1981年には同1部に昇格し、以降1992年に終了するまでトップカテゴリに定着し、当時の国内サッカーファンの間では「東海の暴れん坊」と呼ばれた。
90年代初頭、国内のトップカテゴリがJSLからJリーグへ移行する際、本拠地である浜松市内に第一種の競技場がなく、行政の協力も期待できなかったことから、誘致要請のあった埼玉県浦和市(現・さいたま市)に本拠地を移転し、浦和ホンダウィンズとしてJリーグへ参加することが検討された。しかし、チーム関係者の間では「浜松を本拠にJリーグへ参戦したい」とする意向が根強く、結論が出ないまま91年にJリーグへの初年度参加見送りを発表した。当時は国内経済の悪化から本田本社はカーレースF1からの撤退を表明していたため、サッカー部のプロ化見送りに関しても、F1同様に「本業主義のため」という論理付けがされた。
このため当時のレギュラー選手の大半は、92年までにJリーグ参加チームへ移籍した。中でも鹿島アントラーズへは監督の宮本征勝・ヘッドコーチの関塚隆を筆頭に、黒崎久志・長谷川祥之・本田泰人・内藤就行・入井和久・千葉修らが移籍し、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)へは、石川康・北澤豪などが移籍した。奇しくも鹿島・川崎の両チームは、Jリーグ元年である93年にチャンピオンシップを争った。
その後、本田はJリーグ創設によるカテゴリ再編により92年からジャパンフットボールリーグ(旧JFL)1部に参加した。しかし、レギュラーの9割を失ったチームは10チーム中9位に低迷し、翌1993年は同2部に降格した(しかし同年優勝)。翌1994年には、JFLが16チームによる1部制に再編され、それを契機に現場サイドでJリーグ参戦へ向けた3年構想がスタートした。これにより、前年にJリーグへ参戦したジュビロ磐田から戦力外通告を受けたバウテルや東川らを補強し、翌1995年には柏レイソルから戦力外通告された呂比須ワグナーらを補強した。
さらに、その翌年の1996年には日本サッカー界に精通したエスピノーザ氏をヘッドコーチとして招聘し、ヴィッセル神戸・鳥栖フューチャーズ・コンサドーレ札幌などのJリーグ参加構想チームと、東京ガス(現・FC東京)を加えた熾烈な上位争いを制し、見事JFL優勝を飾った。
これを受け、翌97年には自社所有の都田サッカー場に50億円を投じ、自前のスタジアムを建設することで懸案だったスタジアム問題を解決する見込みを立て、「浜松F.C」としてJリーグ準会員チームとなった。この時、本田本社は浜松F.Cの株式約6割を引き受けて筆頭株主となったほか、ダイドードリンコなど著名な企業が大口スポンサーとして名を連ねた。
しかし当時は史上最悪の製造不況および通貨危機前夜の時期であったため、産業都市である地元・浜松市内では地元紙などの影響から本田のJリーグ参戦に対し否定的な見方が支配的であった。故に浜松F.Cの経営陣は大きく動揺し、最終的に「時期が悪い」との判断に達したことから一連の構想を白紙撤回した。
その後の1999年、JFLに所属するチームの多くは新たに創設されたJ2に参戦したが、プロ化を断念して間もない本田はJ2には参加せず、新たに再編された新JFLに所属した。最初の2年間はチームの動揺が尾を引いて横浜FCの連覇に屈したが、2001・2002年(同年ホンダFCに改名)と2年連続で優勝し、以後も毎年上位につけ、年末の天皇杯では、たびたびJリーグチームを撃破している。
特に2007年は東京ヴェルディ1969・柏レイソル・名古屋グランパスエイトのJリーグ3クラブを次々と撃破しベスト8進出。準々決勝で、この年のJリーグ王者・鹿島アントラーズに延長戦の末1-0で惜敗しベスト4にはならなかったものの、JFLのチームがJリーグ王者に対して互角な戦いを演じた。
[編集] 下部組織
小学生を対象にしたスクールと、U-10、U-12、U-15、U-18各カテゴリのチームを持っている。U-18チームは、2004年度・2007年度の日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会に清水エスパルスユースを抑えて出場した。
下部組織出身の選手を以下に挙げる。
- 松浦拓弥 - Honda FC U-15 → 浜名高等学校 → ジュビロ磐田
- 小栗巧 - Honda FC U-15 → Honda FC U-18 → Honda FC
- 深谷泰介 - Honda FC U-18 → Honda FC
[編集] 戦績
年度 | 所属 | 勝点 | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 差 | 順位 | 数 | 備考 |
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1971 | 静岡県西部 | 優勝 | 昇格 | |||||||||
1972 | 静岡県1部 | 優勝 | 昇格 | |||||||||
1973 | 東海リーグ | 優勝 | ||||||||||
1974 | 優勝 | 昇格 | ||||||||||
1975 | JSL2部 | 22 | 18 | 10 | 2 | 6 | 33 | 29 | +4 | 4位 | 10 | |
1976 | 21 | 18 | 6 | 9 | 3 | 25 | 17 | +8 | 4位 | 10 | ||
1977 | 29 | 18 | 5 | 3PK勝/3PK敗 | 7 | 25 | 24 | +1 | 7位 | 10 | ||
1978 | 57 | 18 | 13 | 1PK勝/3PK敗 | 1 | 39 | 9 | +30 | 優勝 | 10 | ||
1979 | 44 | 18 | 10 | 1PK勝/2PK敗 | 5 | 31 | 25 | +6 | 4位 | 10 | ||
1980 | 28 | 18 | 13 | 2 | 3 | 43 | 17 | +26 | 優勝 | 10 | 昇格 | |
1981 | JSL1部 | 14 | 18 | 5 | 4 | 9 | 23 | 28 | -5 | 6位 | 10 | |
1982 | 14 | 18 | 4 | 6 | 8 | 17 | 29 | -12 | 9位 | 10 | ||
1983 | 14 | 18 | 4 | 6 | 8 | 17 | 23 | -6 | 8位 | 10 | ||
1984 | 19 | 18 | 7 | 5 | 6 | 26 | 23 | +3 | 5位 | 10 | ||
1985 | 28 | 22 | 8 | 12 | 2 | 30 | 20 | +10 | 3位 | 12 | ||
1986/87 | 20 | 22 | 6 | 8 | 8 | 20 | 24 | -4 | 9位 | 12 | ||
1987/88 | 20 | 22 | 6 | 8 | 8 | 19 | 22 | -3 | 8位 | 12 | ||
1988/89 | 27 | 22 | 7 | 6 | 9 | 20 | 23 | -3 | 9位 | 12 | ||
1989/90 | 32 | 22 | 10 | 2 | 10 | 32 | 29 | +3 | 6位 | 12 | ||
1990/91 | 38 | 22 | 10 | 8 | 4 | 29 | 21 | +8 | 3位 | 12 | ||
1991/92 | 23 | 22 | 5 | 8 | 9 | 18 | 25 | -7 | 10位 | 12 | リーグ再編 | |
1992 | 旧JFL1部 | 16 | 18 | 4 | 4 | 10 | 19 | 36 | -17 | 9位 | 10 | 降格 |
1993 | 旧JFL2部 | - | 18 | 15(0延 0PK) | - | 3(0延 1PK) | 62 | 21 | +41 | 優勝 | 10 | リーグ再編 |
1994 | 旧JFL | - | 30 | 12(1延 2PK) | - | 18(2延 1PK) | 49 | 36 | -13 | 9位 | 16 | |
1995 | 49 | 30 | 16(2延 0PK) | - | 14(3延 1PK) | 58 | 42 | +16 | 7位 | 16 | ||
1996 | 75 | 30 | 25(3延 0PK) | - | 5(0延 0PK) | 83 | 35 | +48 | 優勝 | 16 | ||
1997 | 65 | 30 | 23(2延 1PK) | - | 7(1延 0PK) | 60 | 37 | +23 | 4位 | 16 | ||
1998 | 54 | 30 | 19(3延 0PK) | - | 11(2延 0PK) | 57 | 45 | +12 | 5位 | 16 | リーグ再編 | |
1999 | 新JFL | 50 | 24 | 18(5延長) | 1 | 5(0延長) | 69 | 34 | +35 | 2位 | 9 | |
2000 | 49 | 22 | 17(2延長) | 0 | 5(1延長) | 51 | 29 | +22 | 2位 | 12 | ||
2001 | 71 | 30 | 22 | 5 | 3 | 74 | 19 | +55 | 優勝 | 16 | ||
2002 | 41 | 17 | 13 | 2 | 2 | 39 | 14 | +25 | 優勝 | 18 | ||
2003 | 67 | 30 | 21 | 4 | 5 | 73 | 40 | +43 | 2位 | 16 | ||
2004 | 62 | 30 | 19 | 5 | 6 | 64 | 36 | +28 | 2位 | 16 | ||
2005 | 56 | 30 | 17 | 5 | 8 | 59 | 37 | +22 | 5位 | 16 | ||
2006 | 83 | 34 | 26 | 5 | 3 | 77 | 36 | +41 | 優勝 | 18 | ||
2007 | 58 | 34 | 16 | 10 | 8 | 61 | 42 | +19 | 5位 | 18 |
[編集] 歴代監督
- 保崎昌訓 1971-1972
- 桑原勝義 1973-1982
- 宮本征勝 1983-1990
- 今井雅隆 1990-1992
- 大澤隆 1993-1995
- 福島廣樹 1996
- 長澤和明 1997
- 設楽光永 1998-1999
- 大橋昭好 2000-2001
- 安間貴義 2002-2004
- 吉澤英生 2005-2006
- 石橋眞和 2007-
[編集] 出身者
- 倉田安治(→読売クラブ)
- 勝矢寿延(→日産自動車)
- メシアス
- マラカジャ
- ジオリット
- バウテル
- 北澤豪(→読売クラブ)
- 本田泰人(→鹿島アントラーズ)
- 長谷川祥之(→鹿島アントラーズ)
- 内藤就行(→鹿島アントラーズ)
- 黒崎久志(比差支)(→鹿島アントラーズ)
- 今井雅隆(徳島ヴォルティス監督)
- 関塚隆(川崎フロンターレ監督)
- 山田松市(徳島ヴォルティスコーチ)
- 長澤徹(FC東京コーチ)
- 古川昌明(川崎フロンターレGKコーチ)
- 安間貴義(ヴァンフォーレ甲府監督)
- 吉澤英生(松本山雅FC監督)
- 高木昭次(ベガルタ仙台フィジカルコーチ)
- 村主博正(→サガン鳥栖)
- 宇留野純(→ヴァンフォーレ甲府)
- 古橋達弥(→セレッソ大阪)
- 里見仁義(→アルテ高崎)
- 石川康(→ヴェルディ川崎)
- 水原大樹(→横浜FC)
- 江川重光(→名古屋グランパスエイト)
- サンドロ(→東京ガス)
- 呂比須ワグナー(→ベルマーレ平塚)
- マルクス(→アルビレックス新潟)
[編集] ユニフォームサプライヤー
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[編集] 関連項目
- ホンダFCの選手一覧
- ホンダルミノッソ狭山FC(埼玉製作所のサッカーチーム。関東社会人リーグ)
- ホンダロックサッカー部(本田技研の関連会社「ホンダロック」のサッカーチーム。九州社会人リーグ)
[編集] 外部リンク
Honda FC - 2008 |
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1 川口剛史 | 2 河住一仁 | 3 石井雅之 | 4 安部裕之 | 5 川島啓吾 | 6 田阪祐治 | 7 増田勝文 | 8 西望実 | 9 新田純也 | 10 関雅至 | 11 鈴木弘大 |12 中村元 | 13 堀切良輔 | 14 桶田龍 | 15 吉村和紘 | 16 土屋貴啓 | 17 牧野泰直 | 18 糸数昌太 | 19 柴田潤一郎 | 20 早坂良太 | 21 清水谷侑樹 | 22 小栗巧 | 23 川島大樹 | 24 鵜飼宏長 | 25 村松大輔 | 26 深谷泰介 |
監督 石橋眞和 | クラブ | |
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