トマホーク (ミサイル)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トマホーク (Tomahawk) は、アメリカ軍の巡航ミサイル。
目次 |
[編集] 前史
今や、世界で最も有名な巡航ミサイルとなったトマホークの起源には幾つかの説があるが、もっとも有力と考えられているのは、第一次戦略兵器制限条約(SALT I)調印(1972年)に前後して行われた海軍の研究である。
当時の国家安全保障担当大統領補佐官であったキッシンジャーは、SALT I によって生じる制約の影響を最小限にとどめるべく、条約交渉では検討されなかったタイプの核兵器運搬手段の研究を国防総省に命じた。海軍が中心になって進められた研究の結果は、本質的には無人の有翼航空機である巡航ミサイルであれば、条約違反を犯すことなく、しかも極めて効果的であるとの結論であった。
[編集] 開発
当初検討されたのは、ポラリス・ミサイルの発射筒を用いるより大型のミサイルと、潜水艦の魚雷発射管を用いるより小型のミサイルとの2つの案であった。これらの案から、翌1972年6月に後者の採用が最終的に決定され、11月には潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM: Submarine Launched Cruising Missile)と呼ばれるようになった、このミサイルの設計のための契約が結ばれた。1974年から、数社の設計案が競争試作にかけられ、1976年2月、ジェネラル・ダイナミクスの設計案が採用された。また、このときまでに、潜水艦だけでなく水上艦艇からも発射することができるように仕様が変更されたため、SLCMとは海洋発射巡航ミサイル(Sea Launched Cruising Missile)の頭文字とされるようになった。
1977年になると、カーター政権下で統合巡航ミサイル計画(JCMP: Joint Cruise Missile Program)が開始され、同じ頃やはり巡航ミサイル(AGM-86)の開発を進めていた空軍と海軍とが、共通の技術基盤を用いて巡航ミサイルを開発することになった。この計画のもと、空軍のAGM-86からは巡航ミサイルのターボファンエンジンが、海軍のBGM-109からは地形等高線照合(TERCOM: Terrain Contour Matching)システムが、それぞれ共通コンポーネントとして採用されている。また、この計画では、BGM-109の空中発射用の派生型AGM-109も試作され、AGM-86と実飛行を含む競争にかけられたが、空軍はAGM-86を選択したため、AGM-109の開発は中止された。
1980年3月、量産型BGM-109Aが水上艦から、同年の6月には潜水艦から、それぞれ初めて発射されている。評価はこの後も続けられ、1983年3月には、実任務に就役可能であることが宣言された。こうして、熱核弾頭を搭載した対地攻撃型BGM-109A TLAM-N(Tomahawk Land-Attack Missile-Nuclear)および通常弾頭の対水上艦型BGM-109B TASM(Tomahawk Anti Ship Missile)の2つのタイプの任務に就くに至った。これら最も初期に配備されたトマホークは、まとめてブロックIと呼ばれている。
以下、トマホークについて記述をすすめるが、多くのヴァリエーションが登場するものの、基本的に、発射環境、ミッション、誘導システムや弾頭が改正された各種の発展型の3つの軸で分類可能である(表1および表2を参照)。
ミッション | 弾頭 | ブロック I | ブロック II / IIA / IIB | (ブロック番号なし) | ブロック III | ブロック IV | タクティカル・ トマホーク |
---|---|---|---|---|---|---|---|
対地 | 核 | BGM/RGM/UGM-109A TLAM-N |
|||||
対地 | 通常 | BGM/RGM/UGM-109C TLAM-C(ブロックII / IIA) BGM/RGM/UGM-109D TLAM-D(ブロックIIB) |
BGM-109F (開発中止) |
RGM/UGM-109C/D TLAM-C/D |
RGM/UGM-109H THTP(開発中止) |
RGM/UGM-109E RGM/UGM-109H |
|
対水上 | 通常 | BGM/RGM/UGM-109B TASM |
BGM-109E (開発中止) |
||||
汎用 | 通常 | RGM/UGM-109E TMMM(開発中止) |
ミッション | 弾頭 | 地上発射型 | 空中発射型 |
---|---|---|---|
地対地 | 核 | BGM-109G | |
空対地 | 通常 | AGM-109 (開発中止) |
ところで、BGM-109という制式名称だが、異なる発射環境を明示するために、RGM-109(水上発射型)およびUGM-109(潜水艦発射型)の2つに改められた(1986年)。そのため、BGM/RGM/UGMが混在することになる(1963年に原型が定められた米国防総省のミサイル命名規則によれば、同一のモデルのミサイルでも異なった目的もしくは発射手段を持つミサイルには、制式名称の先頭3ケタのローマ字を変更するものとされている)。それだけでなく、いくつかの接尾辞(xGM-109EおよびH)は全く異なるミサイルに何度も与えられているため、いっそう混乱しやすい。そこで、以下の記述では制式名称は必要がない限り用いず、各ヴァリエーションに与えられた(ミッションにもとづく)略字(TLAM-N、TASMなど)およびブロック名を主として用いることにする。
[編集] ミッション
多くのヴァリエーションが登場しているにもかかわらず、トマホークのミッションは、ただの2つしかない。すなわち、対地ミッションと対水上ミッションである。核弾頭か通常弾頭であるかによって一部違いがあり、また後日の発展型では、新しい技術を取り入れるための改正がなされているが、ミッションの基本的なプロファイルは変わっていない。
[編集] 対地ミッション
- 発射から中間誘導
海洋発射型は、水上艦であればMk143 箱型発射機またはMk41 垂直発射システムから、潜水艦であれば魚雷発射管またはVLSから、固体ロケットブースターで射出され、ターボファンエンジンで巡航する。
誘導システムの中心であるTERCOMは、電波高度計から得た高度情報を、事前に入力されたレーダー地図と照合しつつ、計画された飛行経路に沿ってミサイルを飛翔させてゆく。この経路には、中継点がいくつか含まれており、この地点に差し掛かるつど、事前の計画に応じて高度と方位を変え、地形を利用して迎撃や探知を回避しつつ、目標へと迫ってゆく。
ただ、速度はせいぜい亜音速であり、回避機動をとるわけでもないので、発見されてしまえば、迎撃は比較的容易である。また、確かに発見されづらいが、探知されないわけではないので、夜間攻撃が望ましい。
- 終端誘導
中間誘導までの段階では、TLAM-Nでも通常弾頭のTLAMでも、違いは全くない。両者の相違が現れるのは、その最終段階である終端誘導においてにある。
TLAM-Nでは、最終段階までTERCOMのみによって誘導され、そのCEPは80mであるが、搭載するW-80核弾頭(5kT~200kTの可変威力型)からすれば、これは充分な数字である。
通常弾頭のTLAMには、追加の誘導装置が加わる。この装置は、デジタル式情景照合装置(DSMAC: Digital Scene-Matching Area Correlation)と呼ばれ、電子光学センサーにより地上をスキャンし、事前に登録された情景と比較しながら進路を修正する。これら誘導システムによって得られる最終的な精度は、CEP 10mである。
近年、巡航速度750km/hという遅さと威力不足を指摘され、新たにファストホークを計画中である。[要出典]
[編集] 対水上ミッション
- 発射から命中まで
TASMの発射から巡航までの手順はTLAMのそれと変わらない。大きく異なるのは、誘導装置である。TASMには、ハープーン対艦ミサイルの誘導システムの主要部分を流用したものが搭載されている。敵艦のおおまかな方位を向けて発射されたTASMは、目標の推定位置が近づくと、捜索パターンを描きながら、目標からの電波放射を捕捉するパッシヴ方式と自身のレーダーによるアクティヴ捜索方式とを併用して捜索をはじめる。一度敵艦を発見すると、TASMは海面近くを飛行し(シースキミング)、目標の側面もしくは上面から突入する。
- 「長すぎる槍」
TASMは現在すでに退役している。ハープーンと比べると、TASMは射程でも弾頭量でも優れているが、価格が高い(1990年代初めの時点で、1発あたり、トマホークは143万ドル、ハープーンは112万ドル)。それゆえ、価格に見合った射程と目標に対して使用するのでなければ見合わないが、同時に、この「相応な目標」は、捜索することそれ自体が困難な作業であるため、TASMは「使いにくい」ミサイルと見なされたのである。
[編集] 発展型
[編集] ブロック I
ブロックI に属する2つのヴァリエーション、すなわち対地核攻撃ミッション用のBGM/RGM/UGM-109A TLAM-Nおよび、対水上ミッション用のBGM/RGM/UGM-109B TASMはすでに退役している。TASMの退役により、トマホークのミッションは対地ミッションに限定されることになった。TLAM-Nの退役は、中距離核戦力(INF)全廃条約に基づくもので、1991年まで撤去が完了している。
[編集] ブロック II / IIA / IIB
次の発展型であるブロックII には、1986年から実戦配備されたBGM/RGM/UGM-109C TLAM-CおよびRGM/UGM109D TLAM-Dの2種類のヴァリエーションが含まれる。
BGM/RGM/UGM-109Cは通常型の単弾頭を備えた基本的な型である。最初のブロックII は、飛行の最終段階では、目標側面に直進して突入するだけだったが、IIAではソフトウェアが変更され、目標上部からの突入および目標上空での弾頭爆破の2つのモードが追加された。
ブロックIIBは、RGM/UGM-109Dである。これは、RGM/UGM-109Cの単弾頭を子爆弾ディスペンサーに交換したもので、1988年から配備された。これは、兵員、非装甲車両、露天駐機中の航空機など、脆弱な目標を広範囲にわたって攻撃するのに適している。
[編集] ブロック III
1980年代、トマホークの2次供給契約者であるマクドネル・ダグラス(現在はボーイング)は、ブロックIII と呼ばれる機能向上を提案し、採用された。これには誘導装置(GPS受信機の追加、DSMAC2A)の更新、改良型のエンジンの他、より小型で同等の威力を持つ弾頭が含まれ、これらによって精度の向上と射程の延伸が目指された。GPSは、TERCOMの限界、すなわち特徴の乏しい地形(砂漠・平原など)での精度の低下を補うものとなり、ミッションの柔軟性を増すことに役立っている。ブロックIIの全てのミサイルは、定期点検の機会を利用してブロックIIIへのアップグレードを受けた。
[編集] BGM-109E/F
BGM-109E/Fは、1980年代中頃に提案されたが採用されなかったプランである。BGM-109EはTASMの改良型、BGM-109Fは飛行場の攻撃に特化した型であった。
[編集] ブロック IV
1994年、ヒューズ(現レイセオン)はブロックIV またはトマホーク・ベースライン改良計画(TBIP: Tomahawk Beseline Improvement Program)として知られるアップグレードの開発に着手した。これには2つの計画が含まれており、ひとつはRGM/UGM-109E TMMM(Tomahawk Multi-Mode Missile)と呼ばれる、単一のミサイルで水上および地上の全ての目標に対応する型である。この型はエンジンを換装し、さらに、赤外線またはミリ波によるイメージング・シーカー、さらに飛行中の目標変更を可能にするデータリンクなどが提案されていた。もう一方は、RGM/UGM-109H THTP(Tomahawk Hard Target Penetrator)と呼ばれる、防護を強化された目標に対応する強化型徹甲弾頭を備えた型である。しかしながらこの計画は、余りにも高価であることが判明したため、1996年に中止された[1]。
[編集] タクティカル・トマホーク
タクティカル・トマホークは、トマホークの最新の発展型である。これはブロックIV中止後の1998年に同計画のより廉価な代替案として提案され、当初はブロックV と呼ばれていたが、ブロックIV の名称が復活した。この計画では、生産段階におけるコストの削減が目指され、現行のTLAM-C/D(ブロックIII)の半分の価格で、性能を損ねることなく調達することとされた。そのために軽量化とより安価なエンジンへの換装が行われる。また、軽量化に伴う構造強度の低下により、潜水艦発射型は魚雷発射管からの発射ができなくなり、もっぱらVLSから発射されることになった。
また、能力向上として、以下のような機軸が盛り込まれた。
- UHF周波帯の衛星リンクによる飛行中の再プログラム。これにより、事前に登録された15個までの代替目標のひとつ、または、GPSで指示される任意の座標に指向させることが出来るようになった。
- また、同じ衛星リンクを利用する、前方監視カメラ画像の発射母体への送信。損害評価または照準に利用することができる。
- (従来では不可能だった)搭載艦艇での飛行計画立案、具体的にはGPSを用いた目標座標指示による柔軟性の向上。
タクティカル・トマホークの試射は潜水艦発射型・水上発射型とも2002年に成功し、レイセオンと生産契約が結ばれた。2004年には、作戦可能状態に達し、実戦配備が開始された。
タクティカル・トマホークには2つのヴァリエーションが含まれる。RGM/UGM-109Eは、ブロックIII と同じ軽量単弾頭を搭載し、RGM/UGM-109H TTPV(Tactical Tomahawk Penetrator Variant)は、防護強化もしくは地下の目標を攻撃する強化型徹甲弾頭を搭載する。どちらも軽量化に伴って燃料搭載量が増し、射程が延伸した。
[編集] 要目一覧
以下の要目は実際に配備されたもののみを取り上げる。なお、いずれのタイプでも、本体サイズおよびロケットブースターは共通である。
- 本体
- 全長(ブースター除く):5.56m
- 翼幅:2.67m
- 直径:0.52m
- 速度:880km/h
- エンジン:ウイリアムズ F107-WR-400(ブロックIIまで)/F107-WR-402(ブロックIII)/F415-WR-400/402(タクティカル・トマホーク)
- ブースター部分
- 型式:アトランティック・リサーチ Mk106 固体推進ロケット
- 全長:0.69 m
- 直径:0.52 m
- 重量:270 kg
型式 | 重量 | 射程 | 弾頭 | 誘導方式 |
---|---|---|---|---|
RGM/UGM-109A TLAM-N | 1,180 kg | 2,500 km | 可変威力型熱核(5~200kT) | 慣性、TERCOM |
RGM/UGM-109B TASM | 1,180 kg | 460 km | 通常単弾頭(454kg) | 慣性、アクティブレーダー、PF/DF(電波受聴・方位探索) |
RGM/UGM-109C TLAM-C | 1,310 kg | 1,250 km(ブロック II) 1,650 km(ブロック III) |
通常単弾頭(454kg) | 慣性、TERCOM、DSMAC (ブロックIIIはDSMACを新型に更新、GPS追加) |
RGM/UGM-109D TLAM-D | 1,220 kg | 1,250 km | 子爆弾×166個 | 慣性、TERCOM、DSMAC (ブロックIIIはDSMACを新型に更新、GPS追加) |
RGM/UGM-109E/H タクティカル・トマホーク |
3,000 km | 慣性、TERCOM、DSMAC2A、GPS、前方監視カメラ、衛星リンク |
[編集] 地上発射型 / 空中発射型
トマホークには、ここまで述べてきた海洋発射型だけでなく、地上発射型および空中発射型がある。ただし、前者は既に退役し、後者は開発段階で計画中止となったため実戦配備されていない。
[編集] 地上発射型 BGM-109G GLCM
1971年頃、アメリカ空軍は、MGM-13 メイスを近代的な地上発射巡航ミサイル(GLCM: Ground Launched Cruising Missile)で置換する計画を進めていた。この新ミサイルに求められていたのはTERCOMシステムによる精密誘導と小型で燃費の良いターボファンエンジンを用いることだった。1977年、空軍は、海軍のBGM-109トマホークSLCMの地上発射用の派生型であるBGM-109Gの開発と配備を許可し、1980年5月には最初のミサイルが試射された。このミサイルは、車両に搭載された4連装TEL(輸送および起倒式発射機)容器内に格納されたかたちで配備された。なお、空軍ではトマホークではなく、グリフォン(グリフィン)と呼ばれた。
BGM-109Gは、1983年からヨーロッパのNATO諸国に配備されたが、1987年12月に米ソがINF全廃条約に調印すると、GLCMはまさにこの条約の規制対象であったため、1988年から撤去が開始された。1991年5月には撤去が完全に完了し、全数が保管中である。
BGM-109Gのミッションと性能は、地上から発射されることを除けば、同様に核攻撃ミッションに従事したBGM-109Aと同じである。ただし、核弾頭は別で、W-84型を用いている。
[編集] 空中発射型 AGM-109 MRASM(開発中止)
[編集] 概要
空中発射型は中距離空対地ミサイル(MRASM: Medium-Range Air-to-Surface Missile)と呼ばれ、1970年代の海軍・空軍共同の巡航ミサイル開発計画(JCMP)のなかで開発が進められたが、最終的に中止となった。海軍・空軍のそれぞれ向けに、以下のようなヴァリエーションが考えられていた。
[編集] 海軍用バリエーション
海軍用ヴァリエーションは、航空母艦の弾薬エレベーターのサイズと搭載母機(A-6が予定されていた)の制約から、空軍向けのものにくらべて全長が短く、軽量だった。
- AGM-109C:ブロックII / IIA とおなじ通常型弾頭による地上攻撃型。
- AGM-109J:上記の廉価版または子爆弾搭載型。
- AGM-109I:対地と対水上の兼用型。低価格版のTERCOMおよび赤外線イメージング方式による終端誘導のテストを行った(非公式)。
AGM-109L:廉価な通常型弾頭を搭載。
[編集] 空軍用バリエーション
- AGM-109H TAAM(Tactical Air-Field Missile):飛行場攻撃用。子爆弾搭載型。
- AGM-109K:赤外線イメージング方式誘導型。
[編集] 要目一覧(MRASM、GLCM)
以下に空中発射型および地上発射型の本体要目を示す。なお、地上発射型はロケットブースターを用いるが、海洋発射型と同一のものであるので省略する。
型式 | 全長 | 直径 | 重量 | 射程 | エンジン | 弾頭 |
---|---|---|---|---|---|---|
AGM-109H/K | 5.84 m | 53.1 cm | 1,200 kg | 2,500 km | テレダインCAE J402-CA-401ターボジェット | AGM-109H:子爆弾(28個) AGM-109K:通常単弾頭(450kg) |
AGM-109L | 4.88 m | 53.1 cm | 1,000 kg | 不明 | 同 | 通常単弾頭(295kg) |
BGM-109G | 5.56 m | 51.8 cm | 1,200 kg | 2,500 km | ウイリアムズ F-107-WR-400ターボファン | 可変威力型熱核(0.2~150kT) |
[編集] 戦歴
- 1991年 湾岸戦争。TLAM-C 261発、TLAM-D 27発が発射。うち14発は潜水艦発射型。命中率は85%。
- 1998年 イラク領内の地上目標を攻撃(デザート・フォックス作戦)
- 1998年 ユーゴスラビア内戦介入に伴い、セルビア地上目標を攻撃(アライド・フォース作戦)
- 2001年 アフガニスタン戦争
- 2003年 イラク戦争
潜水艦の魚雷発射管から発射可能という制約のもと開発されたことで、トマホークは極めてコンパクトなサイズとなり、米海軍の水上戦闘艦のかなりの部分と、スタージョン級以後のすべての攻撃原潜に搭載されるようになるほど普及した。また、湾岸戦争で使用されてからは、世界でも希少な実戦経験のある巡航ミサイルとなっており、おそらく世界で最も成功した兵器のひとつと言うことが出来るだろう。
なお、1995年、アメリカ政府はイギリスへのトマホーク輸出に同意し、1998年にはイギリス海軍の潜水艦から試射が行われた。2008年までには、すべての攻撃原潜に運用能力を付与することが予定されている。また、2004年にはブロックIV(タクティカル・トマホーク)の購入について、両国は合意した。1999年、コソボ紛争に介入したNATO軍にスウィフトシュア級攻撃原潜スプレンディッド(HMS Splendid, S106)が参加し、実戦での発射をイギリス潜水艦としては初めて実施している。
[編集] 脚注
- ^ なお、「BGM-109E」という制式名称は、1980年代に開発中止になったヴァリアントに次いで2度目の利用である。さらに、タクティカル・トマホークでは109Hの制式名称も再利用されるため、混乱しないよう注意を要する。
[編集] 関連項目
- ミサイル
- 中距離核戦力全廃条約
- アメリカ合衆国のミサイル一覧
- ロサンゼルス級原子力潜水艦 —— 後期建造艦はトマホーク用VLSを装備
- 改オハイオ級原子力潜水艦 —— 初期建造艦4隻が、トマホークを運用する巡航ミサイル原潜に改装
- 巡航ミサイル潜水艦 SSGN
[編集] 外部リンク
- Raytheon Company: Products & Services: tomahawk — 現在の主契約者レイセオンの公式サイト。
- BGM-109 Tomahawk — GlobalSecurity.org内の解説記事。