ツァイス・イコン
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ツァイス・イコン(独:Zeiss Ikon )は
- カール・ツァイス財団(Carl Zeiss Stiftung )傘下で1926年創設されたツァイス・イコン社。
- コシナとカール・ツァイス社が提携し、2005年に発売されたレンジファインダーカメラ「ツァイス・イコン」。
目次 |
[編集] 歴史
- 1926年 - カール・ツァイス財団の主導で有力カメラメーカーであったイカ、エルネマン、ゲルツ、コンテッサ・ネッテルの4社を統合し、カール・ツァイス社の子会社としてツァイス・イコンを設立。本社はエルネマン本社社屋をそのまま使用し、当初は統合前の製品にツァイス・イコンの刻印を押して製造していた。
- 1928年 - ヴェッツラーのヘンゾルトを合併。
- 1929年 - 最初のオリジナル製品ミロフレックスと最初のオリジナル設計製品イコンタ発売。
- 1931年 - プロンター・シャッターを製造していたアルフレッド・ゴーティルを合併。
- 1932年 - ハインツ・キュッペンベンダーを責任者としてライカ判のコンタックスを発売。当初テッサー、まもなくゾナーF1.5がラインナップされた。
- 1934年 - イコフレックス発売。
- 1945年 - 第二次世界大戦により東西分断される。西ドイツのツァイス・イコンはシュトゥットガルトを本拠にした。一方ツァイス・イコンの本拠地東ドイツドレスデンの工場は人民工場として発展し、西ドイツのツァイス・イコンと商標権の侵害訴訟が生じた。販売地域と輸出地域を切り分けることで和解をみた。なお東側ではイエナのカール・ツァイス人民公社の他、ドレスデンを中心に多くの製造公社が人民公社として組織され、統合と分離を繰り返した。ツァイス・イコン、KW、バルダ、ヴェルタ、クルト・ベンツィンなどは組織化されたが、やがてペンタコン人民公社に統合される。
- 1950年 - 西側のツァイス・イコンが「コンタックスIIa型」発売。
- 1956年 - 西側のツァイス・イコンがフォクトレンダー社の株式を全部取得して協働体制を取り、1969年完全合併した。
- 1971年 - 西側のツァイス・イコン社がカメラ生産から撤退を発表した。これに伴いレンズを供給していたカール・ツァイス社は新たな供給先を探し、1974年日本のヤシカと提携、コンタックスRTSが発売されることとなった。
詳細はコンタックスを参照
- 2004年 - コシナとカール・ツァイス社が提携し、レンジファインダーカメラ「ツァイス・イコン」発売を決定、2005年10月に発売された。
[編集] 製品
[編集] 統合前から引き続いて販売された製品
[編集] 116フィルム使用のカメラ
[編集] コカレッテ
コカレッテ(Cocarette )は元々コンテッサ・ネッテルのフォールディングカメラ。6.5×11cm判。
[編集] 120フィルム使用のカメラ
[編集] ボックステンゴール
元々はゲルツの廉価なボックスカメラ。レンズは戦後までゲルツ銘のまま販売された。当初は6×9cm判のみだったが後に6×4.5cm判が追加された。
詳細はボックステンゴールを参照
[編集] コカレッテ
コカレッテ(Cocarette )は元々コンテッサ・ネッテルのフォールディングカメラ。6×9cm判。
[編集] ツァイス・イコン社になってから発売された製品
[編集] 120フィルム使用のカメラ
[編集] イコフレックス
6×6cm判の二眼レフ。
詳細はイコフレックスを参照
[編集] イコンタ
いわゆるスプリングカメラ。距離計連動の製品はスーパーイコンタと称される。イコンタ、スーパーイコンタともに6×4.5cm判、6×6cm判、6×9cm判がある。
詳細はイコンタを参照
[編集] ネッター
イコンタの普及版。
[編集] 126フィルム使用のカメラ
[編集] コンタフレックス126
戦後の普及版レンズシャッターライカ判一眼レフのような外観だがシャッターはフォーカルプレーン式であり一通りの交換レンズシステムを持っている。
詳細はコンタフレックスを参照
[編集] 127フィルム使用のカメラ
[編集] ベビーボックス
廉価なボックスカメラ。ボックステンゴールの小型版。
詳細はボックステンゴールを参照
[編集] ベビーイコンタ
3×4cm判のいわゆるスプリングカメラ。
詳細はイコンタを参照
[編集] コリブリ
コリブリ(Kolibri )とはハチドリの意。3×4cm判の小型カメラ。元コンテッサ・ネッテルにいて後に退社しナーゲルを創業したアウグスト・ナーゲルを中心に開発された。1930年発売。レンズは全て沈胴式でノバー5cmF4.5、ノバー5cmF3.5、テッサー5cmF3.5、テッサー5cmF2.8、ビオター5cmF2がある。
[編集] 135フィルム使用のカメラ
[編集] コンタフレックス
戦前の高級ライカ判二眼レフ、戦後の普及版レンズシャッターライカ判一眼レフがある。
詳細はコンタフレックスを参照
[編集] コンタレックス
出遅れた一眼レフの分野でツァイス・イコンが総力を結集した高級ライカ判一眼レフ。
詳細はコンタレックスを参照
[編集] コンタックス
戦前、および戦後西ドイツのツァイス・イコンから発売されたライカ判レンジファインダーカメラ、東ドイツのツァイス・イコンから発売されたライカ判一眼レフ。
詳細はコンタックスを参照
[編集] コンテッサ
イコンタ35に非連動露出計と連動距離計を搭載して1950年発売になり1955年まで販売された高級コンパクトスプリングカメラで、すなわち「スーパーイコンタ35」というような位置づけの製品である。フーベルト・ネルヴィン設計。135フィルムを使用し24×36mm判。距離計はドレーカイルによる前玉回転式。レンズはテッサー45mmF2.8で、前期型はツァイス・オプトン、後期型はカール・ツァイス。シャッターはコンパーラピッド、後にシンクロコンパー。ツァイス・イコンのコードナンバー533/24。セルフコッキングではないがスプロケットが回らないとシャッターが切れない二重露出防止機構を備える。フィルムを入れフィルムカウンターをスタートマークに合わせて巻き上げて行くと自動的に1コマ目で止まる。左右対称で美しく、コンパクトでよく写るため人気がある。コンテッサ(Contessa )とはツァイス・イコンの母体の一つコンテッサ・ネッテルに由来すると思われるが、イタリア語で伯爵夫人の意味があるため「貴婦人」等の愛称がある。1960年に名称だけ復活したが、これらは全く取り柄のない固定鏡胴の廉価版カメラに堕してしまっていた。
[編集] コンチナ
コンチナ(Contina )はフーベルト・ネルヴィン設計のスプリングカメラ。24×36mm判。
- コンチナ/コンチナII(1948年発売) - 非連動距離計を内蔵。後にイコンタ35がコンチナIに改名されるのに伴いコンチナIIと改名された。
- コンチナI - イコンタ35から改名された。距離計なし。
- コンチナIIa(1955年発売) - レンズが固定鏡胴となった。
[編集] イカレックス
フォクトレンダーとの合併後発売されたライカ判一眼レフ。
詳細はイカレックスを参照
[編集] イコネッテ35
1958年発売の入門機。巻き上げはレンズの横のレバーで行うテナックス式。レンズはノバー45mm3.5、シャッターはプロント。外装はプラスチックボディー、ビニール張り。光漏れが多発して回収された。
[編集] イコンタ35
コンパクトなライカ判蛇腹カメラ。後にコンチナIと改名された。
詳細はイコンタを参照
[編集] ネタックス
- ネタックス(Nettax 、1936年発売) - スーパーネッテルの後継であり、すなわちコンタックスIIの普及機という位置づけであったが、専用マウントによりレンズ交換が可能となり、折畳式でなくなっている。ファインダーと別に基線長3.25cmの距離計を装備する。交換レンズには沈胴式テッサー5cmF2.8、トリオター10.5cmF5.6があった。また純正アダプターによりコンタックス用テッサー2.8cmF8を使用できる。シャッターはコンタックスIIに搭載されたのと同種の金属幕フォーカルプレーン式で1/5秒から1/1000秒。ツァイス・イコンのコードナンバー538/24。
[編集] スーパーネッテル
スーパーネッテル(Super Nettel )はコンタックスIの廉価版という位置づけのカメラ。後継はネタックス。
- スーパーネッテルI(1934年発売) - フーベルト・ネルヴィン設計。距離計連動ライカ判蛇腹カメラ。テッサー5cmF2.8またはテッサー5cmF3.5またはトリオター5cmF3.5が固定されレンズ交換は出来ない。最高速1/1000秒のフォーカルプレーンシャッター。コードナンバー536/24。
- スーパーネッテルII(1936年発売) - クローム仕上げ。テッサー5cmF2.8。2000台の限定生産。コードナンバー537/24。
[編集] テナックス/タクソナ
テナックス(Tenax )は元々ゲルツの商標だが、その時代に発売された製品と機構上の共通点はない。135フィルムを使用し24×24mm判コンパクトカメラ。フィルム巻き上げが「招き猫」と俗称される特徴的なレバー式で、いわゆるレチナ式のレバー巻き上げが一般的になる前に試行錯誤された迅速巻き上げ方式の一つ。フーベルト・ネルヴィン設計。
- テナックス/テナックスII(1938年発売) - ファインダーと一体式の連動距離計を装備し、専用バヨネットマウントでレンズ交換が可能。交換レンズはオルソメター2.7cmF4.5、ゾナー4cmF2、テッサー4cmF2.8、ゾナー7.5cmF4がある。シャッターは最高速1/400秒のコンパーラピッドをビハインドシャッターとして使用している。巻き上げレバーはカメラ正面から見てレンズの左側にある。オプションとして2.7cm用外付けファインダー、7.5cm用ファインダーマスク、4/7.5cmアルバダファインダー等が用意された。発売当初は「テナックス」であったがテナックスI発売に伴いテナックスIIに改名された。
- テナックスI(1939年発売) - 距離計なし、レンズはノバー3.5cmF3.5またはテッサー3.5cmF2.8、シャッターはコンパー。ファインダーは折り畳み式。巻き上げレバーはカメラ正面から見てレンズの右側にある。指が当たる部分はカメラ側に折り畳み可能。レンズはノバー3.5cmF3.5またはテッサー3.5cmF2.8。戦後東ドイツでテッサー37.5mmF3.5またはノバー35mmF3.5を装着し生産が継続された。この時のコードナンバーはテッサーつき111/24、ノバー付き111/23。1953年にファインダーをトップカバー内に内蔵し、巻き上げレバーが折り畳み出来ないモデルにマイナーチェンジされたが、まもなく東ドイツのツァイスが西側で旧ツァイスの商標を使えなくなったためタクソナ(Taxona )と改名され、同時にレンズもノボナー(Novonar )という名称になっている。
[編集] その他のフィルムを使用するカメラ
[編集] ミロフレックス
クラップ型一眼レフ。コンテッサ・ネッテルで開発されており、ツァイス・イコンになっても引き続いて開発が進められ、ツァイス・イコン最初のオリジナル商品となった。6.5×9cmまたは9×12cmの乾板またはフィルムパック。
[編集] 新生ツァイスイコン
ボディはコシナ、レンズはコシナとツァイス(15mm、85mm)がそれぞれ担当。
[編集] ツァイスイコンボディー
- ツァイスイコン(Zeiss Ikon 、2005年10月29日シルバー発売) - ライカ判レンズ交換型レンジファインダーカメラ。電子シャッター搭載。マニュアル露出、絞り優先AE対応。シャッターの最高速度は1/2000秒。露出補正は1/3ステップ。
- ツァイスイコンSW(Zeiss Ikon SW ) - ツァイスイコンから距離計とファインダーを取り去った機体。広角レンズでの使用を前提に開発された。露出はLEDで示される点以外は何ら変わらない。ファインダーレスのためやや低いボディに青いZeissバッチが目に付く。
[編集] ツァイスイコン用レンズ
レンズマウントはライカMマウントと互換性があるZMマウント。
- ディスタゴン15mmF2.8
- ディスタゴン18mmF4
- ビオゴン21mmF2.8
- Cビオゴン21mmF4.5
- ビオゴン25mmF2.8
- ビオゴン28mmF2.8
- ビオゴン35mmF2
- プラナー50mmF2
- Cゾナー50mmF1.5
- ゾナー85mmF2
[編集] 関連項目
[編集] 製品
[編集] 関わった設計者
[編集] その他
- シュナイダー・クロイツナッハ - 東側ツァイス・イコンの末裔であるペンタコン公社を吸収した。