コンタックス
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コンタックス(Contax )とは、元来ドイツツァイス・イコン社製のレンジファインダーカメラのブランドであり、この用法では頭文字以外小文字で表記される。戦後ドイツ分割に伴いツァイス・イコンも分割され、コンタックス銘で西側のツァイスはレンジファインダーカメラを引き続き製造し、東側のツァイス・イコンはM42マウントの一眼レフを製造した。
東側のツァイス・イコンが製造したコンタックスは後にペンタコン、プラクチカと商標を変更、西側のツァイス・イコンが製造したコンタックスは1961年に製造中止し、コンタックスは一時休眠ブランドとなった。
西側のツァイス・イコン社が1971年にカメラ事業を中止した後カール・ツァイスは日本のカメラメーカーヤシカとブランド等に関するライセンス契約を締結し、以後コンタックス(CONTAX )はヤシカが製造・販売するカメラのうちカール・ツァイスブランドのレンズを採用した高級機種に付けられるブランド名となって復活した。この用法では全て大文字で表記される。ヤシカは1983年に京セラに吸収合併され、コンタックスブランドも引き継がれた。
京セラは2004年、併用していた「京セラ」ブランドのデジタルカメラを事業縮小し「コンタックス(CONTAX )」に統一することを発表、2005年にマニュアルフォーカス一眼レフカメラ・レンズの生産終了とデジタルカメラ事業からの撤退を相次いで発表、4月11日には同年9月のコンタックス事業終了が発表され、再び休眠ブランドとなっている。
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[編集] ツァイス・イコン社の製品
[編集] レンジファインダーのコンタックスシリーズ
ライカ判レンジファインダーカメラ。外装デザインは角型を基調とする。連綿と製造改良を続け、カメラのトップブランドの一つとしてライカに比肩するシステムを持つようになった。
この系列の最終型であるコンタックスIIIaが1961年に製造中止になった後、ツァイス・イコンのフラッグシップは一眼レフのコンタレックスシリーズに引き継がれた。
[編集] レンジファインダーコンタックスボディー
当時の新素材であるジルミン系アルミ合金ダイカストを採用し、レンズマウントを取り付けてから基準面に合わせてフィルムレールを研削してディプスを出す最新の工法が採用され、ゾナー5cmF1.5のような大口径レンズであっても必要十分な精度が保証されていた。シャッターは当初最高速1/1000秒、後に1/1250秒を誇る縦走り金属製フォーカルプレーン式で、シャッター幕上に強い光線が焦点を結んでも焼けて穴が開く心配がない。シャッター作動時にもシャッターダイヤルが回転しないためカメラマンが触っていて設定よりスローシャッターになってしまう事故が起こらない。レンズマウントは標準レンズ用の内バヨネットとその他のレンズ用の外バヨネットの二重バヨネットであり、迅速なレンズ交換が可能である。裏蓋下側両端にあるノブを起こして回転させると裏蓋を外すことが出来、フィルム装填が容易。巻上スプールは最後までボディーに固定されなかったので紛失に注意が必要である[1]。
- コンタックスI型(Contax I 、1932年3月発売) - ハインツ・キュッペンベンダー博士を中心にフラッグシップ機として設計された。長大な基線長の高精度な連動距離計を持ち、テッサー2.8cmF8を除きすべての交換レンズに連動する。その外装色からブラック・コンタックスと俗称された。コンタックスはその設計コンセプトが「作画意図の高忠実再現」であり、ツァイス・イコン社が持てる技術力を投入して開発し、そのため撮影結果は当時の35mm判カメラの中で最高であったが、非常に高価であった。初期型以降改良を重ね、研究者にも数えきれない程多数のバージョン違いがあるが、小林孝久氏は以下のI-1〜I-7に分類している。
- I-1型 - シャッタースピードはZ、1/25〜1/1000秒。距離計のミラーは銀メッキ。
- I-2型(1932年10月) - 距離計ミラーが金メッキとなった。
- I-3型(1933年中期) - 1/2秒までのスローシャッターが追加された。
- I-4型(1933年後期) - 三脚取り付け金具がコンタックスII型と同様の折り畳み式となった。
- I-5型(1934年中期) - ZをBと表示するようになった。ライツ社特許への抵触を避けるため「距離計外側ファインダー内側」を「距離計内側ファインダ−外側」に変更し基線長が103mmから93mmになった。距離計がドレーカイル式となり、それに伴いダイキャストが変更されている。
- I-6型(1935年初期) -
- I-7型(1935年後期) - シャッター最高速が1/1250秒となった。
これだけでも製造期間を考えると半年に一度は改良されていたことになり、販売部門から開発部門に苦情が殺到したと言われ、あるカメラ研究家は「開発の子宮から無理に引っぱり出されたような」カメラであると評している。 短所は巻上げノブがボディ前面にあるため速写性に欠けて回しにくいこと、巻き上げ・巻き戻しがライカと比べ重いこと、またシャッター速度設定時に誤ると故障の原因になるので注意が必要である。1936年まで製造され1938年まで販売された。総生産台数36,700台。
- コンタックスII型(Contax II 、1936年発売) - フーベルト・ネルヴィンが主になって設計した。その外装色からクローム・コンタックスと俗称される。基線長38mmのライカに比して格段に精度の高い基線長98mmの連動距離計を組み込んだファインダー(ドイツ語;Meβsucher )を採用し速写性に優れる。セルフタイマーを装備、シャッター速度もB、1/2~1/1250秒まで全域が一つのダイヤルで調整可能となり、シャッターチャージ前後を問わずシャッター速度の変更可能。第二次大戦までの間に59,500台が生産された。コンタックスI型時代のレンズ群はクロームメッキ仕上げにリニューアルされ、一部のレンズは同仕様のまま設計変更も行われている。ベルリン・オリンピックに合わせて発売されたゾナー18cmF2.8とゾナー30cmF4は特に有名であり、いずれもオリンピア・ゾナーと通称された。ゾナー18cmF2.8は当初直接マウントであったが後にはレフボックス仕様となっている。また明るく周辺まで画質が優れているビオゴン3.5cmF2.8はカール・ツァイス社らしい高性能レンズである。
- コンタックスIII型(Contax III 、1936年発売) - コンタックスII型にセレン光電池式電気露出計を搭載したモデルでその他はII型と同一仕様。その万能性からユニバーサル・コンタックスと呼ばれる(電気露出計内蔵カメラとして戦前の二眼レフコンタフレックスに続きわずか1年遅れ、世界で2番目の採用であったことに留意)。露出計の使用法は、まずフィルム感度を合わせ、露光計の蓋を閉めたまま巻き戻しノブの下のダイヤルを反時計方向に回しきり、目盛が▲に合っているかを確認して露光計の蓋をあけ、巻き戻しノブの基部にあるリングを回して上面のメーターの針を定点に合わせ、その時調節リングが示す絞りとシャッターを読み取ることにより測光する。III型の生産台数は38,000台と言われている。
- コンタックスIIa型(Contax IIa 、1950年) - 新生ツァイス・イコン社の本拠地、西ドイツのシュトゥットガルトで製造したモデルで、戦前のコンタックスIIが機能はほぼそのままに小型化され、手を触れると不安定であった駒数計、中指で塞ぎやすいかった連動距離計窓を移動する等改良がされている。シャッターダイヤルの数字が前期型ではすべて黒文字で記されていたためブラックダイヤル、1954年から発売された後期型ではシャッター速度の1/50がX接点を示すイエロー、それより高速スピードがレッドに色分けされたためカラーダイヤルと称される。前期型では発光器との同調のために専用アクセサリーケーブルが必要[2]であるが、後期型では一般的なDIN規格となった。シンクロ接点は軍艦部背面にある。1960年まで製造・販売された。当初は西ドイツカール・ツァイスのレンズ製造能力が充分でなく、東ドイツのツァイスからトポゴン25mmF4、ビオメター35mmF2.8、ビオター75mmF1.5の3種類のレンズが供給された。
- コンタックスIIIa型(Contax IIIa 、1951年) - コンタックスIIa型に連動露出計を搭載したモデルで、その他は同一仕様。1961年まで製造・販売された最後のツァイス・イコン社製「コンタックス」である。
- ノーネームコンタックス(No Name Contax ) - 以前は「コンタックスII型を製造していたイエナの工場にて戦後ソビエト連邦占領下で製造され、コンタックスとキエフの過渡的存在」とされていたが、現在は旧ソビエト連邦で1963年頃アメリカ向けに出荷された製品であることが判明しノーネームキエフと呼ばれている。機種表示がない他はキエフ4aそのもの。
[編集] レンジファインダーコンタックス用レンズ
戦前・戦後を通じて非常に多くの卓越した交換レンズが供給された。戦前はイエナのカール・ツアイス製、戦後は東ドイツのツァイス社から供給されたいくつかを除き西ドイツのオーバーコッヘン工場製である。戦前型と戦後型でマウント互換性はあるが、戦後型ボディーでは距離計の基線長が72mmに短くなったため18cmの直接マウント式レンズはピント精度が足らず使用できず、またシャッターユニット小型化のためレンズ尾部の大きい旧ビオゴン3.5cmF2.8は干渉し装着できない。また戦前型ボディーと戦後型ボディーでは距離計の焦点調節ギアの回転方向が逆になり、右へ回すと無限遠に移動するように変更され二重像の見かけの移動も逆になった。アタッチメント径はφ40.5が基本サイズである。
コンタックスI型時代はニッケル仕上げで「カール・ツァイス・イエナ」銘。コンタックスII型時代以降はクローム仕上げで「カール・ツァイス・イエナ」銘、コートされたものは「カール・ツァイス・イエナT」銘。戦後東ドイツで「カール・ツァイス・イエナ」銘で生産されたものがある。西ドイツでは「ツァイス・オプトンT」銘で、コートが当然になったのか後には「ツァイス・オプトン」銘となった。さらに後には「カール・ツァイス」銘で生産された。
- ビオゴン21mmF4.5(1954年発売) - 戦後西ドイツのカール・ツァイスから発売。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- トポゴン25mmF4(1950年発売) - 東ドイツのツァイス製。このレンズに合わせ西ドイツのツァイスはビオゴン21mmF4.5を出すまでそのファインダーターレットに25mmを入れていた。距離計非連動。
- テッサー2.8cmF8(1933年発売) - 戦前のみの生産。距離計非連動。
- ビオゴン3.5cmF2.8(1936年発売) - 戦前発売されたビオゴンはビオゴン銘ではあるがレンズ構成はいわゆるビオゴン型ではなくゾナー型。後玉が大きくコンタックスIIa/コンタックスIIIaには使用できない。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ビオメター35mmF2.8(1950年発売) - 戦後東ドイツで生産された。コンタックスIIa/コンタックスIIIaにも使用できる。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ビオゴン35mmF2.8(1950年発売) - 戦後西ドイツで生産された。いわゆるビオゴン型のレンズ構成。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ヘラー3.5cmF3.5(1938年発売) - 試作のみとも500-1000本の生産とも言われる珍品。2群5枚。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- プラナー35mmF3.5(1954年発売) - 当時はビオゴン35mmF2.8の普及版という設定であったが性能は互角で、どちらを選ぶかは好みの問題と言われる。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ステレオターC35mmF3.5(1952年発売) - 戦後に生産されたステレオ写真用レンズ。
- ステレオターC3.5cmF4(1940年発売) - 戦前に生産されたステレオ写真用レンズ。
- オルソメター3.5cmF4.5(1937年発売)
- ビオター4cmF2(1933年発売) - コンタックスI時代の生産。実焦点距離42.5mm。
- ゾナー5cmF1.5/50mmF1.5(1932年発売) - 全時代に渡って生産され多数のバリエーションがある。当時世界最高速であり、ライバルであったライツが同スペックのズマリット50mmF1.5を出すのは10年以上後になった。後にコピー商品として旧ソビエト連邦製ジュピター3が多数製造された。初期のニッコール5cmF1.5もこれのコピーである。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ゾナー5cmF2/50mmF2(1932年発売) - 全時代に渡って生産され多数のバリエーションがある。コンタックスII型時代の製品は沈胴式。後にコピー商品として旧ソビエト連邦製ジュピター8が多数製造された。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- テッサー5cmF2.8(1932年発売) - 戦前のみの生産。沈胴式。
- テッサー5cmF3.5/50mmF3.5(1932年発売) - 全時代に渡って生産された。戦後西ドイツでの生産分のみ非沈胴式。
- ビオター75mmF1.5(1951年発売) - 東ドイツのツァイス製。
- ゾナー8.5cmF2/85mmF2(1933年発売) - 全時代に渡って生産され多数のバリエーションがある。その大きさ太さから当時「樽」と俗称された。後にコピー商品として旧ソビエト連邦製Jupiter-9が多数製造された。アタッチメントφ49ねじ込み。
- トリオター8.5cmF4/85mmF4(1932年発売) - 全時代に渡って生産され多数のバリエーションがある。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ゾナー13.5cmF4/135mmF4(1932年発売) - 全時代に渡って生産され多数のバリエーションがある。戦前製は凄まじく重量があるが次第に軽量化された。後にコピー商品として旧ソビエト連邦製Jupiter-11が多数製造された。アタッチメントφ40.5ねじ込み。
- ゾナー18cmF2.8/180mmF2.8(1936年発売) - コンタックスII型とともにベルリンオリンピックに合わせて開発されたと言われ、オリンピア・ゾナーと俗称される。ベルリンオリンピックの記録映画「美の祭典」を撮影したレニ・リーフェンシュタールは後に「ツァイスが開発した新型レンズが強力な武器になった」と語っている。最初期型は距離計連動、後にミラーボックス併用となった。
- テレテッサーK18cmF6.3(1933年発売) - コンタックスI型からコンタックスII型時代用に直接マウント方式で生産された。
- ゾナー30cmF4(1939年発売) - フレクトスコープを介して使用する。
- テレテッサーK30cmF8(1934年発売)
- フェルンオブジェクティブ50cmF8(1934年発売) - ミラーボックス併用の超望遠レンズ。
[編集] 一眼レフのコンタックス/ペンタコンシリーズ
東ドイツのツァイスイコンが発売したライカ判一眼レフ。西側のツァイスとの商標権争いで負けてしまい、FB以降はPRAKTICAと名称を変更し、東西ドイツ併合後はシュナイダー・クロイツナッハ社が販売を引き継いだ。
- コンタックスS型(Contax S 、1949年発売) - コンタックスブランド初の一眼レフカメラ。ペンタプリズムを採用した一眼レフとして世界初。正立正像のアイレベルファインダーを装備した一眼レフとしてはデュフレックスに続き2番目だが、開発自体は先行していた。レンズマウントにM42マウント採用、横走り布幕シャッター。プロトタイプはバヨネットマウント、露出計を装備、金属幕シャッターと最新鋭の技術を盛り込んだ製品だったと言われている。
- コンタックスD型(Contax D 、1952年発売)/ペンタコンD型(Pentacon D 、1952年発売) - コンタックスS型の後継機。東西のツアイスが商標権で争い、結果として西側に販売される分についてはペンタコンを名乗ることになったが内容は同一。
- コンタックスF型(Contax F 、1952年発売)/ペンタコンF型(Pentacon F 、1952年発売) - コンタックスD型の後継機。
- コンタックスFB型(Contax FB )/ペンタコンFB型(Pentacon FB ) - コンタックスF型に露出計を装備した派生型。
[編集] ヤシカ・京セラの製品
1972年コンタレックスシリーズのスーパーエレクトリックを最後にツァイス・イコン社がカメラ生産を打ち切った後、レンズを供給していたカール・ツァイス社は新しい供給先を探し、1974年日本のヤシカと提携、電子回路に弱かった欠点を補ってコンタックスRTSを発売し、コンタックスは復活した。なお提携はカール・ツァイス側からの打診があったとされる。正式名称は単にコンタックス(CONTAX )だがツアイス・イコン社のコンタックス(Contax )と区別するためヤシカ・コンタックスと通称され、さらにしばしばヤシコン、Y/Cと略称される。1983年ヤシカは京セラの傘下となり、マニュアルフォーカス・オートフォーカス一眼レフカメラやオートフォーカスレンジファインダーカメラを製造し京セラ・コンタックスと通称される。
市場の変化について行けなくなり2005年京セラはコンタックス事業の終了を発表、再びコンタックスが消滅することとなってしまった。
[編集] コンタックスRTSシリーズ
計画当初では眼鏡レンズでの提携先であった旭光学と提携契約成立寸前まで行ったとされ、ペンタックスKマウントはこの時の幻のペンタックス・コンタックスマウントと言われタクマー15mmF3.5はディスタゴン15mmF3.5から派生したと言われている。
[編集] RTSシリーズボディー
コンタックスRTSと共通の、いわゆるコンタックスマウントを採用したライカ判マニュアルフォーカス一眼レフをここに分類する。
- コンタックスRTS(CONTAX RTS 、1975年) - 新生コンタックス初の一眼レフカメラでフラグシップ機。初代RTSはボディをヤシカが、レンズをヤシカとカール・ツァイス社が、ボディデザインをポルシェデザインの三社がそれぞれ担当していた。RTSとはReal Time Systemの略で、電源スイッチを持たずシャッターを押せば即座にシャッターが切れる造りで「フェザータッチ」と称され、賛否両論をもたらした。ツァイスレンズは高い評価を受けた一方、内部の複雑な電子機構は稼動の不安定要因となり脆弱との評もある。ポルシェデザインの端正なフォルムは当時の国産一眼レフとは全く異なった趣で、バウハウス以来のドイツ工業デザインの美しさがある。先幕後幕同位置スタート方式という横走行布幕フォーカルプレーンシャッター故にストロボ同調1/60秒に留まる。ワインダーにより高速連写可能。コンタックスRTS IIクォーツ発売後はコンタックスRTS Iと通称された。秒速5コマのモータードライブPMD、秒速2コマのワインダーRTW、グリップ型フラッシュのRTF540、クリップオンフラッシュのTLA30やTLA20、250枚撮りフィルムバック等のオプションが用意された。
- コンタックス139クォーツ(CONTAX 139 Quartz 、1979年) - コンタックスRTSに続き発売された。コンタックス139と略称される。シャッター速度1/1000秒と上位機種に比べスペックダウンされているが、シャッター速度とタイマー動作がクォーツ制御化され精度が上がっている。またシャッター速度に無理がないのか耐久性は高く2006年8月現在未だに修理可能であり、携行性の良さから人気が高い。
- コンタックス137MDクォーツ(CONTAX 137MD Quartz 、1980年) - コンタックスRTSと変わらない大きさのボディーに秒速2コマのワインダーが組み込まれ、巻き上げの自動化が行われた。絞り優先AE専用機。コンタックス137MDと略称される。
- コンタックスプレビュー(1982年) - コンタックスRTSと共通マウントのポラロイドカメラ。一眼レフを使うのとほぼ同一条件で試写ができる。
- コンタックスRTS IIクォーツ(CONTAX RTS II Quartz 、1982年) - 性能・外観をコンタックスRTSから引継ぎながら精度・信頼性向上のため電気部分をフレキシブル基板化し、シャッター素材を布からチタン幕に変更しコンタックス139クォーツ同様にクォーツ制御を導入した。横走行式シャッター故にストロボ同調1/60秒に留まる。電源スイッチ、アイピースシャッターが装備されている。ワインダーにより高速連写可能。ファインダーについては歴代トップクラスであり、愛好家は現在も絶えない。現在補修パーツ払底により稼動機体は減少の一途である。太宰治や川端康成のポートレートで知られる林忠彦(故人)は、晩年不自由な体を車椅子に預けコンタックスRTS II、コンタックス167MTを使い写真集「東海道」を撮影した。使用された機材は現在郷里の山口県周南市市立美術館に常設展示されている。コンタックスRTS IIと略称される。
- コンタックス137MAクォーツ(CONTAX 137MA Quartz 、1982年) - コンタックス137MDに対しマニュアル露出を求める声があり追加販売された。単にマニュアル露出を加えただけでなくボディーのみ665g→610gに軽量化されモーターも秒3コマにスピードアップしている。コンタックス139クォーツ程ではないが携行性は良く同機を好むユーザーは多い。後にコンタックス137系をベースにオートフォーカス機が試作されている。
- コンタックス159MM(CONTAX 159MM 、1985年) - コンタックス137系は自動巻上げだったが、このモデルでは手動巻上げ。コンタックス159と略称される。対応するMMレンズを使用するとプログラム、シャッタースピード優先AEが可能になるマルチモード機。旧来のAEレンズを使用した場合は絞り優先AE、マニュアル露出のみとなる。ワインダーが用意されている。
- コンタックス167MT(CONTAX 167MT 、1987年) - コンタックスRTS II製造終了からコンタックスRTS III製造開始まで唯一のコンタックスとして存在した。コンタックス167と略称される。世界で初めて自動多段階露出機能(Automatic Bracketing Control 、略称ABC機構)を搭載し、性能は以後のコンタックスの中堅機と比肩できるモデル。シャッター速度調整がスライドスイッチであることや、液晶パネルの配置がオートフォーカスカメラ的であり試行錯誤の跡も伺える。以降のモデルではシャッター速度操作をダイヤル式に戻したことからスライドスイッチは不評であったようである。ファインダー視野率は95%。太宰治や川端康成のポートレートで知られる林忠彦(故人)は、晩年不自由な体を車椅子に預けコンタックスRTS II、コンタックス167MTを使い写真集「東海道」を撮影した。使用された機材は現在郷里の山口県周南市市立美術館に常設展示されている。
- コンタックスRTS III(CONTAX RTS III ) - 秒間5コマ連写のモータードライブを一体化、フィルムを圧板に吸着させるRTVシステム、プレフラッシュTTLスポット測光、コマ間デート表示など各種の最新技術を導入した新設計でコンタックスRTS I/コンタックスRTS IIと機構やサイズなど大きく異なり、視野率も92%から100%に、最高速シャッター速度も1/2000から1/8000に引き上げられた。歴代機で最も堅牢な機体。
- コンタックスST(CONTAX ST ) - フラッグシップ機であったコンタックスRTS IIIがあまりに重厚長大だったため普通に使えるコンパクトな高級機として重宝された。暗いところで液晶部分が点灯するイルミネーション機能を有している。外付けの縦位置レリーズ付きバッテリーケースもラインナップされていた。コンタックス167MTから引き継いだ機構も多くシャッター音は大きめである。
- コンタックスRX(CONTAX RX ) - 機能的にはコンタックスSTにフォーカスエイド機構を加えたもの。オートフォーカス移行への実験機的性格が強い。このモデルを基本にコンタックスAXが登場。コンタックスSTと比べシャッター速度が低下(1/6000→1/4000)、登場した時期のためか、信頼性が上がったもののコンタックスSTほどの好評は得られなかった。
- コンタックスRX II(CONTAX RX II ) - 部品の払底を理由にコンタックスRXはフォーカスエイド機構を持たない本機種に移行した。結果としてファインダーが明るくなったが新しい機能や性能向上はなされなかった。
- コンタックスS2(CONTAX S2 ) - 機械式縦走りシャッターを搭載したマニュアル露出制御専用カメラ。名称は旧シリーズコンタックスS型に由来する。他のコンタックス一眼カメラのレイアウトと異なり、他社の多くのカメラのようにシャッター速度設定ダイアルが右手側に設置されている。チタン外装を採用、外装がチタンカラーでスポット測光。シャッターはコパルの縦走り式でCONTAXのイメージとは程遠いシャッター音、シャッターショックを発する。ワインダーの設定がない。純正で中央部重点平均測光に改造された個体がある。
- コンタックスS2b(CONTAX S2b ) - コンタックスS2の外装がブラック、中央部重点平均測光になったバージョン。他の仕様は同様。
- コンタックスアリア(CONTAX Aria ) - 入門機的存在でヤシカ・コンタックス系の最終機種。誰もが使いやすいようにマルチモードAEを採用し、絞り値、シャッタースピードなどの撮影データを記録することが出来るデータバックをオプションで用意していた。コンタックス167MTの操作レイアウトを改善し多重露出を加えコンタックスマニュアルフォーカス機としては唯一評価測光を採用している。軽量を重視してメインフレームすら非金属化された。このため扱いやすい反面、重量の嵩むレンズを装着すると重心が偏り、本機販売に際して軽量レンズ2本が同時発売された。
- コンタックスAX(CONTAX AX ) - オートフォーカス一眼レフカメラ。一般にシステム一眼レフでオートフォーカスを実現するには、レンズにフォーカシングモーターを搭載するか、ボディー内モーターの駆動を伝えるカプラーをマウントに設置する必要があるが、本機種ではレンズではなくフィルムを移動してピント合わせをするため、従来のレンズをそのままにオートフォーカスを実現した。フィルムを動かしてピント合わせをするのは大型ビューカメラでは普通のことであるが、一般のカメラでは旧マミヤシックス等に少数見られるだけである。二重構造故か駆動は静粛。メーカーの思惑とは別に、マウントアダプターを介しM42マウントレンズ等でもオートフォーカスが可能となるため一部の評価は高い。
[編集] RTSシリーズ用レンズ
当初からのAEシリーズと、プログラム/シャッタースピード優先AEに対応したMMシリーズがある。
- F-ディスタゴン16mmF2.8 - 対角線魚眼レンズ。7群8枚。最短撮影距離0.3m。フィルターは4種内蔵。
- ディスタゴン15mmF3.5 - 12群13枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離0.16m。フィルターは4種内蔵。
- ディスタゴン18mmF4 - 9群10枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離0.3m。アタッチメントは70-86リングを併用しφ86mmねじ込み。
- ディスタゴン21mmF2.8 - 13群15枚。最短撮影距離0.22m。アタッチメントはφ82mmねじ込み。
- ディスタゴン25mmF2.8 - 7群8枚。最短撮影距離0.25m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- ディスタゴン28mmF2 - 8群9枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離0.24m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- ディスタゴン28mmF2.8 - 7群7枚。最短撮影距離0.25m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- ディスタゴン35mmF1.4 - 非球面を含む8群9枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離0.3m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- ディスタゴン35mmF2.8 - 6群6枚。最短撮影距離0.4m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- PC-ディスタゴン35mmF2.8 - シフト機能を持つ。9群9枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離0.3m。アタッチメントは70-86リングを併用しφ86mmねじ込み。
- テッサー45mmF2.8 - 3群4枚。最短撮影距離0.6m。アタッチメントはφ49mmねじ込みまたは49-55リングを併用しφ55mmねじ込み。
- プラナー50mmF1.4 - 6群7枚。最短撮影距離0.45m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- プラナー50mmF1.7 - 通常このクラスの普及レンズは6枚構成であるが、このレンズは6群7枚構成で贅沢な設計。最短撮影距離0.6m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- プラナー55mmF1.2 - 100周年記念で限定販売された。7群8枚。最短撮影距離0.6m。アタッチメントはφ77mmねじ込み。
- S-プラナー60mmF2.8 - 4群6枚。最短撮影距離0.24m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- マクロプラナー60mmF2.8 - 「マクロ」はドイツ語表記の"Makro"。4群6枚。最短撮影距離0.24m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- マクロプラナー60mmF2.8c - 4群6枚。最短撮影距離0.27m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- プラナー85mmF1.2 - コンタックス発売50周年と60周年の記念で限定販売された。近距離補正機構を備える。アタッチメントはφ77mmねじ込み。
- プラナー85mmF1.4 - 5群6枚。最短撮影距離1m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- ゾナー85mmF2.8 - 4群5枚。最短撮影距離1m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- プラナー100mmF2 - 5群6枚。最短撮影距離1m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- マクロプラナー100mmF2.8 - 7群7枚。最短撮影距離0.41m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- ゾナー100mmF3.5 - 4群5枚。最短撮影距離1m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- S-プラナー100mmF4 - ベローズ用。4群6枚。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- プラナー135mmF2 - 5群5枚。最短撮影距離1.5m。アタッチメントはφ72mmねじ込み。
- ゾナー135mmF2.8 - 4群5枚。最短撮影距離1.6m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- ゾナー180mmF2.8 - 5群6枚。近距離補正機構を備え最短撮影距離1.4m。アタッチメントはφ72mmねじ込み。
- アポゾナー200mmF2 - 9群11枚。最短撮影距離1.8m。フィルターは専用差し込み式。
- テレテッサー200mmF3.5 - 5群6枚。最短撮影距離1.8m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- テレテッサー200mmF4 - 5群6枚。最短撮影距離1.5m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- テレアポテッサー300mmF2.8 - 7群8枚。最短撮影距離3.5m。フィルターはスライド式。
- テレテッサー300mmF4 - 5群5枚。最短撮影距離3.5m。アタッチメントはφ82mmねじ込み。
- ミロター500mmF4.5 - 反射望遠レンズ。5群5枚。最短撮影距離3.5m。フィルターは専用差し込み式。
- ミロター500mmF8 - 反射望遠レンズ。4群6枚。最短撮影距離3.5m。アタッチメントはφ82mmねじ込み。
- ミロター1000mmF5.6 - 反射望遠レンズ。5群5枚。最短撮影距離12m。フィルターは専用差し込み式。
- バリオゾナー28-70mmF3.5-4.5
- バリオゾナー28-85mmF3.3-4 - 13群16枚。最短撮影距離0.6m。アタッチメントはφ82mmねじ込み。
- バリオゾナー35-70mmF3.4 - 10群10枚。最短撮影距離0.7(0.25)m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- バリオゾナー35-135mmF3.3-4.5 - 15群16枚。最短撮影距離1.3(0.26)m。アタッチメントはφ82mmねじ込み。
- バリオゾナー40-80mmF3.5 - 9群13枚。最短撮影距離1.2m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- バリオゾナー70-210mmF3.5 - 12群15枚。最短撮影距離1.8(0.3)m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- バリオゾナー80-200mmF4 - 10群13枚。最短撮影距離1m。アタッチメントはφ55mmねじ込み。
- バリオゾナー100-300mmF4.5-5.6 - 7群12枚。最短撮影距離1.5m。アタッチメントはφ67mmねじ込み。
- N-ミロター210mm - イメージインテンシファイアーを内蔵し実効F値0.03。
- ムターI - 2xのリアテレコンバーター。5群6枚。
- ムターII - 2xのリアテレコンバーター。望遠用。4群7枚。
- ムターIII - 1.4xのリアテレコンバーター。4群6枚。
[編集] コンタックスNシステム/645
口径を広げ、完全電子制御化した新マウントの採用により従来のいわゆるヤシカ・コンタックスマウントとの互換性は放棄している。コンタックス645用のレンズはアダプターを介してNシステムのカメラに使用することが可能である。また、一部のレンズには超音波モーターが採用されており、静かなオートフォーカス駆動と常時マニュアルフォーカスが可能である。
新マウント化の意義は、デジタル時代に向け最高度の光学性能の追求から35mmフルサイズのデジタル素子を採用し、この素子に垂直に入射光を当てるためのものであった[3]。しかし、そのためレンズは大型化してしまい携行性は大幅に損なわれた。さらに機体の完成度に問題(バッテリーの消耗度、オートフォーカス性能)により、他社に比べ扱い難い機体となってしまった。また、他メーカーのような普及型のデジタル機をついにラインナップできず、ズームレンズ主体のレンズラインナップは旧来のユーザーの失望を買い商業的に失敗に終わり、コンタックスは再び休眠ブランドとなった。
[編集] Nシステム/645ボディー
- コンタックス N1(CONTAX N1 ) - フラッグシップ機。オートフォーカス測距点は5点で作画を重視しファインダーの対角線上に並んでいる。ダイアル操作中心のアナログ的な操作系をしている。最高速1/8000秒のシャッター。秒間最高約3.5コマの連続撮影が可能。合焦位置より前ピン・後ピンの画像も撮影するフォーカスABC機構を搭載。視野率95%。オプションで先頭コマ、およびコマ間に撮影データを記録できるデータバックが用意されていた。
- コンタックス NX(CONTAX NX ) - 普及機。オートフォーカス測距点はN1同様5点。最高速1/4000秒のシャッター。秒間最高2.3コマの連続撮影が可能。視野率93%。ストロボ内蔵。オプションでデートバックが用意されていた。
- コンタックス 645(CONTAX 645 ) - コンタックスが645判カメラ市場に初めて投入した機種。コンタックス645マウントを採用しており、アダプターを介することでNシステムとの互換性がある。フォーカルプレーンシャッターを採用しており、シャッタースピードは中判カメラ最高速の1/4000を誇る。マニュアルフォーカス専用のアポマクロプラナー120mmF4を除きレンズには超音波モーターが採用されており、静かなオートフォーカス駆動と常時マニュアルフォーカスが可能である。また、コンタックスRTS IIIと同じくRTVシステムを搭載しフィルムをフィルムを圧板に吸着させ平面性を保つことが可能であった。
[編集] Nシステム用レンズ
- プラナー50mmF1.4
- プラナー85mmF1.4
- テレアポテッサー400mmF4
- バリオゾナー17-35mmF2.8
- バリオゾナー24-85mmF3.5-4.5
- バリオゾナー28-80mmF3.5-5.6
- バリオゾナー70-200mmF3.5-4.5
- バリオゾナー70-300mmF4.5-5.6
- マクロゾナー100mmF2.8
[編集] 645用レンズ
- ディスタゴン35mmF3.5
- ディスタゴン45mmF2.8
- ディスタゴン55mmF3.5
- プラナー80mmF2
- アポマクロプラナー120mmF4 - マニュアルフォーカス専用。
- ゾナー140mmF2.8
- ゾナー210mmF4
- テレアポテッサー350mmF4
- バリオゾナー45-90mmF4.5
- ムター1.4x - リアテレコンバーター。
[編集] コンタックスGシリーズ
詳細はコンタックスGを参照
レンズ交換式オートフォーカスカメラ。
[編集] Gシリーズボディー
- コンタックスG1(CONTAX G1 ) - チタン外装。最高速1/2000秒のシャッター。露出は絞り優先オート、またはマニュアル。
- コンタックスG2(CONTAX G2 ) - コンタックスG1の後継機・上位機。オートフォーカス精度の向上を図っている。
[編集] Gシリーズレンズ
コンタックスGマウントを採用している。
- ホロゴン16mmF8
- ビオゴン21mmF2.8 - コンタックスG1はROM改造機のみ使用可能。
- ビオゴン28mmF2.8
- プラナー35mmF2 - コンタックスG1はROM改造機のみ使用可能。
- プラナー45mmF2
- ゾナー90mmF2.8 - 特にコンタックスG1でピントが合わないというユーザーが多い。コンタックスG2では改善されたが全く事故がなくなるわけではない。
- バリオゾナー35-70mmF3.5-5.6 - コンタックスG2のみ使用可能。
[編集] コンタックスTシリーズ
レンズにゾナーを搭載した単焦点コンパクト機シリーズ。高級コンパクトカメラという分野を築いた。名称は「小型の」を意味するTinyに由来する。
- コンタックス T(CONTAX T ) - Tシリーズ初代機。マニュアルフォーカスコンパクトレンジファインダーのライカ判カメラ。フラットなフロントカバーを前に倒すとレンズが出てくるというギミックが特徴。レンズはゾナー38mmF2.8、最短撮影距離は1m。絞り優先AE式電子シャッター。京セラ、カールツァイス、ポルシェデザインによる共同開発。チタン製ボディが検討されたが、加工技術的に時期尚早として見送られた。専用ストロボ・T14オートを装着することでストロボ撮影可能。
- コンタックス T2(CONTAX T2 ) - Tシリーズ2代目、ライカ判オートフォーカスコンパクトカメラ。高級コンパクトカメラの代表的機種で、90年代には他社の追随を生んだ。素材・デザイン・機能が有機的に統合された工業製品として長期にわたって好評を博し、コンタックスT3の発売以降も愛用するユーザーは多い。シルバーの他、チタンブラック、60周年記念ゴールドモデルなど、多数のバリエーションが存在する。ボディーの素材にはチタンを、ファインダーカバーガラスにはサファイアガラスを、フィルム圧板には京セラのセラミックを新たに採用。レリーズボタンはTと同じく人工多結晶サファイア。レンズは沈胴式で、電源を入れるとチタンのカバーがスライドしてレンズがせり出す。レンズには絞りリング付き。電源ダイヤルはそのままフォーカスダイヤル(オートフォーカス/マニュアルフォーカス)として機能、また、露出補正には独立したダイヤルを採用するなど、操作性に優れる。レンズはゾナー38mmF2.8、最短撮影距離は0.7mに短縮された。最高シャッタースピード1/500秒。AE絞り優先、及びプログラムモード。当時の定価120,000円(シルバー)。
- コンタックスT3(CONTAX T3 、2001年3月発売) - Tシリーズ3代目。コンタックスコンパクトカメラ最後の機種となった。シリーズの高い描写性能はそのままに、コンタックスT2よりも小型化が図られている。当時の定価98,000円。レンズ画角を38mmからゾナー35mmF2.8に変更、最短撮影距離は0.35mに短縮、またその描写は鮮やかでコントラストが高いと評される。本体はオートフォーカスでの使用感を向上させた一方、露出補正やマニュアルフォーカスの操作はボタンの併用となった分、煩雑となった。最高シャッタースピードは1/1200秒に向上。
- コンタックス Tix(CONTAX Tix ) - シリーズ唯一のAPSカメラ。コンタックスのフィルムカメラでは最小のボディサイズを誇る。最短撮影距離、シャッター機構、大きさ、デザインなどの面でコンタックスT3の前身となった。コンタックスT3・コンタックスTVS IIIに搭載されたダブルビトウィーンシャッター機構を初めて採用した機種で、レンズシャッター機では異例の最高速1/1000秒を実現している。ゾナー28mmF2.8を搭載、ライカ判換算で35mmの画角となる。定価120,000円(税別)
[編集] コンタックスTVSシリーズ
バリオゾナーレンズを搭載したズームコンパクト機シリーズ。
- コンタックスTVS(CONTAX TVS ) - バリオゾナー28-56mmF3.5-6.5を搭載したオートフォーカスコンパクトカメラ。チタンボディ、サファイヤガラスのファインダー、セラミックのフィルム圧板等、T2と同様の素材を使っている。専用フィルターや専用フードもオプションで用意されていた。
- コンタックスTVS II(CONTAX TVS II ) - TVSのマイナーチェンジ版。TVSとの違いはファインダーを明るくし、ズーム操作はレバー式からレンズ周囲のリングを回す方式に変更、パノラマ機能を廃止、収納時のレンズ保護用バリアーが内蔵された。
- コンタックスTVS III(CONTAX TVS III ) - 前2機から大幅に仕様が一新された。オートフォーカスは5点のマルチ測距が可能になった。初代Tに倣ったフラットフロントカバーを電動式で開閉する仕様。電動式ズームは30mm・38mm・45mm・50mm・60mmの五段ステップになり、ボタン式の絞り設定やフィルター・フードの装着が不可になる等、前2機より使い勝手が低下した部分もある。搭載レンズはバリオゾナー30-60mmF3.7-6.7。
[編集] デジタルカメラ
コンタックスのデジタルカメラとしては、コンパクトカメラと一眼レフカメラが存在する。一部海外を除きコンタックス事業とともにデジタルカメラ事業からも2005年を以て撤退する。
[編集] コンタックスNデジタル
Nシステムを採用したデジタル一眼レフで、史上初ライカ判フルサイズのCCDを採用した。そのためコンタックスN1、コンタックスNXと同じ画角で撮影することが可能となっている。しかし高価でありながら機能面で他のプロ機よりも見劣りしていたこともあり、それほどの売れ行きを見せなかった。2005年になってようやく一般のレベルで普通に扱えるフルサイズ機が登場したことから、Nデジタルの登場は早すぎたとも言える。
[編集] コンパクトデジタルカメラ
- コンタックスTVSデジタル(CONTAX TVS Digital ) - コンタックスT3とほぼ同じサイズ、デザインを実現しながらも3倍ズームレンズを搭載したコンパクト機。ツァイスレンズならではのシャープかつハイコントラストな描写を記録できる。カメラの高級感を体感できる「モノ」としても数少ないデジタルカメラでもある。
- コンタックス SL300R(CONTAX SL300R ) - FinecamブランドのSL300Rをベースに、T*レンズ、小型レンズフード、シボ革仕立ての外装を盛り込んだカメラ。単に外装を替えただけでなく、T*レンズを活かすように画像処理エンジンにも改良が加えられている。SL300R同様秒間3コマ連写にも対応可能。
- コンタックスU4R(CONTAX U4R ) - FinecamブランドのSL400Rをベースに外装、レンズ、画像処理エンジンを改めたカメラ。
- コンタックスi4R(CONTAX i4R ) - 香水瓶のような形状、サイズに単焦点レンズを搭載したカメラ。アクセサリーとしても存在感がある。京セラコンタックスとしての最終機種。
[編集] 注釈
- ^ もし紛失した場合は、フィルム冒頭部のカットは必要になるが、DPE店で廃棄されている現代パトローネを分解すれば中に存在する巻戻スプールで代用できる。
- ^ 型番はストロボ用No.1366、フラッシュバルブ用No.1360。
- ^ デジタル素子は斜めからの入射に対応した構造ではなく、斜め入射はそのまま画質低下をもたらす。銀塩からのレンズマウントの場合、撮影素子全面に入射光を垂直に当てる事は難しい。銀塩時代では斜めの入射もさしたる問題ではなく、設計時点でデジタル時代程の考慮はそもそも払われていない。従って銀塩からマウントを引き継ぎデジタル化したシステムは、厳密にはこの問題には対応しきっていないのが現状である(普通に撮影する範囲では目に付く弊害ではなく各社半ば無視した感がある)。フォーサーズ・システムも参照。