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コンタレックス - Wikipedia

コンタレックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

I型
I型

コンタレックスContarex )とはツァイス・イコン社のライカ判一眼レフカメラのシリーズで、戦後の混乱から脱した西ドイツのツァイスが持てる総力を投じたフラッグシップ的存在であった。非常に高価で、最終機コンタレックススーパーエレクトリックは標準レンズ付のセットでハッセルブラッド標準レンズ付セットに価格に匹敵した。当然販売台数は伸びず、すべての機種を合わせても5万台程度である。ツァイス・イコン社のフラッグシップ的位置づけのカメラであり、非常に高価な価格と一種異様なスタイリング、ライカ判とは思えない大きさと重さなどから商業的には必ずしも成功しなかったが、当時のカメラ製造技術の頂点を示すサンプルと見ることができる。 レンズマウントは専用のコンタレックスマウント。

目次

[編集] ボディー

  • コンタレックスI型Contarex I1959年発売) - 1958年フォトキナで発表された。発売当初は単にコンタレックスであったが後継機が出てからはI型とされた。セレン光電池式連動露出計を内蔵し、個体によっては今もほぼ正確な露出を示す。内蔵露出計がシャッタースピードと絞りの両方に連動するのは世界初である。造りの確かさは素晴らしく、豪華という他ない組み付け、メッキの仕上げと、まさにレックス(君主)の名に恥じないカメラである。連動露出計はまるで目のようにも見えることから後年ブルズアイサイクロプスという異名を頂く事になった。生産台数はコンタレックスII型と合わせ約32000台。
  • コンタレックススペシャルContarex Special1960年発売) - コンタレックスI型から露出計を除き、ファインダーをペンタプリズムアイレベル/ウェストレベル交換式とした。ファインダースクリーン交換可能。生産台数は約3000台。
  • コンタレックスII型Contarex II 1964年発売) - コンタレックスI型をファインダースクリーン交換可能、データストリップ使用可能に改良したモデルをII型と通称する。生産台数はコンタレックスI型と合わせ約32000台。
  • コンタレックスプロフェッショナルContarex Professional1967年発売) - 1966年のフォトキナで発表された。内部外観とも徹底的に改良されこの機種以降デザインはほぼ共通となった。通称P型。生産台数は約1500台。
  • コンタレックススーパーContarex Super1967年4月発売) - 通称S型。1966年のフォトキナで発表された。コンタレックスプロフェッショナルにCdS受光素子使用のTTL連動露出計を内蔵した。露出計のスイッチは当初前面[1]にあったが1968年9月から上面[2]に移され、それぞれ「フロントスイッチ」「トップスイッチ」と呼ばれている。生産台数は約13400台。
  • コンタレックススーパーエレクトロニックContarex Super-electronic1968年9月発売) - 通称SE型。ボディーには「Electronic」としか書かれていない。シャッターを電子制御式とし、AE撮影やモータードライブの使用も可能となった。生産台数は約3100台。
  • ホロゴンウルトラワイドHologon Ultrawide1969年発売) - ホロゴン15mmF8が固定装着される。コンタレックスマガジンを使用でき、ハッセルブラッドにおけるSWCのようなカメラである。生産台数は約1400台。あまりに超広角であるため、手の写り込みを防ぐために手の位置を規定するハンドグリップが付属する。

[編集] スクリーン

スクリーンの出来には問題を指摘する意見が多く、撮影に使用するなら交換することが推奨されている。

コンタレックスのスクリーンは国産一眼レフの多くが採用したマット式ではなく空中像式である。半自動絞り[3]でありピントグラス式を採用すると絞り込んで撮影した場合ファインダーが非常に暗くなるため空中像式を採用したと思われるが、このため中央のフォーカシングスポット[4]でなければピント合わせができない。

[編集] 交換レンズ

交換レンズはシュナイダー・クロイツナッハから提供された製品もあったが、ほとんどはカール・ツァイス社製の製品であり、これらのレンズ群は製造が中止されて30年以上経った今日でも優秀と評価することができる。絞りリングがなく、絞り値はボディーのダイヤルで変更する。この絞り形式は最後まで踏襲された。アタッチメントはバヨネットB56とφ49ねじ込みの併設が原則。前期の製品は銀鏡胴で最短撮影距離が非常に短い設計になっている。後期の製品は黒鏡胴になり「ブリッツ」と呼ばれるフラッシュマチックを組み込んだが、このためか最短撮影距離は普通になってしまった。

  • ディスタゴン15mmF3.5(1972年製造) - 15群15枚。黒鏡胴が2本試作されたのみ。フィルターは内蔵。
  • F-ディスタゴン16mmF2.8(1973年発売) - 7群8枚。黒鏡胴が150本生産された。フィルターは内蔵。
  • ディスタゴン18mmF4(1967年発売) - 9群10枚。黒鏡胴が1683本が生産された。アタッチメントはB96。
  • ビオゴン21mmF4.5(1958年発売) - ミラーアップして使用するためコンタレックスI型コンタレックスII型コンタレックススペシャルにしか使用できない。元々はコンタックス用に設計された5群8枚。銀鏡胴が4000本生産された。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • ディスタゴン25mmF2.8 - 7群8枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり6630本生産された。最短撮影距離0.17m。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。スペックや構成図は後のコンタックスRTS用と似ているが写りは違うことが知られている。
  • ディスタゴン35mmF2(1965年発売) - 9群10枚。黒鏡胴が3150本生産された。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • ディスタゴン35mmF4(1958年発売) - 7群8枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり6633本生産された。レンズマニアに非常に高い評価を受けている。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • PA-クルタゴン35mmF4(1958年発売) - シフト撮影が可能。黒鏡胴のみ。シュナイダー・クロイツナッハ製。
  • ルミナー40mm4.5 - ベローズと併用して接写用。
  • プラナー50mmF2(1958年発売) - 銀鏡胴と黒鏡胴がある。銀鏡胴は最短撮影距離0.3m、黒鏡胴は0.38m。
  • テッサー50mmF2.8(1960年発売) - 3群4枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり5978本が生産された。最短撮影距離0.35m。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • S-プラナー50mmF4(1963年発売) - 4群6枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり400本が生産された。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。60-24cmの範囲でしかピントが合わない。
  • プラナー55mmF1.4(1961年発売) - 5群7枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり8275本が生産された。アタッチメントはB56のみで、φ49mmねじ込みは使えない。
  • プラナー85mmF1.4(1974年発売) - 5群6枚。システム終焉直前に発売されたため黒鏡胴が400本生産されたに留まった。非常に高い性能であるが絞り羽根が三角であるためボケが三角形になること、あまりにシャープであることからポートレートには向かない。アタッチメントはφ67mmねじ込み。光学設計は後にローライSL35用に流用されたが、コンタックスRTS用は別物。
  • ゾナー85mmF2(1958年発売) - 3群7枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり7585本が生産された。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • テッサー115mmF3.5(1962年発売) - 3群4枚。黒鏡胴が1550本生産された。ベローズ用。無限遠可能、プリセット絞り。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • ゾナー135mmF2.8(1964年発売) - 4群4枚。黒鏡胴が7895本生産された。アタッチメントはB56。
  • ゾナー135mmmF4(1958年発売) - 3群4枚。銀鏡胴と黒鏡胴があり15365本が生産された。レンズマニアに非常に高い評価を受けている。アタッチメントはB56またはφ49mmねじ込み。
  • ゾナー180mmF2.8(1966年発売) - 4群4枚。黒鏡胴が965本生産された。アタッチメントはφ67mmねじ込み。フォーカシングは鏡胴横についているダイヤルで行う。
  • ゾナー250mmF4前期型(1959年発売) - 4群4枚。黒鏡胴が2019本生産された。アタッチメントはφ67mmねじ込み。一般的なヘリコイドでフォーカシングを行う。
  • ゾナー250mmF4後期型(1963年発売) - 4群4枚。黒鏡胴が2645本生産された。アタッチメントはφ67mmねじ込み。鏡胴横についているダイヤルでフォーカシングを行う。鏡胴下には三脚穴がありそこにねじ込むグリップが付属する。
  • テレテッサー400mmF5.6(1970年発売) - 4群4枚。黒鏡胴が366本生産された。アタッチメントはφ67mmねじ込み。鏡胴横についているダイヤルでフォーカシングを行う。鏡胴下には三脚穴がありそこにねじ込むグリップが付属する。
  • ミロター500mmF4.5(1963年発売) - 反射望遠レンズ。黒鏡胴が200本生産された。アタッチメントはφ49mmねじ込み。
  • ミロター1000mmF5.6(1963年発売) - 反射望遠レンズ。黒鏡胴が23本生産された。アタッチメントはφ49mmねじ込み。
  • バリオゾナー40-120mmF2.8(1971年発売) - 9群13枚。黒鏡胴が1000本生産された。アタッチメントはB96。
  • バリオゾナー85-250mmF4(1970年発売) - 11群15枚。黒鏡胴が581本生産された。アタッチメントはB96。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ 絞りダイヤルのレンズを挟んで反対側。
  2. ^ 巻き上げレバーの下。
  3. ^ シャッターレリーズ後に絞りが絞られたままで巻き上げによって開放に復元する。
  4. ^ 標準仕様ではスプリットイメージ装備。


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