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ゲール - Wikipedia

ゲール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ゲールは、アニメ宇宙戦艦ヤマト』に登場する、架空の人物。(阪脩

地球ガミラスイスカンダルの中間地点に浮かぶバラン星のガミラス基地司令官。しかしデスラー総統の勅命により、銀河系方面軍(劇中では太陽系方面軍とも表現されていた)作戦司令長官として赴任してきたドメル将軍の副司令官に降格された上、いきなり鞭で家具やコレクションを散々に叩き壊され、『趣味の悪さはガミラス前線基地随一だな、ヘドが出るわ』と罵られドメルに深い恨みを抱くに至った。

バラン星の現住生物バラノドンを利用し、巨大特攻生物兵器に仕立て上げ、ドメルに進言する。押し問答の末(下記参照)にドメルに『ここの司令官は私だぞ』と釘を刺されてしまう。さらにその日の夕飯時に酔っ払い、小姓や侍女に酒瓶を投げて八つ当たり。その後、ダミーヤマトを使ってバラノドン攻撃を仕掛け成功するが、実戦では何の役にも立たなかった。そしてドメルの制止も聞かずヤマトを攻撃をかけるが、結局は波動砲で返り討ちに遭いドメルに叱責される。

さらに、ドメルと共に古代進真田志郎による宇宙要塞破壊の報を受けた際にも、喫煙中のドメルにライターを差し出すが着火に失敗。 「君のライターは(そして君自身は)、あの要塞と同じで役立たず」といらぬ嘲笑を受け、恨みはさらに深まった。

積もる恨みの果て、ドメルがヤマト攻略のため、ゲールに一言の相談もなく人工太陽でバラン星基地もろとも破壊しようとした際には、作戦完遂直前に本国に密告しドメルの企図を挫いた。 が、波動砲により人工太陽が爆発四散しバラン星基地に降り注いだ結果、基地は失われ、ヤマトは逃走し、作戦は完全に失敗した。 作戦失敗後、ガミラス本星に召喚されたドメルを裁く軍事法廷で自らの密告を正当化し上官の死刑判決を見るも、デスラーの決断でドメルは恩赦され、再びドメルの下でヤマトとの決戦に参加させられる。

七色星団の戦いでは、ドメルの作戦は九分九厘成功し、勝利ももう一歩にせまったが、ドリルミサイルを逆転され艦隊を失う。デスラー総統への忠誠心とガミラスへの愛国心に燃えるドメルは、またしても一言の相談もなく自爆を決断。ゲールは不承不承、というより愕然としながら、ドメルと命運を共にさせられた。もっとも瞬間物質輸送装置やドリルミサイルの作成中、万が一作戦が失敗した場合は、「君も得意とする総統への忠誠心こそ、最後の武器になるだろう」とドメルは自爆をほのめかしているが、これは密告を総統への忠誠心ゆえと強弁したゲールへの当てつけでもあろう。

ドメルとは反りが合わなかったが、元々ドメルとは同格の将軍であり、その地位も決して低くは無く(前述通り、ゲールにも専属の小姓や侍女がいる)相応の能力は備えていたと思われる。シュルツの敗因を消極的ゆえと批判したり、バラノドン特攻隊作戦の指揮ぶりからも力押しの猛将タイプであった為、策を弄するタイプでは無かったと見るべきである。戦術面では失敗が目立つが、できるだけ本星から離れた所でヤマトと戦うべきであるという持論は地球征服後の移民という戦略面からみると極めて妥当性が高く(本星に戦場が近づくほど移民中継基地破壊のリスクは高まる)、優れた戦術家ではあるが戦略的な視野に問題のあったドメルとはまさに正反対のタイプである。

自分と相容れないタイプの将軍だったからこそ、ドメルも無礼な程、徹底的にゲールの意見を否定し続け、作戦主導権を渡さなかったと思われるが、この点についてはドメルにも非が無いとは言えない(ヤマトの敵役の常として、ドメルも部下への気配りやチームワークを軽視し、それで敗北した)。

また「デスラー総統から一歩でも二歩でも離れた所でヤマトを叩くのが、総統への忠誠心ではないのか?」とドメルに具申している点からも、単純な恨みだけでドメルを陥れたとは言い難い面もある。

軍事法廷閉廷以後(少なくとも表面上は)ドメルとのわだかまりを解き、素直にその作戦指揮を補佐したり、逃亡せずにドメルと共に戦死した点を考えれば、武人としての潔さは評価されてしかるべきである。

当初の設定では、ゲーリングや、ゲルという名前になっていた。ヒス副総統と共に、デスラー総統暗殺未遂事件をおこし、逆にデスラーに粛清される予定であった。

元ネタは、贅沢と傲慢と無能で知られたナチス・ドイツの空軍総司令官ゲーリングだと思われる。

また、松本零士の漫画では、ガミラス本星の戦いの後、脱出したデスラーに付き添っていたのは、タラン将軍ではなく、ゲールであった。

なお、劇中では上官ドメルに対し、一応は敬語を使って接していたが、ゲーム版(「遥かなるイスカンダル」「イスカンダルへの追憶」)では、かなり粗野な口調と態度に変更されており、ゲールの狭量さとドメルへの反感が強調されていた。


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