赤穂城断絶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『赤穂城断絶』(あこうじょうだんぜつ)は1978年の東映制作の時代劇映画。従来のオーソドックスな忠臣蔵の内容を実録調に撮った深作欣二監督作品。
主演の大石内蔵助役には、「柳生一族の陰謀」でも深作欣二と組んだ萬屋錦之介が抜擢された。大石内蔵助暗殺に暗躍する吉良家家老・小林平八郎を演じた渡瀬恒彦はこの作品の演技により、キネマ旬報賞助演男優賞と第21回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞した。
[編集] 解説
深作欣二としては今までの忠臣蔵とは違った新しい解釈の作品に仕上げたかったようだが、初めて大石内蔵助を演じる事になった萬屋錦之介が従来の物語を要望したため、結果的に本来のオーソッドックスな内容に仕上がった。
それでも何か変化のあるものにしたかった深作は単なる美談調の作りにはせず、ドキュメンタリータッチの実録調でこの映画を撮り、仇討ちを公儀幕府への反逆として描いた。
例えば、『仁義なき戦い』にも見られた組織内の内部分裂を、お家再興と幕府の吉良に対する裁きの申し出を慎重に進めようとする大石ら穏健派と仇討ちを頑なに主張する堀部安兵衛ら強硬派の対立に置き換える演出が施されている。
特に近藤正臣演じる元赤穂藩士・橋本平左衛門のように当初は強行に仇討ちを唱えながらも、生活苦のために次第に体が病気に蝕まれ、最後には妻と心中してしまうという組織の末端で生きる者の悲哀を生々しく描いている。
また、今まで赤穂浪士と吉良家の対立として描写されていた仇討ちを、従来通りの主君の無念を晴らすという目的を明確にすると共に、討ち入り後の幕府の動向を描く事によって、あらためて仇討ちを赤穂浪士の公儀幕府への反逆として位置付けている。
それでも不完全燃焼のままでいた深作は1994年に『忠臣蔵外伝 四谷怪談』を監督した。
[編集] キャスト
- 大石内蔵助:萬屋錦之介
- 大石主税:島英津夫
- 大野九郎兵衛:藤岡琢也
- 堀部安兵衛:峰岸徹
- 堀部弥兵衛:加藤嘉
- 不破数右衛門:千葉真一
- 橋本平左衛門:近藤正臣
- 間十次郎:森田健作
- 間新六:下塚誠
- 間喜兵衛:永井秀明
- 吉田忠左衛門:遠藤太津朗
- 片岡源五右衛門:和崎俊哉
- 大高源五:寺田農
- 原惣右衛門:安井昌二
- 岡島八十右衛門:藤巻潤
- 岡野金右衛門:成瀬正
- 杉野十平次:藤沢徹夫
- 武林唯七:畑中猛重
- 近松勘六:野口貴史
- 神崎与五郎:高月忠
- 赤埴源蔵:志茂山高也
- 矢頭右衛門七:佐藤佑介
- 三村次郎左衛門:寺内文夫
- 萱野三平:宮内洋
- 早水藤左衛門:峰蘭太郎
- 大石瀬左衛門:唐沢民賢
- 勝田新左衛門:森山秀幸
- 奥田孫太夫:秋山勝俊
- 大野郡右衛門:司裕介
- 奥野将監:河合絃司
- 岡林杢之助:田島義文
- 島喜兵衛:汐路章
- 井関徳兵衛:織本順吉
- 岡野又右衛門:有川正治
- 中村弥太之丞:高並功
- 浅野大学:西田健
- 浅野内匠頭:西郷輝彦
- 吉良上野介:金子信雄
- 柳沢吉保:丹波哲郎
- 徳川綱吉:茂山千五郎
- 上杉綱憲:田村亮
- 色部図書:芦田伸介
- 小林平八郎:渡瀬恒彦
- 大須賀治郎右衛門:原田君事
- 天野定之丞:波多野博
- 小堀源次郎:平川正雄
- 牧野春斉:勝野賢三
- 山吉新八郎:白川浩二郎
- 三崎道億:岩尾正隆
- 矢村一真:笹木俊志
- 徳田政右衛門:木谷邦臣
- 山田宗偏:大滝秀治
- 八助:浪花五郎
- 上田主水:青木義朗
- 戸田源五兵衛:内田稔
- 関久和:島田秀雄
- 伊達左京亮:中村光輝
- 梶川与惣兵衛:中谷一郎
- 土屋相模守:御木本伸介
- 稲葉丹後守:林三郎
- 秋元但馬守:中栄数夫
- 加藤越中守:成田三樹夫
- 井上大和守:林彰太郎
- 近藤平八郎:大月正太郎
- 大久保権右衛門:和田昌也
- 荒木十左衛門:若林豪
- 脇坂淡路守:那須伸太郎
- 庄田下総守:角川春樹
- 田村右京大夫:丘路千
- 戸山源五兵衛:渥美国泰
- 内川孫右衛門:香川良介
- 宝井其角:梅津栄
- 瑤泉院:三田佳子
- 大石りく:岡田茉莉子
- 大石くう:浅川かゞり
- 大石吉千代:鵜川貴範
- 戸田局:中原早苗
- 橋本はつ:原田美枝子
- 大高しの:橘麻紀
- 大高貞:毛利菊枝
- 大高源一郎:小南文孝
- 浮橋:江波杏子
- 間喜兵衛の妻:岡島艶子
- 大野佐和:星野美恵子
- お仙:夏樹陽子
- 浮橋の部屋子:島田歌穂
- 密偵:細川純一、福本清三
- 多門伝八郎:松方弘樹
- 土屋主税:三船敏郎
- ナレーター:鈴木瑞穂