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葛城 (空母) - Wikipedia

葛城 (空母)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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艦歴
計画 1942年度(改マル5計画
起工 1942年12月8日呉海軍工廠
進水 1944年1月19日
竣工 1944年10月15日
除籍 1945年10月20日
その後 復員輸送後解体
性能諸元 (竣工時)
排水量 基準:17,150英トン
公試:20,200トン
全長 227.35m
全幅 水線幅:22.00m
吃水 7.76m
飛行甲板 216.9m x 27.0m
エレベーター2基
機関 ロ号艦本式缶専焼8基
艦本式タービン4基
4軸 104,000馬力
速力 32.0ノット
航続距離 18ノットで8,000海里
燃料 重油3,750トン
乗員 約1,500名
兵装 40口径12.7cm連装高角砲6基
25mm3連装機銃21基
同単装機銃30挺
12cm30連装噴進砲6基
装甲 舷側:25mmDS鋼板2枚
甲板:25mmCNC鋼板
搭載機
(常用+補用)
一七試艦戦(烈風):18+2機
一七試艦偵(彩雲):6+0機
一六試艦爆(流星):27+0機
合計:51+2機

葛城 (かつらぎ)とは、日本海軍航空母艦

第二次世界大戦末期に量産が計画された雲龍型航空母艦の3番艦で、日本海軍が建造した航空母艦の中で最後に完成した空母であった。艦名は奈良県にある葛城山にちなんで命名された。艦名は葛城 (スループ)に続いて2代目。

遠藤昭によると候補艦名として岩木があったという[1]

目次

[編集] 雲龍との差異

ネームシップの雲龍とは、以下のような差異がある。

  • 対空機銃座の形状が、簡易化により半円形ではなく、半六角形となっている。
  • 主機の生産が遅滞した為、陽炎型駆逐艦の主機を流用し、それを2基搭載している。そのため、機関出力が15万馬力から10万馬力に低下し、最大速力が2ノット低下した。なお、主機変更に伴う余剰空間には重油タンクが増設されている。
  • 対空噴進砲を始めとして、対空兵器の増備。
  • 電測兵装の変更・増強。

[編集] 艦歴

1942年(昭和17年)12月8日、呉海軍工廠で起工し、1944年(昭和19年)1月19日進水、同年10月15日に竣工した。鹿児島沖などで公試を行ってはいるものの、燃料が不足し、搭載する航空機も、その搭乗員もないため、終戦時には呉市の三ツ子島近海に艤装の上係留されていた。

当初は、艦船の迷彩がほどこされていた。すなわち、飛行甲板には緑黒系の縞状迷彩、側面には商船誤認を期待する青系のシルエットの迷彩である。しかし、島の側に係留されていたため、そのような迷彩は役に立たず、特別な対空偽装を行っていた。すなわち、島との間に偽装網をかけ、飛行甲板には家屋や道路を設けるなど島の一部に見せかける方法である。それでも1945年(昭和20年)7月24日および7月28日の呉軍港空襲で被弾、中破する。しかし、機関部などの船体下部や艦橋などには大きな損傷はなく、航行可能な状態で8月15日の終戦を迎える。10月20日除籍。

終戦時にも稼動状態であったため、武装解除の後、特別輸送艦(復員輸送船)として用いられることとなった。特別輸送艦として用いられるにあたっては、飛行甲板への通風孔の設置、格納庫への仕切りなどの設置による居住区への改装が行われた(輸送可能人員は約3,000名から5,000名余[2])。被弾のために、膨れ上がった飛行甲板はそのままの状態であった。塗装も変更され、側面に日の丸と「KATSURAGI」の文字が入れられている。なお、葛城は特別輸送艦として最大の大きさを持っていた。

葛城による復員輸送は第二復員省(旧海軍省)が担当し、1945年(昭和20年)12月より開始された。大型・高速の艦であったために、遠方の南方方面を担当し、南大東島ラバウルオーストラリア仏印などを航海した。港湾施設が貧弱な地区においては、縄梯子を利用し、復員兵の乗り組みを行った。ボイラーの予備水の不足から外洋で立ち往生したこともあるという。葛城は約1年の間に8航海、計49,390名の復員者を輸送し、その中には歌手の藤山一郎もいた。復員する人々で鈴なりとなった写真に残されている。

復員任務終了後、日立造船桜島工場で1946年(昭和21年)12月22日に解体開始、翌年11月30日に解体完了した。

[編集] 歴代艦長

葛城の模型
葛城の模型

[編集] 艤装員長

  1. 川畑正治 大佐(1944年8月15日就任)

[編集] 艦長

  1. 川畑正治 大佐(1944年10月15日就任)
  2. 平塚四郎 大佐(1945年4月1日就任)
  3. 宮崎俊男 大佐(1945年4月20日就任)

[編集] 参考文献

  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第3巻 空母I』(光人社、1989年) ISBN 4-7698-0453-9
  • 珊瑚会編『あゝ復員船 引揚げの哀歓と掃海の秘録』騒人社、1991年。 ISBN 4-88290-011-4
  • 日本造船学会『昭和造船史 第1巻』第3刷(原書房、1981年)ISBN 4-562-00302-2
  • 長谷川藤一『軍艦メカニズム図鑑-日本の航空母艦』(グランプリ出版、1997年) ISBN 4-87687-184-1
  • 福井静夫『海軍艦艇史 3 航空母艦、水上機母艦、水雷・潜水母艦』(KKベストセラーズ、1982年) ISBN 4-584-17203-1
  • 福井静夫『昭和軍艦概史 III 終戦と帝国艦艇』出版共同社、1961年

[編集] 脚注

  1. ^ 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』(光人社、1993年) ISBN 4-7698-0386-9、p78。
  2. ^ 『昭和軍艦概史 III』p90には約3,000名、『あゝ復員船』p174にはトロキナとファウロ島で約5,000名収容とある。

[編集] 関連項目

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