真言宗御室派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
真言宗御室派(しんごんしゅうおむろは)は、日本における真言系仏教宗派のひとつで、古義真言宗に属する。総本山は仁和寺。
目次 |
[編集] 宗紋
- 桜に引両
[編集] 寺格(順不同)
- 総本山 仁和寺(京都市右京区)
- 大本山 広隆寺(京都市右京区)・金剛寺(大阪府河内長野市)・大聖院(広島県廿日市市)
- 別格本山 龍宝寺(仙台市青葉区)、蓮華寺(京都市右京区)、尊寿院(京都市右京区)、久米寺(奈良県橿原市)、神呪寺(兵庫県西宮市)、福王寺(広島市)、蓮台寺(岡山県倉敷市)、観龍寺(岡山県倉敷市)、遍照院(岡山県倉敷市)、箸蔵寺(徳島県三好市)、国分寺(香川県高松市)、聖通寺(香川県宇多津町)、白峰寺(香川県坂出市)、不動護国寺(香川県三豊市)、出石寺(愛媛県大洲市)、海南寺(愛媛県今治市)、鎮国寺(福岡県宗像市)
- 準別格本山
- その他の寺院 明通寺(福井県小浜市)、慈眼院(大阪府泉佐野市)、 初馬寺(三重県津市)、林昌寺(大阪府泉南市)
[編集] 沿革
- 真言宗御室派の歴史は仁和寺の開創に始まる。真言宗の事相の流派「広沢流」の本拠として発展し、仁和寺門跡に2世性信入道親王(大御室)が就任されて以降、江戸時代末期まで門跡には法親王(皇族)を迎えた。1167年(仁安2年)5世覚性入道親王(紫金台寺御室)が綱所の印璽を下賜され、日本総法務に任ぜられると諸宗格山を支配し、日本仏教界に君臨した。塔頭寺院・子院が60余を数えた時期もあった。
- 中世に入ると、応仁の乱のときに仁和寺は全焼して、衰退した。戦国期以降は足利氏・織田氏・豊臣氏が復興に努めたが、本格的な再興には至らなかった。
- 江戸時代に入り、江戸幕府による資金援助があり、現在地に堂塔の再建がなり、再興を果たした。
- 明治維新のときに、勅命により、30世純仁(楞厳定院御室)が還俗して、改称した小松宮彰仁親王が1883年(明治16年)に仁和会を組織して仁和寺の復興に尽力した。31世以降、門跡に皇族を迎えることは無くなった。
- 東寺の傘下を出入をしたが1900年(明治33)年、独立して真言宗御室派を公称。派を廃して、1926年(大正15年)に金剛峯寺・大覚寺とともに古義真言宗を称した。第二次世界大戦のさなか、日本政府の宗教政策により、真言宗の古義・新義両派を合同して大真言宗になったが、戦後に独立し、1946年(昭和21年)、真言宗御室派となった。
[編集] 仁和寺門跡歴代
- 宇多天皇(光孝天皇第3皇子):空理・金剛覚
- 大御室(三条天皇第4皇子):性信入道親王
- 中御室(白河天皇第3皇子):覚行法親王(覚念)
- 高野御室(白河天皇第4皇子):覚法法親王(真行)
- 紫金台寺(しこんだいじ)御室(鳥羽天皇第5皇子):覚性入道親王(信法)
- 喜多院御室(後白河天皇第2皇子):守覚法親王(守法)
- 後高野御室(後白河天皇第8皇子):道法法親王(尊性)
- 光台院御室(後鳥羽天皇第2皇子):道助入道親王
- 金剛定院御室(後高倉院第2皇子):道深法親王
- 開白准后(藤原道家第5子):法助法親王
- 後中御室(後嵯峨天皇第6皇子):性助法親王
- 高雄御室(後深草天皇第4皇子):性仁法親王
- 尊勝院御室(後深草天皇第6皇子):深性法親王
- 常瑜伽院御室(伏見天皇第3皇子):寛性法親王
- 禅河院御室(後伏見天皇第3皇子):法守法親王
- 後常瑜伽院御室(後光厳天皇第5皇子):永助法親王(空助)
- 法金剛院御室(後小松天皇猶子):承道法親王
- 後光台院御室(後花園天皇猶子):法深法親王(弘覚・静覚)
- 後禅河院御室(後柏原天皇第2皇子):覚道法親王
- 厳島御室(伏見宮貞敦親王第4子):任助法親王
- 後南御室(後陽成天皇第1皇子):覚深法親王
- 後大御室(後水尾天皇第3皇子):承法法親王(性承)
- 後金剛定院御室(霊元天皇第2皇子):覚観法親王(覚恕・覚隆)
- 後光明寿院御室(京極宮文仁親王第2子):守恕法親王
- 宝荘厳院御室(中御門天皇第4皇子):慈仁法親王
- 三摩耶心院御室(中御門天皇第6皇子):遵仁法親王
- 金剛心院御室(有栖川宮職仁親王第3子):覚仁法親王
- 後喜多院御室(閑院宮典仁親王第2子):深仁法親王
- 不壊身院御室(有栖川宮職仁親王第11子):済仁法親王
- 楞厳定院御室(伏見宮邦家親王第5子):純仁法親王(勅命により復飾、還俗して小松宮彰仁親王と改称する)
- 冷泉照道
- 冷泉玄誉
- 別處栄厳
- 釈雲照
- 泉智等
- 土宜法龍
- 浦上隆応
- 石堂恵猛
- 岡本慈航
- 花桝智勝
- 森諦円
- 小田慈舟
- 立部瑞祐
- 小林隆仁
- 松村祐澄
- 吉田裕信
- 堀智範
- 佐藤令宜
- 南揚道
[編集] 宗務組織
- 管長(仁和寺門跡が就任。宗派の代表役員。任期あり。選挙制。)
- 最高顧問・顧問会(管長の諮問機関・非公開)
- 宗務庁
- 宗務総長(仁和寺執行長が就任。責任役員。)
- 執行(執行長を置く)
- 責任役員会(5名)
- 総務部
- 教学部
- 財務部
- 宗会(公選議員14名・特選議員3名(計17名)で構成。任期4年。)
- 地方教区に宗務支所(三重・京都・奈良・和歌山・大阪・兵庫・備前・美作・広島・山口・香川・愛媛・徳島・福岡・肥前)の17ヶ所。宗務支所が設置されていない所は直轄とする。
[編集] 関連組織
- 仁和会
- 仁和寺護持財団
[編集] 僧階・僧籍
- 僧階(全15級)
- 1級 大僧正
- 2級 権大僧正
- 3級 中僧正
- 4級 権中僧正
- 5級 少僧正
- 6級 権小僧正
- 7級 大僧都
- 8級 権大僧都
- 9級 中僧都
- 10級 権中僧都
- 11級 少僧都
- 12級 権小僧都
- 13級 大律師
- 14級 律師
- 15級 権律師
- 権大僧都(真言宗各派経営の大学卒業者と細則の該当者)その他の僧階は細則による。
- 教階(主教・弘教・示教・司教・補教)
- 住職(得度と度牒を受け、四度加行の後、伝法灌頂に入壇。練行を行った者。)
- 教師(僧侶で教師の補任された者。教師に補任されることが、住職の就任条件でもある。)
- 布教師教階(輔教・司教・示教・弘教・主教) また、(教師の研鑽と補任のために)教学審議会を開催する。
[編集] 年中行事
- 1月1日 修正会
- 1月6日 御室流華道生初式
- 1月7日 初祈祷
- 1月上旬 御修法遥拝
- 1月21日 献米供
- 2月3日 大般若転読法要(節分会)
- 2月15日 常楽会
- 2月下旬 土砂加持法要
- 3月21日 正御影供・彼岸会
- 4月1日~ 霊宝館・春季名宝展開催(50日間)
- 4月8日 仏生会
- 桜開花期~ さくら祭り
- 4月18日 観音大祭
- 5月中旬 御室流華道全国挿華大会
- 5月下旬 大般若転読法要
- 6月15日 宗祖弘法大師降誕会
- 9月8日 開山忌
- 9月21日 彼岸会
- 10月1日~ 霊宝館秋季名宝展開催(50日間)
[編集] 毎月行事
[編集] 臨時法会
- 宗祖誕生・入定遠忌法会(50年ごと)
- 開山寛平法皇遠忌法会(50年ごと)
- 歴代法親王・門跡追善法会(50年ごと)
- 成就山八十八ヶ所開創法会(50年ごと)
- 先師忌(年回忌)
[編集] 教育機関
- 仁和伝法所
- 仁和密教学院(1972年(昭和47年)設立・仁和寺内)
- 御室流華道総司庁
- 種智院大学(協同経営)
- 洛南高等学校・附属中学校(協同経営)
[編集] 施設
- 霊宝館(仁和寺内に設置・期間を限定して有料で一般公開される。)
- 御室会館(仁和寺内、宿坊)
- 御室老人いこいの家(京都市委託経営)
[編集] 教義
古義真言宗の教義に準じる。