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松岡正剛 - Wikipedia

松岡正剛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

松岡 正剛(まつおか せいごう、1944年1月25日 - )は、日本の編集者著述家日本文化研究者。京都府出身。東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を歴任。現在、株式会社松岡正剛事務所代表取締役、編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長、連志連衆會理事。

目次

[編集] 来歴・人物

[編集] 誕生~青年期

京都の呉服屋に生まれる。東京都立九段高等学校進学の頃に東京へ引っ越す。早稲田大学文学部フランス文学科進学。高校から大学にかけて、学生紛争の論客として鳴らす。一方で禅寺などをめぐり、様々な思索にふける。 大学4年の時に父親が多額の借金を残して死去したため、やむなく早大を中退。広告会社に勤め、営業活動のかたわら、高校生向けのタブロイド版の新聞「the high school life」を創刊。この時期、編集活動を通じて、稲垣足穂土方巽寺山修司唐十郎鈴木忠志らと親交を深める。とくに早稲田の先輩でもあった寺山修司からは「the high school life」の活動について「東京のヴィレッジボイスである」と絶賛された。

[編集] 工作舎編集長として

1971年に友人ら3人で工作舎を設立し、雑誌『遊』(1971年-1982年)を創刊する。「オブジェマガジン」と称し、あらゆるジャンルを融合し超越した独自のスタイルは今日のインターネット文化を先見しており、日本のアート・思想・メディア・デザインに多大な衝撃を与えた。松岡はこの雑誌の編集長を務めつつ、雑誌そのものへの寄稿、対談出席なども行い、1979年には初の単独著書となる『自然学曼荼羅』を刊行する。

『遊』刊行中から、外部の各種プロジェクトにかかわり、1978年から翌年にかけては、パリ装飾美術館、ニューヨークのクーパー・ヒューイット美術館などで「間MA展」(磯崎新武満徹プロデュース)にエディターとして参加する。この展覧会はミシェル・フーコーなどが訪れるなど評判を呼んだ。(20年後の1998年には東京芸術大学で再編して開催された)

[編集] 編集工学者として

1982年に工作舎を退社し、松岡正剛事務所を設立して独自の活動を開始する。古代から現代まで続く「情報」そのもの歩みを年表化した大作『情報の歴史』を編纂するために各ジャンルの知識人を集め、この本の監修を務める。この仕事が発展し、1987年に株式会社編集工学研究所を設立することになる。(現在、編集工学研究所は出版グループ「インプレス ホールディングス」のグループ会社となっている)

1984年からは、NTTが主催する「情報文化研究フォーラム」の座長を務める。ジャンルを超えた各界の研究者と議論を交わしながら、情報文化に関する考察を深めていく。また、同時期にNTTの広報戦略アドバイザーの役も担い、グループCFの制作、監修を行う。情報と生命、情報と歴史という視点から映像化した「進化篇」「擬態篇」「図書館篇」といったCFシリーズを生み出し話題を呼んだ。同CFシリーズのうち、「図書館篇」はカンヌ国際広告祭のブロンズ賞を獲得した。この頃からTV番組の構成なども務めるようになり、1984年からはじまった『極める』シリーズ(テレビ東京系列)を監修した。現在は『ときの探訪』(中部日本放送)の監修を担当。『世界一受けたい授業』(日本テレビ)には2005年から構成協力として参加している。

1990年に放送がはじまった『日本人のこころ』(NHK)では、五木寛之田中優子とともにレギュラー出演し、日本各地を歩き回りながら、日本文化に潜む魅力とその可能性について討論を交した。また、この時期、リチャード・ワーマン著『情報選択の時代』『理解の秘密』をたて続けに監訳。当時、情報建築家として世界的に注目されていたワーマンを日本ではじめて紹介する。

1995年、愛知県岡崎市の美術館計画にプロデューサーとして関わる。目に見えないもの(心の風景)を感じるという意味から、館名を「マインドスケープ・ミュージアム」と名づけた。

1997年からは、岐阜県で織部賞を開始、総合プロデューサーを担当し、ジャンルを問わずに内外の様々な人物を顕彰する。また、帝塚山学院大学に招聘され、教授としてゼミを担当した。このゼミの内容は1冊の本に編集され、2006年に『17歳のための世界と日本の見方』として春秋社から出版され、4万部を売り上げた。

[編集] 「千夜千冊」執筆以降

2000年2月から書評サイト「千夜千冊」の執筆を開始。同じ著者の本は2冊以上取り上げない、同じジャンルは続けない、最新の書物も取り上げる、などのルールを自らに課し、時に自身のエピソードやリアルタイムな出来事も織り交ぜた文体は、話題を呼んだ。第一夜は中谷宇吉郎『雪』。2004年7月に良寛『良寛全集』で「千夜千冊」を達成した。

しかしその直後に胃癌が発覚し、手術入院を余儀なくされる(その詳細は「千夜千冊」番外『退院報告と見舞御礼』に語られている)。しばらくの療養後、再び「千夜千冊」の執筆を開始し、2006年5月22日に柳田国男『海上の道』でもって「放埓篇」として完結した。この放埓篇・全1144夜に大幅な加筆と構成変更を行い、全8冊の大型本『松岡正剛 千夜千冊』として2006年10月に求龍堂より出版された。定価99,750円という高額にも関わらず初版1000部を完売し、2006年の出版界の事件として話題となる。現在も「遊蕩篇」としてリニューアルされ、連載が続いている。

また、長年培ってきた編集的世界観に基づき確立した「編集工学」をもとに、2000年6月、世界初のインターネット上の学校「ISIS編集学校」を設立し、校長に就任。単なる文章術にとどまらない、プランニングからコーチングまでを幅広くカバーする「編集術」を伝授するという独特なスタイルが評判を呼んでいる。

2003年には、長年にわたって研究・思索してきた「日本文化の方法」を伝承することを目的とした特別塾「連塾」をスタート。(主催は中間法人連志連衆會)山口小夜子柳家花緑田中泯高橋睦郎森村泰昌真行寺君枝内田繁浅葉克己しりあがり寿井上鑑といったジャンルをこえた多彩なゲストとともに対話をしながら、日本文化、日本経済の未来を模索している。(現在は、第2期が終わり、次回の第3期第1回目を2008年の7月に予定している)また、資生堂の名誉会長福原義春を代表理事とする「連志連衆會」では、松岡正剛を囲みながら日本文化の真髄を学ぶためのサロン「椿座」を開催している他、日本各地の若い職人とコラボレーションする試みなど、様々な企画を検討している。

[編集] 編集工学について

「生涯一編集者」をモットーとする松岡は、生涯を通じて各種編集、プロデュースにかかわる中で「編集術」「編集工学」という独特の発想をつくり出した。これは、体系化された方法の"型"をエクササイズすることによって、情報編集の技術を手軽に修得できるプログラムであり、書籍や映像など編集業務にお ける専門性の強化、ビジネスにおける企画力、教育や人とのコミュニケーションからクリエイティブワークにおける表現力の向上まで、あらゆる分野での応用性を目指している。編集工学を学ぶための場として開かれているWEB上の学校「イシス編集学校」では、一般の主婦から学生、編集者、プランナー、デザイナー、アーティストなど、様々なジャンルの人々が、松岡正剛の編集的方法を学んでいる。

[編集] エピソード

  • 長いこと書芸に親しんできた松岡は、自分でも書をかく。古くからの友人である田中泯主演の舞台『赤光』では、斉藤茂吉の歌集を書でしたためたものを舞台の背景効果として設置した。また、最近では「擬画」と名づけられたハイパープリントで自作したペン画もときおり作画して公開している。(「擬画」は購入することが可能)松岡が編集構成した東京、千鳥が淵の「NIKIギャラリー册」では、松岡作による書や「擬画」が展示されることもある。
  • 小林啓子小室等らが歌っていまだに根強いファンを持つ名曲 『比叡おろし』(リンク先下段に歌詞あり)は、松岡が21歳のときに一晩で書いたもの。想いをはせた女の子を舞台に誘った際に、チョイスが悪かったことから途中で帰られてしまい、雪のような冷たい気持ちのなかで書き上げたという。全国のカラオケのリストの中にも入っており、選曲すると「作詞・作曲:松岡正剛」と出てくる。

[編集] 主な著作

ほか多数

[編集] 関連人物

[編集] 外部リンク


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